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第13話 ギルド騒乱! 最強回復術師スカウト大戦争!?

自由都市ヴァレク二日目の朝。

翼たちは冒険者登録を終え、さっそく依頼を探しにギルドへ向かった。


――が、ギルドに入った瞬間、翼は気付く。


(……視線、多くない?)


騒がしいギルドの中、冒険者たちの注目が一斉にこちらへ。


「王都の魔獣戦の英雄らしいぞ」

「回復術師なのに前衛をブッ飛ばしたって噂の!」

「スカウトだ! 早く押さえろー!!」


嫌な予感しかしなかった。


「おい若造ォ!!」


肩をガッと掴んでくる巨漢。

全身筋肉、声は爆音、笑顔は爽やか。だが距離は近すぎる。


「お前、翼だよな!?

 ウチの【筋肉頂上決戦マッスル・ブレイカーズ】に入れ!

 回復しながら殴れるなんて最高じゃねぇか!!」


「いや入らん」


「断り早っ!!」


「やあやあ、噂の回復術師くん……」


ひょいっと背後からローブ姿の男。


「“違法じゃないけど倫理的にアウトな薬”を一緒に作らないかねぇ……?」


「絶対嫌」


「説明くらい聞こうよぉ!!」


――上から降ってきた。


「あなた、強い。気に入ったわ。

 ウチの暗殺ギルドに入らない?」


「なんで暗殺ギルドが正面スカウト!?」

「最近、人手不足で」

「理由が切実!!」


セリアが小声でつぶやく。


「翼、あんた……変な女にモテる体質でもあるの?」


「やめろセリア。それ地味に心に来る」


気づけば、50人近くに囲まれ祭り状態。


「確保しろ!」

「いやウチに来い!」

「回復術師の奪い合いとか初めて見たわ……」

「人気が歪んでるわねぇ〜」とリリア。


ついに受付嬢が怒鳴る。


「はいストーーップ!!

 ギルド内でのスカウトは一組につき“三十秒まで”です!!」


(そんなルールあったのか……)


一旦静まったその時。


「……天城翼」


低く、よく通る声が広間に響く。

途端に空気が張り詰めた。


黒い外套の青年。

鋭い目つきだが、嫌味な芝居っぽさはなく、ただ“場慣れしている”。


「俺は《蒼鷹騎士団》副団長、アーク。

 君をスカウトしに来た」


「え、普通に名乗ってくるタイプだ」


周囲がざわめく。


「蒼鷹って自由都市最強の独立騎士団じゃねぇか!」

「空挺魔導部隊のプロ集団……!」

「なんで副団長自ら!?」


アークは淡々と告げる。


「昨日の王都襲撃。君の戦いを見ていた。

 回復術師でありながら前線に立てる――希少どころか唯一無二だ」


「え、俺そんな……」


「――だから欲しい」


バッサリ言われ、翼は素で戸惑う。


「いきなり欲しいと言われても困るんだが!?」


すぐにセリアが前に出る。


「ちょっと。うちのリーダーを勝手に持って行かないで」


リリアも続く。


「スカウトするにしても順番ってもんがあるでしょーが!」


アークは小さく笑う。


「……仲間に大切にされているな。

 心配はいらない。待遇は公正だ。

 危険手当、装備支給、住居提供、最短Aランク昇格――」


「待遇豪華すぎない!?」

「さすが蒼鷹騎士団……」


アークはひと言だけ残す。


「興味があれば来い。

 この街にいる限り、俺たちは歓迎する」


そう言って静かに去っていく。


リリアが肘で翼をつつく。


「……さてリーダー? どうするの?」


「どうするって……今日の晩飯?」


「そこからかい!!」


セリアは肩を落としつつ笑った。


「ほんと……昔から変わらないわね、あんた」


その笑顔は、王都の戦いの時よりずっと柔らかかった。

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