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2回も村を救うとは思わなかった

田舎に居ると、都会が怖くなってしまうことありますよね

だが憧れでもある

海外にも憧れるが、やはり怖い

叉夜(さよ)はなんとか泣き止みはしたが、王顕(おうけん)から離れ様としないので、このまま紹介する事にする。

ルカは不機嫌そうに、俺達を睨んでいた。


「この()人猫(じんびょう)の叉夜で、奴隷として俺が買ったんだが、今は一緒に旅をする仲間だ、こっちは蟲人(むしびと)のルカ・エミーリアで、この森の中にある屋敷に、1人で暮らしていたメイドで、今日から俺達の仲間になる」

簡単に2人の紹介をする。


「…よろしく」

「こちらこそ」


会話終了。

凄く気まずい雰囲気が流れている。


「ご主人様は今まで何をなさっていたんですか?」

「え、あー、それはだな」

主様(あるじさま)(わたくし)(さら)って、お客様として、おもてなしさせて頂いてたわ」

「…」ザワ


叉夜の髪が逆立つ、今にもルカを、その爪で引き裂きかねない殺気をだす。

幸いにも、王顕に抱き付いていたお陰で、彼女の肩を掴み、勝手が出来ないようにしていた。


「ご主人様、この女は危険です」

「危険かどうかを判断するのは、お嬢ちゃんではないわ」

「くっ」

(あお)らないでくれルカ、叉夜も、彼女の事は全部許してるから」

「…ご主人様が許してるんだったら、ボクはこれ以上何も言わないです」


何だかんだあったが、3人で夕飯を取る。

作ったのはルカだ。

「どうだ叉夜、ルカが作った飯は旨いだろ」

「…………ボクだって練習すれば…」

「女としては、この程度当然の事です、主様」

「ぐうぅ」


自分が作るより上手なので、叉夜は言い返す事が出来ず、ルカを睨み唸っている。

ルカは視線も気にせず、礼儀正しく背筋をのばし、自分の作った料理を、食べる。


「2人は他者(たしゃ)把握(はあく)は使えるのか?」


料理を食い終わり、2人に質問する。


「ボクは使えますよ」

(わたくし)は使えません」


スキルも人によって、使えるもの、使えないものがあるみたいだった。


(ふむ、眷族(けんぞく)への分配(ぶんぱい)はスキルまでは渡せないしな、ま、レベル上げれば敵無しか)


ルカにレベルを分け与える事にして、眷族への分配を使おうとするが、使ってまたあんな事になったらと思うと、使いづらかった。思わず叉夜に使った時の事を思い出してしまう。

王顕は頭を振り、これは仲間の為だと、自分に言い聞かせる。


「ルカ、お前は俺の仲間だ、なので俺の本当の姿見せる」

「本当の姿ですか?」

「ああ、その後レベルも上げてやる」

「…」


王顕の言ってることが理解出来ずにいるようだ。

隠蔽(いんぺい)を解く、4本角の人外の姿へと変わる。


「…あ、主様なのですか」

「ご主人様は、その姿の方がステキです」

「…ありがとう叉夜、どうだルカ率直にどう思うこの姿?」

「…驚きはしましたが、納得も出来ました」

「そうか、それじゃあ力を与える」


手をかざしスキルを発動させる。


「ん…、あ…、これは…」


ルカは肩をビクつかせ、その場に崩れ落ちる。


「ンン…、ああ、主…様…、これ…」


色っぽい息遣いで、4本の腕と2本の(はさみ)が体をぎゅっと抱きしめる。


「はあぁぁ…、あ、あ、あ、んぁ」


腰を曲げ尻尾はピンっと伸ばしている。


「ふあぁっ!!、こ、わい…、怖い、です…、主様あぁ!!」

「大丈夫だ」

「ご、ご主人様!、ツッ」


俺がルカを抱きしめると、伸ばされた尻尾が俺とルカに巻きつく。

心配してか叉夜が動こうとするのを、片手を挙げ止める。


「あ、ああ、はああああああああああああ!!!」


背をそり返しながら、森に轟く絶叫。

口元は笑い、涎を垂らしながら、気絶した。

叉夜はと言うと頬を膨らませて、ご機嫌斜めだ。


「ご主人様、私の時は、抱きしめてくれませんでした」

「へ」

「抱きしめてくれませんでした!!」

(2回言った!!)


