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エゾとシノの仲間達

最近、温泉にゆっくり浸かりたい

今までで食った肉で、1番美味かったのは鹿肉だったな…

12月…誕生日…これで24…

ヒノモトの北、極寒の(みやこ)エゾ。

1年を通して、雪や氷の残る雪山だらけの地域。

その中で唯一雪の積もらない場所がここエゾだ。

そして、その都の宿の1つに、彼女が居て今は広い露天風呂に朝風呂に来ている。


「ン〜♪、やっぱり温泉は落ち着くわね〜」

「こんな事を言うのもなんですが、天使様って人間の様ですね、仕草とか、感情の動きとか」

「そ〜お〜、別に気にしてなかったんだけど、あっ、それと何度も言ってるけど天使様じゃなくて、サンって呼んでよ」

「す、すいません、ですが私は貴女様の名前を呼ばせていただくなど…」


シノと話しているこの女性はシスター・メレンダ。

アックウーノ大陸のある村で知り合った女性で、金髪爆乳のシスターだ。



メレンダの村は彼女が修行に出ている間に、魔王によって全員皆殺しにあっていた為、彼女は小さな教会に1人で暮らしていた。

シノと日鋼王(びこうおう)がたまたま立ち寄り、その話を聞いていた。


「貴女はその魔王に復讐したくは無いの」

「そうですね、シスターである私でも憎く思い、確かに魔王は許せなかったですし、何よりその場に居なかった私自信に不甲斐なさを感じております、ですが私がこの村に帰ってくる前に魔王は倒されていました」

「え、もう魔王倒されてるの…」

「はい、ですから今はその方たちに感謝の言葉を伝える為に、この村で待っているのです」

「魔王を倒すには勇者並の人間か、その仲間たち英雄もしくは神や俺の様に伝説級の存在くらいだろ、いや、そこの女もそうか…、まぁ1つ言えることは上級神かこの女以外なら、複数人じゃなきゃ倒せないってことだ」


日鋼王は、豆のスープをチマチマと食べなが話に加わる。

シノは、自分が異形の存在と言われたようなものなので口を尖らせる。

メレンダは冗談と受け取り、クスクスと笑う。


「大きな都で魔王が倒された話を聞いたときは、どんな方々が倒してくれたのか聞いて回りました、ですが誰もが違う内容で、身長2メートルの大男、魔法を熟知した老人、天を覆うドラゴン、腕利きの傭兵団、そして行方不明になっていた白銀の乙女こと勇者様…、どれが真実なのかは分かりませんが、私は必ず感謝の気持ちを伝えたいと思っています」

「え、今なんて?、勇者が乙女って…、勇者って女だったの」

「何を驚いてんだ、常識だろ」

「え、えぇ」

「そ、そうですね、勇者様は16、7の女性だったと言われています」

「…」

(そんなの聞いてないよ~)


