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いざ不思議なキフォーカ大陸へ

二週間前に、仕事で熱中症で倒れて入院していました

まさか自分が、こんな事になるとは思っていませんでしたね

仕事場の方たちや、友人に大きな迷惑をかけてしまって、本当に申し訳ないです


小説は少しだけ書き溜めていたので、何とか投稿できました

魔王・ベルメスをミクトルンが消して、スクト村に戻った王顕(おうけん)は、誰にも気付かれる事なくその夜に、艶魅(えんみ)とミクトルンを連れ姿を消した。

当然、シャーラは探し周り、見付からない事にキレはしたものの、こうなる事はなんとなく感じていたので、最後はあきらめた様に、王都・シャハラに戻って行った。


「今度会ったら、シャーラの部屋に封印してやるからなあああぁぁーーー」



王顕は、2人を抱えながらテレポートを使い、キフォーカ大陸の港町【ハール】に到着した。

ハールは屋根の低いレンガ造りの建物が多く、港には小型の船が海を隠すように、並んでいる。


「汚いなぁ、まるで生ゴミやわぁ」

「こらこらこら」

「―ゴチャゴチャしてる」

「おいおい」


他の奴らが居る宿に行く前に、とりあえず飯屋に入って、料理を注文すると、店員の目の前で料理にダメ出しをする2人。

普通に美味しそうな鍋なんだが、彼女らのお気に召さないようだった。


「うちは百歩(ゆず)ってええわぁ、でもなぁますたぁに、こんな汚物(おぶつ)を出すんわ許せんわぁ」

「―お兄ちゃん、ミクは食べなくても生きていけるよ」

「ふん!」


お金をテーブルに置くと、2人を手を掴んで店の外に逃げた。

店から離れた路地裏に入り込む。

体力的な疲れを感じるのはMPを減らしまくった時だけだが、精神的な疲れはいつ襲ってくるか分かったものではなかった。

2人は不思議そうな目をして、王顕を見ていた。


「なんで店を出るんかぁ、しかもあんな汚物に金まで置いてなぁ」

「艶魅」

「なんy…」


ズアアアアアアアアア

問答無用で、人形の彼女を抱きかかえると、欲界の倉庫(たけじざいてん)を開き放り込んだ。

ここぞと言う時以外は、彼女を出さない事にした。

スクト村での彼女のお願い愛でる事は、彼女と共に一夜を過ごす事だったが、冥府(めいふ)に引き()もって、数億年の間、遊ぶ事しか知らない純粋なミクトルンの居る前でそんな事できない。

なので艶魅には頭を撫でてやる事と、人形の体の手入れで、分解した体を拭いて満足してもらった。


(それにしても、分解できた体を自分で動かせてたな、ちょっとしたホラーだわ、でも触り心地は柔肌(やわはだ)でスベスベして…、何考えてんだ俺!!)

「―わぁーーーー」パチパチ


ミクトルンは艶魅の消える光景をみて、ビックリしながら拍手していた。

手品でも見ている感じだろう、楽しそうにしていた。

最初に出会った頃は、暗い無表情で戦い(あそび)の最中は狂喜の笑みって感じだったが、今では優しい笑顔を見せてくれる。

だがここで問題がある。

彼女が歩くと必ず、足跡が付いてしまう事と、見た目が際ど過ぎる事だ。

この2つの問題点を解決する為に、今は飛翔(ひしょう)のマントを装備させている。

常に浮いていれば重みは関係なく、マントの大きさ的に彼女の体をスッポリ隠せる。

ちなみに王顕は執事服だ。

…彼女との戦いで、無量大数(むりょうたいすう)にヒビが入ってしまったので、どうにかしなければいけなかったが、(なお)し方が分からなかった。


「…装備って直せんのかな…」


2人で、他3人が待っている筈の宿を探す。


「この港町の宿は全部で4つ、あいつらの性格なら叉夜(さよ)は落ち着けそうな丘の上に行きそうだし、ルカは後々の事を考えて1番安い宿に、イジェは逆に1番高い宿だな…」

