レベル上げの結果
40話目か~年内に40話を迎えるとは…
寒い…寒すぎるよ
鍋を作ると、それだけで心も暖かです
友達に「つぐもも」と言う漫画を勧められたので1~18まで新刊で一気に買った…
い、一万円が…でもふつーに楽しかった
4月にはアニメもあるみたいだし期待ですわ
王顕がレベル上げに向った後のテントでは、外で叉夜とルカの2人、テントの中で意識を失い寝転がる奴らと、艶魅が正座をして主を待っている。
外の2人は、王顕に渡されている装備を身に付け警戒を強めている。
「ご主人様には、ゆっくり休んで欲しいよね」
「そうですね、いつも私たちに気を使われ行動してくれています、こういう時にはしっかりお役に立たないと」
「うん」
2人が話をしている時、後ろのテントから誰かが出てきた。
「なんやぁ、話し声はお主らかいなぁ」
「お前は艶魅、どうして外に」
「…貴女がそこから出てくる、主様はテントに居ないのですね」
「うちはなぁ、お主らのお守りを押し付けられたんやぁ、お主らが不甲斐ないばかりに、ますたぁがレベル上げに向かっとるわぁ」
叉夜は艶魅が苦手なのか、顔色を悪くし、ルカは冷静に状況を確認する。
外に出てきた艶魅は、2人の間を通りすぎながら、王顕の今やっていることを話す。
テントから5歩ほど離れてから、両手を白装束の下を持ち上げる。
染み1つない、陶器の様な太股が顕になった瞬間、生理的に気持ち悪い黒い蟲が、滝のように股や足、指の関節の隙間からウジャウジャと出ていくと、空と大地、地中に消えていく。
「うわぁ…」
「まぁこれくらい出せば安心やろなぁ、敵意を見せた者に攻撃する蟲やから、後はお主らも休みいやぁ」
「あね蟲のレベルは、どれくらい有るのですか?」
「うちと同じやぁ、もちろん1匹1匹がやよぉ」
「「…」」
2人は青ざめる。
この人形は危険で、王顕にしか扱えないと、再度痛感した。
叉夜は、気分が悪くなったとテントで休むことになった。
ルカは王顕の指示だと、その場を動かない。
艶魅はどうやって出したのか、腰の辺りまであるダンゴムシを出して、その上に座っている。
「艶魅、貴女はそれほどの力がありながら、どうして主様に従い尽くしているのですか?」
「おかしな事を聞くんやなぁ、造物主たるますたぁにこの身を使って頂くことこそ、うちの喜びで存在する理由やわぁ」
「貴女は主様によって創られたのですか…」
「うちの姿、性格、能力は全てますたぁの望んだものやぁ、うちはそれで満足やしぃ、ますたぁを愛しとるしなぁ」
クスクスと手で口元を隠し静かに笑う。
ルカは彼女に向き直り、目の前まで近づくと、頭を下げた。
「お願いがあります、どうか私に稽古をつけてもらえませんか」
「急にどうしたんやぁ、別に稽古せんでも、今ますたぁがお主らのレベル上げに向かっとるやんかぁ」
「確かにレベルが上がり、更に強い魔法も使えるようになるでしょう、ですが強者との戦闘経験は得られません」
「なるほどなぁ」
艶魅は脚を組み直し、顎を手に置く。
その瞬間、皆のレベルが上がる。
それも続くように、連続で上がっていった。
個人差は有るが、今ルカのレベルは400を越えた。
「本当にレベルが…」
「うちも感覚的に上がっているみたいやけどぉ、ステータスの内容は変わらんなぁ」
「確かにこのレベルと、主様から頂いた装備ならある程度の敵には勝てるでしょう、しかしこの前の…」
ルカはクシ島での海亡を思い出す。
(あれはまるで、主様や艶魅を敵に回してしまったようでした…)
「さっきの話やけどぉ」
「え…」
「うちは面倒やから動かんわぁ、ただし代わりにこの子に相手させるわぁ」
艶魅はルカの事などどうでも良いが、王顕の今後の事を考え、自分が仕舞われている間の盾代わりくらいにはなってもらおうと、少しだけ手を貸すことにした。
彼女は左腕を突き出すと、肩の関節を取り外した。
そのまま地面に落とした。
ガシャシャンッと、無機質な音が聞こえるのは、やはり人形だからなのだろう。
ゴポ…ゴポポ…ボコボコボコボコ…
すると綺麗な人形の腕から、黒い肉が気味の悪い音を立てながら溢れ、腕を包んでいく。
