海賊の末路はこんなもんだよな
梅雨の時期です、夏になってきたのに寒いくらい
70人も読んでくれる人が居てくれると、ドッキドッキですね!!
感謝ですよ!
大事なお知らせです
もうそろそろ正社員として仕事を始めるので、今まで週2回投稿していましたが、週1回投稿になるかと思います
読んでくださっている方には迷惑になると思いますが、どうかご容赦お願いします
王顕はイヴィルと言う無敵の肉体で、圧倒的な攻撃力と防御力、スキルを備え、神すら瞬殺し地形を変えるほどの武器を持つ。
弱点も無く、敵も居ない存在だと驕り始めた頃に、イジェメドに経験不足を指摘されたが、その後に自分の素性を話し、仲間達とさらに絆を深める事ができた。
ウノルルを出航し、2日目。
1日目はあの後、食事と風呂に入ったら、そのまま各自船室に別れ眠った。
丸い窓から差し込む光が眩しいが、ふっと陰りができた、誰かが窓の前に立ったのだろう。
目を擦り、起き上がる。
「お、起こしてしまったか?」
「…イジェか」
「うむ、おはよう」
窓の前に居たのは、同じ部屋に寝た(もちろんベットは別)イジェメド。
意識が鮮明になり、彼女の姿をしっかり認識した時、すぐに目を反らした。
「イジェ!、何で服を着てないんだ!」
「それはもちろん、お前に初めてを捧げたからさ」
「…………」
彼女は青い肌を晒したまま、キョトンとした顔で、サラッと真実を告げた。
彼は今の言葉の意味がよく理解できないでいる。
気付くのに遅れたが、王顕も裸だった。
シーツには赤いものが…。
(え、何、俺の寝てる間にイジェは股がってたと…)
「てか!、気付けよ俺!!、いやいや、イジェもこういう事は互いの同意がな」
「少し違和感が残っとるな、吾は吾は汗を流しに風呂に入るぞ、王顕も来るか?」
「…話が通じねぇ…」
彼女は服を着ると、扉に手を掛ける。
出て行く前に、呟く。
「吾も隣の2人と同じく、お前に一生付いていくからな…」
「あ、お、おう、これからもよろしくな」
「ふふ///、ああ、よろしくだ」
彼女らしからぬ、小声でそう言うと、羽をキュっと閉じて振り向き、いつもとは違う優しい笑みを浮かべ、走って行ってしまった。
王顕は、彼女のギャップについドキッとし、見とれて動けずにいた。
その後、王顕はいそいそと服を着て、ルカに魔法を使ってもらい、シーツを洗い乾かしてもらった。
ルカは無言で洗ってくれたが、それはそれで気まずく、魔法を覚えなかった事を少しだけ悔やんだ。
数時間後、船は海から何本もの針状の岩が突き出した、岩礁地帯が見え始めた。
安全のため、乗客たちは甲板に出ないよう、指示されている。
指示に従って、自分の部屋に閉じこもる人達、王顕の仲間達も従い部屋の中で待機している。
「別にこの船は魔法で護られてるから、沈みはしないのに何で外に出られないのかな」
「ウノノルで聞いたのですが、この近くにある無人島に海賊が住み着いて、たびたび船を襲っているとか」
「へ~、でもこの船を襲ったら、運が無いとしか思えないね」
「そこは同意します、もし海賊と遭遇するような事態になれば、主様の手を煩わせる前に、私達で片付けましょう」
「うん、そうだねボクもご主人様の役に立つんだから」
叉夜とルカは立ち上がると、光に包まれる。
ルカは、細く所々穴の開いた4本のランスを取り出し、さらにメイド服の上から、両腕両脚と胸に青い鎧を纏う。
彼女の戦闘態勢で、王顕が授けた物、いつもは魔法で小さくして邪魔にならない様に所持している。
武器の名は”ライフイーター”倒した敵に応じてHPを回復し、倒せなくても毒を与える。
防具は”魔力代わり”効果を発動すると、常にMPを少しずつ消費する代わり、ダメージを半分にする、レベル300なら1時間は効果を保てる。
叉夜の武器は、神獣の爪で、4本のかぎ爪の付いた手甲で、毒、麻痺、火傷、呪いの4つの状態異常のバットステータスを与える。
