3羽:卒業旅行2
「うわぁぁあああぁあぁあぁ~ん!!」
「どしたどした? ツユリ」
ユカの温かい手は、私の頭を優しく撫でてくれる。
それはどんな言葉よりも、嬉しかった。
「青海君に変な所見られだぁ~!」
目からは涙、鼻からは鼻水、こんな所ユカ以外の誰にも見せられない。
「それぐらい気にしないの!それぐらいで嫌われるようだったら、あんたたち付き合えたとしても上手くいかないわよ?」
ユカがいうことにも一理ある。
その場はユカになだめられ、今日は眠ることにした。
***
上半身を軽く起こし、大きく背伸び。
窓の外を見ると空は晴れ渡り、積もっている雪は太陽光を反射させ、キラキラと光り輝いていた。
「……キレイ」
ふといろんなことを考えた。
私なんかが、青海君と付き合えるのだろうか。
この先どうなるのか。
いろんな不安が脳裏をよぎった。
「っひゃ!」
頬に何かが当たり後ろを振り返る。
「ハイ、朝の一杯でもどう?」
そこには私を見下ろし、両手に牛乳瓶を持ったユカが。
窓際にある椅子に私たち2人は腰掛けた。
「まだ悩んでるね、ツユリ」
「うん……なんか考えれば考えるほど……苦しくなる……」
ユカは一瞬間をおくと、勢いよく立ち上がり私に背を向けて牛乳を飲み干した。
「なら考えなきゃいいんだよ。人間ってのは考えて動くから大きな後悔をするの!
行動した者だけが成功を掴む。それで失敗しても、考えて動かなかった人よりは後悔が少ない!
ツユリなら……できるよ?」
ユカはすごい……
人の心を突き動かすことが出来る。
少しだけど、勇気がわいてきた。
「ありがとう……少しだけ勇気が出てきた……」
「少しだけなの? でも、うん。少しだけでも十分!その小さな勇気がツユリの人生を変えてくれるならね」
ユカはこちらに再び向き直る。
「ップ!」
思わず笑いがこみ上げてきた。
その笑い声がだんだんと大きくなって止められなくなる。
「っど、どうしたの?」
ユカがあせりながら私に問いただす。
「ユカの口の周りに……牛乳の痕が!!」
ユカは袖を使い、口をごしごしと拭いた。
「もぉ笑わないでよ! ほら早く、準備して!」
この時、親友の大切さを再確認できた。
親友がいるからこそ私がいて、私がいるからこそ今がある。
やらなきゃ……私が今、出来ることを。