ドクンドクンと脈打ちながら、次第に大きくなっていく。
「おいでやぁ、”左腕技蟲・鍬形”」
「驚きました、こんな事も出来るのですね」
大きさは180センチほどの蟲人に近い姿で、クワガタムシの角とヘルメットの様な頭に虫の口、黒く硬そうな筋肉質な肉体は、ルカと違い人と同じで四肢しかない、しかし背中には黒光りする羽を持っている。
艶魅の怪蟲でも特別な技の1つ、自分のレベルを3分の2にし、3分の1を与え武法を使う人型の蟲を作り出す。
鍬形は艶魅の前で跪き、命令を待つ。
艶魅は残った右手でルカを指さし。
「殺さん程度で遊んでやりぃ」
「ふしゅーー」
「ツッ」
ルカは、艶魅の言葉に反応して身構える。
鍬形は息を吐き、振り返るとゆっくり歩みだし、ルカの数歩手前で構えを取る。
まるで正々堂々と戦う武道家の様だ。
「そうそう、鍬形は後手にしか動かんわぁ、先にどんな攻撃でも仕掛けてええよぉ」
艶魅の一言で、ルカはフライングを使い空を飛び魔法を使う。
「メテオ」
ゴォウ
地面の石が上空に集まって、1つの塊となり高熱の炎を纏って落下する。
レベル410の土と火と風の魔法、敵単体に大ダメージと一定の間だけ動きのスピードを遅くする。
スガァァン
鍬形は動かず、隕石を受け止めた。
「ふしゅーーー」
”金剛”。
防御の武法で魔法に対し、防御率を上げる。
肉体は硬質化し、何者にも破壊できない印象を与える。
艶魅は怪蟲を出し、テントを囲んで隕石の被害から守る。
「面倒を増やすなやぁ」
「ふしゅーー」
ブブブブブブブ…
羽を動かし、鍬形も空を飛ぶ。
ルカはレベルの低い魔法を使い、様々な属性を用い相手の弱点の属性を探る。
鍬形は避けもせず、全ての攻撃をその身に受ける。
ブウン
羽の音を大きく響かせると、スピードを上げ急接近して殴りかかる。
「くうっ」
ルカは攻撃を止め、身を翻し避ける。
鍬形は追撃し、そのスピードを少しずつ上げる。
「ふしゅー」
「ふっくっ…ツツッ」
避けきれずに、頬を掠めた所で攻撃が止まる。
すかさずルカは距離を取る。
「ふしゅーふしゅーしゅー」
(なぜ攻撃を…)
「ふぅっ」
ルカが疑問を抱いた瞬間に、鍬形は攻撃を再開する。
相手は艶魅の怪蟲、やり過ぎくらいじゃないと怪我ではすまない、防御の魔法を使えるだけ使い守りを固める。
ズガガガガ
1つ1つが拳、蹴りの一撃で破られる。
最後の1枚になるのにたった数秒、しかし最後の1枚は反射の魔法障壁、攻撃がそのまま反される。
ズガァン
「しゅー」
「え…」
だが、その障壁を破り鍬形の拳が、ルカの腹部に突き刺さる。
”慈悲逆突き”
自分の攻撃力と特攻力を半分にして放つ、光と闇属性の防御無視貫通攻撃、しかし相手のHPは5分の3までしか削れない。
「つっああぁあああぁああああぁぁ」
突き立てられた腕から逃れ、テレポートで地上に移動した。
風穴の空いた腹からは、緑色の血がドクドクと流れ出ている。
「何で…」
自動回復でHPは少しずつ回復しているものの、ダメージが大きすぎる。
「しゅーしゅーふしゅー」
鍬形はスッとルカの目の前に下りると、彼女の状態を観察してから、5メートルほど離れてあぐらをかいて座り腕を組む。
鍬形の謎の行動も、先の攻撃により冷静な判断で考えることができていない。
そしてこのタイミングで皆のレベルが上がる。
レベルが上がるとき、HPとMPは自動で全回復する。
その後も、連続してどんどんレベルが上がっていく、ゲームだったらチートですぐにでも退場ものだ。
腹の傷は塞がり、立ち上がる。
「…」
「ふーしゅー」
鍬形も彼女が立ち上がったのを確認すると、腰を上げ両腕を軽く曲げ、腰を落とし構える。
ベキ…ベキベキン
ルカの体が形を変え始めた。
「超越変化」
それはキフォーカ大陸での神との戦いで使ったものだったが…、前と姿が違う。
体の色や大きさは変わらず、肩甲骨から生えた左の鋏は平らな盾に、右の鋏は斧の様に変わる。
4本の腕は脇から生えた奴は枝の様に細くなり、残り2つは変化が見られない。
下半身も人の形に近いが、脚は堅い鎧を着けたかのように変質した。
毒の尾も長くなり針ではなく、無数のトゲの付いた細いペンチみたいだ。