防具は大将の軍服で、黒い軍帽にドイツ軍の軍服に近い服で、長めのスカートは脚が見えるように縦に切れ目が入っている、効果は神獣の爪と逆でバットステータスの無効化。
2人がやる気になっていると、ガチャっと部屋を開ける音に身構える。
入ってきたのは、王顕の部屋に居るはずのイジェメドだった。
「お前らは部屋を出なくても良いぞ、王顕自信が、この船の船長に頼まれた事を自分でやるって言ってるからな」
「…それでも、メイドとして主をみすみす危険な場に、1人向わせられません」
「うんうん」
扉の前から動かない強者に、されど武装解除せず、退こうともしない眷族2人。
「くっくく、ガハハハハハ」
「「?」」
急に笑い出したイジェメドに訝しげな、視線を送り、身構える。
強行突破も辞さない姿勢だが、彼女は十分笑うと扉から身を引く。
どういう積もりか分からず、動かないで居ると、話し掛けて来た。
「どうした?行くんだろ?、王顕は甲板に居るぞ」
「え、でもイジェはボク達を行かせないために、来たんじゃないの?」
「…」
彼女の今の行動がよく分からなかった。
叉夜は頭に?を浮かべながら、どうしようかとルカに視線を送る。
ルカは以前として、ランスを構え警戒したままだ。
イジェメドは、頭を振り、ため息混じりに答る。
「吾はお前達と違い、王顕の友だ、故に奴のお願いにそこまで強制力は無い」
「自分勝手な解釈ですが、分かりました、貴女はどうするのですか?」
「もちろん吾も付いて行くさ」
こうして、3人は甲板を目指した。
船長は船の舵を握り締め、いかなる事態になろうとも最善を尽くすつもりでいる。
彼の視線の先には、ついこの間雇ったイヴィルの姿。
「来ないなら来ないで安心するが…、いざって時は頼んだぜ、あんちゃん」
帽子を指で摘み、被りなおす。
もうすぐ岩礁地帯の入り口、いつ襲ってくるかも分からない。
船員達も戦えるように、準備をしていた。
甲板の先頭。
彼は船長からの篤い期待に気付かず、潮風を浴びながら、目の前の光景に感動し、ニヤケていた。
「スゲー、スゲー何これ、どうやたらこんな風に岩が残るんだ、あ~写真があったら写して残すのに…」
海底深くから延びた岩は何十、何百、何千と海から突き出て、岩の表面には幹の短い木々が生え、鳥や小さなドラゴンが巣を造っている。
スケールが違う、360度見渡す限り海から巨木が伸びている様に見える。
「ああ~、異世界、異世界ホント最高だな」
岩礁の岩を避けながら、船は進んで行く。
王顕は索敵を使い、周りに不審な奴が居ないかを探る。
この大きさの船がやっとで通れる場所を、どこにもぶつける事なく、進めるのは船長の腕が良いからだろう。
「お、何か居たな」
20メートル程進んだくらいに、索敵に周りのモンスターとは違う反応があった。
場所は右前の奥、岩礁に生えた木の影に隠れている様だ。
暗殺者の面で気配を消し、テレポートをし、その場所まで行く。
「成る程ね、見張りか」
そこには、木の幹に小屋を造って、その中でこの岩礁地帯に入ってきた船を見つけ、島に連絡する様になっていた。
連絡には鳥を使い、伝書鳩の要領で伝える。
面白く成りそうだから鳥は放っておく。
まずは監視小屋の破壊から、片手を上げる。
「斬首手刀」
ドキャ
小屋を木もろとも破壊。
中から男が1人海に落ちていく、ビル20階くらいからのダイブ、まぁ普通の人なら死ぬ高さだ。
確認しに下りていくと、さっきの斬首手刀で既に痛手を受けていたが、死んではいなかった。
見た目は手と足に水かきがあり、鰓に鰭が付いた姿。
「頑丈だな…、レベルは4魚人の海賊っと…、魚人か海だしな」
引き上げると、ポーションを頭から掛けてやり、HPを回復させる。
傷は癒してやったのは、質問をする為だ。
仮面を取り、姿を晒す。
「!!」
「よう、お前は海賊の仲間だよな、どんな手段で船を襲うのか教えくれねぇかな?」
「貴様、いったい何者だ、こんな事をしてただで済むと思って…」
「指1本動かせないくせに、粋がるなよ」
