危険な大陸を目指す
最近は、朝の内だけ少し涼しくなりました
まだまだ昼は暑いので、いろいろお気をつけてください
評価してくださった方、ありがとうございます
もちろん読み続けてくれてる方にも、同じく感謝です
艶魅は、王顕の部屋に入ってくるやいなや、服を脱ぎ捨てて、ベッドに上がってきた。
カチャカチャとした音が聞こえてくるが、触れてくる指は柔らかく温かい。
「ますたぁ~、うちを可愛がってなぁ、優しゅうしてやぁ」
「う、あ、そうだな、うん、確か身体を拭くんだったか」
「そうやぁ、全身をなぁ」
王顕は欲界の倉庫から、高級な素材で作られた布だ。
ゲームアイテムとしての能力は無く、防具の素材の1つだ。
この世界では貴族が愛用し、高値で取引されるらしい。
少し水で湿らせて、身体を拭く。
「ん、アァ、もっと優しゅうなぁ、あっああ~、そ…こぉ///」
「くっ、変な声を出すな」
「でっも…、奥ぅ気持ちイイィ///」
「もう、いいよ…」
声だけを聞いていると、なんだが色っぽい雰囲気があるが実際は、猟奇的だ。
なぜなら、艶魅の身体はバラバラに分解されている。
関節に首、胸、腹などに分けられ、空洞になっている中も拭いている。
四肢に胴体、最後に頭を丁寧に拭いてやると、自らの力で元の姿に戻る。
(やっと終わった…、いろんな意味でドキドキする作業だったな)
「ますたぁおおきになぁ、うちは気分いいわぁ」
「喜んでもらえたなら、良かったよ」
「ふふふ」
機嫌よさげに微笑む姿は、いつもの笑いとは違って柔らかいものがあった。
少なくとも、王顕も見入ってしまうくらいには…。
すぐに目を逸らし、ぶっきらぼうに話す。
「さ、用は済んだだろ、戻ってもらうぞ」
「ふふふふ、今回はちゃんと満足できたしなぁ、ま~たぁ必要な時に、いつでも呼んでやぁ」
「ああ、助かった」
艶魅はその存在と性格ゆえに、外に出しながらの旅には向いていなかった。
欲界の倉庫の中に、素直に戻ってくれた。
王顕は大の字でベッドの上に寝転がる。
「これで、この大陸の冒険は終わりか、ちょっと…、いや…かなり疲れたな、次はどんな場所なんだろな…」
王顕は意識が沈むように眠りについた。
翌朝、ベッドの中に気配を感じ、目を覚まし首を右に向ける。
右腕を枕代わりに、スースーと寝息を立てるミクトルン。
「確か昨日あいつ等の中で、俺の部屋に入ってくる事を互いに禁止してたよな…」
「―くぅ~」
「まぁいいか」
(可愛いし…)
起こさない様にそっと抜け出し、身支度を整える。
隠蔽で姿を人に変え、服を着替える。
”夜月”、紺に染められ、背中には三日月の模様が入り、黒い帯をした着物の装備。
効果は朝と昼は普通の服、だが夜になると朝までに、3回まで攻撃を無効にできる。
この装備は効果目当てではなく、見た目が好きで、陣地の自室では良く使っていた。
「外の空気でも吸うか」
部屋を出て、窓の光りが長い廊下を照らしている。
廊下を進み、石造りの階段を下り、鉄の扉を潜り外に出る。
晴れ渡る空には、雲の1つも無い。
「い~い感じに、晴れ渡ってるな」
なんとなく軽く体を動かしたくなり、ラジオ体操を始める。
頭の中で、学生の頃に聞きなれた音楽を思い出しながら体を動かす。
こっちの世界、と言うか社会人になってラジオ体操なんかした覚えは無いのに、体はしっかり覚えている。
最後の深呼吸をし終わると、後ろの方で見ていた奴が近付いてくる。
「その不思議な踊りはなんだったのかな?」
「およ、誰か居ると思ってたけど、お前だったとわな」
「ここは私の城なんだから、どこ居ようと私の勝手だよ、それと質問の答えを聞いてないよ」
「ん、ああ、そうだな俺の生まれ故郷の踊りかな」
「故郷…、その服を見るからに、トコヨ大陸か?」
「お、おう、そうだ…よ」
「何か歯切れが悪いね…」
自分の思っていた反応と違っていたので、アリスがジト目で見てくる。
