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続! 2

 廻神(めぐりがみ)の家は元は総理大臣を生んだ家系だった。現在は財閥と呼ばれるような会社を一族で運営している。ホテルの経営だったり、子供用玩具やゲームの開発だったり、アプリ開発だったりとやってることは豊富だ。

 奥方様の祖父が元総理大臣ってこともあって政界にも強い。

 そんな家の次期当主になる流架。そんな流架の婚約者が7歳も歳上って外聞が悪いよね。ていうか、今はまだ婚約者として収まってるけど、流架が年頃になったら婚約は破棄されると私は見てる。


 流架の家は政略結婚が普通だ。流架の今の両親だって政略結婚。

 政界への勢力を強めたかった当時の廻神の元当主が自分の孫と、元総理大臣で由緒ある家系の当主の孫娘を政略的に婚約させ、結婚させたのは有名な話だ。

 主に政略結婚でもお二人の仲睦まじさは羨ましいという方面で。


 だから、たぶんそのうち婚約破棄されるのが妥当かなって。

 今は流架もまだ8歳だし、婚約(仮)にさせといて、流架が年頃になったら政略的な婚約相手をさがすんじゃないかなと思ってる。

 つまり虫除けで流架のお世話係りな婚約者っていうところが今の私の現状だと思う。

 ご当主様にも「あまり婚約のことは他言しないように」と言われてる。

 本家と分家だと政略的な意味が全くないからね。当たり前だ。

 前世でも今世でも政略的な婚約に悩まされる私ってやっぱりのろわれ……いやいやいや。違う。違うぞ。


 そういえば婚約してから、流架は少しだけ変わった。

 二人きりのとき、流架は私のことを「まりん様」と呼んでいたのに、最近は呼び捨てだ。人がいるところでは相変わらず「まりんお姉ちゃん」だけど。

 流架がルカを引きずらないようになってきてるのはいい変化だと思う。

 歳上に呼び捨てはどうとかは置いといて。

 ちょっと複雑だけどね。いいんだ。


 なんて考えてると、目の前でパチンッと手が叩かれた。


「まりん、聞いてるの?」

「うん……(心折れそうだから違うこと考えてるけど一応)聞いてる……」


 かれこれ一時間の正座耐久中です。


 帰りの車の中で無言で怒ってたからビクビクしてたんだけど、家に帰ってきてからの流架は普段通りだったから安心してた。

 ご飯を食べて、流架と一緒にお風呂に入って、その間も普通。私の胸を触ってきたときは手のひらをパチンッと叩いておいた。

 服の上からもだけど直接触るのはもっとダメに決まってる。そろそろ一緒にお風呂も考えたほうがいいのかなぁ、と思い始めてる。

 小学生とはいえ、一応ルカの記憶持ってるんだし……でも、確か私が死んだとき、ルカは11歳過ぎた頃だったから精神的にまだ育ってないのかも?


 お風呂を上がって、さてテレビタイムだーと思ったら、にっこり悪魔笑顔をした流架がいた。

 私は今日楽しみにして火曜サスペンスが見れないことを悟った。


「ねぇ、なんであの男と話してたの」


 今日は私の好きな俳優さんが出る日なのに!

 この世界に生まれ変わってから、私はテレビの虜です。特にミステリー、サスペンス系が好きです。恋愛系は前世でお腹いっぱい。


「……やっぱり、きいてない」

「き、きいてる! 私、聞いてるよ!」

「じゃあ、答えて。なんであの男と一緒にいたの?」


 ループだ。流架は相当元王子のことが気に入らないのか、さっきからそればっかり。

 私よりも元王子のこと嫌いだよね? 私が元王子を恨んでも、流架が恨む理由はないんじゃ……と、思ったけど、ルカがそれだけマリアーナを慕ってたと思うとホロリとくる。今は複雑だけど。


