表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

37/68

第38話 自由都市の影と新たな依頼

 自由都市ヴァレクの夜は深く、街灯に照らされる石畳に影が揺れる。翼、セリア、リリアの三人は、地下迷宮での戦いの疲れを引きずりながらも、情報を集めるため街の中心部に向かっていた。

 街の喧騒は、昼間の市場の活気と打って変わり、夜には犯罪や陰謀の匂いを漂わせる。翼は杖を握り、周囲に目を配る。


 「昨夜の迷宮……奴ら、まだ生きている可能性が高いわ」

 セリアは短剣を軽く握りしめ、耳を澄ます。

 「地下迷宮の管理者……黒衣の男の影も消えていない」

 リリアは地図とメモを確認しながら呟く。

 「情報を集めるなら、まずは表向きのギルドだね。あそこなら冒険者や商人の噂も聞ける」


 三人は自由都市の冒険者ギルドへ足を運ぶ。夜のギルドは昼とは違う顔を見せ、依頼人や冒険者たちの緊張感が漂う。

 「……ここも裏と表が混ざってる街だな」

 翼は心中で呟き、周囲を警戒する。


 ギルドに入ると、受付嬢が慌てた様子で迎えた。

 「翼殿、あなたですか! 昨夜の戦闘、噂で聞きました!」

 「……いや、昨日のことはもういい」

 翼は軽く微笑むが、心は警戒していた。

 セリアが小声で囁く。

 「こういう場所、情報は集まるけど、裏も多い……気をつけて」


 受付嬢は依頼表を差し出した。翼たちはそれを受け取り、依頼の中から目に留まったものを選ぶ。

 「“廃墟の警護と探索”……地下迷宮の延長上での依頼ね」

 リリアは慎重に確認する。

 「報酬も悪くない……経験値も得られる」


 準備を整え、翼たちは夜の廃墟へ向かう。街の光が届かない路地を抜けると、古びた建物群が立ち並ぶ区域に到着する。建物は長年放置され、壁は崩れ、窓ガラスは粉々になっている。静寂と共に漂う異臭が、冒険者たちの警戒心を高める。


 「翼、あの廃墟……何か感じる」

 セリアが杖の先端で空気を探る。

 「魔力が濃い……誰かがここを監視している」

 翼は魔力感知を広げ、仲間の体力と周囲の魔力を確認する。

 「……間違いない、魔獣の痕跡もある。慎重に進む」


 廃墟内部は複雑で、階段や細い通路が入り組む迷路のようだ。突然、天井の隙間から影が落ち、数体の小型魔獣が襲いかかる。

 「翼、前方!」

 リリアが剣を振り、魔獣の攻撃を防ぐ。

 「セリア、側面から!」

 矢が影を貫き、翼は回復術で仲間を補助する。


 戦闘は瞬く間に激化した。小型魔獣の背後には黒衣の傭兵が現れ、翼たちを囲む。

 「翼殿、ここでの力を見せてもらおう」

 黒衣の男が現れ、魔力を解放する。


 翼は冷静に対応する。

 「リリア、前衛。セリア、側面警戒。僕は支援と回復」

 仲間の連携で攻撃を分散させ、翼の回復術が戦線を維持する。


 だが、黒衣の男はさらに巧妙な魔法陣を展開し、魔力干渉で翼の回復術を一時的に封じる。

 「このままでは……!」

 翼は瞬時に全体補助魔法を展開し、仲間の力を最大限引き出す。リリアの剣が魔法陣を斬り、セリアの矢が封印魔法を打ち破る。


 戦闘終了後、廃墟の奥には古代魔導書と秘薬が残されていた。翼は慎重に確認する。

 「この魔導書……回復術の応用魔法が記されている。効果は倍増するはずだ」

 リリアも驚きの声を上げる。

 「翼、これを使えば、さらに前線でも戦えるわね」


 だが、背後で冷たい視線を感じる。

 「翼殿……興味深い力だ。今度は逃がさない」

 黒衣の男が再び現れ、傭兵を伴って迫る。


 三人は再度防御姿勢を取り、地下廃墟での戦闘が始まる。翼は支援魔法と回復術で仲間を支え、リリアの剣が敵の攻撃を遮り、セリアの矢が正確に敵の弱点を突く。


 戦闘が長引く中、翼は周囲の魔力を解析し、敵の弱点を見抜く。

 「封印魔法の起点を断て!」

 リリアとセリアが攻撃を集中させ、黒衣の男は遂に後退を余儀なくされる。


 戦闘終了後、翼は息を整えながら呟く。

 「……仲間と共にいれば、どんな闇でも乗り越えられる」

 リリアとセリアも微笑み、三人は廃墟を後にする。


 夜空に浮かぶ自由都市ヴァレクの灯りが、彼らの決意を映し出す。街の裏側には、まだ見えない敵や危険が潜む。だが、仲間と共に歩む翼の冒険は、ますます加速していくのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