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1-2 接触


「間に合うわけ…ないよねぇ…。」

頭では分かっているのについつい口に出してしまう。

無駄だと分かっていてもやってしまうのが、日本人の性だと思うよ、うん。



僕は家を出てから適度なスピードで走り続けている。

全力疾走しないのはそんなことをしたらスタミナ尽きて走れなくなるから。

だから適度なペースを保って走り続けた方が効率が良いと考えたのだ。


まあ、諦めてるだけって言われたら否定出来ないんだけどね?



…さて、学校に向かってるこの間に、自己紹介でもしますか。


僕の名前は蒼咲疾風(そうざきはやて)

えーと…(すめらぎ)高校に通う2年生ですよと。

得意な科目は特になし。しいていうなら運動は嫌いじゃないかな?

好きなことはゲームと、知識を溜め込むこと。

"うぃきぺでぃあ"先生にはいつもお世話になってます!はい!


趣味は…刀剣鑑賞かな?

あ、ヲタクとか言わないように!マニアであることは否定しないけど!

インターネットで調べたりするのは勿論、

美術館とかそれを見るために足を運ぶのも良くやることさ!


しかし、今のところ友人でこれについて話したことはなかったり。

否定しといてあれだけど、やっぱりヲタクとかそういう傾向に見えるしね。


何より…僕が無駄に知識を詰め込んでいるせいか、

話し始めると止まらなくなって…気づいたら相手は引いてるとかね。

…ああ、なかなか苦い思い出だなぁ。



閑話休題。




そうこうしているうちに、ようやく学校が見えてきた。

えーと時間は…あー、やっぱり遅刻だよね。

はぁ…仕方がない、腹を括るしかないよ…な。




とりあえず校門を抜けたので、少しだけ足を止めて休憩。

ある程度息を整えて、かいた汗を拭き取って。

前回は何も考えずに体育館に飛び込んで、大目玉を食らったからなぁ。

冷静に、且つ迅速に…事を運ぶ…だ!



向かうのは…体育館ではなく教室だ。

まず持っている鞄を置いてこないと、

見つかる見つからないとかのレベルじゃないよね、うん。

鞄から筆箱とノートを机の中に入れて…よし、OK!


次は…トイレだ。

格好が乱れていないかチェックしないといけない。

髪がボサボサだったりしたら、それもまた見つかる要素になる。

…よし、OKだ!


さあ…後は向かうだけだ…体育館(戦場)へと…!







さて、現実逃避もこれぐらいにしないと。

そろそろホントに向かわないと、始業式終わっちゃうかもしれないし。




なんて思いながら、廊下の角を曲がった時だった。


「きゃっ!?」

「うぇ!?」


短い悲鳴と共に、身体に衝撃。

さすがに倒れはしない。反動でちょっと後ろへ下がったけど。


前を見ると女の子が尻餅をつくように座っていた。

しまった、どうやら出会い頭でぶつかってしまったらしい。


「ご、ごめん!大丈夫?」


慌てて手を差し出そうとした時に気づいた。


「…あれ?姫月?」

「…えっ…?あ、えっと…蒼咲君…?」


尻餅をつかせてしまった子は、クラスメイトの女の子だった。




この子の名前は姫月冬花(ひめづきとうか)

成績はいつも上位、スポーツも万能、そして容姿も可愛いと

入学当初は結構噂に上がった女の子。

ただ、普段は一人で居ることが殆ど。

また陰では「人を見下している」とか「遊び人」だとか、

悪い噂や悪口がよく飛び交う子でもある。


良い意味でも悪い意味でも、この学校では有名だな。


しかし…話してても別に性格が悪いと思ったことないし、

今まで何か問題を起こしたりしたわけでもないんだけど…。




-閑話休題-(それはおいといて)



とりあえず手を取って立ち上がらせる。


「怪我は無い?」

「あ…はい。ごめんなさい、手を煩わせてしまって…。」


というか倒しちゃったのは僕なんだけどね?


「てか、姫月は何でこんなところに?まだ始業式の途中じゃないの?」

「その…体調が悪くなってしまって、今から保健室に向かう途中なんです…。」


…言われてみれば、顔色は悪いし少しフラフラしてる。

うわー、病人を吹っ飛ばしたのか僕は?!


「…よし、保健室まで付き合うよ。ぶつかったお詫びお詫び。」

「え…そういうわけには…。」


半ば強引に手を取り、僕は保健室に歩き始めた。


「いやー、もうどうせ遅刻であることには変わらないし。まあ―――」

―――遅刻の理由が欲しかったからちょうどいいよ。


なんて言ってみたら、申し訳なさそうな顔が、困ったような苦笑いへと変わった。






…ホントは危なっかしくて放っておけなかった…なんて、

そんな恥ずかしい台詞は、流石に僕には言えないよ…はは…。



なかなか話が進みません…。

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