113哀情「絵」
久しぶりのリガル♀登場回です。
家臣ルキウス♂が必死にベニス中尉を運んでいる途中、ふとその手が震えた。ベニス中尉が薄く目を開け、弱々しく声を絞り出した。
ベニス中尉
「俺…強くなりたいって言ったよな…」
その言葉は、家臣ルキウス♂にとってただの言葉以上の意味を持っていた。ベニスの目には、まだあの少年時代の夢が宿っていたが、今それが果たせない現実に直面している。片腕が使えず、銃を握ることすらままならない。彼の視線はその銃に集まった。
ベニス中尉
「銃と“弾丸”を、家臣ルキウスに渡す。俺の代わりに撃て。」
ルキウス♂はその言葉に一瞬、戸惑った。だが、彼の目の前には、 自分が守るべき仲間 が倒れている。その決意を心に刻み、ベニス中尉から渡された銃と弾丸をしっかりと受け取る。初めて銃を握るその手は、震えながらも必死にその重みを感じていた。
家臣ルキウス♂
「ベニスの仇は…俺が取るよ。」
その言葉を心に誓い、ルキウス♂は銃を向けた。その時、亜人ルミノックスの鋭い感覚が反応した。彼の地獄耳が、ルキウス♂の意図を感じ取ると同時に、その顔が冷酷に歪んだ。
亜人ルミノックス
「させるかーァ!」
亜人ルミノックスはその言葉を放つと、極超音速でルキウス♂に迫った。まるで閃光のような速度で近づく亜人ルミノックスに、ルキウス♂の体は一瞬で凍りついた。しかし、彼は決して目を逸らさなかった。仲間のため、そしてベニス中尉のために戦わなければならない。
その瞬間、「ドォオン」という激しい音が響き渡った。亜人ルミノックスの眉間を貫いた弾丸がその心臓を貫き、彼はついに地に倒れた。
家臣ルキウス♂
「何とか斃せた。」
ルキウス♂の声は、少し震えていた。それでも、ベニス中尉のために戦ったという思いが彼の胸に広がり、少しだけの安堵が入り混じった。だが、その顔に浮かぶ表情は、まだ彼の心の中で整理されていない深い感情が渦巻いていることを物語っていた。
一方、その頃、松岡修造大尉は、リガル♀の魔法によって転移され、木の枝の上に横たわっていた。身体は疲弊していたが、命は救われていた。息を吐きながら、彼は生き延びたことに対して一息つく。
修造大尉
「( ´Д`)=3 フゥ…生き延びたぜ。リガル♀、助けてくれてありがとう。」
リガル♀
「このくらいお茶の子さいさいですよ!」
だが、修造大尉はまだ心の中で整理できていないことがあった。いつものように笑顔を浮かべていたが、その口調にはほんの少しの躊躇が含まれていた。彼は過去の罪に苦しみ、心のわだかまりが消えないままでいた。
修造大尉
「ところでさ、ずっと訊けなかったんだけど…俺、魔族皆殺しにしたことあるんだよね。もしかしたら、リガル♀の両親を虐殺してしまったかもしれない。……それでも、俺のこと好きでいてくれるか?」
その問いは、修造大尉にとって大きな決断だった。過去の罪がどれほど重いものかを理解しているからこそ、彼はリガル♀に対して、その苦しみを吐露したかったのだ。だが、リガル♀の答えは予想外だった。
リガル♀
「私が生まれた頃には、もう両親は亡くなっていました。それに、ライ先生が親代わりでした。そんなこと気にしなくて大丈夫ですよ!」
リガル♀の言葉には、修造大尉を支える優しさが込められていた。だが、それでも彼は心の中で納得できていない自分がいた。リガル♀がどれだけ優しく接してくれても、過去の罪が彼を縛り続けていた。
修造大尉
「俺がリガル♀の親族を殺してしまったかもしれない…そんな俺でも、好きでいてくれるか?」
修造大尉の声は、次第に弱く、そして不安を隠しきれずに震えていた。リガル♀の優しさを受け止められず、心の中で葛藤していた。
リガル♀
「もうしつこいですね…私は修造さんが大好きです。親族の一体や二体、殺されたところで気にしませんよ。」
その言葉を聞いた瞬間、修造大尉は一瞬、言葉を失った。リガル♀が本当に自分を支えてくれていることに、彼の胸は少しずつ温かくなった。しかし、その温かさが悲しみに変わる。自分の過去が、どんなに他者に傷を与えたのかを、どうしても消すことができなかった。
修造大尉
「お前、そこまで俺のことを好きでいてくれるなんて…魔族の中ではリガル♀だけだぞ…」
リガル♀の優しさに、修造大尉は深く胸を打たれた。それでも、彼は自分の過去の罪から完全に解放されることはなかった。
リガル♀
「修造さんは面白い人です!そんなことで一々考えて悶々としているなんてアホみたい!」
その笑い声に、修造大尉は少しだけ肩の力を抜いた。リガル♀の言葉が、彼の心の重しをほんの少しだけ軽くしたように感じた。だが、それでも過去の影は消えることがなかった。
修造大尉
「サキュバスにアホって言われたくねー!!」
その冗談が、二人の間に笑いを生んだ。だが、その笑顔の裏には、それぞれが抱える深い心の痛みがあった。
修造大尉
「正直、サキュバスに心のカウンセリングされるなんて思わなかったぜ…」
リガル♀
「私のカウンセリングはどうでしたか♡」
リガル♀は軽やかにジャンプし、修造大尉の右頬にキスをした。その瞬間、修造大尉は少し驚きながらも、心のどこかでほっとした自分を感じていた。
修造大尉
「あのー正直嬉しいんだけど、先の戦争でそこ打撲してるから、余り黴菌を入れないで欲しい。」
リガル♀はその言葉に微笑みながらも、優しく彼の頭を撫でた。優しさが、修造大尉にとっては少しずつ心の中に染み込んでいった。
修造大尉
「何で俺なんかのためにここまで優しくしてくれる…」
その問いに、リガル♀は少し微笑みながら答えた。
リガル♀
「私には修造さん位しかいないから…」
その言葉に、修造大尉の心は痛みとともに深く震えた。リガル♀が自分をこうまで支えてくれる理由がわからない。過去の行いがその優しさに見合っていないと感じる一方で、彼はその優しさを深く感謝していた。
修造大尉
「今まで辛く当たって済まなかった。」
リガル♀はその言葉に、ただ優しく微笑んで答えた。二人の間には、まだ言葉にはできない深い絆が生まれていた。
次回に続く…!
哀しい再開。




