表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
47/48

足掻き

さて、もうそろそろ終わりに近付きつつあります

そして、新しい方にも取り掛かり始めました

エドの一番いい宿。

宿の宴会場(えんかいじょう)に集められたのは、姫巫女と護衛の武士、そしてシノとその仲間達、王顕とその仲間達だ。


「ニャハハハ、それにしても死ぬ事を体験するなんて初めてニャ~」

「すみません我らの姫はいつもこんな感じで…ホントすみません」


エゾの姫巫女【蘇我(そが) 夷瑠花(いるか)】。

青い髪に雪だるまの形をした(かんざし)を挿して、幼い印象の女性。

青と白の着物には雪の結晶の模様があしらわれている。

護衛は【後藤(ごとう) (じん)】。

青い鎧に身を包む優男、自分の背丈の倍ある槍を背負う。


「まさかあのタイミングで、全員死ぬとは思ってもおらんかったよな」

「護衛でありながら守れんですまん」

「あれは(ふせ)ぎようが無かったがな」


キョウトの姫巫女【(せり) もか】。

赤い髪をボサボサにして、化粧の濃くしている。

赤いダンダラ模様を使った着物を着て、鉄扇で扇いでいる。

護衛は【近藤(こんどう) 正輝(まさき)】と【土方(ひじかた) 鬼道(きどう)】。

2人は同じ軍服と軍帽を着込み、腰には軍刀を両側に日本ずつ差している。


「でも、シノ様と王顕様のおかげでこうして無事?に生きてられますし」

「夕日、こいつを様付けで呼ばなくていいぞ」

「そう言うな朝日、助けてもらったのには変わりないんじゃ」

「うむ」


そしてツクシの面々。


「助けてもらって何を言ってるんだか…、王顕様、うちの都に来たときはぜひ声を掛けてください、歓迎いたします」


この中でただ1人護衛を付けずにエドに来たのは、ヤマトの姫巫女【烏帽子(えぼし) 鈴鹿(すずか)】。

黄色と毛先に近付くほど白くなった髪を持ち、どこか小悪魔っぽい雰囲気の女性。

十二単を着込み、この中で1番(きら)びやかだ。

そして今、エドには姫巫女が不在らしい。


「王顕さん」

「な、何?」

「本当に王顕さんなんですね!」

「あ、う、うん」

「っ~~~」

「ぬお」


シノは王顕に会えたことで舞い上がり、抱きついている。

彼女の素性は既に聞いていて驚いたが、同じ日本人で同じ様な人生に進み、同じように異世界に転生したせいで親近感を得ていた。

王顕の仲間達は、不満そうな顔で出された料理を食べていた。


「何よあの女、ご主人様に抱きついちゃってっ」

「主様のご友人なのです、しょうがないでしょう」

「それでも~」

「―もぐもぐ、要らないなら貰う」

「あああぁ~~~、ボクのお肉!!」

「まったく騒がしいな、ガハハ」

「イジェお酒は程ほどに」

「こう言う時くらい良いじゃないか~~」

「あうあう」


叉夜は嫉妬しシノを睨み、ルカは割りきって叉夜が先走らないよう牽制(けんせい)

ミクトルンは、運ばれてくる料理を黙々と食べ、叉夜の分にも手をつける。

イジェメドは料理にはほとんど手を出さず、酒を飲み続け、飲みすぎの心配をするのがエリザノーラだ。

唄音はまだ仲間たちになれてなく、オロオロしていた。

王顕の仲間たちは、いつも通りすぎてホッとする。


「あれがシノが探してた奴か、嫌な感じがするな」

(あ、あれが王顕様、お礼を言わないと…でも今は邪魔よね…)

