本当の脅威
10月も最後
最近ポケモンをやってなかったけど、今度出るサン・ムーンは買おうと思う
モンスターハンターの新作も発表されたし、やばい小説書く時間がと、1人で焦っています
でもPS4を何とかしないと…
日付が変わり、ルカとミクトルンは見覚えのある船に乗っていた。
アックウーノ大陸からキフォーカ大陸まで、乗せてくれた船だ。
まだ日ののぼらない甲板に2人は居た。
「予想より時間が掛かってしまいました、主様たちはいらっしゃるでしょうか…」
「―お兄ちゃんの気配に近付いてるよ、それより先に違うのが沢山居るみたい」
「…船長の話だと後数分で船が近付ける限界との事です、最後は泳ぐしかなさそうです」
まだ島は見えていないが、船が止まり、船の中から、船長が甲板に出てくる。
白い帽子を取り、頭に手をやり申し訳なさそうな顔を浮かべる。
「すまねぇが、これ以上は危険なんで、俺たちは引き返させてもらうよ」「いえ、ここまで送っていただいた事、感謝しています、お代の方も必ずお支払します」
「金なんていつでも良いよ、それよりあんたたち、こっから泳いで行こうとか考えてんだろ」
「そうですね」
「はぁ〜、小船が後ろにあるから使いな」
船長が指差す方には、船員たちが小船を準備していた。
魔力で嵐にも耐えられる船で、10人以上も乗れる。
「主様にも、船長に良くしてくださったこと、伝えておきます」
「彼には海賊から助けられたんだ、俺も含め部下や客たちの命を救ってもらったんだ、何度でも頼ってくれや」
2人は小船に移り、クシ島に向う。
船に魔力を送るのはミクトルンで、船のコアに手をかざす。
魔力には個性があり、一般人は大半が同じ穏やかな感じで、獣人や蟲人などは獣に近く荒々しい、神はそれぞれが独特で個性的、魔族や魔王は禍々しい。
ちなみに王顕の魔力は、存在感の塊で圧迫感や不安感を抱く。(隠蔽時は一般人と変わらない)
そしてミクトルンの魔力は、恐怖感を覚えるものだ。
これにより、弱いモンスターは近付かなくなる。
だがこれより数分後、大量の妖怪たちが大波のように押し寄せる事を、彼女達はまだ知らない。
クシ島の村から繋がる一本道、緩やかなカーブを幾つも描いた坂道を登った先、島民たちが造ったにしては村の民家よりしっかりと出来た神社が建てられていた。
日本の造りに似ていて拝殿と本殿にも分かれている。
石で出来た鳥居に、紅く塗られた木の柱と瓦屋根で出来ていて、いかにも神聖な場所という感じだ。
彼女はその神社の裏手にある小さな滝と、湧き水がコンコンと湧き上がる泉で身を清めていた。
顔立ちは穏やかで、大人の落ち着きがあり色気も滲ませている。
少し垂れ目で、左目は髪で覆われいた。
女性としては身長が高く170後半で、髪は腰よりやや下まで在る黒髪で波打ちがかった髪型。
肌は血色の良い黄色で女性の理想の体系、大きすぎず小さすぎず丁度良い胸に括れた腰とこれまた良い大きさのお尻。
「なんでしょうか、このむなさわぎは…」
泉から上がり、体を拭きながら思っていた事を声に出す。
その声にすら色気を感じる。
体を拭き終わると、着物に着替える。
蒼と白で色付けされ、渦と波の模様があしらわれていた。
「むらに、おりるべき、でしょうか、ですが、そんちょうさんに、おりないよう、たのまれていますし」
悩んだ末、いつものとおり神社の本殿で過ごす事にした。
島に流れ着いてから、毎日この場所で祈り続けている。
「どうか、きょうもいちにち、おだやかで、ありますよう」
両手を前に、深々と祭壇に頭を下げていた。
そのころ王顕は、飛翔のマントを使い海の方に飛んでいた。
最初は村長との約束を破り、山の神社へと飛んで行こうとしたが、空高く飛び空から八百比丘尼の居る建物を探そうとし、視界の端で東の海から光が見えたので、その場所に向かっていた。
「たぶんあれは魔法による光だった、もしかしたらルカたちが、俺の時のように大量の妖怪に出くわしてるかもしれないな」
