第67話 ヴァレク総力戦
自由都市ヴァレクの夜は、静寂に包まれていた。
しかし、その静寂は油断を誘う罠だった。
街の外周、廃墟の間、闇の中から微かに光る目が幾つも輝いていた。
ゼロの残滓を狙う外部勢力の影だ。
「翼、北門で不審な動きがある」
セリアの報告に、翼はすぐに対応する。
「了解。全員、配置につけ!」
街の防衛ラインは既に整備されていたが、敵は数が多く、しかもゼロの残滓を利用して戦力を増幅させている。
「これは……単独の襲撃じゃない」
リリアが剣を握り、周囲の警戒を強める。
東門、南門、北門に分かれた翼たちは、仲間たちと共に防衛の最前線に立った。
「この街を守るためなら、全力を出す!」
翼の声に、仲間たちは力強く応える。
夜空に、敵の影が一斉に現れる。
数百の兵士、そしてゼロの残滓で生成された再生個体たちが街に迫る。
翼は光の魔法陣を展開し、仲間を支援する。
「ヒール・ブレイド!全員の体力を回復しつつ、攻撃支援!」
リリアは剣を振り、敵を撃退。
「ここは通さない!」
セリアは魔法で影を封じ込み、ミーナは後方から援護射撃を行う。
しかし、敵は次々と新たな再生個体を投入し、戦況は膠着状態に陥る。
翼は思考を巡らせる。
「ゼロの残滓を完全に封じなければ……この戦いは終わらない」
瓦礫の間から、一際大きな影が現れた。
ゼロの残滓の核を抱え、周囲の魔獣を統率している。
翼は目を細める。
「奴が中心か……ならば、ここで決める」
翼は光の魔法陣を最大化し、再生個体や核を一気に封じ込める準備をする。
「リリア、セリア、ミーナ、全力で支援してくれ!」
三人は力強く頷き、翼の魔法陣を拡張。
街全体に光が広がり、敵の増援と再生個体を制圧していく。
敵指揮官は怒りの声を上げる。
「自由都市ヴァレク……侮れないな!だが、ここで終わりではない!」
黒い外套に包まれた指揮官は、さらに強力な再生個体を呼び寄せる。
翼は冷静に光の魔法陣を展開し、再生個体を分断して撃破する。
「ヒール・ブレイド、最大出力!」
巨大な光が街を包み込み、敵は次第に押されていく。
再生個体が倒れ、指揮官の怒声も次第に消えていった。
戦闘終了後、翼たちは街の住民を確認し、安全を確保する。
「街は一応守れた……でも、完全な平和じゃない」
ミーナが言う。
リリアは剣を肩にかけ、周囲を見渡す。
「これからも防衛ラインの強化が必要ね。ゼロの残滓はまだ完全に消えたわけじゃない」
セリアは地図を広げ、次の任務を確認する。
「街全体を守るために、再建と防衛を同時に進めるわよ」
翼は空を見上げる。
ゼロの残影は消えたが、その力の影響は世界にまだ残っている。
自由都市ヴァレクを守るためには、翼たち自身が力を最大限に引き出す必要がある。
街全体が再生し、日常を取り戻すために、翼たちは拳を握り、仲間と共に立ち上がった。
「街を守る――それが、俺たちの使命だ!」
仲間たちは力強く頷き、空に向かって声を上げる。
自由都市ヴァレク――再生の都市。
ここでの戦いは、街の未来を決める戦いでもあった。
翼たちの新たな冒険は、まだ終わらない。