王顕も、まさか異世界で和服を着ている奴らが居るとは思っても見なかった。
トコヨ大陸は、この世界で2番目に大きな大陸だった。
話ではモンスターの質が他の大陸よりも、強さの桁が違うらしい、その為トコヨ大陸の住人の平均レベルは10を超えるとの話を、ルカから前に聞いていたが、逆にそれだけしか聞いてなかった。
嫌な汗を流しながら、話を変える。
「そうだ!、願い叶えてくれるんだろ!」
「…うん、そんだね」
「なら、直して欲しい物があるんだけど…よっ」
ガシャン
欲界の倉庫から、鎧の武具、無量大数を取り出した。
この前のミクトルンとの戦いで、傷を付けてしまっていた物だ。
「これってどうやって出してるの?」
「ヒミツ~」
「う~」
「それで、直せるか?」
「ちょっと待って、この鎧の形もトコヨで良く見る形だけど…」
手にとって、傷を触る。
じっくりと観察し、アリスとは思えないほど眉間に皺を寄せている。
「…大丈夫、直せるかな、見たこと無い素材を使ってるみたいだけど、これくらいなら代用できるのが有ると思うし」
「そっかそっか、願いはそれな」
「本当に、こんな事でいいの?」
「これでいいんだよ」
「…分かったわ、今日の昼には終わらせるわ」
「じゃ、頼んだわ」
王顕はテレポートを使い、港町テムルーに1人で向った。
旅に必要な物を買い揃える為に、店の並ぶエリアへと足を運ぶ。
朝早くの港町だけあって、漁師たちの活気が溢れている。
声の1番大きなおっさんに、声を掛けられた。
「あんちゃん、見ていってくれよ、今日の朝取れたばかりの新鮮な奴だよ」
「どれどれ、お、この魚でけぇな」
「そいつは、この近海でしか取れない魚でな、脂が甘くて美味いぞ!!」
「へぇ~、ならその魚と、甲殻類に貝を数種類貰おうか」
「まいどぉ!!」
欲界の倉庫に入れておけば、腐る心配も無い。
それにしても大陸が違うのに言葉は通じるし、金銭も統一してて助かっていた。
他にも肉に野菜、飲料水を買い込んでいく。
そんな中、不思議な店を見つける。
窓ガラスの前には、何枚かのカードが展示してあった。
「…読めんな」
(カードゲームとかじゃないよな、こんな事なら誰か1人連れてくりゃ良かったか…)
すると、彼の後にテレポートを使い、城から追い駆けてきたルカが現れた。
「主様!!、探しました」
「お、ルカ」
「お部屋に窺ってもミクトルン様しか居られなくて、アリス様に聞いても知らないと言われて、また1人でこんな所に…」
「そんな事より、ルカこれって何だ?」
「そんな事って…」
心配してれくれたルカだが、王顕はそれよりも、今目の前にあるカードが気に掛かっていた。
カードを指さし、質問する。
ルカは、呆れたように脱力してしまう。
だが、彼がそんな人だと分かっているから、頭を抱えながらも、質問に答える。
「それはスキルカードと言われ、使用者に対しカードに記されたスキルを得られるアイテムです」
「へ~、ならこれで皆に同じスキルを与えられるんだな」
「そうですね、ですが価格は平均してカード1枚が銀貨3枚、レアな物は金貨にも達するとの噂です」
「オイッス、店の人居る~」
「あ、主様っ!」
店に入るなり、王顕は店内にある全てのカードを買い漁った。
金は、もちろんシャハラの大会の物で払った。
それでも金貨25枚しか使わなかった。
カードは全部で200枚を超えたが、同じカードも何枚か買っている。
「ルカはカードの効果を俺に教えてくれ」
「分かりました、それでは1枚目から順に…」
城にはテレポートを使わず、歩いて帰ることにした。
そして城に着く頃には、全てのカードのスキルを記憶した。
この世界に来てから、記憶力が上がっていた。
(これもイヴィルの体だからか…、体で覚えるのは得意だったけど、頭で暗記するのは苦手だったのにな…)
城に戻ると各自持っていないスキルを聞き出し、スキルカードを配った。
これで一通り基本的なスキルを皆が使えるようになった。
