6:5人はどういう集まりか?
「警備室までの距離は200メートルといっていたな………」
200メートル先に警備室がある。
その200メートルが嫌に遠くに感じるエクス。
どこか異様な空気が流れ込んでくる。
もしかしたら、一つ目の化け物が来ているのではないか。
その予感は的中する。
「ウッ………ウッ………ウッ………ウッ………ウッ………」
唸り声をあげながら一つ目の化け物はエクスから見て左側の通路からやってきた。
一匹、二匹、三匹、四匹、五匹………。
5匹のうち3匹は緑色の病衣を着ているが、1匹だけ青色の警備服を着ている。
おそらく兵士だろう。
グループの化け物はノロノロと動いていたが、エクスが銃を構える動作をした途端に走り出してエクスに襲い掛かる。
距離は50メートルほど先だろう。
どんどん距離が縮まっていくがエクスは貴重な弾を無駄撃ちするつもりはないようだ。
確実に命中する距離まで引き寄せてから先頭に立って走ってくる化け物目掛けて引き金を引く。
ズガァァァン!!
まずは一匹目の化け物を倒す。
そして時間を空けずに二匹目の化け物に狙いを定める。
銃の反動から戻るまで1秒と少しかかる。
その間に化け物は近づいていく。
ズガァァァン!!
二匹目の化け物の目玉が撃ちぬかれる。
撃ちぬかれた反動で身体のバランスを崩し、後続の3匹目が撃ちぬかれた2匹目に足元を引っかけられて目玉を地面から叩き落ちる。
自滅。
4匹目と5匹目は二匹同時で攻撃を仕掛けてくる。
エクスは二発の弾丸をほぼ同時に発射する。
ズガァァァン!!ズガァァァン!!
間隔を開けさせない発砲。
銃声、そして化け物達が倒れ込む。
廊下は化け物の血に塗装される。
人間でなくなったこともあってか、その血は赤ではなく紫色だった。
「うへぇ………相変わらずこの臭いはきついな………おっと、弾倉を交換しなきゃ………」
拳銃の弾倉に入っている弾丸は残り3発。
もしかしたらまだ沢山化け物がいるかもしれない。
余裕をもってリロードをする。
まだ弾倉には弾が入っているので、後で弾倉に入りきらなかった2発を入れればまだ使える。
新しい弾倉を拳銃に装てんする。
カチッと弾倉が填まる音がしたので問題はないだろう。
「この兵士の死体はなんというか………いびつな進化を遂げたって感じがするな………ヘルメットに合わせるように目玉も横長じゃなくて縦長になっているな」
病衣を着ている一つ目の化け物とは違う形状をしている。
兵士は軍用ヘルメットを着用したまま感染者となってさまよっていたらしいが、ヘルメットがきつきつになるまで目玉が大きくなっているのだ。
エクスは他の化け物は横長に顔もでかくなっているが、こいつはヘルメットに沿って矯正したような印象を受けることになる。
「まさかこいつら感染して発症したときに身に着けていた物に応じて進化するのかなぁ………だとしたらパワードスーツを着ていた奴とか凄い進化しそうだよな………想像しただけで怖いな………」
兵士の死体を見ていると、ズボンのポケットに警備室の鍵らしきものが挟まっていることに気が付いた。
もう死んでいるとはいえ、やはり怖いものだ。
ゆっくりとポケットから鍵を取り出すと、エクスは周囲を警戒しながら警備室前へとたどり着いた。