「―お兄ちゃんの家族?友達?」

「まぁ家族だな、ミクにとってはお姉ちゃんかな、だからってお姉ちゃん達は体弱いから遊ばない、良いね?」

「―ミクは、お兄ちゃんと遊べたらそれで良い!」

「うん、良い子だ」

「…///」


撫でてやると、嬉しそうに抱きつかれ、そのままの勢いで肩車をする形になった。

とりあえずは、近場の宿から当たる事にした。

港近くの、ボロボロの宿として有名な場所で、その代わりタダ同然の値段で泊まれるらしい。

そして結果、居なかった。


「居なかったな、てか流石(さすが)にあんな所には泊まらんよな…」

「―なんで?、ミクが居たとこより生気に溢れてたし、光りも部屋に入ってきてたよ」

「…黄色と黒の警戒色したフナムシのデカイ奴に、穴だらけの壁と穴だしな」

「?」


レンガ造りの町並みなのに、あの宿は何故か木造で腐れて崩れかけてるし、宿の主は管理をまったくしていなかったらしい。

さすがにあそこに泊まっていたら、勝手に居なくなった彼の立場的に申し訳なさ過ぎる。


「次の宿だな…」

「―お兄ちゃん、あれなーに」


次の宿に行こうと歩き出すと、肩に乗っかっているミクトルンが何かに興味を持ち、王顕の頭を両手で動かす。

なかなかの勢いで、頭を動かされたので、首から変な音がした。

彼女が気になったのは、出店で大きな肉の(かたまり)を売っていた。


「あ〜、何だろな、行ってみるか?」

「―ン、ン」コクコク

(小さな子は、仕草が可愛いな)


店には、あんちゃん(猫耳)が1人で店番をしていた。

肉はかなり大きく、表面をこんがり焼いている。

切り分けた重さにより、値段が変わる様だ。

そして、店には4つの塊があった。


「はい、いらっしゃい、ハールの名物、クーバラの肉だよ」

「クーバラ?」

「ありゃ、知らないのお客さん、さては違う大陸から来たね、クーバラは海に生息するデッカイ奴さ」


あんちゃんの商品説明は適当だった、後でルカに聞くと小型の(くじら)に似た奴だと分かった。

どんな見た目の肉か分からないから、買うか躊躇(ためら)っていると、頭上の彼女はジッと肉を見詰めていた。


「子供にも、人気の商品ですよ」

「――――」ジーーーー

「食べるか?」

「―ン」コク

「お子さんの為にどうです?」

「いや、俺の子じゃ…、妹みたいなもんだよ、そうだな…あんちゃんそれ1ついくらだ?」

「こ、これ1つですか?」


王顕は、まだ切られていない塊を指差した。

からかわれていると思いながらも頭に手をやり、答えてくれる。

値段は青貨10枚らしかったので、王顕は銀貨1枚を渡し4つ全て買った。

お釣りに青貨60枚を受け取る。

肉は鉄の棒に刺さった形で、とりあえず食べやすい様に切り分けてくれた。


「ま、まいど、ありがとうございます!!」


油の(にじ)まない紙袋を12袋渡され、受け取り今度こそ宿に向かう。

欲界の倉庫(たけじざいてん)に袋11袋を居れ、残した1つの袋に、銀のフォークが入っていたので大き目の肉を刺して、肩から下りたミクトルンに手渡す。

片手にフォーク+肉、空いたもう片方は王顕の手を掴んでいる。


「―もきゅもきゅ」

(かわいいな…)

「美味いか?」

「―もきゅもきゅ」

「…」


食べる事に夢中になっていて、答えてくれない。

彼女が食べ終わる頃に、2つ目の宿に着いた。


「今度はまともそうだな」

「――」


2つ目の宿はちゃんとしたレンガ造りの宿で、見た感じレンガ倉庫だ。

中は外の見た目とは違って、綺麗で良い家具や置物が置いてある。

フロントのお姉さん(猫耳)に、変な3人が泊まってないか聞いて見ると、竜人と蟲人と人猫の3人でチェックインした怪しい3人が居るとの事だった。


「ビンゴ、良いとこ選んでるな」

「ご連絡いたしましょうか?」

「頼む」

「少々お待ちください」


彼女は右耳に手を()えると、手の甲に小さな魔方陣(まほうじん)が浮き出る。

通信できる魔法のようだ。


「お客様、フロントの方にお客様にお会いしたいと言う方がお見えになっておりますが…はい、はい、少々お待ちください、…あのお名前の方の(たず)ねられてますが…」

(この用心深さはルカだな、他2人が通信に出たら、客人と言われただけなら、叉夜だったら、自分の目ですぐに訪問者が誰かを確認しに来るだろうし、イジェはめんどくさがって追い返しそうだ)

