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あなたの本心は隠しても無駄です  作者: 弓原もい
7.最後の任務を成功させろ!
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エピローグ

 キューレ王子とモクロ皇帝の秘密裏の会談の翌日。キューレ王子は確たる証拠と共にキックス皇帝が貴族と共に行っていた悪事を公表した。


 隣にモクロ皇帝を置きながら皇帝の地位剥奪と自身が皇帝の座につく宣言をした。ゆくゆくはダイス帝国との国境を解放する意志も添えて。


 アイレーン王子は自らの企てを公にすることはなかった。恐らく、モクロ皇帝の裏切りを見て、何も口を出せなかったのだと思う。


 そのことから考えても、アイレーン王子はダイス帝国を上手く使ってキューレ王子を出し抜くつもりだったのかもしれない。ダイス帝国のスパイはキューレ王子が呼び込んだもので、それは到底許されることではない、と公表するとか。


 キューレ王子への国民からの支持は、それを告発したところで覆らないとみたのだろう。裏で繋がっていた理由がダイス帝国との友好に関わっていたとなれば、責める人は減るだろうから。


 その後、キューレ王子から処分を下される前に、アイレーン王子は王位継承権を放棄し、王宮を出た。共にビブリオを始めとするアイレーン班の幹部も守護兵団を去った。キューレ王子はその意志を尊重し、罰を与えることはせずにそれを見送った。


 ダイス帝国との国境解放については大多数の貴族は顔面蒼白だったが、早馬で伝わった地方の民にはその宣言は概ね受け入れられたようだった。貴族もキューレ王子が味方につけておいた貴族が賛成を示したので、大きくは荒れずに済んだ。キューレ王子、改めキューレ皇帝が下した選択がどう転がっていくのかは、これからが本番。


 私達、特務部隊は任務を無事に終え、解散となった。影で動いていた私達がすぐに皇帝キューレ班に入ることは不自然であったことと、ビブリオの息子であるキースをすぐにキューレ班に入れるわけにもいかなかったので、キューレ班に入ったのはフレイ隊長のみとなった。私達は皇帝から直々に報奨金をいただき、いずれキューレ班に、と言っていただいた。


 それまでの間、キース、ブルーム、レイリーズは元いた第二守護兵団の戦時対策部へ、私、イオル、ルシェ、ベルロイはまとめて第三守護兵団の一班でお世話になることになった。一班の隊長には副隊長から昇格したルシェの父、ルイフィス様が就いたので、ルシェは心なしか嬉しそうだ。


 私達はこれから、選んだ選択を正しいものにするために、兵士として尽力していく。皇帝が変わって荒れる国内と、ダイス帝国との国境を解放するまでの準備など、やることは山積みだ。


 主のいなくなってしまったオルナーガだが、キースはその姓を捨てることはなかった。「名家でなくなったオルナーガを俺は背負っていく」と、清々しく笑ったので、私はそれを元仲間として、そして恋人として支えていけたらと思う。


 皇帝が変わり式典行事の警備などでしばらく慌ただしい日々を過ごし、ようやく日常が戻ってきた頃に異動となった3人が寮を引っ越すことになった。私達は揃って手伝いをして、いよいよ見送る時。


「短い間だったのに、なんだかとても寂しいです」


 レイリーズが綺麗な青い瞳をうるうると潤ませ始めた。


「ちょっと、やめてよレイ。同じ王都でそんなに離れてないのに、泣かないでよ」


 いつの間にか愛称で呼ぶようになったイオルがレイリーズをたしなめるが、その瞳も少し潤んでいる。


「一緒にごはんいぎまじょうねえぇ」


「わかった、わかった」


 2人を見ていると微笑ましくてつい笑ってしまう。それはベルロイとルシェも同じようで、くすくす笑っている。


「ちょっとそこ、笑ってんじゃないわよ」


「ふふ、ごめんごめん」


「イオルもレイと一緒に戦時対策部が良かった。またルイフィス様にこき使われそうだし、ベルロイとルシェまでいるし」


「俺も残念ですよ、イオルさんと離れられなくて」


「何よ!? ルシェのくせにー!!」


「ちょ、ちょっと! 暴力はやめてください!」


 ルシェとイオルがやかましく言い合いを始める。この一班に残された私は大変そうだ。


「リコルちゃんも戦時対策部が良かったんじゃない? キースと離れるとなると、寂しいでしょ?」


 からかってくるブルームを軽く睨む。でも、キースと離れるのは、確かに少し寂しい、かな。


「キースは私と離れて寂しい?」


 首を傾げて聞いてみる。


「何言ってんだよ。地方が離れるわけでもあるまいし」


 キースはうんざりした様子で手を振る。


「ふーん」


「……なんだよ?」


 キースは困ったように頬を掻く。


「じゃあ、リコルは俺と離れて寂しいか?」


 お返し、と言わんばかりに片眉を上げて私に尋ねる。


「別にー」


「ふーん」


 私の反応が気に食わなかったらしい。キースは少し不満そう。私はそんなキースを観察して……


「隙ありっ!」


 手袋を外した右手でキースの腕を掴んだ。


「!?」


 掴んだ手からは確かな寂しさが読み取れた。


「キースってばいい加減素直になればいいのにー」


「お前……」


 キースは私から手を離して、ぬぬぬ、と顔を赤くする。そんなキースに私はこう言い放つのだ。



「あなたの本心は隠しても無駄です!」




これにて本編完結です!

ここまでお付き合い頂き、本当にありがとうございました。

今後は後日談や番外編などを不定期に更新してまいります。

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