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決闘大会、金の為に頑張る

ゴールデンウィークは引きこもった生活だ

魔法使えたら、外ではしゃぐのにな…


決闘大会当日、コロシアムに向かう、王様主催であり王様と家族も見に来るとあって、観客達は王都内だけじゃなく、周囲の村からも集まっている。

出場者は腕自慢が集まっているらしいが、40人しかいない、その理由は優勝候補の騎士団長が参加するとの事で、今大会を諦めた者多いことによる。

通常は毎年100人の挑戦者が来る大会だ。

20と20に分かれたトーナメント方式で行われ、今日の内にベスト4まで決め、翌日に続きをする形だ。

つまり、全部で5,6回勝てば優勝する。


「げえ、今日4回もやんのかよ」


トーナメント表を見てみると、6試合目に王顕イヴィルの名前があった。

ちなみに騎士団長は決勝まで当たらない。

相手はチャラチャラしたモヒカンヤンキーな男で、ステータスを覗くと、


【ジャオ】

種族 人間

役職 格闘家

レベル 13

HP 210/210

MP 90/90

攻撃力 27

防御力 14

特攻力 27

特防力 14


低いステータス、これが平均なのか、他の参加者も確認するが、レベルは高くて30後半だった。

だがここには20人が集められ、もう半分は別室に居る。

第一試合が始まったようで、コロシアム全体が活気づく。

控え室には魔法で作られたモニターが設置され、決闘の様子を見ることが出来た。


「あんな魔法は【ワールド・インフィニティ】に無かったな…」

(この世界特有の魔法やスキルが有るってか)

「飲み物はいかがですか?」

「ん、ああ貰うよ」


飲み物を渡した女性は首輪をしていた、つまりは奴隷。

飲み物、妨害工作で毒かなんか入ってるパターンだ、飲んでみたら大将の軍服の効果が発動した。


「やっぱりな、ま、効かないから普通の水だな」

(これはモヒカンの仕業かな)


試合は進み、4試合目になり今までよりも歓声が響いた、こちら側の優勝候補さん(レベル39の人)が戦うらしい。

相手を圧倒して勝利をしたみたいだ、傭兵でパンパンに膨らんだ筋肉質な身体の持ち主だ。

そしてやっと自分の順番が回ってきたので、闘技場に向かう。


「さあ、次なる出場者は東、王都でも不吉な噂が絶えない男、ジャオーーー、対するは西、情報のまったく無い謎の冒険者、イヴィルーーー」

「あ、実況審判のねーちゃん可愛いな」

「ちぃ、余裕ぶりやがって…まだ痺れないのかよ、こっちは力は温存しときたいのによ」

「では、試合始め!!」


先に動いたのはジャオ、武器は麻痺効果の爪でレア度はノーマルだ。

ステーーン

ジャオが前のめりに転んだ。


「おーーと、ジャオ選手、勢いあまったか転んでしまったぞーー」

「くっそ、なんだ」

「…」


ステーーン

立ち上がろうとするがすぐに転ぶ、何度も転ぶ、両足で立つことが出来ないでいる。

その光景を観客達は大笑い、王様も苦笑している、隣の王妃も不思議そうだ、お姫様は興味なかった大会であったが、この光景の異常さを早い段階で気付く。

控え室でも、その試合は公開されていたが、異常に気付いているのは今のとこ2人、他は観客と同じで笑っていた。

ステーーン

転ぶ。

ステーーン

転ぶ。

ステーーン

転ぶ。

ステーーン

転ぶ。


いつしか観客達は笑わなくなり、実況審判も黙り、王様と王妃もさすがに気付く、控え室では笑っていたものは無表情になっている。

そして王と王妃の娘、シャーラが席を立ち父親に駆け寄る。


「お父様!、あの黒い服の方の登録用紙はあります?」

「あ、ああ、すぐに持ってこさせるよ」

「ありがと、愛してるわ!」

「あの方なんでずっと転んでるのかしら?」


闘技場では未だ両の足で立てない男と、それを見下ろす男とが試合?をしている。

ジャオの足は赤く腫れてきていた。


「なあ、お前何してんの?、立つことも出来ないなら帰った方がいいぜ」

「何なんだよ、なんで立てねーーーんだよ」

「降参しないか?」

「なんで俺様が…」


ドォッ

ジャオが吹き飛んで壁に激突し、意識を失う、腹部には足跡がくっきり残っている。

王顕はその場から動いていないように見えたが、実は肉眼では確認できないほどのスピードで相手の足を払っていたために、1人永遠に転んでいたように見えたのだ、そして最後も見えない動きで蹴り飛ばしたのだった。