「あの~」


彼女らの事を考えて答えてくれない王顕に、不安そうな顔でフロントのお姉さんが、顔を(のぞ)き込んでいた。


「ああ、ごめんごめん、それじゃあイヴィルが来たと」

「あ、はい、イヴィル様ですね、……お待てせいたしました、訪ねて来られた方はイヴィル様で、あ、はい、かしこまりました、すぐに来られるそうです」

「ああ、分かった、そこの椅子で待たせてもらうよ」

「はい、お飲み物お持ちいたしましょうか?」

「そうだな、じゃあ甘いものをこの子に1つ」

「――」

「かしこまりました」


飲み物代で払い(銅貨5枚だった)、椅子に腰掛けると膝の上にミクトルンが乗っかって来る。

どうやら彼女は、この場所がお気に入りの様だ。

フロントに居たお姉さんとは、違う女の人が飲み物を持ってきてくれた。

黄色いジュースで、柑橘系の果実が三日月にカットされ、コップに添えてある。


「お待たせしました」

「―ありがとう」

「どういたしまして」


ジュースを受け取りミクトルンがお礼を言うと、女の人は笑顔で手を振ってくれた。


(見た目はたんなる幼女だしな…)

「―ン、ン」


コップを傾け、少しずつジュースを飲んでいる。

娘を持った父親って、こんな感じなのかと想いに(ふけ)る。


(ついつい甘やかしてしまうな…)

「―お兄ちゃんも飲む?」

「ん、全部飲んじゃっていいよ」

「――うん」


ニコッと笑う彼女に癒される。

今まで王顕の周りに居る女達は可愛いし綺麗だが、かなり肉食系なとこが有ったから、本気で和んでいた。



数分前、肉食系女子は、三人とも宿の借りている部屋に居た。

どこか落ち着きの無い、ソワソワしている叉夜。

暇を持て余して、イライラしているイジェ。

静かに目を閉じ、主の帰ってくるのを待つルカ。


「あ~~ああ~~~ああああ」

「うるさいぞ、黙ってられないのか?」

「ううう、だってぇ、だいたいイジェがご主人様をちゃんと止めないから、こんな事になってるだよ」

「ふん、友が1人で行き、解決したいと言ったのだ、そんな言葉を言われては止められん」

「…う~うう~~」


叉夜は唸りを上げ、羽毛ベットでゴロゴロ転がっている。

その様子に、イライラが増したイジェが注意する。

彼女達は王顕が居なくなって、ハールに着くと、彼の言うとおり宿を取り、待ち続けている。

その時、フロントからの通信魔法が入った。

時間はちょうど昼時、ランチをどうするかの連絡だろうと皆は思った。


「はい、こちら009号室です」


通信を取ったのはルカだ。

冷静な顔で話をする。


「来客?、その方のお名前は分かりますか、…はい、分かりました、今から向います」


通信を切ると、2人の元へ歩み寄り話す。


「どうやら(わたくし)に来客のようですので、エントランスに行ってきます」

「え~、来客って誰?」

昨日会った(・・・・・)アイテム屋の方です(・・・・・・・・・)

「アイテムか、ご主人様が居れば必要無い気がするけど…」

「主様に頼りっきりでどうするんですか、海賊の件で私達も力になろうとそう、決意したでしょう」

「う、そうだね…」


平気な顔をして嘘を付く。

ルカは王顕を1人で迎えに行って、先に甘え様と考えていた。

叉夜は、イジェに続いてルカにまで強く言われ、おとなしく体を丸めた。


「はぁ、王顕を待ってても腹は減る、(われ)らは、先に食堂に行っているぞ」

「う、うん、そうだね…、ルカも早く用事済ませて、食べに来なよ」

「分かりました、なるべく早く向います」


ルカはテレポートを使い、エントランスに転移した。

すぐに王顕に気付く、後姿だが匂いと気配で感じ取る。

タタタタタタタタタタ


「主様ぁ!!、私とても心細かったです!!」

「ル、ルカ!」

「―――――ん?」

「え…」


ルカがメイド服をなびかせ、抱きつく勢いで駆け寄って来たが、途中で止まった。

信じられないものでも見たかのように、固まっている。


「あ、ああ主様、その子はいったい…」

「へ、ああ、この子は俺の妹だな」

「―お兄ちゃん」

「主様の妹!!」

(お子様では無いのですね、安心しました…)