どうやら前回、自分は無言で見られていただけで、今回ルカを抱きとめたのが気に入らないようだった。

嫉妬されるなんて、初めての経験だが、これはこれで可愛いと思ってしまうのは駄目だろうかと思ってしまう。


「あの時は~、俺もああなるとは知らなくてだな」

「撫でてください」

「はい?」

「頭を撫でてください!、そしたら許します」

「あーーー」


何を許されるのか分からないが、このままだとルカともっと不仲になる気がしたので、撫でる。

すぐに笑顔になり、俺に体を預ける。

…ルカが目を覚まし、自分のステータスを見て、王顕に一生を捧げると誓った。


【ルカ・エミーリア】

種族 蟲人(むしびと)

役職 眷属

レベル300

HP 11800/11800

MP 23200/23200

攻撃力 1020

防御力  620

特攻力  780

特防力  560


その夜。


「ご主人様、今夜は一緒に居てくださいね…、ボクを温めて…」

「主様が望んでいるなら…、この身をお使いください…、初めてなので、優しくお願いします…」

「…」


テントには普通の人間では無いものの、美女が裸で王顕の目の前で立っている。


「えっと…」

「もう、ボク我慢できないです」

「やはり、私の様な体は嫌でしょうか…」

「だーーーーーーー、やってやるよ」

「ご主人様ぁ!」

「主様っ!」


この日から夜は、2人の相手をする事になった。

叉夜はすぐに疲れて寝てくれたが、ルカは初めてだとは言っていたが、スタミナが無尽蔵なのかと思わせるくらいで、途中で主導権奪われたりしていた。



森を抜け地図のとおりに進むと【スクト村】が見えてきた。


「あれは、急ぐぞ」

「え、ご主人様」

「…」


村には黒い煙が上がっていて、それも広範囲にだ。

村の入り口は破壊されて、死体が転がっている。


「誰だよ、こんな事やった奴は…」

「人間同士の争いでしょうか、足跡は人と馬だけですし」

「まだ煙が昇っていますし、襲われてそんなに時間は経っていないかと」

「そうだな」


索敵(さくてき)を掛けると、村の中に幾つかの反応、特に村の奥に反応があった。


「叉夜とルカは2人で、村人の生き残りを探せ、ここを襲った奴もまだ居るみたいだ、気をつけろよ」

「なぜこの女と」

「それはこちらの台詞です」


文句を言いながらも2人は村の中へ、俺は奥に進む。

そこには大きな土壁の倉庫があって、それを鎧を着た奴らが囲んでいた。

扉は堅く閉ざされているようで、何度も体当たりしている。


「さっさと出て来い!!」

「隊長これ以上時間を掛けると…」

「分かっている!、火の魔法で炙り出せ!」

「おい!!」


王顕が大声を出すと騎士達が振り向く。


「何だ、お前村の奴らじゃなさそうだな」

「冒険者か?運が無かったな、この村に立ち寄らなければ、もっと旅が出来ただろうに…」

「…」


王顕は気付く、鎧を着ている奴らの足元には、(はずかし)められ背中から斬り付けられた女と、四肢(しし)を切断された男が虫の息で横たわっている。

自分の中で、ふつふつと何かが煮えたぎる。


(ああ、俺こう言うの本気で嫌いなんだよね…)

