ハートのお屋敷に入ります
8月です。
疲れと暑さで、仕事ですぐに、へばってしまってます
夏本番で不安デスね
とりあえず、熱中症で倒れないようにしないと…
アリスが創りだした様々なダンジョン、そのダンジョンで敗れた神たちを回収する者達が2人。
ダンジョン卵壁で、倒された神2人の元に人影が近付く。
「ハンプティとダンプティ、倒されるの早すぎだにゃ」
「「…」」
気絶した2人を担ぎ上げ、ニヤニヤ笑うのはチャシャだ。
「ま、相手が悪すぎたのもあるにゃね…、四大竜王とアックウーノ大陸の上級神じゃ無理だにゃ」
ハンプティとダンプティを抱えたまま、体が透明になっていく。
口元は未だに笑っていた。
狂宴の森では、白うさぎちゃんが三月眠りの帽子屋を、懐中時計のアイテムで城へと落とした。
「相手は神でもないのに、負けるなんて情けないぴょん、後でお説教だぴょん」
その時、アリスから通信魔法で連絡が来た。
通信が切れると、彼女は懐中時計を使い穴を作り、中に入っていった。
向かうは王顕の居る”ハートの館”だ。
最後のダンジョンであり、上級神アリスの陣地もある広大な森。
その中を、王顕を除いた4人が別の所から城に向かい、歩み進んでいた。
「おりょ」
「―」
「イジェにミクトルン、無事だったみたいだね」
「…ミクトルンが目立ってくれたお陰で、簡単に合流できましたね」
「おう、叉夜にルカも無事じゃ無さそうだけど、生きてれば良いさ」
「―お兄ちゃん知らない?」
ミクトルンは巨大化した体を元の大きさに戻し、合流した2人に問いかける。
叉夜がルカを肩に掛け直し、問いに答える。
「こっちはご主人様と合流できてないよ…、その様子だとそっちもみたいだね」
「うむ、王顕はどうやら、吾等よりもこの場所に来る条件が厳しいようだな」
「どうしますか?、私たちだけで、城へ向いますか?」
「いや、相手は上級神…、しかもあの城はアリスの陣地だ、迂闊に入れば何が起こるかわからんぞ」
「「…」」
4人は王顕を待つことに決め、辺りの木々を切り開き、広場を造り安全を確保する。
さらにミクトルンとイジェメド2人で、切った木を使い小さな小屋を造りあげた。
ルカは1番消耗していたので、小屋の奥に寝かせ叉夜が付き添う事になった。
小屋を造った2人は、食料の調達と周囲の警戒に向う。
不思議な城、アリスの部屋。
アリスはベットに仰向けになり、枕をギュッと抱きしめながら、鏡に映る王顕の様子を覗いていた。
ここまで自分の創ったダンジョンを、クリアした者は今までに居なかった為、興奮を抑えられず頬を染め息を荒げていた。
「ハア、ハア、これで87個所目だよ~、はぁ~、王顕くんが来るまでの最高記録は勇者の62箇所なのに~、良い王顕くん良いよ~、アハハハハハ」
彼女はベットから下りると、服のホコリを払うように両手でパンパンと叩き、鏡で自分の見た目を確認し部屋をでる。
長い廊下を、鼻歌交じりにスキップしながら進む。
「アッハ、全部クリアしてから来てもらおうと思ったけど…、もう待てない!、次クリアしたらここに転移してもらおっと」
アリスは、彼女の最強の使徒が居る部屋へと向っていた。
王顕は、ひたすらダンジョンをクリアしまくっていた。
広大な迷宮に、氷の洞窟、火山地帯、毒の沼地などなど、この様に全てのダンジョンが違う場所だから、飽きはこないが、流石に他の奴等の事が気にかかっていた。
もちろん今までにダメージを受けることも無く、全てを3分以内にクリアさせている。
そして今回は、屋敷の前に転移してた。
因みに今の装備は、破魔の衣だけだ。
「どうすっかな…、もう異界喰とギガポーションを連続で使うかな…」
欲界の倉庫を使い、中から槍と瓶を取り出す。
「さて」
投擲の姿勢に入ったその時、空から見知った奴が落ちてきたのが見えた。
槍を地面に突き立て、落ちてくるバニーガールを待った。
(…良い尻してるな)
そんなくだらない事を考えながら、欲界の倉庫からアイテムを取り出す。
”隷属の首輪”。
銀色でごつく、前の方に鎖が付いている首輪だ。
効果は、自分よりレベルの低いモンスターを手下にできる。
レベルの差が、有れば有るほど隷属しやすい。
ただし、ボスなどには仕様できない。
「さてと…、神様や使徒には使えるのやら」
白うさぎちゃんが、王顕の3メートルくらい前に着地する。
頬を膨らませて睨んでいる。
「よう!久しぶりだな~うさぎちゃん、何しに来たんだ」
