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異世界迷宮松岡修造くん  作者: 勇氣
第六章無限銃編

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102/198

102最高司令官エドガー無限銃VSアルリム王パワードスーツ3「絵」

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 屈辱と肉薄 ―― 鋼鉄の王に挑む牙

 「ガッ! ドゴォッ!」

アルリム王の無慈悲な殴打が、エドガーの視界を真っ赤に染め上げる。パワードスーツに強化された拳は、一撃一撃が大型重機の破砕機のような重さで、エドガーの肉を、骨を、そして誇りを粉砕していく。


 「……ハァ、ハァ……死ねッ!」

エドガーは朦朧とする意識の中で、隠し持っていたFN ファイブセブンを引き抜き、至近距離から銃身を押し付け連射した。しかし、王の装甲は火花を散らすだけで、冷酷な嘲笑を返す。

 「無駄だと言っている。余に抗うこと自体が、物理法則への反逆なのだよ」


その時、影が動いた。

 「俺みたいな雑魚は……眼中にないってかッ!」

部下のルミノックスが、決死の覚悟で魔神製ナイフを抜き、王の背後の隙間に刃を突き立てる。だが、アルリム王は振り向きもせず、煩わしそうにルミノックスの顔面を掴み上げた。


 「ない★」

無機質な一言と共に、ルミノックスは遥か高空へと放り投げられ、点となって消えていく。

だが、その一瞬が「復讐の獣」に最後のチャンスを与えた。


エドガーは地獄の底から這い上がるような動きで、王の背後に密着した。折れた腕を、血塗られた腕を、王の鋼鉄の首に回し、渾身の力で締め上げる。チョークスリーパー(裸絞)。


 「この世界は、間違っている……! その歪みの中心にいるのは、お前だッ!!」


:激突する正義 ―― 修造、絶望の中の介入

 「へぇ……余が悪なら、此処迄世界は発展しない。これは悪ではない、尊き『統治』だァ!」

絞め落とされる寸前でありながら、アルリム王の声には一抹の揺らぎもない。彼にとって、少数の犠牲の上に築かれる巨大な繁栄は、冷徹なまでの「正解」だったのだ。


そこに、一人の男が駆けつけた。

 「二人とも、もうやめてくださいよ!!」


松岡修造。彼の瞳には、敬愛する王の非情な過去への落胆と、目の前で血を吐くエドガーが抱える「被害者としての絶望」が同時に映っていた。


 「修造君、正気か!? こいつは余の民を蹂躙した、ただの人殺しだぞ!」

 「だって……! この人の両親は、国造りの犠牲になったんでしょう!? 命の代償に示談金で済む話じゃないかもしれない……。でも、暴力で返しても、誰も救われないんだッ!!」

挿絵(By みてみん)

               ↑(戦いを辞めさせる松岡修造)

修造の叫びは、戦場を支配する「殺し合いのロジック」への挑戦だった。しかし、復讐に燃えるエドガーに、その甘い言葉は届かない。


 「示談金など要らぬわ……。俺が欲しいのは、こいつの死、ただそれだけだッ!!」


 「……話にならんな」

アルリム王がパワードスーツの全出力を解放した。

 「余の力は腕力を10倍にする。児戯に等しい絞め技など、この『技術ちから』でねじ伏せるのみ!」


バキバキと音を立てて腕力が膨れ上がり、エドガーの拘束は力任せに引き剥がされた。再び始まる、一方的な蹂躙。エドガーの身体が瓦礫に叩きつけられる。


:情熱の盾 ―― 休戦という名の夜明け

 「もうやめるんだッ! これ以上戦ったら、どちらかが死んでしまう!!」


修造は、あろうことか二人の「殺意」の真ん中に飛び込んだ。一方には10倍の腕力を持つ王の拳。もう一方には、女神の指輪の力で世界を焼き尽くそうとするエドガーの執念。


 「修造君、こんな奴の為に……」

 「修造、お前……甘すぎるぞ」


 「甘くてもいい! 俺はもう、誰の死体も、誰の絶望も観たくないんですッ!!」

修造の叫びは、これまでの戦闘で枯れ果てた戦場に、唯一の「人間味」を吹き込んだ。そのあまりに真っ直ぐな、太陽のような情熱に、アルリム王の拳が止まり、エドガーの指が指輪から離れた。


 「……俺が、この男を正しく導く。だから……王様、彼を殺さないであげてください。お願いしますッ!!」


泥だらけで頭を下げる家臣の姿に、アルリム王は深い溜息をついた。

 「……修造君、君には敵わないな」


エドガーもまた、血を拭いながら、修造の熱い瞳を見つめ返した。

 「……修造と言ったか。お前のような男がいるなら……もう一度だけ、この世界を見てやってもいい。だが、この『糞王』とだけは、仲良くするつもりはないからな」


その言葉は、エドガーが初めて「復讐以外の未来」を受け入れた瞬間だった。


:瓦礫の中の協定

こうして、銃声と爆音に包まれていたエリドゥに、奇跡のような静寂が訪れた。

エリドゥ王国と魔神民間軍事会社。

相容れぬ「二つの正義」は、松岡修造という一個人の情熱を介して、血塗られた「休戦協定」へと至った。


 「……それで良いです。俺は、あなた達がどちらも死なずに済んで……本当に、安心しました……」


修造は安堵のあまり、その場に崩れ落ちた。

だが、これは終わりの始まりに過ぎない。エドガーの憎しみは消えたわけではなく、アルリム王の「覇道」も止まったわけではない。


戦火の余熱が残る大地で、三人の男たちの奇妙な共存が始まる。

果たして、この脆い平和は、いつまで続くのか。


次回:『再生への第一歩 ―― 傷跡と新たな火種』

物語は、新たな局面へと動き出す……!

松岡修造大尉の英断です。

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