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142.同調-4

 暗闇の正体を暴く必要があるのかと問われれば、勿論ない。しかし気になるのだ。気にし始めてしまった以上、調べないと気が済まない。


「あっ、ここか。ルー、ここでストップ」

「……これは」


 なんということだろう? 海が途切れている……。

 途切れているというよりも、静止した水面をバッサリと切断しているかのよう。暗闇との際にあたる場所には一切海水が流れていないように見える。


「どういうことだ? 夜霧」

「儂に聞かれてもの。世界の果ては虚無で満たされておるとしか、言えんの」

「虚無?」


 いきなり虚無とか言われても……。とりあえずは放置だな。


「ルー、海と暗闇の際を維持しながら左右を確認したい。まずは、うーんと左側から確認していこう」

「左側ですね、調整します。ご主人様はゆっくりと体と首の移動を」


 何分視界が狭いのでゆっくりと左へと視線をズラしていくしかない。

 狭い視界の中、相も変わらず海面は綺麗に切断されているかのようだった。


「うおっ、凄いな」

「本当ですね」

「これはまた冗談みたいじゃの」


 西を望みながら左へと視線をズラした結果、西南から南西へと視線は移っているはず。その視界には直角に切り取られたかのような海面が映る。夜霧の言葉ではないが、まるで冗談のような代物だった。


「これ……アレだよな。残りの三方も同じ感じ?」

「おそらくは……」

「間違いなかろうの」

「確認するしかないよね? よし、このまま右方向へシフトしよう」


 南西で直角の海面を確認したのち、右ということで北西を目指してみる。


「ご主人様、申し訳ありません。このままでは届きそうにありません」

「随分と距離があるみたいだね? じゃあ少し前と同様に細く絞るか……、ああ、そうだ!

 片目でも良いよね? こうして、ウインクするの」

「それは良いアイデアです! 視界を狭くすることなく、倍の距離を稼げましょう」

「旦那様は器用なものじゃの。儂には出来んの。視界を借りておる以上、意味もないのじゃが」


 今は目からビームを発している状態なので夜霧の顔を確認することは出来ないけど、大方の想像はつくよ。夜霧、それはただの瞬きだろうっと指摘してやりたい!

 ができない。

 ルーに魔力制御を一任している以上、僕はこのまま両目を開いていても問題なさげだ。


「ああ、最初からこうしておけば良かったかも……。これなら、どういった方向を見ているか見当もつきやすい」

「私はご主人様の視線の先を制御している手前、今のご主人様自身の視界を確認できませんけどね」

「儂もルーに視界を借りておるから、旦那様の肉眼が見ているものは見えんの」


 左目から青白い蛍光灯のような光が伸びているのを右目で確認できている。しかし不思議なものだ。左目で見えている景色と右目で捉えている景色の違いが著しい。


「ご主人様、何か、結界のようなものに触れました」

「えっ、結界? なんで? どこらへん?」

「結界の位置は……この大陸から少し離れた海上に存在しています。透明度の高い結界ですので、少々の減衰がありますが見通すこと自体は可能でしょう」


 大陸ではなく、海上に結界? 何のためにだろう?


「視界が狭くなりますが、限界まで細く絞り距離を稼ぎますね。ご主人様はご注意を」

「あ、うん、わかった。やってくれ」


 結界が干渉したがために、目からビームが減衰したらしい。折角片目にして出力を上げたというのに……。

 左右の視界が映し出す景色は全くの別物なので、ちょいと集中を怠ると夜霧の背の上でバランスを崩しかねない。足を少し開きぎみにして、バランスをとることにしよう。


「結界とは妙じゃの。その結界がどのような結界か、儂が確認しておこうかの」

「ではヨギリとの視界共有は必要ありませんね。私はこちらに集中します」

「うむ、任せよ」


 結界の探知は夜霧がやってくれるらしい。まあ、結界も気になるけど、まずは北西の海と暗闇の状態を確認するのが先だろう。こちらはまた相変わらず、暗闇と海面の途切れ際は綺麗に切り裂かれているかのようだ。徐々に伸びていく左目の視界をじっくり確認すべく、右目の視界が邪魔になってきたので右目を閉じる。


「ご主人様」

「ああ、ぎりぎりだけど見えているよ。やはり同様だね」


 北西の角の海面は南西のものと同様に、直角に海面が切り取られていた。


 四季のない、季節の固定された世界。距離は定かではないけど、直線状にある二つの角は直角に切り取られた海面。そして世界の果てと虚無。その上、奇妙な位置にある結界と。


 しまったなあ。変に興味をそそられてしまったが故に、更なる不思議に直面してしまった。これ、納得がいくまで調べるのは骨だよな……。

 

 南西と北西の角を確認し終えた。次はその反対側、北東と南東への直線上を確認しようと試みた。しかしこちらもまた結界に阻まれてしまい、出力が足らずに見通すことは叶わなかった。

 

「これ以上出力を上げるのは私の制御能力を超えてしまいます」

「そっか、危険なんだね? じゃあ、止めとこう。それでルー、地面は透過できる?」

「どうでしょう? 試したことがなく、わかりません」

「……うーむ、じゃあ、空はどう?」

「はい、雲程度でしたら問題ないかと」


 空を仰ぐことで完全に体のバランスが崩れてしまいそうだ。夜霧から降りて、地に寝そべって空の彼方を仰ぎ見ることにしよう。

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