「ハァッ!!!」
「ふしゅーーー」
ダァンッ
一歩の踏み込みで距離を縮めるルカ、その速さは今までと比べてもトップスピードだ。
ヒュッ
ルカの右拳が、鍬形の顔面に吸い込まれるように迫る。
だが、その拳は軽く受け止められる。
「まだですっ」
斧状の鋏が振り上げられる。
一瞬そちらに視線を向けた鍬形の横腹に何かが当たった。
「しゅーーー」
それはルカの脇腹から伸びる細い腕、僅かに鍬形の硬い肌に刺さっている。
「浅い、ですが、それで十分です、ディザスター・ヴォルケーノ!!」
【ワールドインフィニティ】での炎の魔法で、最強の魔法。
敵全体に攻撃する魔法で、熔岩で出来た超巨大な球体が、弾けて飛散する。
攻撃範囲が広く、しかも必ず大火傷を負わせる。
そんな魔法でも普通に使えば鍬形にダメージは与えられないだろう。
しかし、この魔法は自分の手の先から放たれる魔法。
ドッ…ボコボコォーン
鍬形の横腹内部に直接、魔法の爆発が起こる。
横腹は弾け、熔岩により内部から焼かれる。
「しゅー…」
「はああぁぁ」
ルカは振り上げていた斧バサミを、鍬形の頭部目掛け振りかざす。
ガシィ
横腹から右胸にかけ損傷しながらも、攻撃を素手で受け止める。
「ふー…」
「ならば何度でも…」
損傷した場所目掛け、連続で魔法を浴びせる。
スカスカスカ
「シッ」
「え…くっ…あぁ」
「しゅーしゅーふしゅー」
ルカの攻撃は至近距離でありながらその全てが空振りし、あらぬ方向に飛んでいった。
その異常に、一瞬気を取られるが何とか鍬形の攻撃を左の鋏で防いだ。
鍬形は災流しを使い、全ての攻撃を逸らしたのだ。
「ふーーーーー、しゃああ」
「カッハァ」
ズウゥン
空圧鉄墜打ち、重症を負わせ、盾で防いだとしてもスペックの差は歴然、武法を使われれば圧倒的に潰される。
ルカの左鋏は砕け、左腕も潰され地に伏した。
だが今現在、王顕のレベル上げにより、数秒ごとにレベルが上がっているルカはすぐに回復する。
傷や痛みは消えるが、相手への微かな恐怖は消えてくれない。
鍬形は少なくとも知能はあるし、頭の回転も速い、つまり今もこうしてルカが立って戦えているのは、彼が手加減をしているから、そうでなければ最初の一撃でルカは戦意を喪失するだろう。
「…どうして」
「しゅーーしゅーー」
目の前に居る鍬形の傷が治っていない。
ダメージはそのままで、今もそこに立ち続けている。
しかも回復する様子も無い。
「は~い、そこまでやぁ、もう遊びは終いやわぁ」
いつからそこに居たのか、艶魅が鍬形の後から出てくると、鍬形は彼女の左腕へと戻っていった。
「ま、まだ私は戦えます」
「終い言ううたやろぉ」
「あ…」
「これ以上ぅ駄々こねるんならぁ、うちが消すからなぁ」
「ッッ…」
ザワザワザワ
鍬形を前にしていて時は、微かな恐怖とプレッシャーを感じていた。
しかし目の前に居るそれは、恐怖という言葉すら生ぬるい、ある意味では海亡よりも恐ろしい化物に見えてしまう。
艶魅は小さく微笑むと、テントへと戻っていった。
「…私も、あれほどの力を身に付けれるのでしょうか」
ルカは少しの間、その場から動けなかった。
数10分後、ルカもテントの戻り王顕の帰りを待つ。
それから1時間と少しして、王顕が帰ってきた。
手には巻物が1つ。
「留守番ご苦労さん、あれ叉夜は?」
「中で休んでいます、気分が悪いと…」
「大丈夫なのか?」
「はい、休めばたぶんすぐに良くなると」
「艶魅もご苦労様、怪蟲も戻していいぞ」
「うちは少し疲れたわぁ、今日はおとなしく戻るとしますぅ」
「はい?」
「どうかしたんかぁ、ますたぁ」
艶魅の様子が違う、まず彼女が疲れると言うことに引っ掛かりをおぼえる。
良く見ると、左腕を庇っている事に気付いた。
「艶魅、そっちの腕見せてみ」
「………そらぁなぁ気付くわなぁ」
渋りながらも左腕を出すと、陶器のように綺麗だった肌に小さな傷が有った。
その傷はまるで、硬いガラスに一筋のヒビが入ったようだ。
「どうしたんだこれ、お前を傷つけられる存在なんてそうそう居ないだろ…」
「それはっ」
「ルカ?」
「私のせいかもしれません…、私が」