「その槍を使おうとしたから、止めに来たぴょん」
「何で?、最初は使っても何も言って来なかったよな」
「それは、今居るこのダンジョンをクリアすれば、次はアリス様の城に行けるからだぴょん」
「じゃあ、使った方が俺は楽じゃんか」
白うさぎちゃんは、持っていた杖を王顕へ突き付る。
「それだと、折角こちらが準備した事が意味を無くすぴょん」
「準備ね~、どうすっかなぁ~」
王顕は槍を持ちクルクル回しながら、挑発的な物言いをし、相手の出方を見る。
「そんな事言わずに、お願いぴょん、今回はちゃんとこのダンジョンの主も居るぴょん」
「…主ねぇ」
「そうだぴゃん、この屋敷の奥には神が居るぴょん」
この大陸に来て、王顕は数々のダンジョンをクリアしてきたが、どのダンジョンにも主が居らず転移のみだった。
だから白うさぎちゃんの言う事が本当ならば、興味はあった。
顎を右手でさすりながら、頭を傾けて考える。
異界喰を欲界の倉庫に投げ入れる。
「ははっ、良いよ今回は使わないでおく」
王顕は屋敷を自分の足でクリアすることにした。
白うさぎちゃんは、ホッとした様に胸を撫で下ろす。
「槍を使わないか、離れてちゃんと見てるぴょん」
「あ、そうだうさぎちゃん」
「何だぴょん?」
立ち去ろうと、懐中時計に視線を落としていた白うさぎちゃんは、王顕の呼び掛けに応じる様に視線を彼に向き直す。
すると、目と鼻の先に王顕が接近していた。
「ハッハァ!」
「!!ツッ??」
思いもしていなかった出来事だったが、それでも神の使徒だ、反射的に王顕から離れようとする。
だが遅い。
王顕は手にしていた首輪を使う。
ガチャン
白うさぎちゃんの首に、似つかわしくない首輪が付けられた。
「な、何するぴょん、これを外すぴょん」
必死に手で取ろうとするが外れない。
王顕はニヤリと笑う。
「さて、ゲームでは簡単な命令しか出来なかったが…、う~ん、うさぎちゃんお尻でうさぎって書いてみて」
「はぁーーーーー、そんな恥ずかしい事できるわけが…って、あれ、体が勝手に…」
「おお~、ふむふむ」
白うさぎちゃんは王顕の方にお尻を突き出すと、腰を動かして、こちらの世界での文字でうさぎと書く。
王顕は腰を屈め、その様子を観察する。
彼女がうさぎと書き終わると、しばしの沈黙。
後を向いているので、表情は分からないが肩を震わせている。
「………う」
「う?」
「うああああああああああああ」
白うさぎちゃんは、叫びながら振り向き拳を振るう。
「俺への攻撃を禁じる」
「うっ」
拳は王顕に届かず、目の前で止まる。
首輪の効果は、かなり強いようだ。
言葉にした事は強制的に働く、他にもいろいろ試しとくことにした。
まずは、彼女が持っていたアイテムを渡してもらう。
この屋敷に居る主について語ってもらう。
「ここにはハートの女王が居るぴょん、屋敷の中にはカードの兵が見回ってるぴょん、12の兵を全て倒すと、彼女の部屋の扉が現れるぴょん、最後に彼女に勝てれば転移できるぴょん」
「そっかそっか、じゃあさ、あそこに向ってレベル400の攻撃魔法を使ってみて」
「え、ちょっ」
拒否しようとするが両手は館の方へと向けられる。
そして…次の瞬間。
「フェザー・ハリケーン」
ゴゴゴゴゴオオォォ
超広範囲の風の魔法で、【ワールド・インフィニティ】ではレベル300以下のモンスターやプレイヤーは空に吹き飛び大ダメージを受けた後、高所から落下して物理ダメージも受ける。
レベル300以上でも吹き飛びはしないが大きなダメージを受ける。
それがこの世界だと、白うさぎちゃんから前は大きな台風の中のように荒れている。
木や塀は空に舞い、地面も抉れ、いろんな物が高速って飛来する。
だが、そんな中屋敷だけは無事だった。
「なるほど、あの場所は特殊って訳ね、それじゃ最後にアリスを攻撃してきてくれ」
「それは!!」
屋敷の無事を視認して、安堵していた白うさぎちゃんは、自分の意思とは無関係に体が動き出す。
すぐに向うと思ったが、彼女はその場に踏みとどまる。
「う、うう…」
(強い意志で命令を拒否しているのか…、ここまでだな)
「ほい」
「きゃ」
王顕は首輪を取ってやる。
白うさぎちゃんは、体が自由になりバランスを崩して転んでしまった。
「ごめん、ごめん、さっきのは言いすぎたな」
「はぁ、はぁ、くっ」
「そんな睨むなよ、謝ってるだろ」