「王顕、あれが…」

「ふあ~シノ様のあんな姿初めて見るですぅ~」


日鋼王は、肌にピリッつくものを王顕から感じ警戒する。

シスターメレンダは、故郷の村の無念を晴らしてくれたお礼を言いたいが、シノに遠慮してチラチラと遠目で見るだけだ。

ゾギンは、難しい顔で話に聞き及んでいた王顕を観察する。

エイリスは、目を輝かせキャッキャッとはしゃぐ。

シノの仲間たちは、1人を除いて静かだった。


「そう言えば、エドには姫巫女って居ないんだな」


王顕のふとした疑問に、少し困った顔をする姫巫女たち、彼の疑問に答えたのは夕日だ。


「実は今、エドに姫巫女は居ないのです」

「え、何で」

「3年前まではエドの姫巫女である刑部姫(ぎょうぶひめ)が居られたのですが、彼女はある日を境に別人の様に変わり、他の国々に攻撃を加え始めたのです」

「いやーあの時はびっくりしたニャ〜」

「それでその刑部姫は?」

「エド以外の国で手を組んであいつを捕らえたんだ、まぁ獄中の間に自決して死んじまったがな」

「それからは、新しい姫巫女が見付かっとらんのです」

「ふ~ん」


姫巫女がそれぞれ説明してくれる。

そこで更なる疑問が増える。


「じゃあこの場所は誰が結界を張ってるんだ?」

「今は姫巫女会談のあるこの日に、皆で少しずつ力を分けて結界を造っています」

「そうなのか、姫巫女になれる条件って何なんだ?」

「都に結界を張り続けるだけの魔力と精神力でしょうか」

「まぁ曼荼羅結界を使えることが最低条件かニャ」

曼荼羅(まんだら)結界…」

「ふ~ん曼荼羅…」


【ワールド・インフィニティ】にそんな技やアイテム、スキルは存在しなかった。

後からこの世界に来たシノにも聞いてみたが、やはり知らないようだった。

宴会も終わり、各自用意された部屋に分かれる。

酒が入ってる奴はすぐに寝落ちし、そうでない奴は未だに宴会場に集まって2度目の宴会を始めている。

王顕はシノと2人でエドの街中に出ている。


「シノちゃん、いやシノさん?」

「シノで良いですよ」

「ああ、じゃあシノさん大事な話があるんだ」

「へっ、な、ななな何でしょう」

「神ってどう思う」

「…」


大事な話と聞いてドキッとしていたシノだが、期待してたものと全く違う話題に沈黙する。

しかし、4体目の話を聞き深刻な事に巻き込まれ、3日後には王顕が消えるかも知れないと聞き、慌て出す。


「そんな、せっかく会えたのに、どうしてこんな…」

「それで俺が居なくなったら、俺の連れてきた奴らをお願いしたいんだ」

「…戻ってこれないんですか」

「奴らにその気は無いだろうな」

「じゃあ私も、戦いに連れていって下さい」

「…すまん」

「え…」


シノが王顕に特別な思いがあることは、何となく分かっていた。

そしてその結果、彼女が付いてくると言い出しかね無いことも予想していた。

なので、自分勝手だが伝えたいことを話した後、相手を眠り状態にするアイテムを使い彼女を眠らせた。


さらに艶魅にこのアイテムを持たせ、エドにいる人達を強制的に眠らせた。


「強くなりすぎた力は身を滅ぼす…、俺は少しは足掻いてみるか」


王顕は宿に戻ると、仲間たちはに眷属への回収を使う。

仲間たちはみるみるレベルが下がり、平均してレベル5000くらいにした。

減らした分のレベルは、王顕のものになっている。


「それじゃあな」


彼はその日、ヒノモトから姿を消した。

目を覚ました王顕の仲間、シノ達、姫巫女とその護衛は彼が消えたことに気付き探し回ったが、彼が残したものは一部の装備と、アイテムだけで他は何も残されて居なかった。



王顕が向う先はリッドテム大陸。

彼は勇者の最後に訪れた大陸へと向っている。


「選ばれた3人の内1人はどう考えても勇者だろ…」


彼の目的は3日間の間に、選ばれた残り2人を見つけ出し、この戦いを中止させる事だ。

そして予想通り勇者がその1人である。

索敵を使いながら、飛翔のマントで空を飛び探す。

見付けるのに、そう時間は掛からなかった。

エドを出て3時間で浮遊都市エディパラに辿り着いた。


「そっちから来るなんてね、かなりせっかちなのかな」

「あんたが勇者か?」

「ま、そう呼ばれてるかな、名前はティカよ」


王顕が思っていたより、細く華奢な体格で彼は少し驚いた。

ティカは、以外にもフレンドリーに話しかけて来る。


「あなた王顕って名前?」

「あ、ああ、そうだが」

(ステータスを見られたか?)

「そうなの、から聞いたけどまさか本当にあなただったなんてね」

「シャーラとベアに連絡入れたら、あなたの名前が出て来たの、きっとその4体目の候補の1人は王顕だってね」

「なるほど、あいつらはお前の仲間だったけ」


名前を呼ばれて勘ぐるも、別の方から名前割れしていた。

王顕は他者の把握を使う。

しかし、ステータス表示が出ない。


(表示されない?、名前や種族、役職は偽りのものでも必ず出るはずだが)

「それで王顕さんは何の用でここまで来たのかしら、まさかもう戦いたいとか?」

「いや、その逆だ、争わないで済む方法を一緒に考えないか?」

「…ぷっ、あっはははは、そんなの無理よ」

「何故だっ」


ティカは、王顕の提案を笑い飛ばし、却下する。

フレンドリーに話してはいるが、彼女にとって彼は既に敵なのだ。

だが、納得できない王顕は理由を求める。

ひとしきり腹を抱えて笑った彼女は、これでもかと言うほどの魔力を放つ。

建物はひび割れ、浮遊都市自体が揺れる。


「何故って、数100年この時を待ったのよ、本物の神になれるこの時を…、たぶんもう1人も私より深くそう思ってるはずよ」

「ぐぅ」

「去りなさい、あの2人の知り合いらしいし、それに免じて攻撃しないわ」


話は終わりとばかりに神殿の中へと消えていく。

追いかけても無駄だと、どこか分かっていた王顕その場をは動けなかった。


「クソッ!」


そしてもう1人の候補を探しに飛び立つ、ティカはああ言ったが本当にこの戦いを望んでいるかは、分からないからだ。

しかし、その時は急に訪れた。

視界が歪み、自分がどこに居るのかも分からなくなる。


(な、何だこれ…)


そのまま気を失った。

勇者と魔王は相容れません

次回は、最終回となります

かなりうやむやな点もあったので、時間ができた時にリメイクで書き直せたらな~っと思うのですが難しいですね

明日、投稿します

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