7羽:生存者と死者
少し焦げ臭い匂いがする。
「……泣いてるだけじゃ、ダメなんだ……」
そう自分に言い聞かせると、とにかくこの場から皆を離すことにした。
一番近くに横たわっていたユカをまず外に連れ出す。
バスから20メートルほど離れた場所に寝かせてあげると、また次の人を……
次は入り口付近で横たわる青海君。
あの中の衝撃で後ろかに座っていた青海クンは飛んできたようだ。
青海君も同じようにユカの横に寝かせてあげる。
そしてまた次の人を助けるために歩みを進める。
しかし1歩1歩踏みしめるたびに涙がどうしても溢れてくる。
皆の手が冷たいから……
みんなの体のあっちこっちから血が流れているから……
こんな悲惨な事故で皆を失いたくないから!
涙を袖でぬぐうと私はまたバスに向かって走り出す。
だけど遅かった。
大きな爆発音と共に、バスの破片が四方八方に散らばっていく。
私は爆風と一緒に吹き飛ばされた。
「そん……な……」
バスの中にはまだ先生が……皆がいた……
まだ生きていたかもしれない皆が……あの中にはいた。
でも、私の愚かさで、未熟さで……失ってしまった……
その場に座り込む。
また涙が流れていく。
「楽しい思い出を作るだけだったのに……神様……どうしてこんな酷いことをするんですか……?」
ボロボロになりながらも2人をバスの破片の上に乗せ、引きずりながらも町を目指して歩いた。
とにかく私に出来ることをしなくちゃいけない。
ユカだって、多分こうしてる。
とにかく早くこの2人を病院へ……
近くを通りかかった車に、大声で乗せてくださいと叫んだ。
でもこんな夜中だし、今の私にそんなにいつものような大きな声は出せない。
車はそのまま私を無視して通り過ぎた。
「待ってってね2人とも……私が……私が助けてあげるから」
再び車がやってきた。
「乗せてくださいぃぃいい!」
とにかく今出せる声を頑張って出した。
すると、今度の車は急停止をしてくれた。
「アハッ……止まってくれた……――――」
そのまま私は、その場に倒れこんでしまった。




