さあ、冒険だ
異世界ファンタジーには可能性があるが、
可能性が広すぎると、やりたい放題でパニック
ま、自分が楽しめれば一番か
今回は少しグロテスクなところもありますがご容赦を
【フェル村】の様子を森に隠れて数日観察していたが、魔物や山賊が何度か襲っていたが城壁で入れず、村の外で居座り、門が開くのを待ち伏せしている奴らはリリーが魔法で追い払っていた。
「本当に大丈夫そうだな、さて町に向かうかな」
山道を歩き、村の代表に教えてもらった町に向かう。
途中、山賊に囲まれるどうやら【フェル村】を襲っていた奴らのようだった。
数は20、どう追い返すか考える、目立ちたくないので穏便に。
「身包みすべて置いていってもらおうか」
「嫌だけど、他の解決法は?」
「頭領もう殺しちまいましょうよ」
「確かに時間掛けると、面倒がふえるだr」
ボトッ
山賊のリーダーの腕を手刀で落とした。
ただし視認できないスピードで行ったので山賊達には急にリーダーの腕が落ちたように見える。
血を流す腕を押さえながらうずくまる。
「がぎああああ俺の腕があああああああああああ」
「頭領!!てめぇ何しやがった」
「今のは警告だ、頭を狙おうと思えば落とせたが、わざと腕を落とした、これ以上俺に関わるなら殺す」
「ひぃ」
「に、逃げろーー」
山賊達は森の中に消えていった。
山賊のレベルは4で統一だった、装備で何とかオークに勝てるくらいだろう。
首を鳴らし歩く、この世界を楽しむため、急ぐ用がなければなるべく歩くことにしていた。
森の中、山賊のアジト
「くそ、くそ、くそーーーー、絶対にゆるさねーー」
「と、頭領ですがありゃただもんじゃねぇ」
「うっせぇ、奴の先回りしてぶっ殺してやる」
「へ、へい」
「くそーーーー」
山賊達は王顕を殺すために動き出す、散っていた仲間達を集めて。
そのことをまだ王顕は知らないし、知らなくてもその肉体に傷ひとつ付けることは出来ない。
いくら人が何百、何万、何億と集まったところで神に勝てないのと同義なのだ。
その神と例えられる者は今、
「どっちだ…」
分かれ道でどちらに進むのか悩んでいた。
ぐうーーーー
腹も減ってきていた、周りを見ても木々が生い茂るだけ、今からでも【フェル村】に戻って食い物でも貰おうかと頭をよぎるが、あんな去り方をしたのに戻れるわけもない。
「ここは耐えて進むしかないか」
木の枝を手に取り地面に立て、倒れた方へ進むことにし、手を離す。
パタッ
………
王権の方に倒れた、それから数回倒すも結果が変わらない。
「いいよ!右に行くよ!」
あまりにも結果が変わらないので、適当に進むことにした、なんとなく右に行くことにして先に進む。
道中に赤くスイカ位大きい果実の生った木を見つけ1つ取り、ほお張ると甘味のある果実だった。
少し休憩していると、馬車がやって来たので話しかける。
「おい、この馬車どこまで行くの?」
「うん、ああ冒険者さんかい、こいつは【王都シャハラ】に向かうよ」
「お、マジで乗せてってくれよ」
「そうだな、タダじゃな、冒険者さん腕は確かかい?良かったら王都までの護衛を頼みたいんだが」
「まじでか、それでいいよ」
「んじゃあ、よろしくよ、後ろに乗りな他の護衛と商品が乗ってるから」
「ほいほい」
荷台の中には2人の冒険者、(どちらもレベル7)で鎧姿、そしていくつかの檻とその中には、獣人が座り込んでいた。
犬耳、うさ耳、猫耳、などなどいろんな種族が詰め込まれていた。
「おう、新入りか、よろしく」
「…」
「どうも、こいつらは?」
「ああ、商品だよ、奴隷達さ」
「…奴隷か」
この世界では奴隷が普通に流通しているらしい。
奴隷の入れられた檻を見つめると。
ガタガタ
人では感じれないものでもあったのか、王顕から離れるように隅に移動して、身体を震わせている。
レベル410のスキル、”隠蔽”を使う、自分のステータスを上書きし相手に本当のステータスを隠す能力。
と、気配が変わったからか震えは止まったが、警戒はしているようだ。