ものの数分で、光った場所に到着した。
そこには1隻の船が浮かび、その周りには妖怪の死体が浮かぶ。
ミクトルンに吸収された妖怪も居るようだが、浮かんでる数は王顕が消した数より多く、ざっと400は居る。
そして船が進むたびに、ミクトルンがどんどん吸収している。
「おーーい、大丈夫かーーーー」
「―お兄ちゃん!」
「主様、ご無事で…」
王顕も船に乗り込み、あの船長が手を貸してくれた事をしる。
(また世話になっちまったな…)
島に着くまでに、何度も妖怪の大群に出くわしたが、その全てを王顕が消し飛ばした。
島には帰りを待つかのように、海岸で叉夜とイジェメドの2人が待っていた。
叉夜はルカに抱きつくと涙を流し、イジェメドは1歩下がった所で微笑み、ミクトルンは王顕の服の端を掴んで離さなかった。
エリザは朝は弱くまだ寝ていた。
これで無事にメンバーが揃ったことになる。
村に戻ると、すぐに朝日が物陰から王顕に斬りかかる。
その攻撃を止めたのはミクトルンで、体を硬質化させ斬撃を止めた。
「―誰かな?」
「子供…」
「―お兄ちゃんを傷つけるなら、ミクが潰すから」
ミクトルンの魔力が村を包む。
村人達が異様な感覚に騒ぎ出す。
近くに居た朝日は、身動きすら取れなくなってしまった。
「これは…領域を超えた魔力…、神か…」
「ミク、その人は俺の恩人なんだ、怒らないでくれ」
「―分かった」
魔力を抑えると、騒いでいた村人達も落ち着きを取り戻し、朝日は5メートルほど飛び引いた。
村長が駆け足で、此方に近付いてくるのが見える。
「四大竜王様、どうか村を助けてください、先程の感覚…八百比丘尼様のお力を超えた危険な妖怪が現れたに違いない、どうか、どうかお願いします」
土下座して助けを請う村長に続き、村人達も集まって頭を下げていた。
この場はイジェメドに頷いてもらって、村人を安心させた。
「…八百比丘尼様にも、もっと祈ってもらわなくてわ」
村長は1人山への一本道に向かう。
王顕は他の奴らを村に残し、暗殺者の面を着け村長の後を付ける。
山道を越えた先の神社、八百比丘尼はその前をオロオロと行ったり来たりしている。
顔は真っ青だ。
「あ~あ~あ~、どうしましょう、むらのほうから、とてもいやなものを、かんじました」
「八百比丘尼様!!」
「そんちょうさん、ぶじだったんですね」
(あれが八百比丘尼…、さてとステータスは)
王顕は他者の把握で八百比丘尼のステータスを見る。
ザ…ザザザ…ザザザザザザザザザザザァ
「どう言うことだ、ステータスが砂嵐がかかった様に見えないな」
目の前には、パニックになってワタワタしている女だ。
見た目は綺麗な女の人にしか見えない。
村長は村が無事なのと、来客が増えた事、妖怪を島に近付けないよう祈る事をお願いし村に戻っていった。
「また、おいのり…、そこに、かくれているかた、でてきて、だいじょうぶですよ」
「!!」
(おいおい、暗殺者の面を着けて隠れてたのに気付けるのかよ、前にも気付かれてた事あったけど、こんなにはっきり言われたのは初めてだぞ、いや待て、俺以外に他に誰か居るのかも、って居ないか…)
王顕は自分の存在じゃない、他の誰かに彼女が話しかけたと考え、索敵を使うが反応が無い。
確実に自分に話しかけていると確信し、木の陰から姿を現す。
仮面はまだ着けたままにしているが、彼女は髑髏の仮面を見て、ビックリして声を上げそうになったので、王顕がテレポートを使い近付き手で口を塞ぐ。
「完全に俺の姿が見える訳か」
「むー、むー」
「あー、ごめんごめん、何もしないから黙ってて」
「…」コクコク
最初は王顕の手から逃れようと、ジタバタしていたが、王顕の提案に涙目で頷く。
確認とは言え悪い事したなと思い手を放した。
小走りで神社の柱の影に隠れる。
見た目が綺麗な割りには行動が可愛い。
「あ、あの、あなたが、しまのそとから、きたひとですか?」
「そうだな、怖がらせてすまない、貴女に興味があって隠れてここまだ来たんだが」