「主様にご兄妹が居られたとは…」

「妹つっても義理みたいなもんだけどな、アックウーノ大陸に戻った時になついてな」

「―お兄ちゃんは家族」

「主様は、何しにアックウーノ大陸に戻られたのですか…」

「…それについては、皆の前で話すよ」

「…かしこまりました」


ルカは甘えるどころか、精神的ショックを受けてしまった。

だが、彼女の最後の質問に、露骨に暗くなる王顕に冷静さが戻ってきた。

ルカに連れられ食堂に向う。

ミクトルンは王顕の手を握って歩く。

食堂に着くと、他2人が食事の最中だった。


「よっ」

「え…」

「ぶぅーーーー」


王顕が右手を挙げ、目の前に現れた事に戸惑う。

叉夜はフォークに刺して、口に運ぼうとした肉団子を落とした。

イジェメドは口に含んだ水を噴出し、隣の客に浴びせていた。


「お、おう」

「―クスクス」

「何をやっているんですか…」

「え、ええええええ、ルカこれどう言う事!、貴女さっきアイテム屋と会うって」

「お前ウノルルでした約束を忘れた訳じゃないだろうな」

「アイテム屋の方に会った後に、主様と会ったのです」

「「…」」

「おいおい…」


もめている3人を落ち着かせ、広めのテーブルに移る。

そこでスクト村の事、魔王・ベルメスの事を語った。


「あの村の人達が…、優しくて温かい人達だったのに…」

「…あの方達は死んでしまったのですね…、そしてその事に気付いた主様が1人で元凶を倒しに…」

「そんな事があったのか、で、魔王は倒したんだな」

「ん、ああ、彼女がな」

「――もきゅもきゅ」

「「…」」


真実を告げると、静まり返る。

ミクトルンは、王顕の膝の上で肉を両手で掴み食べていた。


「ご主人様、魔王との戦いで頭を怪我したんじゃ…」

「主様は、何を(おっしゃ)っているんですか?」

「…」

「いやいや、ホントだって!なぁミク!」

「―もきゅもきゅ」

「可愛いーーー、この子凄く可愛いよご主人様!」

「――もきゅもきゅ」

「叉夜、彼女は主様の義妹(いもうと)何ですよ、無礼です」

「いいって、ルカ」


叉夜は、思わずミクトルンに抱きつき(ほお)ずりする。

その行為を注意するルカ。

イジェメドは黙ってその様子を観察している。

ミクトルンは肉に夢中。


「皆も家族なんだ、気楽でいいだろ、ルカだって俺なんかより年上だしお姉さんだろ、ルカお姉ちゃん」

「ルルルゥ、ルカお姉ちゃんっ///」バタ

「お、おい、ルカ大丈夫か」

「は、はい何とか…//」


ルカが倒れて顔を両手で隠し、残りの手はフルフル震えていた。

そこでイジェメドが話をふる。


「王顕、そのこの名前は?」

「あ、ああミクだよミクトルン」

「…本物か…」

「どう言う事か分からんが、彼女はそう言ってるし、ステータスも確認してる」

「お前は、吾を飽きさせないな」

「?」

「そいつはな、吾の生まれる前話だが…」


ミクトルンの過去の話をイジェメドから聞き、それでも彼女を仲間として、家族として迎える事に反対する者は居なかった。

今回の”王顕失踪(しっそう)”の話を終え、彼女らの泊まっている部屋に向い、これからの事についての話に移る。


「この大陸の最終目的地は、スティユラだ」

「アリスに会うのか、奴は狂っているぞ」

「楽しそうじゃん」

「はぁ~」


狂った神に、気をつける様にイジェメドに言われたが、軽く返事を返す。

その軽い考えに、彼女は大きなため息をついた。

他の女の子達も頭を抱えていた。

ちなみにミクトルンはベットで寝ている。

ベットは凄い勢いで沈み、今にも壊れそうだが、魔法で簡単に壊れないように出来ているらしい。


「じゃあ、明日次の村に行くぞ!」

「はい」

「準備は今日中に済ませます」

「忠告はしたからな友よ」

「―スースー」zzz


最後に明日の目的地を決め、夜はパーっと盛り上がった。

辛い事もあったが、そればかりでは無い、彼女らの様々な反応がそれを物語っている。

主の帰還に盛り上がった彼等は、まだ知らないこの大陸でまた離れ離れになってしまう事を…。

はい、戦いの後は平和な日常ですよね

なので今回は、なるべくゆったりと和める話が多くしてあります

次回は…ちょっと趣向を変えたいと思います

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