「俺寝るから、なにかあったら教えてくれ」
「ははは、豪胆なお人だ」
「…」
横になり眠りにつき、日が傾き、辺りが暗くなり始めて目を覚ます。
雇い主が馬車を停める、後ろに回り顔を覗かせる。
「飯を食おうと思うんだが、どうするね」
「待ってました!腹へったー」
「…」
「飯って…」
「そこの箱の中だよ」
指し示した箱の中にはパン、水、干し肉、果実などが大量に入っていた、奴隷にも同じ量の食い物を与えているのは以外だった。
そのままここで一夜を過ごすみたいで、馬の首輪をを近くの木と綱で結ぶ。
朝までの外の警護を名乗り出て、外に出る。日本ではもう一部でしか見れないだろう星空を見上げる。
「綺麗だぁ、死んで周りに知ってる奴もいなくなっちまったけど、こんな景色が見れるのは良いな」
そんなこんなで4日が過ぎ、王都まで肉眼で見える距離になっていた。
このまま何も起きずに入国できれば御の字だが、そんな旨くはいかないようで、索敵に引っかかる。
馬に乗った山賊達に囲まれる、数は60でまあまあ集めている。
「な、なんだお前らは」
「積荷を貰おうか、そして出て来い黒い奴」
「あん?」
王顕を含む3人が後ろから出てくる、さすがにこの数に囲まれるのは初めてなのか、顔が強張っている冒険者。
そして山賊達には見た覚えのある奴らが混ざっている、報復に後を付けていたのだろう。
馬鹿には力の差を見せても、意味が無かったのかと後悔する。
数を増やして余裕なのか全員がニヤニヤ笑っている。
「てめーに腕持ってかれた借りを返すぜ」
「はいはい」
「なめやがって、死んだ後もぐちゃぐちゃにしてやる、やっちまえ」
「「「「「おおおおおおおお」」」」」
「来るぞ、全力で守れ」
ドスッ
口数の少なかった冒険者が雇い主を護ろうと前に出たもう1人を後ろから刺した。
スタンの効果のある武器だったようで、倒れこんで動けないところを、山賊達が集団で剣や槍で何度も刺し原形を保てなくなる。
「頭領、遅いですぜ」
「おう、ご苦労」
「ああああああ」
(あいつはこいつらの仲間だったわけだ、ステータスに冒険者と山賊の2つがあったからな)
死んだ同行者を見下ろす。
裏切りで自分と奴隷達を護る者が減ったし、この数で逃げ場もなくパニックになっている雇い主、余裕で笑い声を荒げる頭領、武器を構える山賊、檻で震える獣人。
(この5日間、声がでかくてうるさい人だったが、奴隷になってる奴や俺達に同じよう接するいい人だった)
「なんか苛立つな」
「今度はてめーの番だ、その後はそこの男を殺して荷台の中の奴隷達を楽しんだ後、皆殺しだ」
「さっすが頭領」
ゴシャアァ
王顕が近くに居た奴から潰した音だ。
それなりに頭にきている。
「もしかしたら、山賊から足を荒い、冒険者として依頼をこなしているんだと思ってたけど、皆殺し?お前らが何に喧嘩売ったのか分からなくてもいい、ただ死ねよ」
隠蔽を解き、規格外の化物が魔力を放出させる。
自分達が何に喧嘩を売ったのか?、そう問われた奴らは頭の中が真っ白になっていた、さすがのリーダーもヤバイと思ったのか部下達を突撃させるが。
「当たるかよ」
「な、なぜだなんで当たらない」
「俺達から避けてるみたいに、当たらねえ」
「くっそー、馬車だ先に馬車を狙え」
「ひーーーー」
「激震蹂躙」
レベル200の武法、両腕が熱せられた鋼のように光ると、大地に振りかざし衝撃を与え噴火させる技、広範囲に及ぶ噴火で逃げることは出来ず、上空にも高く吹き上がるので空を飛んでいる奴にも効果を発揮する。
肉が焼け、骨は灰になり、それさえもマグマが飲み込んでしまう。
噴火が治まるころには山賊は完全に消えうせていた。
「初めて人を殺しちまったな…欝だ」
「あわあわあわ」
「雇い主!」
「は、はい、お金は全部さしあげます、どうかこの子達と私の命だけは、どうか、どうか…」
(自分だけじゃなく奴隷の事も考えてるあたり、この人は本当に悪い商人じゃないんだな)
「恐がんな、こんなに派手にやっちまったし、ここからすぐに離れた方がいい、怪しまれちまう」
