表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/186

14.お肉三段活用

「お兄ちゃん、お兄ちゃん!」

「どうした?霞」

「お兄ちゃん怒っちゃダメ!」

「だってなあ、ひどいだろう」

「大丈夫、霞が付いてるから…ね?」

「わかったよ」

 霞が付いているからって、何がどうなることもないのだが我慢しよう。こういう時だけよく出来た妹だな、霞は。

 今僕たちは、デニス爺の魔法具店に向かって歩いているところだ。もうすぐお昼時なので少し早足で移動している。


「お腹減ったね?」

「先にデニス爺の所だぞ、終わってからご飯にしような」

 通りの端に出ている露天に目が釘付けだぞ、妹よ。

「露店で買い食いでもするか?それとも、どこか食堂にでも入るか?」

「お爺ちゃんの所に行った後?」

 僕は大きく頷いた。

「お昼はお家で食べないと、メーシェさんに怒られちゃうよ?」

「でも、興味があるんだろう?さっきから露天ばかり見てるじゃないか」

 フッフッフ、兄はちゃんと妹を観察しているのだよ。

「…3人分買って帰ればいいんだよ」

「じゃあ後で、買って帰ろうね。何にするか決めとけよ」

「やったー!」

 お前の兄は妹に激甘なのだ。



「お爺ちゃ~んお待たせ~」

 デニス爺の店に着いた早々、霞は店内に突っ込んでいった。本当にお腹がペコペコなのかな?


「おっ遅かったのぅ、待っておる間に綺麗に磨いておいたのじゃ」

 本当にピカピカだ、飾り皿みたいになってるよ。

「これが代金の20ゴールドです、確認してください」

「………うむ、確かに。しかしお主ら金持ちじゃのぅ、ポンと払いおって」

「以前、予想外の仕事の報酬がありましてね。しかもまた増えそうなんです」

「あれじゃろ? ギネスの小倅の銅像じゃろ?」

「知ってたんですか、そうです」

「また増えるっちゅうことは、姉の方かの。忙しない姉弟じゃのぅあ奴ら」

「お察しの通りです」

「そこでじゃ!その盾を売り込んでくれんじゃろうか?それで儂もウハウハじゃ」

「これも使う予定ですし分りました、貸し一つとしましょう」

「ほう、侮れんやつじゃな。それじゃあ、くれぐれも宜しく頼むわい」

 お主も悪よのぅ、ホッホッホって顔してるよデニス爺。それに、僕たちには特にデメリットの無い話だしね。

 そうして購入した皿のような盾は、身に着けておくことにした。小さいけど持ち運ぶとなると、以外と邪魔なんだよね。

「また何かあれば、顔を出しますよ」

「用がなくとも顔ぐらい見せに来んかい、整備もするからのぅ」

 僕は笑顔で返すと、デニス爺も悪人のような笑顔で応える。そういえば、霞はどこへ行った?


「霞、カスミー、どこだー?」

「ここだよ、お兄ちゃん」

 何うぃしてるのかと思えば、手に持った万華鏡で必死に遊んでいたらしい。

「露天寄ってから帰るよ」

「あ!はーい、今行きます。それじゃあお爺ちゃん、またね~」

 店を出て、リグさん宅への帰り道にある露店に寄ることにした。


「何にするか決めたのか?」

「お肉、お肉、お肉!」

 お肉三段活用か? 腕を組み、う~んと唸りながら霞は選んでいるようだ。

「あれにしよう、分ければ3人分!お兄ちゃん行くよ」

 あれ?霞の指先を追っていくと、デカい塊の肉を炭火で丸まま焼いている屋台があった。大きすぎないか?

 張り切っている霞に腕を引かれていく。

「おじちゃん、3人分ください!」

「はいよー3人分な、75シルバーだ準備しときな」

 一人前25シルバーね、中々のお値段なのか?思案しながら、霞にお金を渡す。

「霞、75シルバー落とすなよ」

「今日は客が少ないからな、これはオマケだ。75シルバーきっちり貰ったぜ」

「ありがとー、おじちゃん」

 いや、うん、多過ぎないか?こんなに食べられないぞ普通。

 竹のような素材で編んだ籠のようなものに、お肉がデデン!と載っている3人前って言ったのに6枚も載っている。

「良かったね、お兄ちゃん。早く帰ろう!」

 良かったのか?食べ残すのは勿体ないだろう…残すなよな。

 霞はルンルン気分なのだろう足取りが軽い、僕は見ているだけで胃がもたれそうだ。

 まぁいい、冷めないうちに帰ろう。


 結局、お昼だけではお肉を食べ切れず、夕食にも登場するハメになってしまった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