「…そうなんですね」
仮面を外したが、まだ警戒されているようだった。
欲界の倉庫を開き、島では手に入らないであろう食材を取り出し、果実を投げ渡す。
ビックリしていたが、何とかキャッチした。
枇杷が大きくなったような果実で、味は桃に似ている。
皮を剥いてほうほお張ってみせると、食べられると分かり彼女も少し齧る。
「あ、美味しい」
「他にもいろいろ有るぞ」
「…」
神社の横に建てられている建物に案内され、そこに食材を幾つか出した。
警戒も解いて、会話もできている。
「それじゃあ、おうけんさんは、せかいを、たびされてるんですね、そして、さっきの、おめんは、たびで、てにいれたもの」
「そうだよ、今回はヒノモトで、この島には通り道で寄ったところ」
「わたしは、しまから、でたことが、ありませんから、すごくきょうみがあります」
「じゃあ、これまでの旅の話でもしようか」
「ぜひ」
王顕は、最初のフェル村から、ヒノモトまでの旅の話をする。
話の内容は所々変えて、自分が普通の人間だと思えるように話した。
話している時は、身振り手振りで状況を説明すると彼女は、良い反応をしてくれた。
話し終わる頃には、時刻は夕暮れに差しかかっている。
彼女は正座のまま、王顕の話を一言一句聞き逃さない集中力で今まで過ごした。
「とても、ゆういぎな、じかんを、すごさせてもらい、ありがとうございます」
「いや、いいよ」
(彼女の事は、最後まで何なのか分からなかったけど)
「おうけんさまは、いつ、このしまを、たたれるのですか?」
「ん、あー、そうだな、2日後にはヒノモトの本土に向おうと思ってる」
「ふつかご…、あす、また、きてくださりますか?」
「そうだな、うん、別れの挨拶くらいなら」
「…はい、おまちしています」
互いにこの出会いは秘密にし、誰にも話さないと約束して王顕は村へ下っていった。
彼女は、その後ろ姿を見えなくなるまで、微笑み小さく手を振っていた。
彼女は明日の事が待ち遠しく、まるで修学旅行前夜の学生のように、気持ちが落ち着かなかった。
「あすのひが、これほど、たのしみなのは、いつぶり、でしょうか…」
胸を高鳴らせ、小屋に向かう途中。
ズキンッ
急な頭の痛みが彼女を襲う。
「かっ、はっはっ、うぅ」
あまりの激痛に、その場に踞る。
頭に過るは、見たことの無い風景、大量の妖怪がどこかの村を襲い、1人の女性が妖怪の後ろから歩いてくる。
妖怪が潰していった村を、踏みつけ進む女の顔は自分だった。
頭痛がひき、何とか立ち上がり小屋に入ると、うつ伏せに倒れこんだ。
「あれは、わたしの、きおく?、いや、あれは、わたしじゃ、ない」
村に戻った王顕は、仲間たちの様子が少し変な事に気付く。
皆が何かに怯えているように体を震わせ、小屋の隅に集まっていたからだ。
未だにレベルの低いエリザならともかく、高レベルのイジェメドに、神のミクトルンまでもが、冷や汗や顔を強張らせている。
そうて何より、小屋に入ってきた王顕にまだ気が付いてもいなかった。
王顕は皆の元に駆け寄り、声をかける。
「おい、どうした、何があった?」
「ご、ご主人様~」
「主様!」
「…王顕様」
叉夜、ルカ、エリザの3人は王顕が来たことに気付くと、両腕を叉夜とルカで、エリザは背中に回り込み、これでもかという力で抱き付く。
「友よ、この島は危険だ、皆薄々感じてわいたが、すぐに出た方が良いぞ」
「―お兄ちゃん、怖いよ」
「どうなってんだ…」
「…王顕様と話していた女」
説明しだしたのは、以外にもエリザだ。
彼女が、島全体の音を聞き分けられたからこそ分かった事だった。
両足を器用に使い、王顕の腰を掴み、翼はギュッと閉じている。
震える口を動かし話す。
「あの女がたぶん元凶、王顕様と話し終わって様子が変わった、その時に私たちが感じていたものが強くなった」
「島民たちも気付き始めてるぞ」
確かに、夜になったにしては村が静かすぎる。