両手を合わせ謝るが、睨まれてしまっている。
王顕は首輪の効力がどこまで通用するのか知りたくて、あれやこれややらせていた。
もし仮に、白うさぎちゃんがアリスの元に向おうとすれば、さっきの命令を取り消すつもりだった。
「これ返すよ、それじゃ」
「あっ」
彼女から受け取ったアイテムを全て返して、王顕は荒れ狂う屋敷の方に歩いて行く。
慌ててアイテムを拾い上げ、王顕の方を向く。
「ちょっと、その中を行くのは…え…」
フッ…ガラガラガラガラ…
王顕が強風の中に入ったその時、風が止み空に舞っていた物が重力に従い落ちてくる。
避けずに、いろんな物が当たりながらも歩みを止めない。
扉の前まで来て服に付いたホコリを払い、取っ手に手を掛け中に入っていった。
白うさぎちゃんは、ただただ唖然と彼を見ていることしか出来なかった。
「ひっろいな…」
玄関から入ってすぐに、開けた空間が広がっていた。
室内を観察していると、右の廊下から足音が聞こえてきた。
ぬうぅっと現れたのは、赤いトランプの形をした兵。
平べったい体に手足が生え、甲冑と槍を持っている。
胸には、ハートが3つ付いている。
「…」ブンッ
「おっと、問答無用か」
「…」シュッシュシュ
「ほい、ほい、はい」
「!」
3は無言で槍を横薙ぎし、それが避けられると連続突きをしてきた。
王顕は、槍を避けながら柄を掴んだ。
驚いた3は、力いっぱい槍を奪い返そうとする。
だが、槍はビクともしない。
「ふんっ、オラァ!」
「ッ…」
王顕は槍を引っ張り、3を引き寄せ顔面に拳を叩き込む。
クリーンヒットした。
3は、ボゥンっと煙に変わると、消えて居なくなった。
「よっわ!パンチ1発かよ、まぁいいや、これで1体目だな」
スキル索敵を使い他の奴の居場所を探る。
「ん?、索敵が使えない…」
屋敷の中では、索敵などの他者の居場所を知るスキルやアイテムは使えなかった。
しょうがなく王顕は、3が来た右側の廊下を進み、自分の足で調べる事にした。
廊下を進んで行き、見付けた扉を片っ端に開いていく。
どれも客室のような部屋ばかりだった。
ガチャ
「およ」
「う、ひっく、うっううう」
5つ目の扉を開くと、1人の女の子がしゃがみ込んで泣いていた。
金髪で大きなリボンをして、白と青のドレスを着ている。
スキル他者の把握で、少女のステータスを確認する。
名前はリアスで種族は人、役職は村人でレベルは2だった。
(なぜこんな所に女の子が、隠蔽でステータスを偽ってたとしても、レベルの差が同じか高い相手には通用しないしな…)
王顕は、そっと少女の肩に手を置いた。
「ぴやぁ!」
「おおう」
リアスはかなり驚いて、肩をビクンっと震わせ振り返った。
王顕も少し驚いてしまう。
「落ち着け、俺も人だ」
「あ、ああ、うわーーーーーーん」
「…どうすりゃ良いんだよ」
子供との接し方が苦手で、しかも大泣きし出したら、彼に打つ手が無い。
王顕は腕組し、どうしたものかと考える。
彼はとりあえず欲界の倉庫を開き、港町で買った甘いキャンディを取り出すと、それを与えてみる。
彼女はすぐには受け取ってくれない、何も無い場所から出てきたものだ警戒されるのも当たり前だ。
王顕は、もう1つ同じ者を取り出すと、自分で食べ始めた。
「ん」
「…ぐす」
もう1度差し出すと、今度はぐずりながらも受け取ってくれた。
王顕をチラチラ見ながら、そっとキャンディを舐めると、泣き止みキャンディに夢中になる。
彼女が食べ終わった頃を見計らって話しかける。
「お嬢ちゃんのお名前は?」
「…リアス」
「そっか、リアスちゃんはどうしてこんな所に居るのかな?」
「…森に木の実を取りに行ったら道に迷って、それで気付いたら大きなお家があって、入ったらお化けが居たから逃げてこの部屋に入ったの…」
(確かに港町からの分かれ道、俺らが通らなかった方は森があったな)
「よし、お兄さんがお家まで送ってあげよう」
「送ってくれるの」
「おう、任せとけ」
「おりがとうお兄さん!!」
胸を張る俺に頭を下げお礼を言うリアス。
彼女を護りながら、トランプ兵を後11体倒さなければならない。
「まぁ、余裕かな」
王顕は少女を連れて、部屋を後にする。
少女は、屈託の無い笑顔で付いてくる。
王顕がメインのお話に戻りました
アリスの話は、だいぶ長くなってきましたね
次回は、屋敷のトランプ兵とハートの女王ですかね
それでっは~、次回をお楽しみに