この世界にやって来て一番の驚きだった。

勇者の元仲間だった2人と面識はあったものの、勇者についての話は一言もしていなかった。

シノは頭を抱え、ため息を1つ。


「それでシスター・メレンダは、どれが本命だと思うの?」

「あ、わ、私ですか…」

「そう、貴女の考えを聞きたいな」


シノは自分の無知をごまかしたいのか、メレンダに話をふる。

メレンダは急な話に答えが見つからず、少しオロオロしたのちに頬に片手を当て考えると、そう言えばとある人物の話をする。


「引っ掛かる話なら1つ、私が話を聞いた都市では格闘大会のようなものがありまして、今年度の優勝者が倒したって話です」

「格闘家って事、それは意外ね」

「いえ、冒険者だったと、確か名前はイヴィルさんだったはず」

「え、えぇ」

「ひゃあ」


突然大声を出したシノに、驚きコップを落とすユランダ。

シノは謝りながらコップを広い上げる。


「イヴィル…、シスター・メレンダ、もしかしたら今私が探している人が貴女の待っている人かも知れないわ」


この出会いがきっかけで、仲間になり一緒に旅をする事になった。

彼女はシノの眷属への分配により、【ワールド・インフィニティ】における攻撃魔法を全て覚えた。

さらにその後、キフォーカ大陸に行く前の港町でシノたちを見失っていたエイリスと鉢合(はちあ)わせし、事情を聞いて彼女も一緒に連れていく事になった。



「あはははですぅ」

「エイリスちゃん、温泉で泳いだらダメですよ」

「はいですぅ」

「親子みたいね〜」


大きなお風呂に興奮したエイリスは、湯船に飛び込むなり泳いでいたので、メレンダが彼女を掴まえて注意する。

シノはそっとメレンダの背後に近付き、後ろから胸を鷲掴みした。

もみもみもみもみ


「ひゃあああああ、な、何をしてるんでしか天使様///」

「この大きさで形この弾力、そしてこの形…、反則すぎる」

「あ、んん、そんなに、うぅ、強くされたら…///」

「女として、すっっっごく負けた気がするんだけど…」

「ヒュッ、まっ、まってくだ、あ、ああああアアアアアアァァ///」


メレンダの絶叫で動かしていた指を止める。

しゃがみ荒い呼吸で肩を上下させ、顔を真っ赤にしている。

シノはあーっと気まずい表情を浮かべ、サッと手を放すと後から彼女の様子を(うかが)う。

プルプルと体を震わせながら目に涙を溜め、両手で胸を庇いながら突然立ち上がる。


「えっと…シスター・メレンダ…」

「て、天使様の馬鹿ああああああああああああ」

「あーー…、やりすぎちゃったか…」


メレンダは全力で駆け出し、脱衣場に駆け込んでいった。

シノは手を差し伸べるも、止める事ができずその場であちゃーっと頭を抱えた。

エイリスはどういう状況下分からず目を点にしていた。



男風呂。

そこには日鋼王ともう1人の新しい仲間が湯船に()かっていた。

【ゾギン・バララーク】

普通の人で白髪の少し混じった黒髪のオールバックに、背も低く150cmで少し細い体つきのおじさん。


「ふーーーー、ヒノモトの風呂はいいな」

「男と一緒に入って、何がいいんだが…」

「ほら、裸の付き合いってあるだろ、なぁ」

「何が裸の付き合いだ、女とした方が今の状況より絶対いいからな」

「ハッハッハ、ちがいない」


ゾギンのテンションに付いていけない日鋼王は、肩を組んできた彼の腕を離れて、岩場の方へと移動した。



ゾギンはキフォーカ大陸の港町で出会った。

西洋甲冑を身に付け、広場でイヴィルを探していた、彼もまた王顕に救われた人物らしい、彼の得た情報によると王顕は仲間を連れて、ヒノモトに向かった事が分かり、キフォーカ大陸には1日のみ滞在し、ヒノモトに日鋼王の金色の雲(きんとうん)で全員で訪れたのだ。



温泉を満喫した面々は、部屋に集まっていた。

部屋は男女2部屋用意してもらっているが、今から今後の話をするため1つの部屋に5人が揃っていた。

とりあえずシノはメレンダに謝ったが、今も胸を庇うように片手を胸の前に()えている。

日鋼王は寝そべり、ゾギンは入り口の壁に背を預け立っている。


「んっんん、さて、ヒノモトに入りましたけど、王顕さんの話はエゾでは何の情報も入って来ません、なので明日にはここを発とうと思います」

「別に良いんじゃね、長居する理由もねーしな」

「……天使様の提案なら…」

「うむ」

「zzz」


シノの提案に皆が(うなず)く(1名熟睡)、明日からは南に下りていき、目指すのはヒノモトで1番大きな都【ヤマト】。

話がまとまり、各自自由行動をとっていいようにした。

シノは町の市場へと足を運んでいた。

エゾは日本古くの町並み、そして温泉があちこちで見られる。

だが、日本の建物に不釣合いなものが、違和感をだしている。

この都の外は、どんな季節でもマイナス7度、最低気温はマイナス20度にもなる極寒だ。

その環境を生き抜く為に、この都では建物の隙間、屋根から屋根の間、地面の中に数えきらないほどのパイプが、(あり)の巣のように張り巡らされていて、この中を源泉から流された温泉が通り都全体を暖めている。