「片付けろ」

「へへへ」

「くく」


隊長に命じられて、2人が剣を片手に近付いてくる。

レベルは共に13だが、種族は人ではなく”悪魔”だった。

姿を変える魔法を使っている様だ。

他の奴らは倉庫の攻略に戻る。

余裕な笑顔を浮べているが、その笑顔も王顕には醜く歪んで見える。

剣を同時に振り上げる。

…………ボト、ボト

上げた腕が地面に落ちた。


「い、いぎゃあああああああ」

「腕、俺の腕えええええええ」

「うっさい」

「うぎゃ」

「ぼぇ」


叫び散らす2人を全力で殴ると、下半身を残して上半身は爆散(ばくさん)した。

その瞬間を見ていた奴は、誰も居なかった。

絶叫と肉片が彼らの所まで飛び散り、それが当たって振り向く奴から、異常に気付く。


「な、何しやがった、てめー」

「全員構えろ!!」


部下の死体を見て、危険だと感じた隊長が号令を掛ける。


「ご主人様!!、生きてた人達を連れてきました」

「ここ以外の敵の排除も終えました」

「良くやった、後は俺がやる」


2人と村人を下がらせる。

腰に提げた正宗(まさむね)を抜き、高速で片っ端から斬り伏せる。

鎧に身を包んで護っている様だが、その鎧ごと全てを断つ。

数秒後、四肢を無くし転がる鎧の悪魔達だったが、全員生きている。

正宗の効果はHPを必ず1残す、ゆえに重症を受けていても死ねないでいる。


「1つ聞くお前らの目的は?」

「話す、話すから命だけは…」


こいつらは【魔王・ベルメス】とか言う奴の手下で、村を転々と襲っていたらしかった。

話した隊長の脳天に骸切(むくろきり)を突き立てる。


「があああばばばばばばばばばばばばば」

(うっわ、アンデットってこんな風に出来んのか、キモイな…)


骸切でHPを0にさせたモンスターは、レベル最高80のアンデットにして操れる。

斬られた四肢から血肉が噴出し、体を包み巨大化した。


「元主の魔王を殺せ」

「「ごおおえええええ」」

「さて、後は…」


アンデット達は村を出て行ったが、2体残し村を護る様に命じた。

横たわっていた人達に、ギガポーションを飲まる。

失った腕も元通りになるが、精神に傷までは治らない、彼等自信の問題だ。

倉庫からその様子を見て、安全を確認した村人が出てきた。


「あ、貴方様は?」

「イヴィルって言う冒険者だ、旅の途中でたまたまこの村に寄ったら、襲われていたのを見かけて、助けに入ったんだ」

「そうだったんですか!、このたびは助けていただき、何とお礼を言ったらいいか…」


こうして2度目となる、村を救った。

村人達は亡くなった人達の墓を作り、家の修理に入る。

逞しい姿だと思った、大切な家族を失っているのに、それでも前を向く姿勢は嫌いじゃなかった。

王顕は村長に呼ばれたので、大きめの家に向かう。


「これは我等の感謝の気持ちです、受け取ってください」


それは銀貨の入った袋だった。

王顕は受け取らず、代わりに竜人の村についての情報を聞かせてくれるよう頼んだ。


「山岳地帯のその村までは2日あれば着くでしょう、ですが彼等は外部との接触を拒み続けています」

「なぜ拒んでいるんだ?」

「神の指示だと…」

「神?」

「はい、彼等は神の指示で動いていると言う噂です」


詳しく話しを聞くと、遥か昔にあの山の頂に火焔竜王(かえんりゅうおう)と言うドラゴンが、縄張りにしていたらしい、強暴で神々も手を焼いていたが、勇者がこれを倒し、その後神があの山岳地帯を神聖な場所として、護っているとの事だ。

竜人は火焔竜王が居た頃から、山で暮らしていたらしい。

話しを聞き終わり、ますます好奇心をそそられる。


(火焔竜王か…、勇者が倒したのならそれほど強くは無かったのか…、後は神と魔王か…)


下級悪魔達が話した魔王は、王顕の知らない名だった。

アンデットは【ワールド・インフィニティ】では3体までしか創れなかったが、今回は倒した全員つまり20体を創れた、レベル80を20体ならこの世界でもそこそこ強いはずなので、魔王に大きなダメージを与えられるとは思っているが、後で確認する事にした。

暗くなると、村人は俺達を歓迎してく、酒を開け、肉を焼き、お祭り騒ぎだ。

村の中央で火と()くのは、死んでいった村人達の供養らしい。


「ささ、あるだけ飲んでください」

「ああ、ありがと」


村人が酒を注いでくれる。

叉夜は酒を飲んで、酔っているのか、座っている俺の頭に覆い被さって来た。

頭に乗っかる桃。


(あわわっあわわわわわわ)