「し、試合終了ーーーーー、勝者イヴィル選手ーーーーー」

「今くらい手加減すんだな、よしよし」


試合が終わっても、観客達は何が起きたのか理解することはないだろう。

意気揚々と控え室に戻ると、出場者達は黙ったまま俺に不振な目を向ける。


(この反応、ペテンだとか思われてそうだな、俺が足を蹴って転ばせてましたなんて言っても信じられないだろうしな)


部屋の隅にある椅子に座り、次の試合まで少し寝るか。

ズカズカズカ

大きな手で、肩をつかまれる。

目を開けると、レベル42の人が王顕の前に立っている。


「おぬしやるではないか、あれはどういった仕組みなんだ」

「ああぁ!、今眠りたいんだけど、おっさん!」


室内がざわつく、優勝候補の傭兵に怒鳴ったのだ、やっちまった感が漂う。

だが傭兵のおっさんは豪快に笑う。


「ガッハハハハハハハ、おぬし見所があるな、どうだわしと一緒に傭兵として働かんか?」

「お断りする、俺は自分のしたいように、この世界を満喫すんだよ、邪魔すんな」

「実に惜しいな、この大会が終わった頃に、もう一度誘うとしようかな、ガッハハハハハハハ」

「うっせえ」


コロシアムには活気が戻り始め、とうとう騎士団長さんの試合が始まる。

相手は忍者でレベルは24、特攻力を伸ばしているタイプだろう。

試合開始の合図、わずか5秒倒れる忍者、剣を鞘に収める騎士団長。

王顕の時とは違い、大盛り上がりの観客達、王様と王妃様は拍手を贈る、気になったのはお姫様で何やら紙とにらめっこしている。

数10分後、俺の2試合目の時間、目を覚まし首を鳴らす。


「行くかああーー」


2度目の会場への入場、モヒカンよりは強い奴が来るだろうが、それでも人と蟻の差だろう。

お金の為に運動気分で出陣した。


「さあ東は、1試合目は相手選手が急に吹き飛び、勝利を収めた、イヴィル選手、対するは西は、人狼族の戦士にして、1試合目は自慢の爪と牙で勝利した、ダン選手」

「姫さん、今まで試合そっちのけで何か見てたのに、この試合見るんだな」

「敵から視線を外す、その慢心は死に繋がるぞ、私は先の格闘家とは違う」

「お前らは、撫でただけで潰れる熟れたトマトと同じだ」

「後悔するぞ」


ダンは茶色の毛並みに狼の顔、レベル17で種族は人狼、人間より攻撃力重視のタイプ。

今度はどう倒すか、力自慢には防御力を見せ付ければ、降参すると考え手を出さないことにした。

王顕はその場に直立、ダンは両手を地面に付けた構え。


(へー、何かかっこいいな、人の姿だと滑稽だけど)

(二足で立てないのなら、四足で接近して仕留める)

「それでは、試合始め!」

「フッ!!」

「…」

(防がないだと、死ぬ気か)