「何度見てもこの光景には慣れないわね…」


シノは隠蔽(いんぺい)で人の姿をして、目立たないようにしている。

ヒノモトの人たちは、他の大陸と違いレベルが少し高い、男はもちろんの事、子供や女も平均的に普通の人より上だ。


「サン様、こっちで温泉卵食べてってよ」

「こちらの湯豆腐も格別ですよ」

「やっぱり女は見た目が大事、と言うことで温泉化粧水はいかがですかサン様」

「あ、あはは」


町ではスレ違う店ごとに声を掛けられる。

シノは苦笑いで1人1人に応えていく。

すると1人の老人が護衛を連れ、前の方からやって来た。


「凄く人気者になりましたなサン殿」

「良かった、ちょうど会いに行こうと思ってたんです」


シノの目の前にいる老人は、このエゾで2番目に偉い人で、名は【吉良(きら) (おきな)】、武家貴族の人だ。


「はて、何かご用ですかな?」

「実は私たち明日ここを発とうと思いまして、その挨拶に…」

「そうですか…、どうか姫巫女(ひめみこ)様が帰って来られるまで居てはいただけないだろうか?」

「ごめんなさい、もう決めた事ですから」

「う~む、仕方ないですな…、無理強いもできませんし、それでは良い旅を…」

「はい」


ヒノモトの大きな都には、それぞれ姫巫女と呼ばれる存在がいて、彼女たちの結界により、強力な妖怪から都は守られている。

だが、その姫巫女が唯一不在になる時が、年に一回だけあった。

姫巫女会談。

全ての姫巫女がヒノモトの中心である【エド】に集い、各自都の現状報告と妖怪対策、その他の情報交換を行う場をもうける事をそう呼んでいる。


「姫巫女会談か…、王顕さんが知ったらエドに向かうかな…」


翁と別れたシノは、そんな事を考えながら宿へと戻る。

シノたちは、このエゾの門の前で雪男の群れを道の邪魔と言う理由で倒していたのだ。

その雪男たちはこの地域の妖怪たちの中でも強い部類らしく、姫巫女の結界は有っても、エゾにいるはずの精鋭たちは姫巫女の護衛に出ていて不在だったので追い返す事ができず、シノは予期せず都の手助けをしていた。

