096代償「絵」
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覇道の代償 ―― 業火を抱く王の告白
エリドゥの王宮。その一角にある静謐な謁見の間で、松岡修造は大いなる疑問を抱いていた。目の前に座すアルリム王。彼の振るう「文明創造」というスキルは、あまりにも万能で、あまりにも強大すぎた。
「……何故、王様はそれほどまでに強大な力を得られたのですか? その根源にあるものは一体……」
修造の問いに、アルリム王は自嘲気味な笑みを浮かべ、深い闇を湛えた瞳で答えた。
「……余の両親を、悪魔サタンの生贄に捧げ、契約を交わしたからだ」
その言葉は、修造の鼓膜を氷のように冷たく叩いた。
「……! それは……倫理に悖る、あまりに非道な行為です!」
「そうだ。だが修造よ、こうしなければ余は無敵の力を手にできず、略奪に怯える君たちを護ることもできなかった。……余を、軽蔑したか?」
王の問いかけは、静かだが鋭く修造の魂を試していた。修造は一瞬の沈黙の後、全身の熱量を込めて言い切った。
「全然! アルリム王様が何をしようと、あなたは永遠に俺の王様です! あなたが地獄に落ちるというのなら、今度は俺がそこへ行って、あなたを助け出します!」
「フッ……心強いな……」
王は視線を虚空へ投げた。その脳裏には、今も消えない「あの日」の紅蓮の炎が燃え盛っている。
「……余の両親は、大火の中で焼死した。火を放ったのは、他ならぬ余自身だ。世界最強の国家であり続けるためには、この手を血で染めることも厭わぬ」
修造は、王の眼の奥にある、魂を削り取られた者の虚無感を見ていたたまれなくなった。王が背負う「無敵」という名の重圧と、その支払われた代償。
「ごめんなさい……そんな重い代償に、気付いてあげられませんでした……」
修造は深く頭を下げ、その場を後にした。背中に浴びる王の視線が痛いほどに冷たく、そして切なかった。
(俺は……俺だけは絶対に、悪魔に魂を売るような契約はしない。人間として、情熱だけで壁を打ち破ってやるッ!)
:鋼鉄の希望 ―― M1カービンへの熱狂
王宮の重苦しい空気から一転、小火器試験評価課の地下実験場は、金属の匂いと男たちの熱気に満ち溢れていた。
「早く来いよ! 修造! M1カービンのコピーが完成したぞッ!!」
年長の技術者、Johnの大声が響き渡る。修造の沈んでいた心に、パチリと情熱の火が灯った。
「今行くッ!!」
そこには、魔神PMCから奪い取った技術を解析し、エリドゥの技術の粋を集めて鍛え上げられたM1カービン(ライフル)の複製モデルが、整然と並んでいた。
「素晴らしい……! もうこれほどの数を作り上げたのか!」
修造がその一丁を手に取ると、吸い付くような木製ストックの質感と、完璧に調整されたボルトの作動音が返ってきた。
「凄いだろ!」と胸を張るJames。
「それほどでもあるがな!」と不敵に笑うDavid。
修造は、仲間たちの才能に心から震えた。
「君たちは天才だ! ウチのエンジニアは世界一ッ!!」
Michael:
「見てくれよ、この完成されたフォルム。惚れ惚れする銃だ。ただの武器じゃない、芸術だぜ」
William:
「M1カービンを考えた奴は間違いなく天才だ。無駄を極限まで削ぎ落としたデザイン……俺もいつか、こういう銃を一から生み出してやる!」
修造は、Williamの燃えるような瞳を見つめ、力強く頷いた。
「祈っているよ、William! 君の大望が現実になることをなッ!」
アルリム王が「悪魔との契約」で得た力が国家の屋台骨ならば、修造たちが手にした「人の手による技術」は、国家の血肉であった。
皮肉にも、魔神PMCを内部破壊するために送り込まれたムスタファが店を構えるすぐそばで、エリドゥの軍事力は爆発的な進化を遂げようとしていた。鋼鉄の銃身に映る修造の瞳は、再び太陽のような輝きを取り戻していた。
王の孤独を背負い、男たちは「鉄の牙」を研ぎ澄ます。
エリドゥの反撃の準備は、着実に、そして苛烈に整いつつあった。
悪魔の契約は重い。




