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それぞれ行動します

雨の降った後は涼しい…、ちょっと寒いくらいですね

新しいアニメが2話目に入ったものもありますし、楽しみがいっぱいです

ジャンプの漫画も最終巻が多い…残念です

王顕はヒノモトに向かいたいが、海岸まで来てどっちに行けばいいか分からなく腕を組んで突っ立っていた。


「世界一周すれば着くか?」

「時間の無駄」

「あれ、何しに来たんだ」

「言ったはず、お前は私が仕留める、そのためにお前の近くでお前の事を知る事にした」


朝日は、王顕と共に行動するつもりのようだ。

肩には風呂敷を担ぎ、こちらが何と言おうと、テントに戻るつもりはないだろう。

王顕はヒノモトへの案内人を得るが、同時に命を狙われる事になる。


(ま、俺を殺すにはレベルが足らないか)

「じゃあヒノモトまでの案内を頼める?」

「こっちに私が使っていた船がある」


彼女に着いていくと、崖の下に海で使うと言うより、川で使うような細い木製船がロープで岩と繋いであった。

崖の飛び出した場所を足場にして、器用に下りていく2人。

小さな帆を広げ、風を拾う。


「この船で大丈夫なのか、ヒノモトにつく前に沈まない」

「うるさいな、私はこの船を使ってここまで来たんだ、それにこの船には特殊な力がある」


朝日によると、この船は彼女の望む場所に自動で舵をとってくれるとのことだ。

彼女は修行場に、人が居ない場所を望んだから船がこの無人島に送り届けたらしかった。

こうして、命を狙われる者と狙う者の2人の旅が始まった。



ここはとある島。

島の洞窟に、ルカとミクトルンの2人は潜んでいた。

島はリッドテム大陸近くの島で、海は数㎞進むと酷く荒れて、船では来ることも出ることも出来ない。

洞窟の中で体育座りをしているミクトルン、体から()れ出す魔力が、近付き(がた)い雰囲気を帯びている。


「ミク様、お気持ちは痛いほど分かります、ですが抑えて頂かないと、この島の半分を既に破壊しているのですから」

「―…」


ミクトルンはルカの言葉は聞こえているはずだが、まったく反応が無い。

彼女は島に流れ着くなり、ルカが止めるまで王顕を探し、島を半壊させている。

残り半分はルカが探し、他に流れ着いた者が居ないのを確認している。


「この島に生息していたスライムは、3分の2がミク様に倒され吸収、残りは泉に逃げて出てきません」

「―探す」

「分かっています、ですがまずこの島からどう出るかを考えなければ…」

「―ミクが飛べばいい」


ミクトルンは、体の形を大きく変える。

彼女は冥界に居たときに、あらゆる者たちをその身に取り込んできた。

その中には、翼を持った者も少なくは無い。

頭は龍に、体は黒い鱗のある蛇に、鳥や竜などの翼が幾つも生えた奇怪な姿へと変わった。

バッサバッサっと翼を動かし宙に浮く。

ルカは尻尾を伸ばし、ミクの足に巻きつけた。


「ミク様、ヒノモトにあるクシ島に向いましょう、(わたくし)たちは最初にそこを目指していました、もしかすると主様たちも向っているかもしれません」

「―分かった、すぐ行く」

「ガララ海域は避けて進みましょう、何が起こるか分かりませんから…、アックウーノ大陸の方角、遠回りになりますがターズ海域を通りましょう」

「―ルカまで居なくなると困るから…遠回りする」

「……ありがとうございます」


ミクトルンから、自分の心配をされたことに意表を付かれ返事が遅れてしまう。

空を飛び島を脱出して、クシ島を目指す。

だが空を飛ぶ事に慣れていないせいか、長時間飛ぶ事ができずアックウーノ大陸に下り立った。

なるべく人目に付かないように、人里の無い場所に下りたらすぐに人の姿に戻る。


「―ごめんなさい、疲れちゃった」