「黙るんや虫ケラ、お主のせいやなんて思っとらんわぁ」
「…」
「なーーんか事情があるみたいだが、まずはお前を直さないとな」
王顕は欲界の倉庫から、見慣れないポーションを取り出す。
ポーションと言うより油と例えた方がいい代物だ。
アイテム専用ポーション、壊れたアイテムを直す為のポーションで、作り方はギガポーションを3つで合成する。
そのポーションを艶魅の腕に垂らすと、見る見るうちに傷が塞がった。
「よし、これでいい、あんまりはしゃぎすぎるなよ」
「そやなぁ、暇つぶしも程々にやわぁ、もうちっとだけ、ますたぁがうちにかまってくれればなぁ」
「はいはい」
艶魅は素直に欲界の倉庫に入ってくれた。
その後、ルカから王顕が居なかった間に、鍬形との試合があったことを聞いた。
「艶魅はなアイテムなんだよ、あれだけ圧倒的な力がありながら、スキルは使えず、回復もアイテム専用ポーション以外に方法が無いんだ、しかも左腕技蟲と右腕法蟲はダイレクトに艶魅のHPに関わってくる」
「そうだったのですね…」
「いや、まぁルカを責めてる訳ではないし、むしろ褒めたい良くあの鍬形に傷を付けれたな、お前は確実に強くなっているよ」
「…はい、…ありがとうございます」
褒められたと言うのに暗い顔を覗かせる。
自分の使える主の所有物を、傷つけた事への後悔があるようだった。
「あ~なんだ、元はと言うと俺が艶魅を置いて勝手に居なくなったのが原因だし、気に病むな、なっ」
「…///」
ポンポンと頭に手を置き軽く撫でてやると、気持ちを切り替えたようにキリッとした表情に戻った。
王顕の指示で、ルカが朝日以外の仲間達を連れてくる。
叉夜にイジェメド、ミクトルンは目を覚ましたが、エリザノーラだけはまだ意識が戻らないようだったので、ルカが背負って来た。
王顕が持っていたのはヒノモトの地図、王顕が遭遇したあの行列の1人からくすねて来た物だった。
ここから1番近い大きな国は【ツクシ】。
「あ~頭がガンガンするぞ、あきれるほど力を注ぎ込みおってからに…」
【火焔竜王・イジェメド】
種族 ドラゴン
役職 四大竜王、竜神見習い、眷属
レベル 設定外
HP 設定外
MP 設定外
攻撃力 設定外
防御力 設定外
特攻力 設定外
特防力 設定外
「―まだ眠いよ…」
【ミクトルン・テクノウトリ】
種族 神
役職 超級神、邪神、王、眷属
レベル 設定外
HP 設定外
MP 設定外
攻撃力 設定外
防御力 設定外
特攻力 設定外
特防力 設定外
「…」
【エリザノーラ・レトロコレクション・ブラットウェポン】
種族 蝙蝠人、吸血鬼
役職 眷属
レベル 設定外
HP 設定外
MP 設定外
攻撃力 設定外
防御力 設定外
特攻力 設定外
特防力 設定外
「ご主人様、ボクもこれからはどんな相手が現れても一緒に戦いますね!!」
【叉夜】
種族 人猫
役職 眷属
レベル 設定外
HP 設定外
MP 設定外
攻撃力 設定外
防御力 設定外
特攻力 設定外
特防力 設定外
「主様、ツクシまでは歩いて4日ほど掛かりますが」
【ルカ・エミーリア】
種族 蟲人
役職 眷属、バトルメイド
レベル 設定外
HP 設定外
MP 設定外
攻撃力 設定外
防御力 設定外
特攻力 設定外
特防力 設定外
「あ、ああ、そう」
みんなのステータスを確認してみると、皆が海亡クラスまで強化されていた。
(え、何故こうなった、いったいどこを基準に設定外になるの…、これ普通に世界征服とか出来るんじゃね…)
そんな事を考えながら、次の目的地へと向う。
自分のステータスは、測定不能のまま今までが変わらなかったので確認をしないまま。
【王顕】
種族 該当なし
役職 該当なし
レベル 検証、測定不可能
HP 検証、測定不可能
MP 検証、測定不可能
攻撃力 検証、測定不可能
防御力 検証、測定不可能
特攻力 検証、測定不可能
特防力 検証、測定不可能
今回は、ルカと艶魅の特訓で終わってしまった…
みんなを強くさせたら、やっぱ最後はこうなるよね…
次回こそは、ヒノモト最初の都市についての話ですのでよろしくです
そして最初都市と言っても、シノたちの話にします