王顕も、あまったスキルカードで興味のあったものは、自分にも使った。
手に入れたスキルは3つ。
”変身”、自分の見た目を多種族に変える。(ステータスは前のまま)
”始まりの言語”、全ての文字が理解できる。
”魔獣の製造”、自分の体の一部とモンスターを融合させ、キメラを作り出す。
(どれも【ワールド・インフィニティ】に無かったスキルだな、特に魔獣の製造はどこかで試さないとな)
アリスに預けてあった無量大数も、傷は直っていた。
装備して確認してみる。
「ん、効果が…」
装備して気付いたが、効果が増えていた。
無量大数の効果は攻撃を受けてHPが回復し、HPを回復させるポーションや技を使うと倍のダメージを受けるものだったが、傷を直された後の効果は、前の効果とさらにもう1つダンジョンを自由に行き来できるものが追加されていた。
つまり、無量大数を装備すれば、いかなるダンジョンも自由に場所移動が可能になっていた。
「うわぁ、チートだなこれ…、アリス説明!」
「その効果は副産物かな」
「副産物?」
「直すのに、この大陸で貴重な素材を使ったら何か増えたの………てへっ☆」
「てへって…、まぁ面白いからいいけど…、いざって時しか使わないと思うけどな」
「…ねぇ王顕、また私と遊んでくれるかな?」
「あ、ああ、うん、また会った時に遊んでやるよ」
「うん、楽しみにしてるね」
別れ際に抱きつかれた。
アリスは子供っぽいところがあるが、見た目は普通に女性の体つきなのでドキッと胸が撥ねる。
「ご主人様に抱きついて、それはボクの役目なのに…」
「…」ジーーー
「そいつの遊び相手は疲れるのにな、物好きな奴だ」
「―ミクもギュッとする」
叉夜は、口を尖らせブツブツ何かを言っている。
ルカは、ジッと冷たい視線だけで、何かを伝えようとしている。
イジェメドはやれやれと頭を振り、それでも少し微笑んでいた。
ミクトルンは後から飛びつき、王顕の背中にしがみついた。
「それじゃ、また会えたらその時はよろしく」
「うん」
王顕たちはアリスの城を後にする。
港町までは、5人みながテレポートを使い向かった。
スキルカードで使えなかった者も、使えるようになっている。
旅に必要な物は揃えたので、後は次の大陸に行く為の船だ。
「主様、次の目的地はお決まりなのでしょうか?」
「あぁ、それな、次はヒノモトだ」
「ヒノモトですか、あの大陸に向かう船は少ないらしいので、探すのに時間が掛かるかもしれません」
王顕は、ルカと共に行動していた。
彼らは集合場所を決め、2てに別れ行動をしている。
他の3人は、他に要る物の買い出しをやってもらっている。
そして王顕とルカは、ヒノモトに向う船を探しに港に来ていた。
だが、どの船も行き先はヒノモトではなく、別の大陸だった。
「やはり、船は見つかりませんでしたね」
「そんなにヒノモトに行くのが嫌なのか…」
「主様とりあえず、集合場所に戻りましょう」
「そうだな、また別の移動手段も考えないといけなさそうだしな~」
「主様…、その…、1つお願いが…」
「ん、どった?」
ルカが目を泳がせ、モジモジと指先をいじる。
王顕は、頭に?マークが浮かんでいる。
「腕を…、組んでも…、よろしいですか?」
「そんな事か、ほら」
お願いを聞いて片腕を差し出す。
ルカは頬を染めながら、その腕を2本の腕で抱きしめた。
少し歩きにくいが、彼女の嬉しそうな顔を見れるならそれでも良いかと思う。
集合場所は中央広場の噴水前、他の3人は既に集まっていた。
ルカは、ここに着く少し前に腕を離していた。
「船はどうだった?」
「駄目だ、誰も行きたがろうとしないな」
「ご主人様は、目的地どこって言ったの?」
「ヒノモトだ」
「あ~~…」
「それは、行きたくないだろうな」
「―zzz」
ヒノモトは、危険な場所として有名すぎる様だ。
1人だけ、器用に空に浮かびながら眠ってる。