「いえ、ミク様は頑張られていました、ここから港町に向かい船を探しましょう」


ルカはミクトルンを背負い歩き出した。

港町ウノルルまではそれなりの距離がありそうだが、今はミクトルンを休ませる事を最優先にする。

途中の村で馬車でも調達して、だいたい5日から7日と言う所だった。

背中ではミクトルンが寝息を立てている。



リッドテム大陸の最南端。

港町【ブフ】南国の雰囲気のある町、丸太を使い木の葉と皮で造られた建物が並ぶ。

その建物の1つに、叉夜とイジェメドの2人が体を休めておいた。


「あいつ容赦なく攻撃して、王顕の薬が無かったらもっと大変なことになっていたな」

「ごめんね、ボクが足を引っ張ったせいで…」

「何を言ってるんだ、お前が居なかったら逃げ切れずに、あのまま海に沈んでいったところだ」


カタライボに襲われて4日が経っていた。

2人はブフの砂浜に流された後、ブフの村人に助けられこの場所を提供してもらった。

怪我に関しては、ギガポーションを使いHP、MPを回復させ治した。

ブフの人達は、何かとおおらかで親切な人達ばかりだ。

食べ物は分けてくれるし、怪我の具合とか見舞いに来てくれる。


「この町には世話になったんだ、何か困った事があれば助けてやりたいが…」

「それなんだけど、盗賊が町の外で行商人とか旅人を襲っているんだって」

「がっは、いいぞ~好都合だ、ヒノモトに向う前にそいつらを片付けよう」

「なら早く終わらせてクシ島に行こうよ、ご主人様は無事でも他の2人が心配だし」

「ああ分かってる、今日仕掛けるぞ」


食事を済ませると、町の人が集まる魚市場に向かい盗賊の情報を集める。

盗賊は全部で30人ほどで、夜に襲ってくることが多いらしい。

種族は鳥人(ちょうじん)で、空から襲い掛かってくるので防ぎにくく困ってた。

さらに、今日は夜の20時に商人が1組ブフに入る予定になっていた。


「その商人にはオトリになってもらうか」

「ちゃんと守らないとね」


夜になり、町から少し離れた森の中一本道を進む馬車が1つ。


「だいぶ遅くなっちまった、急がねーとな」


初老の商人が、タバコを(くわ)えランプの火で道を照らし進む。

すると、木々がざわめき鳥達が羽ばたいて行く。

ババババッ

盗賊が空から急降下し積荷を狙う、その数は6人。


「はい、退場してください」

「「ツ!?」」

「な、何だぁ」

「全速力で町に入って」

「へ、は、え?」

「速くっ!」

「はぃ!!」


(しげ)みから現れた叉夜が、的確に6つの影を迎撃し、蹴り落とした。

かなり手加減しているので、死んではいないが回復薬や回復魔法を使わない限り当分動くことすら出来ないだろう。

老商人は叉夜に一喝(いっかつ)され、馬の手綱(たずな)を動かし、急いで町に向かった。


「貴方たちは食料やアイテムを奪っていたけど、商人や旅人の命までは奪ってなかった、だから捕縛(ほばく)までにしておくね」

「あんたはいったい…」

「冒険者かな」


6人の中で意識が有るのは1人、索敵には周りに他の盗賊は居ない。


「他の仲間は?」

「ふ、ふふ、今頃は…、さっき逃がした商人を全員で襲ってるだろうな…、あんたは強い…、だが数には勝てなかったな!!」

「なるほど、じゃあ別れてて正解だったかな」

「?」


ドゴオォォン

町の方角から、大きな爆発音が聞こえた。

町の近くを飛んでいたイジェメドが残りの盗賊を迎撃したのだろう。

殺さないとは言っていたものの、あの様子では大火傷は負っている。


「な、ふ、噴火?」

「火焔竜王だよ、知ってるでしょ」

「四大…竜おぅ…」


残り1人も意識を失う。

叉夜は6人を持ってきていた縄で縛り、ブフの警備にあたる人が来るのを待つ。

イジェメドがやり過ぎているせいで、警備の者が遅れていることはまだ知らない。


