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ファーストフード店にて①

前話から2ヶ月半もかかってしまいました。

空いている時間を使って少しずつ書いていきたいと思いますので長い目でお付き合い下さいませ。


いわゆるボーイミーツガール物の作品でございます。

夢見がちなヘタレ高校生・早良さわら 汰郎たろうと、可愛いケド手が付けられない程ジャジャ馬な小学生・祇園ぎおんの 円袴まるこの心温まる物語……になる予定です(汗)

気ままに連載を続ける予定ですので、可能であれば最後までお付き合い頂ければと思います。

この作品を読んで人間が成長する事に、その快感にちょっとでも酔いしれて頂けたら幸いです。


登場人物


早良さわら 汰郎たろう:主人公。並外れて低い身体能力しかないのにボクサーを志す夢見がちで坊ちゃん気質な高校一年生。

祇園ぎおんの 円袴まるこ:小学生の女子。本来は元気で明るい女の子。だが様々な問題を抱えており苦悩が耐えない。美少女。

御木本みきもと まがね:小学校時代からの腐れ縁。中学は別々の学校に進み同じ晴櫻学園に入学して再開を果たす。よく部活の帰りに汰郎と一緒に帰る。

・西山:ボクシング部の同期。落ちこぼれの汰郎を迷惑視して退部させようと色々画策する。

・祇園 信近のぶちか有紗ありさ:円袴のパパ&ママ。昔は仲が良かったが今はすこぶる悪い。円袴の悩みの種の1つ。

颯波さっぱミナト:ボク部の先輩。高2。人当たりが良い。

六色むついろ 碧ル(へきる):ボク部のマネージャー。高2。エネルギッシュで人望も厚い美人。汰郎の憧れの人。

部活の帰り。

おれは例の魔法のことについて、円袴から話を聞こうとした。

だがしかし。そこに突如現れた六色先輩がやたらと円袴を気に入ってしまったため、颯波先輩も一緒になっておれ達をファーストフード店に誘ってくれたのだ。

そうそう。鉄は大人数で行動するのが苦手なので、今日は先に帰った。

「やーんカワイイ。わたし、まるちゃんみたいな妹がずっと欲しかったの」

六色先輩は円袴をギュッと抱きしめたまま頬ずりしていた。

「碧ル。そろそろ妹ちゃん離してあげなよ。ハンバーガー食べられないだろ」

「あ、そっか!」

彼女は慌てて円袴を開放すると、颯波先輩が持ってきてくれたハンバーガーセットを勧めてくれた。

「ハイまるちゃん」

「え、いいの?」

「うん。たんと召し上がれ」

円袴が聞くと六色先輩はにっこり笑った。

「早良くんもどうぞ。今日はわたし達がごちそうするから」

「そんな……とんでもないです。自分で払います。円袴の分も」

しかし六色先輩も颯波先輩も首を横に振った。

「何言ってんの。後輩から金を取れるかよ」

颯波先輩にそう言われてしまったので、おれは二人の厚意に甘えさせてもらうことにした。

「それじゃ……ゴチになります」

「おう」

「汰郎みてみて!『マギカ・ベル』のフィギュア!セットのオマケについてたの!」

円袴は興奮しておれに『マギカ・ベル』のフィギュアを見せた。

なるほど。部活の時コイツが着ていた『マギカ・ベル』のコスプレとソックリのデザインだ。

「あれ?そーいえばなんでアタシ、元の服になってんの?」

円袴は今頃になってコスプレから元のジャージ姿に戻ったことに気が付いた。

「キミが寝ている間にお兄ちゃんが着替えさせてくれたんだよ」

「ええっ!?」

颯波先輩の説明を聞いて円袴は驚いた。

その驚きぶりといったら彼女のツインテールのしっぽが天に向かって逆立つ程であった。

「こ……こ、この……」

円袴はおれの方を見ると顔を真っ赤にして拳をワナワナと振るわせた

「このヘンタイーっ!!」

「ぐはぁっっっ!!」

円袴の渾身の右ストレートが炸裂した。その見事なパンチに六色先輩も颯波先輩も「おおっ!」と感嘆の声が上がった。

「ヘンタイヘンタイヘンタイ!!ロリコンロリコンーッ!!死ねーッ!!!」

「い、妹ちゃ……マルコちゃん。その辺でやめてあげようよ。キミ達は兄妹なんだろ。着替えくらい普通のことじゃないか」

「う!き、兄妹……」

円袴の手がピタッと止まった。

「い、いてて……」

おれは円袴にしこたま叩かれた箇所をさすった。

「まるちゃんの気持ちも分かるわ。女の子は男の子よりも心の成長が早いんだから。いくら家族だからって勝手に着替えさせられたら傷つくわよ」

「んー、そういうモンなのか」

「そうよう。いくら小さい女の子だからって心はもう乙女なんだから。ミナトも早良くんも軽率よ」

六色先輩が言われて、おれはなるほどと思った。ちなみに“ミナト”とは颯波先輩の下の名前だ。

「その……ゴメンな円袴。今度からは気をつけるよ」

円袴にゴメンナサイをすると、彼女はフイっと顔を背けた。

「ま、まあ許してやるよ。アタシ達はきょ、兄妹……だからな」


「それにしても今日の汰郎ちゃんにはビックリしたよ」

颯波先輩が今日の練習を思い返すように言った。

「練習が始まった時はメニューに全然追いついてなかったのに、一旦休憩してから……そう、マルコちゃんがコスプレして現れた辺りから劇的にパフォーマンスが上がったもんな。あんなの初めて見たよ」

「いやあ……ホントですよね。自分でもビックリしてます」

「さっきも聞いたけど一体どんなマジックを使ったんだい?」

そうだ。おれは早くそれが聞きたい。円袴は本当の本当に魔法使いだというのか?

それとも……いわゆる、ドーピングのような何かを俺の体に仕込んだのか?

円袴がおれの胸にステッキをあてがった時におれの体に走った電撃の正体を早く聞き出さなきゃ。

それからその時に彼女が言った言葉「行け、『ファクト』!」だったか。

『ファクト』って何だろう?

あー、早くこの場を立ち去りたい。

六色先輩と別れるのは名残惜しいが。

「そういえば汰郎ちゃんって飛咲小の出身かい?」

「え?はい。そうですけど」

おれが答えると隣の円袴が驚いた。

特に話す必要もなかったので言わなかったケドおれ、それから鉄も飛咲小の出身である。

「実は飛咲小にはボクシングにまつわるとある伝説があるのを知ってるかい?」

「いえ、知らないです」

それは初めて聞くハナシだ。

飛咲小にまつわるボクシングの逸話……か。ウチの小学校から有名になったプロボクサーなんていたっけ?

「円袴知ってるか?」

「ううん」

円袴は首を横に振った。

おれ達の反応を見て、颯波先輩はニッコリ笑うと残り少なくなったドリンクを飲み干した。

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