ピタッ

爪を王顕の首に当たる前に止めた。


「な、なんだーー、ダン選手の爪が当たる瞬間に両者動かなくなったーーー」

「何のつもりだ、死ぬぞ」

「いや、防御力を見せたかったから、動かなかっただけだが?」

「2度目はないぞ、戦え!」

「……早く終わらせたいなら降参してくれ」

「…そうか」


ザンッ

普通の人間なら大怪我になっていとろう一撃。

すれ違いざま、王顕の後ろで立ち上がるダンは、その一撃で勝利を確信していた。


「手ごたえは十分、早く手当てすることだ」

「ちょっと待て、何勝ち誇ってんだよ」

「な、」

「おーと、ダン選手の攻撃を防いでいたのかイヴィル選手無傷だーーー」

「き、貴様なぜ無事なのだ、無傷な訳がない」

「お前が弱いから、ダメージにもならないんだろ」

「くっ、はあああああああ」


連続で爪を振るう、当たるが傷、ダメージを受けている様子がない。

ただ立っているだけで、相手に不安と恐怖が芽生え、こみ上げていく。


「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」

「降参してくれよ、ただこそばゆいだけだからさ」

「ダン選手なおも攻撃を繰り返すが、イヴィル選手にダメージを受けている様子はまったくないぞーー」

「ぬああ、ハア、ハア、ハア」

「これ以上やるなら、こっちから攻撃するが」

「ツツッ」


攻撃を止め距離を取った、肩で息をするスタミナも自信があったのだろうが、無駄な動きが増えるとすぐ動けなくなるのは道理だ。

王顕は最初の位置取りから、動いてはいないし、息も乱していない。

その姿を見て、ダンは両手を上げる。


「はぁ、俺の負けだ、降参するよ…俺では勝てないし、殺せない」

「その決断をだすのに時間掛けすぎだな、これが死合だったら、死んでたぜ」

「ああ、そうだろうとも、それにしても旅をするものだ、こんな強者と会えるなんて思ってもみなかった」

「俺より強い存在はそうはいないからな」

「また、挑戦してもよいだろうか?」

「会えたらな」

「試合終了ーー、イヴィル選手またしても、手を出さずに勝利を収めましたーーー」


背を向け立ち去る王顕に、見えなくなるまで頭を下げ続けるダン。

決闘大会始まって以来の始めての光景に、観客達が今度は歓声を挙げる。

王族の観戦する場所では、お姫様が父親にお願いをしていた。


「お願いですお父様、あの方を城に招いてください、シャーラは彼と話しがしたいです、いいえ彼が欲しいです」

「シャーラが他人に興味を示すのは久しぶりだな、わかった何とかしよう」

「あらあら、ふふふ」


王顕の知らないところでは、シャーラと言うお姫様が彼を狙っていた。

控え室に戻るなり、王顕は他の選手に興味が無いと、言わんばかりにモニターも見ず、定位置になりつつある隅に行き。

そして3試合目、手応えが無さすぎて、もう俺の優勝で良くないかと思い始める王顕。


「東、魔法であらゆるトラップを駆使し、連勝する魔術師コメット選手、西、今大会のダークホースにして、謎の冒険者イヴィル選手」

「いかに速く動けて、耐久力があっても魔法の前では何の役にも立たないわ」

「女かよ!」

「ふん、女だからって見くびらないことね」

「準備はいいですかーー、それでは、始め!」


魔術師は銀の杖にワンピースを着た女、レベルは20。

今回先に動いたのは王顕で1歩踏み出し、

ドオン、ドドドドドオン

足元で爆発が起きた。

レベル15の設置型魔法、フレイムボム、踏んだ時に爆発する火炎系の魔法だ。

さらに設置されていたのは1つじゃなく、複数仕掛けられ、連鎖的に爆発が起こる。

立ち込める煙で王顕が見えなくなる。


「おーーーーほほほほほほほほ、これをまともに受けて、立ち上がれた者はいないわ」


が、煙の中から気にせず前進する王顕が現れた。

軍服に炎が付いているあたり、直撃はしているようだが、歩みが止まらない。


「あ、ありえないは、く、ウォーターショット!、ファイアーボール!」

「濡らされた後に、乾かすんなら最初からするなよ」

「ひぃ」


自分の魔法もこれでもかと浴びても、ダメージどころか火傷を負うことも無く、ただ悠然と歩み寄ってくる相手に恐怖する。

魔法を連発しコメットはMPを使い果たした、魔法が使えなくなる。

目と鼻の先には理解を超越した化物。


「う」

「う?」

「うわーーーーーーーーん」

「な、に」


ボンッ

妖艶な魔術師がチビに変わった。

隠蔽はレベル410にならないと使えない、つまりこのチビは王顕の知らない”何か”を使っていたのだ。


「…」

「ひっく、うぅ、私の負けでいいから、叩かないでぇ」

(な、なんか勝ったけど、他者から見ると幼女を泣かせた下種に見えなくも無い)

