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リリアーナのお見合い

 あの後あまりのぽかぽか陽気に気が付いたら二人とも寝てしまい、起きたときにはすでにお茶会は終了していた。


 二人してこっそり帰宅しようと思ったら、馬車乗り場でレオがそれはそれは冷たく微笑んで待っていた。


 ひぃぃぃぃ、怖い。 

 レオの背中からブリザードが吹いているぅ!!


 もうこんな時間だからとその場で私()()は解放されたが、翌日王宮に呼び出され表面上は穏やかにでも内心はかなーり『怒』のレオにつめたーく説教された。


「アーサー、君は私の側近だったよねぇ。ディアの傍にいてくれと頼んだけれど、終わるまでサボっててくれと言った覚えはないんだけどな」


「すみませんでした!」

 アーサーの90度のお辞儀にも冷たい表情を崩さないレオ。こ、怖い。


 冷笑を浮かべながらレオは次に私の方に向き直った。キタァァ。


「ディア、君もねまだ8歳とはいえ立派な淑女だろう。侯爵夫人の開催したお茶会をサボって良いと思っているのかい?いきなり消えた君たち二人を心配していたら、二人でぐーすか寝てましただなんて。エストラル侯爵夫人が聞いたらなんと思うだろうね」


 きゃあぁぁぁ、お助け下さいお代官様。いや、王子様。

 

 その後アーサーと二人して一生懸命謝ってなんとか許してもらった。


 罰としてアーサーは厚さ5cmはありそうな歴史書の読破を2週間以内にすること(テスト有り。赤点の場合合格するまで再試験)。

 そして私はレオのダンスレッスンのパートナーを1年間務めることになった。


 2週間で終わるのと1年間って差がありすぎてズルいと思ったけれど口にしなくて正解だった。

 うっかりアーサーが「うげぇ、こんなの無理。2週間なんて鬼かよ」と文句を言ってしまったがために、笑顔でその倍はある本を追加されていた。



 勉強会にダンスパートナーにと王宮へ行くことがなにやら多くなっていた頃、リリアーナが突然屋敷にやってきた。


「いらっしゃい、リリ。どうしたの?突然」


「ごめんなさい、急に来てしまって。でも私どうしたら良いか分からなくて」

 付き添いも連れず迷子のような顔でたたずむリリにただ事ではないと悟り、わざと明るく接した。


「今日は予定がないから大丈夫よ。ゆっくりして行ってね」


 マリーにお茶の用意を頼んでテラスに向かう。お花が好きなリリには私の部屋より庭が見える場所の方がリラックスできて良いと思ったからだ。


 マリーが淹れてくれた気分の落ち着くお茶を勧めてまず私が口を付ける。その様子を見てリリも同じように一口飲んでほうっと息を吐いた。


「美味しい」


「でしょう、マリーの淹れてくれるお茶は王宮にもひけを取らないと思うわ」


「そうね、とっても上手だわ」

 マリーが壁際で恐れ入りますと頭を下げた。


 緊張が少しほぐれたようで、リリはぽつりぽつりと現状を話し始めた。


 そろそろ9歳になるリリアーナにご両親が婚約者を探していること。その第一候補がアーサーであること。そして近々アーサーと顔を合わせる機会をもうけると言われたこと。


 それを聞いて私は、ああ、やっぱりゲーム通りになってしまうのかと暗い気持ちになった。

 しかし、リリは下を向いていた顔を上に上げて、私に力強く言った。


「でも、でもね。私実は好きな人がいるの」


「え、アーサーのこと?」


「やだ、それだったら悩まないわ」

 そっか、そうよね。ついついゲームの関係性が頭の中に浮かんじゃって。


「じゃあ、誰なの?」


「・・・」


「え?誰?」

 声が小さくて聞こえない。


「だから・・・ダレル様」

 ん?

 なんだって?


「だから、ダレル様よ。あのお茶会の後ダレル様のお勧めのお花屋さんとか教えてもらったり、お花の手入れの仕方とか教えてもらったりしていたの。それで、あの。優しい人だなって・・・す、好きだなって思って」


 だんだんと顔が真っ赤になってしまうリリアーナ。

 可愛いわぁ。


「だからアーサー様と婚約はしたくないの。ねぇ、ディア私どうすれば良いと思う?」


「どうすればって、ご両親にありのままを伝えれば良いんじゃない?」


「お父様もお母様も私とアーサー様を婚約させたいと思っているのよ。あちらの家も乗り気らしくて。私一人反対したところで聞いてもらえるかどうか」


「そっか。ところでダレル様は何と言っているの?」


「え?何も。だって私何も言っていないもの。私に婚約話があることも私がダレル様を好きだってことも何も伝えてないもの」

 まあ、奥手のリリから好きですなんて言えるわけがないわよね。


「ダレル様は普段どんな感じ?リリを特別に扱ってくれている?」


「ダレル様はいつも私にお優しくして下さるわ。とても紳士で、この間二人でお花屋さんめぐりをしているときに、小さくて可憐なオレンジ色のお花があってそれを1本買って私に下さったの。あなたみたいな可愛いお花でしたのでって言って下さったわ」


 その時のことを思い出したのか、リリの頬がポッと朱に染まる。


 なにそれ、ダレルやるじゃない。

 外見3枚目寄りだなんて思っててごめんなさい。中身はすっごく2枚目だわ。


 でも、聞く限りだとダレルもリリの事憎からず思ってる感じだ。後は消極的な二人をどうやってくっつけるかということなんだけど。


 リリにダレルに迫れと言った所であの大人しいダレルが2つの家を敵に回してリリを奪って行くとは思えない。むしろ婚約話を聞いたら僕よりもアーサー君の方が君にはふさわしいよといって身を引きかねない。


 だとしたらここはいっちょ私の出番じゃないかしらね。


 リリから次にダレルと会う日を聞いて、私もそこに参加することを伝えた。

 

 リリアーナの修道院回避が掛かっている。お友達として全力で応援してみせるわ!  

 


ブックマーク登録&評価をしてくださった皆様ありがとうございます( ´ ▽ ` )


とても嬉しいです(*゜▽゜*)♡


また誤字連絡を下さった皆様ありがとうございます( ´ ▽ ` )

とても助かります(*'ω'*)


これからも宜しくお願いたします(*゜∀゜*)

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