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146.新たなる問題-2

「兄上、ゴブリンたちの代表です。挨拶をと」


「手際が良いなじゃないか、茜。それで?」


「この度、女王陛下の軍勢へと加わりますた、カッツベルと申しますだ。他の者たちはわすの嫁や子供、親戚だす。女王陛下の兄君であらせらせます殿下にもご挨拶をと思いましただす」


 妙に訛って聞こえるのはなんでなのだろう? ちゃんと仕事しようよ、言語理解さん!

 あと、モーもだけど僕の呼び名を『殿下』でしたんだね。


「霞の兄のあきらという、よろしくたのむ。今は呼び出してないから数が少ないけど、僕の精霊たちとも仲良くしてもらいたいな」


「もちろんだす。こちらこす、お頼み申し上げるだすだ」


 意外にしっかりとした面も持ち合わせていた霞のことだ、彼らの面倒は任せても平気だろう。というか、余りうるさく言うと僕が怒られかねないので、控えることにした。でも、茜については手遅れ、なんだよな……。


 ガイアたちを呼び戻すと散々に文句を垂れられたが、原因はルーなのだと責任を押し付けてやった。そう、僕は悪くない。失敗したのはルーなのだ。


「で早速、仕事を頼みたい。ガイア、こんな感じの大きな箱を作ってほしい。

 シュケーは箱に繋ぐ頑丈なロープをツタで編んでほしい。出来そうかな?」


「何に用いるのか分らぬが、吾輩としては問題はないぞ、主殿」


「シュケーも、たぶん~? 大丈夫だよ~」


 いや、シュケーに編んでもらうロープは命綱に近いのだけど、本当に大丈夫だろうか? まぁ、任せてみるとしよう。


「妾やちび共には何かないのかえ?」


「そうだなあ、僕たちの腹ごしらえにでも付き合ってもらおうかな? なあ、夜霧」


「色々と食べ損なっておったからの。丁度良いかの」


「父さん、私のこと忘れてない?」


 オンディーヌの生け簀やスノーマン内部に保存していた魚介はまだ新鮮だろうとおもうので、僕と夜霧は食事を再開する。ルーは失敗の責任を取らされ、罰としてお預けにされた。

 また、ペレに関しては頼めること事態が存在しなかった。別に忘れてはいないのだよ。



 食事を適度に切り上げると、ガイアとシュケーに頼んだ仕事も完了していた。


「旦那様よ、これは何かの?」


「そうだよ、お兄ちゃん。こんな大きな箱、どうするつもりなの?」


「霞、お前のために作ってもらったんだぞ! この箱はゴブリンたちの移動用のゴンドラだよ。夜霧が足で掴んで飛べるようにと考えたんだ」


 どうだ? と少し背を伸ばしぎみに伝えてみた。しかし、夜霧と霞の反応は良くない。


「旦那様よ、こう言っては何なんじゃがの。大丈夫かの? 特にこのツタの部分、儂には心配でたまらんがの」


「落っことしたりしないよね? お兄ちゃんのことだから、そこはちゃんと考えているんだよね?」


 全く以て信用がない。一応、ちゃんと考えてはいたのだが、作成を任せたのがシュケーなのが問題なのかもしれない。しかし、こういった仕事を任せられる存在は僕たちの中にシュケーしか居なかったのだ。


「ほら、シュケーは見た目と雰囲気はああだけど、実際にやることとを魔法の才能もガイア譲りで中々のものだよ? 思い出してごらん。ミュニレシアでの爆発の後、宿屋がどうなったかを」


「う、うむ、じゃがの。掴む部分もガイアに作ってもらってはどうかの? 小娘の縄は保険すれば良いのじゃ」


「私も夜霧ちゃんの意見に賛成。だって、ブランブラン揺れるよ絶対。それでプツンって切れちゃうの」


 具体的にそう言われると、確かにあり得る話だった。急遽、予定を変更して、ガイアには再度持ち手の部分をお願いすることにした。無論、すでに形になっているシュケーのロープはそのまま保険として活用するつもりだ。


「よし、ガイアのことは信用してるけど、一応チェックしておこうか」


「吾輩も何を作ったのか知らぬゆえ、確認していただけるのは助かるぞ。主殿」


 しまったな。何を作るのか、先に説明しておけば良かった。とはいえ、後の祭りだ。


「うーん、その部分に補強をいれてもらおうかな。こうバッテンになるように」


「お兄ちゃん、それなら横の部分にも同じように補強した方が良いんじゃない?」


「むむむ、それでは重量が増すであろう? 持ち手の部分もじゃ!」


「それでは何も変わらないのではないかと、吾輩は具申する」


 これでは収拾がつかないまま、箱が巨大化し、重量が増していくのみだ。

 どこかに、こういった物に造詣の深い存在はいないものだろうか?


「もう、仕方のない方たちですね。ご主人様も含めて、ですが」


「む、ルーには良い意見があるのかの?」


「そんなものはありません。私が持ち合わせているのは、ご主人様と同等の知識ですからね」


「では如何様にすると申すのか、ルー殿は」


 満を持して登場したかのようなルーは、まだほんのりとオレンジ色だ。僕の魔力色に染まった感が否めない。


「そう大したことではございません。試行錯誤を繰り返すのは実際に運用してからよろしいのではないですか?」


「う、うむ、確かにそうかの」


「うん、ルーちゃんの言う通りかも!」


「吾輩も頭が固くなっておったか。これは一本取られてしもうた」


「おい、お前ら! 調子の良いことばっかり、ずるいぞ」


 こうしてゴブリン運搬用のゴンドラは一応のこと、完成した。

 確認を放り出し、試験を一切していないままの運用となることに一抹の不安が残るが。それは言わぬが仏?

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