11羽:ワールドゲームマッチ
「さぁさぁさぁ! 白熱してきたバーチャルファイブ! 決勝戦はこの圧倒的パワーで勝ち進んだ、城山君か?
はたまた、どこから湧いて出た? 新星ユカさんか!? 戦いは今幕をあげた!!!!」
熱血した会場。
汗と力のこもった拳の熱き思い。
そんじゃそこらのものとは違う格闘ゲームの大会――”ワールドゲームマッチ”
今私はソコにいる。
この決勝の場に。
どうしても勝つんだ!
今までの努力は無駄にできない……
それに……いや、今は勝負に集中しよう。
対戦相手の城山は計画性のない男だが、パワーで全てをぶち壊す。
そんな城山は前ワールドゲームマッチの覇者。
ココで私が勝てば会場は今まで以上に盛り上がるだろう。
城山が扱うキャラ、ゲロンはファイトの合図と共に宙を舞い、とび膝蹴りを繰り出す。
私はタイミングよく手から気を放つ破道という技のコマンドを打ち、技の発動によって相手の攻撃を受け流した。
会場は緊迫した空気で包まれている。
次は私が仕掛ける番だ。
私が扱うキャラ、セレンの必殺技、千年呪縛を発動することにした。
コマンドを目にも止まらない速さで打ち込み、技の発動が華麗に決まる。
そうなるはずだった。
しかし、城山には手を読まれていたのか、技発動の前にしゃがみキックごときで邪魔されてしまった。
そしてセレンが起き上がろうとした瞬間に、相手のゲロンは必殺技を発動させた。
『HAHAHAHAHA!!!!!!!!』
ゲロンは笑い声を上げながらセレンを振り回し、宙に上げたかと思うと、ゲロンが更に高い場所からセレンに向かってダイブし、地面に叩きつけた。
ライフポイントは半分を過ぎていた。
状況的にヤバイ。
ヤバイがそのとき奇跡が起こった。
このゲームの特徴である一発逆転劇、起死回生という技が、0.0001の確立で発動できるのだが、その技を今まさにセレンが発動した。
ゲロンのライフゲージが私のライフゲージ以下に減る。
「まだやれる!」
私は勢いに乗り、再び千年呪縛を発動させた。
城山は起死回生に驚いて動けなかったのか、今度はいとも簡単に発動できた。
その最中、会場は先ほどまでの熱気が嘘の様に静寂に包まれている。
ゲーム画面ではセレンの姿が消えゲロン一人だけになると、あたりは暗くなり、幽霊のようなものが何十もゲロンの周りを飛び回る。
そして、ゲロンの周りの地面に溶け込んだ。
すると再びセレンの登場。
しかし、状況は変わらない。
唯一言えるのは私の勝ちが決まったということぐらい。
この技発動後、あいてキャラが一歩でも動くとライフ満タン時の半分も削られる技で、ゲロンは事実上の負け。
私の勝ちは、相手が動くか、私がゲロンのライフを全部削るか、時間が来るのかを待つだけ。
城山にとってはどれも屈辱だが、やはり一番屈辱の少ない自爆を選んだ。
「きっ……決まった!!!!! 今大会の優勝者は、ユカ選手だ!!!!!!!!」
会場は爆発しそうなぐらいに大きな歓声に包まれた。
「負けたよ、よくも皆が使わないキャラ……使いにくいキャラでこの大会に挑む気になったね」
そう、セレンは使いにくいキャラで有名なキャラ。
技発動後は強いが、それ以前はほとんど使い物にならない、技発動にもコマンドは多く、マニアでもあまり使わないのだ。
コレで終わった。
また一つ、終わったのだ。