麻痺薬をポーションと一緒に掛けたので、1時間は身動きできないだろう。
「自分の状況と、敵をこの距離まで接近されて、周りの状況判断をするのは遅すぎるぞ」
「くっ、どうせあの船の用心棒だろうが、俺達の船長には既に手紙を送っている、この岩礁地帯を出る前に、お前の護る船は我々で全て奪う、金も女も命もだ、ガッ」ゲシッ
やる事は山賊と変わらんらしい、聞いてて良い気分では無く、思わず海に蹴り落とした。
どこで海賊達が襲ってくるのか聞き忘れたが、彼の張った結界はそう簡単に壊せないし、それに今回は仲間達だけでなく乗客や船員を護るため、本気で海賊の相手をする事にしている。
王顕はテレポート-で船に戻ると、装備を変更する。
”ヴォーダンβ”。
8本の石弓、ヴォーダンαと比べると大きく1本7メートル程で、ゴツゴツとした表面に女神像が彫られている。
使うのに常時MPを消費し、【ワールド・インフィニティ】では使い始めて、10分でイヴィルのMPを0にしてしまう。
自動迎撃の武器で宙に浮き、攻撃は出来ないが、遠距離からの相手の攻撃には物理、魔法、トラップ、スキル全てに反応し、無力化する。
「さぁ、どこからでも来やがれ」
10時間後、日も完全に傾き夕日が赤く輝いている。
常時索敵を掛け、甲板で待ち続け立っている男の後姿が悲しく見える。
拳を震わせ、天に向かって叫ぶ。
「何で来ねえええんだよおおおおおおおおぉぉぉ!!」
その姿を、陰ながら見詰める3人組。
王顕が戦う時に、一緒に戦う為に控えている。
「とうとう、襲って来なかったね」
「岩礁地帯の出口まで後少しですが、油断はしないでください」
「それにしても、あの武器見た目は聖なる物だが、漂う気配は禍々しいな…」
3人は息を潜め隠れている積もりだろうが、バッチリ王顕の索敵に引っ掛かっているので、バレバレである。
そんな中、船員の1人が船内から、王顕の元にやって来た。
「やあ、ご苦労さん、食いもん持ってきたんだ、食うだろ?」
「あんたは…、ありがたい、もらうよ」
その船員は王顕が最初に腕相撲をした人だった。
大きな手には飲み物と、焼き魚とパンを持っていた。
その場に座り、甲板に料理を並べ、2人で食べる。
「もうすぐこの岩礁地帯を抜ける、奴らは来なかったな…、あんたには無駄足だったが、これで一安心だ」
「…油断は禁物だ、海賊は必ず攻めて来る、そしてたぶん奴等が攻めてくるとすれば…」
飲み物を口に含んだと同時に索敵に引っ掛かった。
岩礁地帯の出口を塞ぐ様に、何人もの反応。
(この配置、船が2隻か、いや奥にも3隻…)
「船長に伝えてくれ、お出でなすった」
「海賊か!、どこに!」
「この場所の出口に待ち構えてる、乗客を絶対外に出すな」
「わ、分かった!」
彼は慌てて船内に戻り、少しして鐘を鳴る。
緊急事態を知らせる鐘だ。
船のスピードを落としながら、ゆっくりと進むと、目の前に海賊船が見えてきた。
船は全部で5隻、海賊に数は1隻につき約50名、合計およそ250は居るだろう。
「待ちくたびれたぜ」
「ご主人様!」
「主様!」
眷属2人が王顕の前に出る。
互いに彼が渡した武器と防具を装備し、いつでも戦えるようにしている。
王顕のために戦おうとしてくれるのは嬉しいが、男としては女の子に護られるのは面白くない。
「ここはボク達に任せてよ、マガイの時は足を引っ張ちゃったから」
「いやでもな、これは個人的に俺が頼まれた事であって、お前達に…」
「主様が受けた依頼は護衛、船を護ることです、海賊の討伐ではありません、なので私たちが奴らを沈めます、主様は船に飛んでくる火の粉を払ってくれるだけで良いのです」
「しかしだな、お前達…」
「ご主人様…」
「主様…」
2人はマガイの時に神を倒しきれなかった事、自分達の主が最後手を下した事で、主の手を煩わせたと思い、気に掛かっていたのだろう。
そして今度こそ、主である彼の役に立ちたいと本気で挑もうとしている。
(そんな目で見られたら断れねえな…)
「よし、分かった!、ここはお前達に任せる」