今日の内に、次の大陸に向けてキフォーカ大陸を発とうと思っていたが、宿に泊まり明日出発する事にした。
ルカが宿に部屋を取り、その部屋に向かう。
「ルカ、これはどう言う事だ」
「何でしょうか?」
「いや、何でしょうじゃなくて、何故みんな同じ部屋なんだ?」
「それは…」
「金の無駄使いを避ける為、…と言うのは表向きだな」
答えを渋ったルカに代わり、イジェメドが返答する。
そして叉夜が王顕に近付いてきた。
頬を膨らませ、不機嫌全開って感じだ。
「だって!アリスの城では、ご主人様がみんな別々の部屋で、ご主人様の部屋に来る事を禁止したのに!、ミクが先を越してて、だから!!」
「おいおい、落ち着け叉夜」
「はっ、ごめんなさい、ごめんなさい」
興奮して、王顕に迫って早口で喋っていた叉夜。
王顕が肩を掴み、目線を合わせる。
我に返った彼女は、アタフタと両手を回し謝っている。
これ以上は、彼女たちにストレスを与えるだけなので、ここは王顕が折れるしかなかった。
「みんな部屋に入れ、これからの話をする」
みんなを部屋に入れた。
テーブルに次の大陸、ヒノモトの地図を用意して広げる。
ヒノモトと言う大陸は、細長く山と森が多い大陸で、周りには数多くの無人島がある。
大きな都で気を引くのは、エド、ヤマト、エゾ、ツクシ、キョウトの5つだ。
キフォーカから1番近い所は、ツクシと言う場所で、近くにクシ島と書かれた、日本で言う青ヶ島の様な形の島があった。
「なぁ、イジェはドラゴンの姿で、俺たちを乗せてここまで飛べるか?」
王顕はクシ島を指差して聞いてみる。
イジェメドは頭を左右に振った。
「この空域は嵐が多くてな、吾だけならまだしも、他が無事に着ける保障はないな」
「そうか、やっぱり船が要るか、明日もう1度港で交渉してくるか」
地図を仕舞い、椅子に腰掛ける。
部屋には小さな風呂場があり、1人ずつ入る。
女たちが入り終わるまで、王顕は外に出ている事にした。
宿のロビーにはバーが設けられ、そこに1人で座る。
バーテンダーは口髭を生やし、6本の腕を持った蟲人の男性。
「オーナー、1番強い酒頼む」
「どうぞ」
出されたのは青い酒だ。
香りは、さわやかな甘い匂い。
少し口に含む。
「お、なかなか強いけど飲みやすいな、美味いよ」
「ありがとうございます」
「後、何か摘める物を少しくれ」
「燻製にしたクーバラの、各部位の盛り合わせです」
「おほほ、美味そうだ」
1人こうやって飲んでいると、昔の事を思い出してしまう。
月に1度の贅沢に、居酒屋に行って1人で飲んでいたあの頃を…。
(あの居酒屋のオヤジには世話になったな…、いつも帰りに残り物貰ってたっけか)
「隣失礼するよ」
「ん…」
懐かしい思い出に酔いしれていた時、隣に1人の男性が座る。
ガタイの良い大男で、腕には茶色い鱗、太い尻尾の先はハンマーの様になっている。
レベル15の竜人だ。
アックウーノ大陸のガルガン村に居た奴らと違い、羽が無く飛ぶ事の出来ない種類みたいだ。
彼はジョッキと魚の刺身を注文すると、1杯目を豪快に飲み干した。
「プハァーーー、うめぇ、…なぁあんたかい、ヒノモトに行きたいって言ってるのは…」
「…誰から聞いたんだ」
「港でちっと噂をな、蟲人の女と人のペアが船を探してるって」
「確かにそれは俺だが、何の様だ?」
「俺の船に乗っていけよ」
「…」
「もちろん、タダじゃねぇ、それ相応の金は貰うし、乗せるのはクシ島までだ」
「何でわざわざ、危険な場所に乗せてってくれるんだ」
「金になるからな」
王顕は酒を2つ注文し、片方を竜人に渡す。
彼は牙を見せて笑い、その酒を受け取った。
「OK、あんたに頼もう、ここは俺の奢りだ」
「ありがたく」
「あんた名は」
「オーカーだ」
「俺はイヴィルよろしく」
2人は、互いにグラスをぶつけ乾杯した。
その後、オーカーは船のある場所を地図に書いて渡してくれた。
