6羽:1人ぼっち
突然モリちゃんがはしゃぎだした。
「うっわぁあー! 吹雪いてる~」
さっきまでは全くそんなそぶりはなかったのに、いつの間にか嵐のように外は雪と風で入り乱れていた。
「やばいんじゃねぇの? 先生」
「う~ん、そうだな……だけど、引き返すわけには行かないし、進んでいいだろ?」
皆の返事はあやふやなものだった。
ヒョォォオォォオオ……
「寒い……」
体がガタガタと震えだし、口からは白い吐息が漏れる。
「大丈夫?」
ユカが優しく私をさすってくれる。
「もう少しの辛抱だから、これでも巻いて」
そういうとユカはバッグからマフラーを取り出した。
赤くて、まるで手編みのようなマフラー。
そのマフラーの隅にはF.Mの文字が縫ってあるのに気づいてしまった。
なんだか切ないものを胸の中でひしひしと感じた気がした。
「先生暖房入れてくれよ!」
「入れたいのは山々なんだが、なんか……壊れ……てるみたいだ」
その時だった。
ビョョォォオオオオオ!!
……ギィ……
一瞬、何が起こったのかわからなかった。
今ここで起こっていること全てがスローモーションのように感じる。
フワッと浮いたかと思うと、バスと数名の人が、私達とは関係無しに回りだす。
そして次に私達もバスの壁にぶちつけられ大きな痛みを味わう。
「キャァアアアァァアアア―――――――!!」
ッガン! ッガン! ッガン! ッガン!
二つの音が混じりあい、今までに聞いたことのないような不協和音を奏でる。
ガッシャッアーン!!!
最後に大きな音があたり一面に響いた。
***
頭が痛い……体中も痛い……一体何があったんだろう……?
横にうずくまるユカをゆすった。
「ねぇユカ……ねぇ……ねぇったら……聞いてよ。私の話、聞いてよ」
いくら呼んでも答えてはくれない。
皆にも聞こうとするが、その時、目に映るもの全てが最悪のことを知らしめていた。
バスの天井が下で、座席が上に。
世界が逆転していた。
突然シートベルトがはずれ、天井に頭をぶつけた。
そこでようやく皆がどうなっているのかわかった。
数名の生徒は私と同様シートベルトをしていたのか、宙吊り状態。
他の生徒は天井で血を流しながら倒れている。
「みんな……誰か……返事をして……」
その場に小さくうずくまり、どうしようもない感情を涙に変え、その場で一人泣きじゃくった。