「え、は」
「また会えるだろ、そんときゃよろしく」
テレポートを使い【王都シャハラ】に向かった。
王都の中は大騒ぎになっていた、遠くで噴火したのを目の当たりにしたのだ、甲冑を着た騎士達が門を開け現地に急いでいる。
王顕は隠蔽でステータスを変えて、散策する。
人間以外にも様々な種族が都には普通に闊歩している。
いろんな店が在り、見たことの無い商品が並ぶのだが…。
「金が無い、腹も減った」
王都と言うだけあって、町の中央には立派な城がそびえたっている。
もう、一日くらい食べなくていいと吹っ切れて、時間をかけて町を回る。
噴火の調査も終わり、王都への被害はないと結果がでて活気が戻ってきている、中央の広場には大きな掲示板があり、そこに張り出された紙が気になるが読めなかったので、隣の奴に聞いてみると。
「ああ、王族主催の決闘大会さ腕に自慢のある奴が王都以外からも集まるぞ、なにせ優勝額がでかいしな、今回は金貨1000枚だぜ」
この世界での通貨は銅貨、青貨、銀貨、金貨の4種類で、青貨1枚が銅貨10枚分の価値があり、銀貨は青貨の100枚分、金貨は銀貨のさらに100枚分だ。
決闘大会の参加費は無く、参加条件も問われてない、武器の使用もあり、相手が気絶か負けを認めれば勝ち。
明日の開催で応募締め切りが今日の夕方。
「これだな…」
暗い路地に入り装備を変える、隠蔽の効果は見た目にも反映されている、元々イヴィルは逆立った黒髪に4本の角(2本が羊の様にとぐろを巻き、その少し上に闘牛の様に太い2本の角)が生えて、2メートル身長キャラ設定だが。
今はどこにでもいる青年、角も無く身長も160で髪と肌だけが同じ色だ。
装備は”大将の軍服”のみで、黒と赤の軍服で効果は麻痺、毒、などの継続ダメージ無効。
(HPを削る効果は今のステータスに意味は無いだろうが、麻痺や凍結はどうなるか分からんからな、武器は…素手でいいか)
大会会場のコロシアムで受付がありそこで大会に登録する、名前と年齢などを問われ、とりあえずイヴィルで年齢は24にしといた、役職は冒険者でレベルは20で登録。
明日まで一文無しなので泊まる宿も無く、夜の町をさまよっていると。
「あの、そこの冒険者さん」
「ん」
「やはり、イヴィルさんですよね、鎧姿じゃなくて自信が無かったんですが」
「あんたは」
話しかけてきたのは王都まで送ってくれた商人だった、無事に入国できていたようだ。
あれだけ死の危険にさらされてなお、話し掛けてきたのだ、何か様でも…。
「あの噴火を俺がやったと騎士の人達に突き出すか?」
「え、そんな、めっそうな命の恩人にそんな事しませんよ」
「ふーん、じゃなんの様だ」
「いえ、護衛中に銅貨1枚も持ってらしゃら無いようでしたし、日が傾いてこんな所をうろついているのもそのせいでしょう、よければ私の住まいにいらっしゃりませんか?、命の恩人としてもてなしたい」
「……そうか、そんじゃお言葉に甘えて」
商人の家はなかなか大きいが家族はいないらしい、空いた部屋も充分すぎる広さだ。
奴隷を売る店は別の場所にあるとのことで、ここでは本当に1人暮らし。
食事の準備も自分でやっている、と言う事で夕食にさそわれる。
「なんと、明日の決闘大会に参加なさるんですか」
「ああ、金のためにな、大会って毎年あんのか?」
「そうですね、毎年ありますね、イヴィルさんなら優勝間違いなしかと思いますが」
「どうだろな、金が入ったら宿泊と食事代払うから待っててくれや」
「そんなお金なんて要りませんよ」
「はは、優勝しなけりゃそうするよ」
商人は恐縮した感じだが、時間が解決すると思うしかない。
風呂にも入り、ふかふかのベットに倒れこむ、今まで馬車の中や地面の上で寝ていたので、それなりに嬉しいものがある。
(明日は金を手に入れるため、頑張らないとな…)
さて魔王の姿に異世界転生して村から都に移動し、金のために格闘大会に参加するまでです。
次回は大会でのお話し、王様の前で戦いを行います。