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157.ニールにて-6

「おぅ、待って居ったぞ」


「なんですこれ? 色が違いますけど、前は白に近い銀色だったじゃないですか」


「これはアレじゃ、ほら、新しい魔法金属を使ったのじゃ」


 デニス爺は僕らを完全に待ち構えていた。三軒隣でワーワーと騒いでいれば、その声も届くというものか。

 そして修理と点検を終えたデニス爺のお皿は、なぜか色が変わっていた。

 元々の色は白に近い銀色の本当にお皿と見紛うものだったのに、今度のは透き通るような青さを帯びた銀色になっていた。


「効果は覿面じゃよ。魔力の浸透率が遥かに高くなっておる。

 そうじゃの、魔力の通りが良くなっておるとでも言うべきか。

 実際に使ってみて、感覚として捉えるしかあるまい」


「霞、精霊魔法で試してみて。魔物の女王様は禁止だからな」


「お兄ちゃんがやってよ。私、ヤダ」


 ラヴリュス登場の一件以来、霞は魔物の女王様スキルや精霊魔法を用いることを嫌がるようになった。気持ちとしてはわからなくもないが、非常に面倒くさい。

 僕は魔法をまともに使えない。訓練は欠かしてはいないけれど、こんな店舗の中で行えるほど安定してはいないのだ。周囲に人の居ない所でなければ、危なくて使えたものではない。


「僕の場合はまた練兵場を借りるか、外でないと無理なんだよ。だから、霞にお願いするしかないんだ」


「むぅ、しょうがないな。貸しだからね」


 何が貸しだ! そんなものはラヴリュスの相手をしていることで帳消しだよ。

 と言いたいが言わない。今、霞にへそを曲げられると検証ができないからな。

 僕も大人になったものだ。


「ガイア、土塊を」


『うむ』


「これを使え」


 ガイアに頼んでドッヂボール大の土塊を用意してもらった。霞が得意な風の精霊魔法で切り裂くにはよい標的となるだろう。

 預け、改良された皿を左腕に装着した霞が唸る。


「ちょっと手伝ってね。うーん、それっ!」


――パシュッ


 とても軽い音を立てた後、土塊は7つに刻まれた。音は一つであったのに、7つに切り裂かれた。


「どうだ?」


「うん、よくわかんない」


「使いながら違いを確かめていくほかないじゃろ。今回はメンテナンスだけじゃから、お代は不要で構わんぞ」


「ほんと、お爺ちゃん?」


 僕は目を細める。

 怪しい、とても怪しい。デニス爺は絶対に何か企んでいる。

 あの守銭奴のデニス爺がタダで良いなどと、言うはずがない。


「何をしました?」


「いや、普通に直しただけじゃよ」


「今、目が泳ぎましたよね? 説明してください」


「……儂も少しだけ試しただけでの。正直、よくわからんのだ。

 じゃが、性能そのものは向上しておることは間違いない」


「だから、タダで良いと?」


「う、うむ。そうなのじゃ」


「良かったね、お兄ちゃん!」


 良くない、全く良くない。何がどう変わったのか、作った本人ですら理解してないとか、なんなの?


「欠陥があるなんてことは?」


「恐らくは、ない。じゃが、確信もない。

 この魔法金属はまだ使い慣れておらんでの。ただ、強度も増しておるから普通の盾としても使えるはずじゃ」


「あぁ、はい。わかりました、今回はこれで納得しましょう」


 実際問題、この魔法金属の性能が未知数すぎて理解が追い付いていないのだろう。

 一体、デュなんとかさんの魔法金属はどれだけのポテンシャルを秘めているのか?

 霞任せではなく、僕も色々と試してみる必要がありそうだ。


「何かあれば、また来ます」


「おお、そうだ。アレ見たぞ、ギネスの小僧の銅像。あれは凄いな、儂も驚いたわ」


「お兄ちゃんのアイデアでガイアちゃんが作ったんだよ」


「アレが領主にバレん内に発った方が良かろうよ。何がなくてもまた来い、元気でな」


「はい、じゃまた今度」


「またね~、お爺ちゃん」



「霞、魔物の女王様は禁止だけど。他は制限するつもりは無いから、色々試してごらん。僕もこの新しいお皿についてはちょっと難題だと思うんだ」


「うん」


「形は変わっていないんだよな。色だけ、か」


「ご主人様、今にも吸い込まれそうな空に似た青ですね」


「中々に興味深い金属であるぞ。我も少し気になる」


 ラヴリュスが気にする程のモノなのか? いや、こいつはただ単に何にでも興味を示すだけだよな。

 一度誰かを戻して、再召喚してみようかな? でも、街中でやるべきではないか……。


「お兄ちゃん、お昼ごはん食べてから、買い出しに行こうよ」


「あ、ああ、そうだな。もうそんな時間か。食堂、入れるかな?」


「露店の買い食いで良いよ。みんな一緒には入れそうにないもん」


「じゃあ、ほら集まれ。お小遣いを配るぞ。

 受け取ったら、好きな露店で食べ物を買うように。買ったら、ここに戻ってくるんだぞ、いいなー?」


 一つの店で買うとなると、全部買い占めることになりかねない。露店の店主としたら嬉しいかもしれないけど、他のお客さんには迷惑になるため、個々人で散らすことにした。


『ふふふ、肉なのじゃ』


「野菜だけというお店はどこか、ありますでしょうか?」


「モー、市場の方にならあるだろうから付き合うよ。一緒に行こうか」


「ありがとうございます、殿下」


 カッツベルはゴブリン14名を率いて行ったが、出来ればあれもバラバラにした方が良いのにな。霞は夜霧とオンディーヌを連れて行き、茜とマリンは適当に買い物をしている。ジルヴェストやガイアも放っておいて平気だろう。シュケーやペレもそのあとに続いていた。

 幼少組は人化できないのでここに置いていくとして、僕はモーとルーついでにラヴリュスを連れて野菜を求めに市場へと移動することにした。

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