「うん!」
「承りました」
「…それとな、お前達は良くやってくれてるよ、本当に感謝している」
「え、えへへ、褒められちゃった///」
「………勿体無きお言葉です///」フルフル
王顕は今回は手を出さず、船の護りに徹する事にした。
そして彼女達が敵の船に向う前に、感謝の気持ちを伝えた。
叉夜はモジモジしながら、猫耳を細かく動かし、照れていた。
ルカは優しい笑みを浮かべ、胸に右手2本を当てながら、頭を下げる。
そこでやっと気付く事が1つ。
王顕は周りを確認し。
「2人とも、イジェは?」
「え?」
「…どこに」
彼女達と一緒に居た、イジェメドの姿が見当たらなかった。
索敵で探そうとした瞬間。
ドゴーーーン
「海に飛び込めーーー」
「神の裁きだ…」
「助け…ぎゃあああああ」
後ろに控えていた海賊船3隻の内、こちらから見て右側の船が爆発炎上。
沈みはしていないが、海賊達は慌てて海に飛び込んでいる。
「ガッハハハハハハハハハハハハハハハハ」
彼女は大笑いしながら、空を飛び、遠距離から火の魔法を連発していた。
船1隻が沈むのに、3分も掛からなかった…。
すぐに次の攻撃に移る。
竜化した両手を上げると、巨大な火の玉が生み出される。
「炎帝」
火の玉は青く輝き、そのまま船に落とした。
残り2つの船は両方沈んだ。
そのまま火の玉が海に入り、大量の蒸気が発生する。
イジェメドは、海に逃げた海賊を追うように、今度は笑いながら海に飛び込んでいった。
「「…」」
その光景を無言で見詰めていた王顕達、船の船員達も呆気に取られていた。
目の前の海賊船2隻は、後ろの船が沈んだのを見て、逃げるように動き出した。
動きはそれほど速くない、その動きに気付き眷族2人は船を飛び出した。
「逃がさない!」
「サンダー・チェーン!、フンッ」
どちらもフライトを使い空を飛び、ルカはランスを1本投擲し、先頭を走っていた船に命中させる。
魔法で雷の鎖を作り、ランスと繋げていたので、力一杯引っ張ると、船が傾いた。
さらにサンダー・チェーンの効果で船内に放電を撒き散らす。
船内では魚人が黒焦げになっているだろう。
前の船が傾いた事で、後ろの船も止まる。
スタッ
海賊船の甲板に叉夜が下り立つ。
「貴方達は悪い人だから、容赦はしません」
彼女のスキル先止めが発動する。
相手の先を行く、今までは感情が高まった時にしか使えなかったが、今ではレベルが上がり自由に発動できる。
船に乗っていた海賊を数人、神獣の爪で切り裂いた。
「ちなみにボクは、逃げる者は追いませんから」
その一言で、海賊達は一斉に海に飛び込んだ。
だが、彼らが飛び込んだ海には竜の姿に変わった、イジェメドが大暴れしていた。
こうして待ち構えていた海賊は、居なくなった。
「俺の存在意義の無さ…」
この後、船長と船員達が俺達の働きを感謝して、豪華な食事を準備してくれた。
王顕は実質何もしていなかったので、女3人が歓迎されている形だ。
叉夜は慣れない歓迎に、アタフタしている。
ルカは冷静に、船員達の歓迎をあしらっている。
イジェメドは豪快に酒を飲み、騒いでいる。
「場違いだな俺…」
彼は酒瓶を数本持ち出し甲板に出て行く。
星空を眺めながら、瓶ごと酒を飲む。
「ふぅ、うめぇ…」
これからキフォーカ大陸に着くまでの残り2日。
王顕にとってはつまらないが、何事もなく到着するのが1番だ。
その日は少し飲みすぎて、熟睡した。
アックウーノ大陸の北東にある枯れ果てた森、その中にある不気味な雰囲気の城。
魔王・ベルメスの城。
王顕が送り込んだ、レベル80のアンデット達の襲撃で痛手を負ったものの、魔王に仕える魔将・ドリスと同じくメフィトスにより、アンデット達は消滅させられた。
同日、スクト村の村人全員が悪魔達に殺された…。
今回は海を航海しながら、女達による海賊退治、そして最後に魔王についての話でした。
さ、次回は魔王ベルメスについての話に入ります
ま、主人公も魔王なんですが…