童貞を卒業し、2人の美女と親密な関係になっても、急にこんな事をされると、軽いパニックだ。


「なな、何してるんだ、叉夜?」


声が少し震え、動揺が言葉にも現れている。


ごひゅじんひゃま(ご主人様)~、びょくがいるおに(ボクが居るのに)どおふぃて(どうして)あんふぁほんなを(あんな女を)おおおおおおおおお」


泣きながら首を絞めてくる、後頭部が胸に埋まる。

王顕は何を言われているのか、分からなかった。


「びゅふぇ」

「主様への無礼は許しません」

「ルカ?」

いひゃい(痛い)、いひゃい、いひゃいいいい」


隣で立っていたルカが、叉夜の頭にチョップをした。

叉夜が俺から離れ、頭を押さえたまま地面を転がりまわる。


なびひゅんの(何すんの)

「主様の前でなんと言う醜態でしょうか、反省してください」


睨みあう2人。

このままだと、救った村を巻き込み平地にしかねない。

王顕は立ち上がり、叉夜の頭を撫でてやる。


ごひゅひんしゃま(ご主人様)?、えへへへ」

「飲みすぎたな、今日は休め」

「ひゃい~」

「…」


頭から頬に、最後に顎を撫で続けてやると、静かに眠ってしまった。

ルカに叉夜をテントまで運ばせ、俺はやれやれと元の位置に座る。

と、子供達が駆け寄ってきた。


「イヴィル様これ作ったの」

「助けてくれたお礼」

「へ~、ありがたく受け取るよ」


それは花冠(はなかんむり)だった。

魔王に、こんな可愛い物はどうかとも思ったが、子供からの贈り物は、大人から貰う金より価値があるとも感じていた。

ルカが戻って来て、隣に座る。


「ルカ?」

「…」


黙って寄り添う。

何を求められているのか分からないが、ふと、尻尾が頭を指し示している。


「…」

「…」

(え、何これ、撫でて欲しいのか?)


そっと撫でてあげると、俯く。


「ツッ/////」シュ~~~~

「そんなに良いか?」

「…はい///」


彼女にしては珍しく、かなり恥ずかしかったのか、照れてモジモジしている。

祭り騒ぎは朝まで続き、疲れ果てた村人達は外で寝むり呆けていた。



俺たち3人は村人が起きない様に気を配り、アンデットに後のことは任せ、山へと出発する。

村を出て半日が過ぎて、道も険しくなってきた。

周りの岩には、苔や木の根が根付いている。

雰囲気として、富士の樹海に迷い込んだ感じだ。


「主様もうすぐ村長が言っていた関所があるかと…」

「そうか通してくれると思うか?」

「話を聞く限り、攻撃される可能性もあると思います」

「だよな…、まあお願いだけはしてみるか」

「戦闘になるようでしたら、私が…」

「ボクだってやるよ」

「いやいや、平和に行こうな」


レベルを分け与えてから強く出るようになった。

程なくして関所が見えてきた、木と岩で出来たなかなか大きなものだった。

門の前には竜人が数人。


「止まれ!!、貴様らここに何様だ!!」

「いや~自分達は旅の途中でして、この山に竜人の村があると知りまして、立ち寄らせてもらおうかと思いまして」

「立ち去れ!!」

「問答無用ですか」

「立ち去らなければ、実力行使に移る!!」

「あ~~、分かりましたよ、山を下りれば良いんでしょ」


竜人は見た目は人に近いが、角と爬虫類の様な尻尾と爪、ドラゴンの羽を肩もしくは腰から生やしている。

レベルは30~40、一般人どころか普通の冒険者でも勝てないだろう。

山を下りるフリをして、森の中に隠れる。


「夜を待ってテレポートで関所の内側に移動する、揉め事はなるべく避けるぞ」

「ボクはご主人様が戦うなと言うなら、戦わないです」

「私も主様の命に従います」


関所に居た竜人は汗を流していた。

彼らは野生の感で、王顕に何かを感じていた。


「お前は村に戻り、族長に何かやばいものが山に入ったと伝えるんだ…」

「すぐに知らせます」


飛び立つ若い竜人。

残った他の竜人は警戒を強めた。

なかなか話が進まない…

竜人に会いに行くのに、魔王出しちゃったりして…

ちゃんと処理しないと…

次回は竜人と神の話です、お楽しみにお待ちくださいませませ~~

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