それで町の人たちは、彼女たちに感謝していたのだ。



メレンダとゾギンの2人は、明日に備え買い物に出掛けていた。


「これだけ厳しい環境と、強いモンスターが居るのに、食材や日常品が不足せずにいるので本当にすごい場所ですねここは…」

「シスター、まだ買うのかね…」

「もちろんです、この先に何が待ち受けているのか分かりませんからね」

「そ、そうか」


ゾギンは荷物持ちで、既に両手には紙袋を握っている。

甲冑を身に付けている騎士が、シスターに連れられ買い物…、なかなか見れる光景ではない。

その事もあるのだが、別の意味でも注目を集めている。

ユッサユッサ

メレンダの大きな胸が重力に負けず、歩くたび上下に弾む。

見ているのは男どもばかり。

彼女はポケットからメモ用紙を取り出すと、次のお店を探す。


「えっと次は服ですね、ヒノモトは着物と言うものを着るのでしょう、私も興味が在ります」

「そうですか、シスターやシノ殿が着ればさぞ美しいでしょうな」

「もう、お世辞はいいですから行きますよ」

「はいはい」


彼女達は、この町での買い物は全て無料で受け取れた。

吉良が手を回しそうしてくれていたが、メレンダはなるべく要らない物は買わない主義で、シノがメレンダ自身のために何か1つ買うように言って、決めたものが着物だった。

ヒノモトでの服は全て生地(きじ)で売られ、それに魔力を()める事で使う人に合った物へと変わる。

呉服屋に到着すると、展示されている商品の値段に言葉を無くすメレンダ。


「こ、こんなに高いのですか…天使様にはお似合いになるかもしれませんが、私には…」

「な~に言ってんだい、シスターも美人なんだからきっと似合うって」

「でででで、でも服にこんなお金が…」

「お、おおう、確かに…」


値札を見せるメレンダ。

彼女の手元を見たゾギンも値段表記に少し引く。

すると呉服屋の店員が近寄ってくる。


「いらっしゃいませ、どうですか~姫巫女様も御用達なんですよ」

「ひゃ、ひゃい」

「見たところ噂の冒険者様ですね、どうぞどうぞ見ていってください」

「…」

「とりあえず選んできてみればどうだ」

「う、ううう」


彼女は震える手で一番近くにあった紺色の生地を手に取る。

色は暗く地味で、模様は入っていなかったので、きっと安いだろうと考えていた。

店員はメレンダから生地を受け取ると、店の奥に仕立てに行く。

残された2人には、別の店員がお茶を持ってきてくれた。

メレンダは、さっき自分が選んだ布があったところに目をやると値札が1つ。

金貨28枚。


「…」ふらぁ

「おい、どうしたシスター」


あまりの値段に気を失いかけるメレンダ。

少ししてさっきの店員が、生地を持って奥から現れる。


「さすが御目が高い、これは【キョウト】から仕入れたもので、有名な職人が数人係で作られたものです」

「…」

「仕立ても終わりましたので、試着をお願いします」

「…はい」


ここまでしてもらって、断ることも出来ず。

試着室へと入っていく。

スリットが入り、脇から横腹の開けた挑発的なシスター服を脱ぐと、純白の下着からこぼれんばかりの巨乳、いや既に奇乳とよべる凶器が(あらわ)になる。

胸は大きく膨れるが、お腹はほどよくふっくら、お尻は普通で慎ましい。


「下着も買わないといけませんね…」


胸を両手で持ち上げ呟く。

ソッと生地を持ち上げ魔力を流すと、布は蛇のように彼女の体に巻き付くと、綺麗に着物と帯が着付けされた。

模様(もよう)が無かった布に桜や菊、百合(ゆり)椿(つばき)などの花柄(はながら)が浮き出て、しかもその花柄はそよ風になびく様に動いている。

その姿を鏡の前で見ていたメレンダは一言。


「綺麗」


その後、シノとエイリスの分の生地も購入し、この3つだけはメレンダが大事に抱きかかえ宿に戻るのだった。



宿では日鋼王が庭で体を動かしていた。

装備”真鉄如意金剛棒しんてつにょいこんごうぼう”、130センチほどの赤い柄の棒、その端に金剛石があしらわれている

効果は風と雷の属性付与、攻撃と防御を少し上げる。


「シャラララララ、シッ、フッ」

「無駄な動きが多いよ~…」


日鋼王に付き合い手合わせしているのは、シノが置いていったアイテム、霊魂球体関節人形スピリチュアル・ドールのランだ。

顔立ちや体格は艶魅だが、穏やかで面倒見のいい性格をしている。

シノは艶魅の設定が好きではなかったので初期化し、自分好みに作り変えたのだ。

白いスーツの上から、首周りにフワフワの付いた薄茶色のレディースコートを着て、膝の辺りまであるスカート、ヒールの高い靴を()いている。


「ヌオラァ」

「はい~」

「凄いですぅ、速くて凄いいですぅ」


日鋼王の攻撃を全て片手で防ぎきり、ランからは攻撃をしなかった。

その光景を、目を輝かせながら見ているエイリス。

真鉄如意金剛棒を伸び縮めさせ、時には太くし、連打からの()ぎ払いと、攻撃の手を休めない。

その猛攻を全て叩き落すか、避けて微笑んでいるラン。


「ふふふ~、あら、戻ってこられたわ~」

「!!ソラァッ」


白い小鳥が空を飛んできたのを見つけ、そっちに気を取られる。

その隙を見逃さず最速の一撃を…。

ガシィ、ズダアァン

普通に受け止められて、投げ飛ばされ地面に叩きつけられる。


「ガッ、グフッ」

「はいはい~、今日はここまで~」

「鳥さん可愛いですぅ」


最後にランが、地面に転がった日鋼王の上に座り試合は終わった。

エイリスは、飛んできた小鳥の方に興味が移っていた。

艶魅と違い、ランは体から聖獣(せいじゅう)と言う白い小動物を出せた。



そして、全員が宿に戻ってきたところでシノが一言。


「エドに行くわよ」

「「はい?」」

さてさて、急にシノの方も仲間が増えましたね、艶魅もシノの方ではかなり変わっています

次回はまた王顕の方の話ですかな、たぶん…

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