「遅いな…、もう来るはずだけど」


ヒュン

風を切る音が聞こえた。

危機を察知し飛び引く叉夜、頬には一筋の傷が付けられた。


「今の…」


索敵には、周りを動き回る1つの反応が増えていた。

飛び方が(いびつ)で、鳥の飛び方ではない。

この鬱蒼(うっそう)とした森の木々を、器用に避けて飛んでいる。


「…こいつらの仲間?」

「その人達を解放して」


エコーが掛かったような声が響く、声の質的に女だろうか。


「悪い事していた人達を、解放することは出来ないかな」

「…なら力ずくで」

「やってみるといいよ」


索敵には、叉夜の真正面から近付いてくるのが分かる。

盗賊たちのレベルは5~7、叉夜が魔法を使うまでも無いレベルだが、今の相手は傷を付けられた油断は出来ない。

叉夜は手を前に突き出し、いつでも魔法を出せるように構える。

相手がすぐ目の前の茂みに(せま)る。

ボッ

黒い球体が飛んできた。


「ウォール」


前方に土の壁がそそり立つ。

球体が壁に当たると、小さな爆発音と共に大量の煙が出て来た。

アイテム”煙玉(けむりだま)”、効果は100%で戦いから逃げれるアイテム。

叉夜は魔法、スキル、アイテムさえも使えなくなった。

【ワールド・インフィニティ】では簡単に手に入るアイテムだが、この世界ではかなり高価なアイテムだ。


「く、何も見えない…、ゴホッコホコホ…」


バササッ

何かが横切った。

煙が晴れた時には謎の相手も、縛っていた6人も居なくなっていた。

索敵にも何の反応も無い。

叉夜は頭を抱える。


「やられた…」


叉夜は1人町に戻ると、盗賊21人が捕まっていた。

尋問で盗賊の数は28人だと分かった。

叉夜が捕まえていたのが6人、襲ってきたのが1人で全部のようだ。


「叉~夜~~」

「ごめんなさい…」

「そんな盗賊のほとんどを捕まえてもらっていますし、リーダーも捕らえることが出来ました、大手柄ですよ」

「そう言ってもらえると助かります…」


イジェメドは、呆れたと頭を振った。

叉夜も不甲斐なく肩を落としていた。

町の代表は結果にとっても喜んでいたので良かったが、出来る事なら全員捕らえたかった。

盗賊は(ふくろう)の鳥人たちだった。

今までにいろんな物を盗んでいったが、人を傷つけた事が無いと分かっていたので、それほど重い罪には問われないようだ。

更生(こうせい)した後はブフの夜の警備として働いてもらうとの事だ。

ここの町人たちは迷惑していた相手にも優しかった。

盗賊たちもイジェメドに手酷くやられていて、その優しい対応に涙ながら賛成した。


「ねぇ、リーダーってどの人なの?」

「俺だが…」


叉夜の質問にバンダナをしたリーダーが手を上げる。


「貴方たちの中に鳥人以外の仲間が居るでしょ、あれってどんな奴なの」

「それはヒナの事だろう、彼女は捨て子だったんだ」


リーダーの話によると、ヒナは赤ん坊の頃に、森に捨てられていたところを盗賊たちで拾い育てたのだと言う。

彼女は彼らより優れた部分が多く、特に飛行能力はずば抜けていたと言う。

そしてヒナは鳥人ではなく、蝙蝠(こうもり)の獣人だと言う事が分かった。


「なるほどね…、じゃあ最後にもう1つ、貴方たちのアジトを教えてくれるかな、他の仲間たちもこの町で働いてもらうから」

「…分かった、俺が案内しよう」


チラッとイジェメドを見て視線が合いビクついて、明け方にリーダー自らがアジトまで案内して仲間を説得すると約束した。

今回はしっかりとした目的地に向かい他方向から向い始めるお話しです

(叉夜とイジェメドはまだですが…)

次回はクシ島に向うそれぞれのお話という事ですかね

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