出航時刻は、昼からにしてくれと頼まれたので、昼飯を食った後に向うと約束した。
ほどよく酔いが来て、良い気分で部屋に戻る。
「お帰りなさいませ、風呂場の準備できております」
「お、おお、風呂ね、うん、入る入る」
ルカが出迎えてくれると、風呂場に誘導される。
だが、この時気付くべきだった。
部屋には、ルカしか居なかったと言う事に…。
「ご、ご主人様、お背中、お流ししますぅ…」
「叉夜は、何をしおらしくなっとる」
「―お兄ちゃん、髪洗ってー」
「…」
酔いが醒めた。
目の前に広がるのは、全員が種族、体つきの違う美少女たちの裸体。
後に控えていたルカも、いつの間にか服を脱いでいる。
「な、ななに、何してんだぁ」
片手で顔を覆い、この状況の説明を求める。
「いつも私たちの為に、頑張ってくださる主様の為、私たちで出来る事は何かと話し合った結果です」
「い、意味が分からん」
(胸がぁ、胸があああぁ)
「う、うれしく、ないの…」
「いやいやいや、嬉しいよ、だけどさぁ」
ルカが後から抱きつき、胸を背中に当てながら答えてくれた。
叉夜は少し涙目になって、聞いてくる。
王顕も、女の涙に弱くアタフタ答える。
その様子を観察する2人。
「ガハハ、吾が友は可愛いな」
「―お兄ちゃん可愛い?」
女性とそんな関係になったとしても、この扱いに慣れる気がしない王顕だった。
王顕はとりあえず、ミクトルンの髪を洗ってあげる。
ミクトルンは、首に緑の宝石の付いた首飾りを提げていた。
”重さ変わり”と言って、体重を操作してくれるアイテムだ。
そして叉夜とルカは、王顕の体を手で洗う。
「―ん、キャハハ」
「~♪」
「主様どこか痒い所はございますか」
「…大丈夫だ」
「そうですか、それではお背中を…ん、あ」
「へ…」
「む、ボクも」
ルカは王顕の肩を掴み、胸を背中に当て洗い始めた。
それを見た叉夜も、腕を胸で挟み上下する。
(ぬわわわわわわ、こんな、こんな事が、許されるのか!!)
「ふぁ、んん、あ、ああ」
「うっ、はぁはぁ、んああ」
王顕の頭の中は、考える事を放棄しようとしていた。
ミクトルンの髪を洗い終えた頃には、王顕は(精神が)真っ白に燃え尽きていた。
イジェメドは、王顕の反応を見るだけで満足して、浴室を出て行っていた。
そして王顕たちが風呂場から出ると、イジェメドは色っぽい下着を身に付けていた。
「…」
そして他の奴らも、誘惑する様な下着を身に付ける。
「いや、普通に寝るよ」
「「えっ!」」
「いや、えっ!、じゃねぇよ、明日はここを発つんだから体力を温存させてだな…」
「「…」」
最終的に妥協点で、1つのベッドに5人が一緒に寝る事になった。
(クソ~、みんな柔らかいし、何か甘い匂いがするし)
「ボクだけの…、ご主人…ムニャムニャ」
「クークー…」
「―スースー」
「さて、夜這いの時間だ」
「何故、そうなる!」
1人寝ずに、王顕を襲おうとする奴が居た。
王顕は他の奴を起こさないように、ツッコミした。
「まだ、起きておったか」
「お前が1番危険だからな」
「だが、この状況で、守りきれるかな」
「…」
全力でイジェメドを撃退すれば、他の奴らも起きるだろう。
そうなれば、またややこしい事になりかねない。
王顕は顔を引きつらせ、イジェメドが馬乗りになり、唇を重ねる。
「チュ、あ、んん、ぷはぁ、ガハハ、酒の味がするな」
「…うっせー」
「今日は吾が満足するまで、付き合ってもらうぞ」
「…」
翌日、王顕1人が何故か疲れきっていた。
代わりにイジェメドは凄く、機嫌が良かった。
心配してくれていた他3人に、昼までまた各自自由行動にして、王顕は宿の部屋で1人眠った。
今回は、次の目的地に向う下準備の話で終わってしまいました…
海に出ての話が書きたかったのに…
ヒノモトですからねぇ、やっぱいろいろ考えますよねぇ
次回は…シノの話も、そろそろ書きたいと思ってる次第で、少し考えます




