表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界迷宮松岡修造くん  作者: 勇氣
第五.三章シフォン奪還編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

142/198

142新月流奥義カラット「絵」

いつも読んでくれてありがとうございます。

  爆発の余波が収まると、格納庫は真っ赤な緊急照明に照らされ、煙と焦げた金属の臭いが充満していた。修造は大きく息を吐き、汗と煤で黒く汚れた顔を拭う。

 「ふぅ……まだまだ熱いぜェェェ! シフォンちゃんはもっと奥だ! 行くぞォォォ!!」

リガル♀は軽く息を整え、銀髪を指で払う。彼女の周囲にはまだ小さな氷の粒子がキラキラと舞っていた。

 「はい……でも、警報が帝国全域に広がっているはずです。次はもっと厳重な守りが待っています」

サイアフは無言でエネルギーブレードを収め、紫の残光が消える。代わりに両手に小さなエネルギー球を生成し、周囲を警戒しながら先頭に立つ。

 「罠の可能性が高い。慎重に」

三人は崩れたハッチの先、要塞の深部へと続く長い回廊へ足を踏み入れた。回廊は冷たく無機質。壁は黒と深紅の金属パネルで覆われ、ところどころに青白いエネルギー回路が脈打っている。足音が反響し、遠くから機械の低い唸り声が聞こえてくる。突然、天井からシャッターが降り、回廊を区切る。

 「来たかァァァ!!」

同時に両側壁から自動砲台が展開。連射型のプラズマキャノンが回転を始め、青白いエネルギー弾を雨あられのように浴びせてくる。修造は即座に前に飛び出し、両腕を交差させて防御姿勢を取る。

 「熱血・ガードァァァ!!」

赤い炎のオーラが球状に広がり、プラズマ弾を次々と弾き返す。衝撃で修造の体が後ろにずるずると滑るが、絶対に倒れない。

 「今だ! リガル♀!」

 「了解です!」

リガル♀が両手を高く掲げ、新必殺技を放つ。

 「氷結領域――絶対零度領域!!」

足元から青白い冷気が爆発的に広がる。回廊全体の温度が一瞬で急降下。自動砲台の機構が凍りつき、動きが止まる。金属がパキパキと音を立て、霜がびっしりと張る。サイアフが凍結した砲台の間を滑るように移動した。紫のエネルギー刃を横薙ぎに一閃!

挿絵(By みてみん)

凍った砲台が綺麗に真っ二つになり、火花を散らしながら崩れ落ちる。シャッターが解除され、三人はさらに奥へ入る。次に現れたのは、広大な円形の闘技場のような部屋。中央に巨大な水晶柱が立っており、その中に白いドレスを着た少女――シフォンが浮かんでいた。意識を失い、微かに胸が上下している。

 「シフォンちゃん!!」

修造の目が血走る。だが、水晶柱の周囲を囲むように、帝国の精鋭衛兵団が整列。黒いマントを翻し、全員が長槍型のエネルギー武器を構えている。指揮官らしき男が前に進み出る。

 「侵入者ども……よくぞここまで来た。だが、ここが貴様らの墓場だ。皇帝陛下の『生贄の巫女』を渡すわけにはいかん」

修造は拳を握りしめ、歯を食いしばる。

 「生贄だとォォォ!? ふざけんなァァァ!! シフォンは俺の大切なシフォンちゃんだァァァ!! 誰にも渡さねェェェ!!」

リガル♀が静かに前に出る。

 「シフォンちゃんは……誰の物でもありません。彼女自身の意志で生きる権利があるんです」

サイアフは無言で刃を構え、紫の光が鋭く輝く。指揮官が嘲笑う。

「戯言を……全隊、殲滅せよ!」

衛兵たちが一斉に突進。エネルギー槍が青く光り、殺到する。修造が吼える。

 「来いィィィ!! 全部俺が受けてやる!!」

真正面から突っ込み、熱血ラリアットを連発。衛兵三人が同時に吹き飛び、壁に激突。リガル♀は後方から援護。

 「氷嵐の結界――!」

周囲に氷の渦が巻き起こり、接近する衛兵の動きを鈍らせる。氷の刃が飛び交い、装甲を削る。サイアフは影のように動き、敵の背後を突く。紫の刃が閃き、一人、また一人と正確に急所を斬り裂く。血飛沫が宙を舞う。だが、衛兵の数は多い。次第に三人が追い詰められていく。指揮官が水晶柱に手をかけ、嘲る。

 「もう終わりだ。巫女の力で帝国は永遠になる……貴様等など、塵芥だ!」

その瞬間――シフォンの瞼が、わずかに震えた。

 「……しゅ……しょう……」

微かな声。

修造の耳に届く。

 「シフォンちゃん!?」

少女の瞳がゆっくり開く。淡い光が水晶柱の中から溢れ出す。

 「みんな……ありがとう……」

シフォンの声が響き、水晶柱に亀裂が入る。

指揮官が慌てる。

 「な、何!? 巫女の力が暴走している!?」

亀裂が広がり、光が爆発。

 「――解放!」

水晶柱が粉々に砕け散る。シフォンがゆっくりと床に降り立つ。彼女の周囲に純白の光の翼が広がる。

 「もう……誰も傷つけないで」

シフォンが両手を広げると、柔らかな光が部屋全体を包む。衛兵たちの武器が次々と力を失い、膝をつく。指揮官も武器を落とし、呆然とする。修造は駆け寄り、シフォンを抱きしめる。

 「シフォンちゃん……! 無事でよかったァァァ!! 熱く! 熱く燃え上がったぜェェェ!!」

シフォンは小さく微笑む。

 「……修造さん、ありがとう。リガルさん、サイアフさんも……」

リガル♀は涙を浮かべ、頷く。

 「よかった……本当に」

サイアフは静かに刃を収め、

 「……任務完了だ」

だが、要塞全体が揺れ始める。警報が最高レベルで鳴り響く。

 「自爆装置起動! 残り時間……5分!」

修造が叫ぶ。

 「まだ終わってねェェェ!! みんなで脱出するぞォォォ!! 熱く! 全力で!!」

四人は手を繋ぎ、崩れゆく要塞の中を駆け抜ける。

爆炎と崩落を背に、

 「絶対に生きて帰るぞォォォ!!」

熱血の叫びが、夜空に響き渡った――。

 (続く!)

最後迄読んでくれてありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