「勝者イヴィル選手ーー、だがこれは単なる弱い者いじめに見えてしまうーーーー」


ザワザワ、ザワザワ

王顕の試合で毎回引いていた観客達が、今回は幼女の味方になっている。


「くっそ、これなら隠蔽で子供の姿に変えればよかった」


次が今日最後の試合。

圧勝してつまらない大会だと思っていた王顕だが、さっきの試合で自分の知らない”何か”があるのだと分かり、楽しみが増えた。

4試合目。

相手は巨人族の男、バイキングみたいな格好のレベル32。


「さあ次なる試合は東、初参戦で圧倒的な力を見せた、冒険者イヴィル選手、相手は西、王都の奴隷剣闘士の中で最強の存在、巨人ドグマ選手」

「うおおおおおおおおお」

「疲れたなー」

「それでは明日の試合の参加券を掴むのはどちらなのかーー、それでは試合始め!」

「フンッ」

「ごあっぷ」


……今日は本当に疲れていたので速攻で終わらせに行った。

右フックが巨人の左顎を砕き気絶させた。


「瞬殺だーーーー、ベスト4入りはイヴィル選手ーーーーー」


今日の試合を終え、コロシアムを後にする王顕。

そこに取材に来た奴らが王顕を取り囲む。

ここで目立ちたくないのでで、建物の屋根に飛び移り逃げる。

そのまま泊めて貰っている商人の家に戻ったら、暖かい食事を準備してくれていた。


「いやーーーイヴィルさん本当に凄いです、伝説の勇者のようですよ、あ、でも明日の試合は傭兵グリゴラに魔女ベアト、そしてなんと言っても騎士団長のアクセルがいますから、気をつけてください」

「うあ、ふぁんほかふぁふぼう(なんとかなるだろ)

「ははは、落ち着いて食べてください、料理はまだありますから」

「んぐ、ゴメンゴメン、食べ物がどれも食った事ないもので珍しくてね、この恩は明日の賞金で必ず返す」

「本当に気にしなくていいのですが…」


ドンドン

2人で飯を食い始めて数分後。

玄関のドアノックされる。


「騎士団だ、イヴィルと言う者がここに居るはずだが」


外に居るのは騎士団のようだ。

オロオロし始める商人。


「騎士団がイヴィルさん何の用でしょう?」

「もぐもぐ、んぐ、ここに俺が居るってよく分かったな…」

「ど、どうしますか」

「あんたに迷惑はかけないよ、俺が出るから、万が一に備えて2階に行ってな」

「は、はい」


索敵を使ったが騎士団は2人のようだったので、王顕の試合を知っているなら武力行使するなら少なすぎる。

だからといって、この世界には王顕の知らない、魔法やスキルが在る様なので油断は出来ない。

装備を破魔(はま)(ころも)に変える、魔法無効化能力を付けておく。

ドンドン


「はいはーい、今で出ますよ」

「イヴィル殿ですね、王から城への招きたいとの事で迎えに来ました」

「は、なんで王様が俺を?」

「理由は聞かされておりません」

「嫌だって行ったら」

「明日の大会を失格にするとの事です」

(うっわ、そんなことすんの、器ちっせーな、でもこのまま突っ立てても、商人さんに迷惑だよな)

「…」

「分かったよ、行けばいいんだろ」


ほっとしたのか肩の力を抜く騎士の2人、緊張していたのだろう。

商人に事情を話して城に連れて行かれた。

今回は王顕がイヴィルとして、大会でいろんな奴と試合をするお話しでした

武法を使うかどうか迷ったけど、力の差を見て欲しかったので素手と装備も1つにしてみました

次回はお姫様と話したり、大会の続きを書きたいですね

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