外に出て適当に近くにあった家の扉を開けるが、そこには人は1人もいない、どの家も同じ状況だ。
異常な事態に、焦りが募る。
最後に、朝日の借りていた小屋を開ける。
「朝日っ!」
「――――」ブツブツ
汗を流しながら正座し、経を唱えていた。
朝日は王顕にすぐ気付く。
「お前も逃げるべきだ」
後ろから仲間も駆け付け、全員で小屋の中に入る。
島民は子供から老人まで全てが、たった今、何かに追われているように島を出ていったらしい。
船に乗れるだけ乗って、乗れなかった者は海に飛び込んだとの事だ。
「朝日、何が起きているんだ」
「分からん、だが言い伝えに同じ状況が書かれた巻物があったな」
「それは?」
「ヒノモトに生まれし最強の妖怪、生物を殺し、神をも嘲笑う存在、亡ぼす者だ」
朝日がヒノモトの言い伝えを話す。
その内容は遥か昔に、陸、海、空、この3つを名前に持つ妖怪で、全ての生物が恐怖し逃げ惑う。
特に妖怪は敏感に反応し、安全な場所を求め他の事も眼中に入らず、逃げ続ける。
そう、自分自身が死ぬまで…。
その少し前、床についていた八百比丘尼は夢にうなされていた。
ある島に生まれた女の子、村人は大手を上げ喜んだ。
神社の巫女として育てられる彼女は、特別な力を持っていた。
それは島に妖怪を近づけない事、それと水を操れた事だ。
何不自由なく暮らしていた彼女は27の誕生日の日、突然現れた海賊たちに島民たちと一緒に襲われた。
神社まで逃げてきた島民は、みな涙と血を流していた。
女は今まで良くしてくれた人達を助けたかった。
女は自分のありったけの力を解放し、海賊たちを皆殺しにした。
だが、女が皆殺しにしたのは海賊だけでわなかった、島民たちも彼女の力で全滅してしまった。
その時、知ったのだ。
(わたしは、かれらとは、ちがう、ふっ、ふふふっ、ふふふふふふふふふふ)
自分が人間でない事に、生物を殺す楽しさに…。
女は島から身を投げ海へと消えた。
「あ、あああああ、ああああああああ」
絶叫し起き上がる。
今見た夢は実際に起こった事、そしてその現況が…。
「わたし、ふ、ふふ、おもいだした」
ドッ、ドドドドドドドドドドドドドゥ
クシ島にある神社が吹き飛ぶ。
大きな爆発音に小屋から飛び出す王顕達、その目の前には月明かりに照らされた水柱。
その一番上に浮かぶ人影。
「もう、とうみんの、かたたちは、おにげに、なったのですね、あぁ、でも、おうけんさま、あなたは、のこってくれた」
声は島中に響く。
さっきまでとは、まるで別人のような感じだ。
水は既に村まで達して来ていた。
ザパンッ
彼女が水柱に消えた瞬間、今度は目の前に現れた。
「おいおい、まだ明日にはなってないぞ」
「じじょうが、かわりまして、みなさん、しんでもらいます」
「海を亡ぼす妖怪、その名は海亡」
朝日が名を告げ、ステータスを確認すと、今度はちゃんと見えた。
【海亡】
種族 人間、妖怪
役職 三大狂妖怪
レベル 設定外
HP 設定外
MP 設定外
攻撃力 設定外
防御力 設定外
特攻力 設定外
特防力 設定外
自分と艶魅以外で初めて見る、数字以外の表示にさすがの王顕も身構えた。
海亡は左手を横に軽く振る。
「ふふ」
「?」
「主様、あれを!」
「なっ」
「そんなのありかよ」
「―大きい」
「逃げ切るなんて、無理だよぉ」
「嫌な音ですね」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴォ
島を軽く飲み込むだろう大津波が、島の横に出来ていた。
しかし、津波が向うのは島と反対の方向、そっちに居るのは今しがた逃げ出した島民たち。
「さぁ、これで、わたしを、しるものは、あなたたちだけ、ていこうしても、かまいませんよ、けっかは、かわりませんから」
今回の敵は、最強の部類ですね、こんな所で出しちゃって良いものなのだろうか…
ま、何とかなるさ(遠い目)
次回は海亡とのバトルという事で、よろしくであります




