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ミッションコンプリート

「アーサー君が女ったらし?そんなの見たことも聞いたこともないですよ。彼は常にストイックで剣に打ち込む素晴らしい人です。いくらエストラル侯爵令嬢とはいえ言って良いことと悪いことがありますよ」

 ダレルが怒る。


 ふーん、やっぱりダレルもアーサーのファンなんじゃない。

 まぁ二人は正反対だものね。


「嘘じゃないわ、アーサーはアーサーを愛する女性から貢がれているのよ」

 ゲームのね!


「アーサーに似合う服が出れば購入し((ゆみ)がね)、アーサーに似合う剣が出れば購入し((ゆみ)がね)、アーサーと一緒にいられるイベントが出れば購入(課金)し、愛の証明(ランキング上位)の為にお金を使い果たし、お給料が出る3日前から1日1個のおにぎりで飢えをしのいだのよ(後悔はしてないわ!)」

 ふんぞり返って報告する。どう、すごいでしょう。


「でも、それって別にアーサー君が強要したわけじゃないでしょう?その女性が勝手にアーサー君に惚れてやったことだよね?」

「うぐっ」


 それを言われると何も言い返せない。だって完全なる自己責任だから。


 ・・・ふっ、仕方がないわね。出来ればこれだけは言いたくなかったけれど。


「実は・・・アーサーには()の疑いがあるのよ!」

「ええっ!!」

 そんな、アーサー君が痔だなんて、そんなとダレルは震えている。


「びっくりするのも分かるわ。私も信じられないもの」


 そう、それは遡ること生前。

 虹恋アーサーLOVE掲示板で一人の女性が言い出したことがキッカケだった。


『アーサー様は絶対絶対う〇ちなんてしない!』

『wwwwww』

『なにいきなり変な事ぶっこんでるの?www』

『昭和のアイドルかwww』

『2次元の存在なんだからするわけないwww』

『もし3次元にいたとしても彼がそんなことするなんて考えられない!皆想像してみて、想像出来る?』


『うーん、出来ないわー』

『うん、出来ない』


『でしょう、ホラやっぱりアーサー様はしないのよ』

『待って、それじゃあアーサー様は便秘ってこと!?』

『!!!』『!!!』

『なんと!』

『今度運営に便秘薬プレゼントした方がいいかしら?』

『アーサー様宛てで?www』

『リボン付けて便秘薬、ウケルwww』


『アーサー様便秘かぁ。便秘だと切れ痔になりやすいんだよね』

『!!!』『!!!』

『アーサー様が切れ痔!なんてこと!!』

『だからいつもレオン王子の後ろで立っているのか!』

『座れない位痛いのね、可哀そう』

『可哀そう』

『ドーナツ座布団買って送るのがいいんじゃない?』

『天才か!』


 その後は切れ痔には何の薬が良いとか何の食べ物が良いとかの話題で盛り上がった。

 ・・・懐かしい。


「そんなわけでダレル様!あなたはリリが好きでもない男のお尻にずっと薬を塗り続ける人生を送っても良いと言うの!?あなたは愛する女性がそんな目にあっても平気なのね!!」

 ガーン!といった吹き出しでも頭の上に出そうな程ダレルはショックを受けていた。


「そんな、僕のリリーがそんな目に遭うなんて、ダメだ。ダメだダメだダメだ!リリー!!」


 やっとダレルはリリーを追いかけた。

 ふう、やれやれ世話の焼けること。


 すでに冷めてしまった紅茶を飲んで一人でゆったりしていると、しばらくしてレオが戻ってきた。


「あら、お帰りなさい。ダレルは無事リリと合流した?」

「君にお帰りなさいと言ってもらえるのは良いね。毎日聞いていたいな」

 あー、はいはい。それは良いからダレルとリリはどうなったの?


 聞き流す私にやれやれといった顔でレオは私の隣に座る。


(王子)をあごで使えるのはディア位なものだよ。ダレル君は無事リリアーナ嬢と合流したよ。なにやらすごく真剣な顔で君とアーサー君を結婚なんてさせられない!僕と結婚してくれ!って街中でプロポーズしていたよ。周りから拍手と声援が飛んでる中、二人が抱き合ったところまで確認してから私は戻ってきたけれど、一体ディアはダレル君に何を言ったんだい?」


「ちょっとした噂話をね」

 嘘は言っていない。最初から私は疑いがあると言っている。

 それを真実だと信じたのはダレル自身だ。


 もしかしたらアーサーの不名誉な噂が一時期広まるかも知れないけれど、アーサーなら大丈夫。元がとっても素晴らしいからね。

 それに本当に痔だったとしても、私が毎日お薬塗ってあげるから。安心してね、アーサー。


 その後、ダレルとリリー両名の強い希望により、二人の婚約が内定した。

 アーサーの不名誉な噂も流れなかった。ダレルは誰にも言わなかったようだ。


 ただ、アーサーがある日不思議そうにつぶやいていた。

「なんか、ダレルが俺の尻見て頑張れ!って言うんだけど。なんだろな、アレ」


 ゴフッ、ゲホゲホゲホッ。

 飲んでいた紅茶が気管に入ってしまった。


「さ、さあ。なにかしら、不思議ね」

 口を拭きながら私はシラを切った。


 何はともあれ破談成功!ミッションコンプリート!



 しばらくしてからリリがお礼を言いに館へやって来た。

「本当にありがとうディア。おかげでダレル様と婚約できたわ」


「良いのよ、リリ。本当におめでとう」


「ありがとう。今でも夢みたいよ。アーサー様の婚約者なんかになったら本当どうしようかと思って怖かったわ」

 ん?聞きずてならないぞ。


「リリはアーサーが嫌いなの?」

 あんなに格好いいのに?


「嫌いっていうか、怖いわ。目とか鋭いし言葉も乱暴だしいつも不機嫌そうなオーラ出してるし。5分と隣にいられないわ」

「え、そうなの?」

「ディア位よ、彼と平気で話せる女の子は。以前見てびっくりしたもの、良くディアは彼が怖くないわね」


「他の女の子も怖いって言ってるの?」

「もちろんよ、だからアーサー様の婚約者がなかなか決まらないんじゃない。女の子がみんな彼を怖がっているからよ」


 知らなかった。確かに不愛想だけど、根はすっごく優しいのに。

 でも考えてみると純粋培養で育てられた温室のお嬢様達には刺激が強すぎるのかも。

 もう少し年齢が上がればあの危険な香りに惹かれるんだけど、子供じゃ無理か。

 ただの粗野な少年にしか映らないものね。


 それにしても男の子からは憧れられていて、女の子からは怖がられてるなんて。

 アーサーって評価が真っ二つに割れてて面白いわね。

 

ブックマーク登録&評価をしてくださった皆様ありがとうございます( ´ ▽ ` )


毎日書く気力が湧いてくるのも皆様のおかげです。


ありがとうございます(*'ω'*)



アーサーの女の子評価も書けて満足です。( ̄∇ ̄)フー

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