「何回も言ったと思うけど、帰ろうとしたところにあっちが来たんだよ」

「クラス違うのに。断ればいいのに」

「人前でフルネーム呼ばれて、おどおどしながら呼び出しされたらさすがに断れない……」


 そうなのだ。元王子とは別クラス。そのときは喜んだんだけど、同じクラスに見覚えのある男爵令嬢と騎士がいることに気付いて悲しくなった。

 元男爵令嬢は全然私に興味ないみたいなんだけどね。それよりも元騎士がチラッチラ私を見ることがこわい。今まで関わってなかったのに今さら関わるとかやめて。


 流架にそう言うと、まだまだ流架は不満そう。

 うう、そろそろ足が限界です……。


「だって、あいつはマリアーナ様のこと殺したんだよ! なにもしてないのに。無実のマリアーナ様を! それなのに、またマリアーナ様に関わるの? どうしてまりんはなんにも言わないの?」

「流架……」


 流架は泣きそうな顔で私の膝の上に手を置く。そこ、すごく痺れるんだけど、我慢すべきなんだよね。

 流架、それ以上体重かけないでね?


 前から思ってたんだけど、流架は少し前世にとらわれすぎてる気がする。さっき前世を引きずらないようになってる、とか言ったけどね。ちょっとずつは変わってるんだけど、大部分はルカの記憶を引きずってる。しょうがないことなんだろうけど、もういいのに。


 私にとって、元王子はどうでもいい。元男爵令嬢も元騎士もどうでもいい。ケッとは思うけど、まあ今世で関わらないでおくれレベル。私にとって彼らは虫と同じ。

 ほら、虫っていたらウワァ……ってなるけど、存在してるのはしょうがないって諦めの境地でしょ? それと同じ。嫌いじゃないけどウワァってなる感じ。


「まりんは、もうぼくのだもん。あんなのにもう、渡さない」


 流架は私と同じ気持ちにはなってくれないらしい。

 前世でもルカは子供らしくなかったし、今世ではもっと子供らしくなってほしいんだけどなぁ。

 いま、小学生の間で妖犬ウォッチって有名らしいよ。流架は興味ないの? ボケモンでもいいんだよ。ボッチ系モンスター。略してボケモン。カードゲームとか、なにか子供らしい趣味を持ってほしいんだけどなぁ。


「ねぇ、流架。本当にもういいんだよ? あの人もほら、きっと罪悪感っていうものがあるんだよ」

「まりんはよくてもぼくはやだ。罪悪感なんて一生持ってればいいよ」

「そうきたか」


 元王子に超絶厳しい流架はそう言って私の胸に顔を埋める。

 ああ、足ががががががが。

 崩しても地獄が待ってそう。


「マリアーナ様は、まりんはもうぼくのなの。ぼくの婚約者だもん」

「そっかぁ……」


 流架の頭をよしよしと撫でる。すると流架は私の腰に腕を回してまたさらにぎゅーっと胸に顔を埋める。

 私の胸が好きだよね、流架。まあいいけど。クソガキとは思うけど、いまは許す。


「というか、流架は私があの元王子とどうこうなると思ってるの?」

「え?」

「一応私が死んだ原因なんだよ? さすがにどうこうはならないよ」


 それに前も言ったけど、元王子に恋愛感情持ったことないからね? ……いや、それは嘘かも。ルカが来るまでは淡い恋心持ってた気がする。

 あれ? つまり初恋の相手?

 ……心の中に秘めておこう。


「だって、怖いんだもん」

「流架」

「もう失いたくないの」


 マリアーナがそんなに流架のトラウマになってるとは思わなかった。本当、マリアーナが死んだあと、ルカはどうしたんだろう。


 私の腰にしがみつく流架の背中をトントンと摩りながら、天井を見上げてそんなことを考えた。





「そういえば、なんで流架は私が校舎裏にいるってわかったの?」

「いまの世界は魔法がなくても役にたつものってたくさんあるよね」

「……流架? ちょっと、あれ、なんでわかったの?」


 目をそらす流架に悶々と考え込んでしまった私は悪くない。

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