4羽:帰るまでが卒業旅行
空がオレンジ色に染まる頃、とうとうバスが出発してしまう。
「楽しかったなぁ……」
「これが最後の皆との思い出なんだよね……」
ユカは顔を車内に引っ込め、私に向かって言う。
「そんなことないよ、思い出を作りたくなったら、またみんなを集めて、今日よりもっともっと楽しい思い出を作らせてあげる!」
結局私はまだ告白できていない。
このバスの中で告白するつもり。
その前にユカのいろんな企画がある。
ユカなりの応援。
そのいくつかある企画の中で、私の告白のチャンスを自然に作ってくれると言うユカ。
こんなにいい友達、私にとっては初めてなんだ。
高校生活前半は俗に言うヒキコモリ。
そんな生活から救ってくれたのは今ここにいる皆。
本当に皆には感謝してる。
皆がいなかったら今の私はいない。
だから、ユカの作ってくれるチャンスは無駄には出来ない!
遂にユカの主催する企画の一つ目が始まった。
「みんな、もぉ終わりだと思って、しけた面してるわねぇ~」
「おいおい、俺たちはスキーのやりすぎで疲れてんだよ~何やらかす気だ?」
「卒業旅行はもぉ終わったんだよな~寂しいな…」
車内で男子の愚痴で溢れかえる。
ユカは一つため息をつくと、仁王立ちして言い放った。
「帰るまでが卒業旅行! それまで楽しくいようよ! 今度はいつ会えるかわかんないんだしさ」
「先生は賛成だぞ」
先生は眼鏡を光らせた。
「私も賛成」
「俺も~」
「しゃーね~な」
結局皆、口ではやりたくないようなことを言っても、本音ではやりたいと思っている。
この1分1秒を無駄にしたくはない、今もまさに皆との別れの時間が迫っているから。
「それじゃあ最初は…カラオケ大会!イヘェイ!!」
先生の方を見ると眼鏡から光が失われていた。
先生もやりたかったようだけど、運転中に手を離す行為はね……
一通り皆が歌い終わった。
「ユカってあんな歌を歌うんだね」
「ツユリだってあんなロックみたいな歌を歌うとは思わなかったよ?」
そして次の企画がユカの口から発せられた。
「それじゃあ次は、皆の夢でも言い合わない?」
異様な空気で車内は凍りついた。




