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東京消失  作者: 宇田十馬
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目覚め2

足音はしなくなり、私はいつの間にか深い眠りに落ちていたようで、外はすっかり明るくなっていた。


(いっけね!朝ごはん、あさごはん、、)


片付けられそうになっていた所に滑り込んだ。朝食は見事な和食、川魚の塩焼きにぜんざいの天ぷら、野沢菜の漬け物にキノコの味噌汁、すこし冷めていたがとても美味しかった。


10時00分ギリギリに宿をでると、バスからリニアに乗りつぎ東京奥多摩にある私のアトリエに向かった。


京王線の快速高尾山行きに乗った。

途中、聖蹟桜ヶ丘駅から乗ってきた白い野良猫(??)が私の隣にいたが高幡不動に着くとササッと降りていった。


高尾山駅に着くとバイトの摂子せつこが車で待機していた。


あのさぁ、せっちゃん何時までこのボロ車乗る気なの??


摂子は帝大社会学部の一個下の後輩で、今はオカ研の部長をやっている。この今にも壊れそうなビートルは私が2年の夏、摂子がsnsオークションで5万円で落札したものだ。


あのさ、私が言うのもなんだけどよくこんな車で車検通るね。つか、一体幾らかかんのよ維持費は。

ふっ、押しのない私にはコイツしかいないのさ


何時ものように摂子はキメゼリフらしい言葉をクールそうに言い放つ。


それはそうと、、


わかってる、後部座席のクーラーボックスにはいってる!


パーフェクトだ摂子!


キンキンに冷えたエナドリのマルクスドゥー、髭のついたオッサン印のこいつがなけりゃやってられんよまったく。


摂子の巧みなクラッチ操作で車が走りだした。摂子は将来、うちのアトリエでドライバー兼住み込み助手として働くことを希望している。

(絶対F1とか、カーレースで世界目指した方が稼げるのになぁ)

この話をすると機嫌を損ねた摂子が今朝の食事を戻しかねない絶妙なハンドル裁きを見せつけてくるから封印することにしている。


さて、13時00分か


あと5分で例の物を亀倉の手下が取りに来る。

トントントン

(やけに早いな)

ドアを開けるとそこには、現衆議院議員の亀倉勇太がいた。


手下のものが取りに来ると伺いましたが?

いや、物が物なんでね。私が直接ね。上がってもよいかな。


私に拒否権はない。衆議亀倉を応接室に通すと部下に人払いを命じた。


な、なにを!


心配要らんよ、私は幼い頃から無益な殺生は嫌いでね。さて、物は何処だ。


これです。


ふむ、間違いないねこの輝きは。本物のうちの一つが偽物にすりかわっていると言うことで間違いないな。


はい、、、


三種の神器には八咫鏡 (やたのかがみ)、草薙剣 (くさなぎのつるぎ)、八尺瓊勾玉 (やさかにのまがたま) がある。

エミが四谷に盗ませたのは八尺瓊勾玉だった。


エミ君には親父が何時も世話になっているから君には危害を加える気はない。君は八尺瓊勾玉の秘密を知らないものな。


今までの笑顔から表情が消えた、正直背筋が凍ったがここで答えるべき正しい選択。


はい、何も知りません。

(知りません知りません!実は三種の神器の八尺瓊勾玉は実は8つあることとか知りません)


そうか、どうやら本当に知らないらしいね。それもそうか正しき者でなければ目覚めるはずがないか


能面のようになった顔に笑顔が戻ってきた。


すまないね、貴重な時間を頂いて。これはほんのお礼だよ。


饅頭の入った重箱を檜のテーブルにドンと置くと軽く御辞儀をし、黒塗りのバンに乗り込み、何処かへ行ってしまった。


そ、そうだ!摂子!摂子は!


私は完全に彼女の存在を忘れていた。

節子はどこにもいない、庭にも、裏の雑木林にも、穴の掘られた形跡は何処にもない。


竹どうしが風で揺れ、カタカタカタとぶつかりあう音がむなしく森の中に響く。


(そ、そうださっき私には危害を加えないと言っていたっけか、、)


私はひどい喪失感に苛まれながら、アトリエに戻った。


応接間のドアを開けると、摂子が饅頭を食いながらニヤニヤと札束の枚数を数えていた。


私の心配は杞憂に終わり、安堵した私はそっと摂子の背後に回り、静かに怒りのコブラツイストを決めた。

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