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異世界迷宮松岡修造くん  作者: 勇氣
第八章無限戦車編

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120/198

120深海の残党と虚偽の誓い「絵」

戦争はいつも突然起きる。

 大将ブレイドが最初に向かったのは、ペルシャ湾沖の深海に沈む巨大な空母だった。そこはかつて「鬼神魔王軍」が第二本部・戦闘指揮所として使用していた、魔族の放棄された拠点である。


 「懐かしいな……。ここで鬼神魔王と一緒にコーヒーを飲んだものだ」


水圧に耐えながら廃墟へと足を踏み入れたブレイド。無人だと思われていたその暗がりには、身を潜めるように生き延びていた魔族の残党たちがいた。


 「何用ですか……ブレイド大将」


暗がりから姿を現したのは、1等曹士の女性、アエテルニターティスだった。彼女の顔には、かつての覇気はない。


 「私たちはここで、息を潜めて生きているんです。また戦争をおっぱじめるつもりなら、関わらないでください。人類にまた『核兵器』を使われたら、今度こそ私たちは生きていけない……。だから、大人しくすると決めたんです」

 「おいおい! そんな腰抜けじゃあ、魔族の名がすたるってもんよ!」


ブレイドが鼻で笑うと、横から2等曹士アエテルニタスが震える声で口を挟んだ。

 「私たちはただ、ここで安寧を貪りたいだけです。もう放っておいてください……!」

1等曹士アイテールも冷ややかな視線を送る。

 「そうです。ブレイドさんはご自身の野望を満たしたいだけで、私たち魔族の生活なんてどうでもいいのでしょう?」


その言葉に、ブレイドは憤慨したように顔を歪めた。

 「ふざけるな! 俺だって魔族の生活水準を豊かにするために戦争してぇんだ! 俺のこの気持ちに嘘偽りはねぇ! だから……どうか俺に力を貸してくれ!」


狂気とプライドに満ちた男が、深々と頭を下げる。その異様な光景に、場は静まり返った。

沈黙を破ったのは、冷静な1等曹士アゴーだった。

 「……勝算があるというのなら、話だけはお聴きしましょう」


ブレイドは顔を上げ、ニヤリと凶悪な笑みを浮かべた。

 「俺の新たな能力『無限戦車』を使って、まずは人間の都市エリドゥを攻め落とす。そのために、どうしても人員が欲しい」

 「……ちなみに、その『戦車』とは何です?」

 「戦車とは、とにかく戦争に特化した『戦う車』のことだ」


 (そのまんまじゃねーか!!)

アゴーは心の中で激しくツッコミを入れたが、あえて口には出さなかった。

 「……分かりました。人員を分けましょう」


アゴーの決断により、最終的に18人の魔族がブレイドの部下として集まった。


「よく決断した野郎共! 俺のブレイド軍で必ずやエリドゥを血祭りに上げ、奴らの土地の上に我らの新たな国を建立するぞ!」

 「「「オオオオオオオオオオオ!」」」

1等曹士アグリコラやアッフェクトゥスらが熱狂的な雄叫びを上げる。


しかし、歓声の輪に加われない者たちもいた。

1等曹士アミークスは、核兵器という絶望を前に、敗残兵の自分たちに勝ち目などないと思っていた。それでも、ブレイドの底知れぬカリスマ性と「無限戦車」という未知の力に、一縷の望みを見出してしまったのだ。アミキティアやアモーもまた、戦いを激しく嫌悪していた。彼らは争いを喜べない、魔族の中でも数少ない平和主義者だった。俯く彼らの肩が微かに震えている。そんな彼らの不安を察したかのように、大将ブレイドは力強く胸を叩いて言い放った。

挿絵(By みてみん)

 「心配すんな! 俺がお前らの命は必ず護ってやるッ!」


力強く、頼もしいその宣言。

しかし——前回の儀式で、忠実な部下であったアドウェルサスを躊躇なく惨殺し、悪魔への供物としたこの男の言葉に、果たしてどれほどの価値があるというのだろうか?


絶望の行軍が、今再び始まろうとしていた。


次回に続く...!

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