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魔導工兵  作者: 龍血
第2章
36/38

第19話 炎剣の繋がり

 

 書斎の部屋から出た4人。

 少し歩いた後、後ろから大きな音が鳴る。


 それに反応してクリフォード、煌夜、ベレットが振り返る。


 そこにいた先程いた部屋とその向かいにある窓に大きな穴が出来ていた。


「そう言えば言い忘れていました。ミリーにはミリーを守るリィーズが何体かいます」

「それを1人で相手をするのは厳しい気はするが」

「えぇ。ですが、ミックだけで戦って貰います」


 ミリーの魔導を考えるのであればその可能性はあった。

 ただ数やリィーズによっては問題ないと判断していた。


「ミリーのリィーズはミックも知っているリィーズもいます。倒すという選択は取れないでしょうし、ミックはその選択はしません。それならどうするかと言えば戦闘不能にするかミリーとの繋がりを解除するしかないので、そちらのお嬢さんはちょっと難しいかもしれません。貴方なら解除する事は出来ましょう。ただ私の相手をして貰う必要がある」


 過去に魔導を使って仲間になったリィーズをミックは知っている。

 だから、その扱い方もミックが決める必要がある。


 誤って倒してしまったり、他の役目がある者には出来ない。


「そこで私の事は言わないのか?」

「貴方はそもそも私の相手をしなければなりません。そうですよね」

「まぁそうだが」


 唯一言われなかったクリフォードがレイラに聞くが、レイラが言う様にクリフォードはミリーのリィーズと戦うよりも実力的にレイラと戦うしかない。


「そういう訳でこちらも…」


 3人がレイラの方を見たその直後、レイラが突然目の前から消えた。


 煌夜はそれに反応して背後に振り返った。


「わぁ!」


 ベレットの背後にレイラが現れ、レイラの攻撃に3本の光の剣が防いでいた。


 それに驚いて、まだ戦闘準備が整っていないベレットは煌夜の方に尻餅をついた。


「流石ですね」

「話の途中に不意打ちするとは思わないけどな」

「こちらも別に時間を掛けたい訳ではありませんので、ただ話を聞くと約束しましたから、聞きますよ」


 一旦レイラが攻撃をやめて、クリフォードは光の剣を消す事なく浮遊させておく。


「とりあえず移動しましょうか」


 改めてレイラが先導して場所を移動する。

 その間クリフォードと煌夜は警戒、ベレットはもう一回戦闘準備を行なう。



 何分か掛けて着いた場所は私兵達…特に精鋭達が使っている館横にある兵舎。


「ここなら大丈夫でしょう」


 現在も館の方ではミックとミリー、ミリーのリィーズが戦っている。


 兵舎が館の横とは言え、館自体が広くてその敷地面積も広い為、大丈夫だろう。


「さて、何をお聞きしますか?」

「まず本題に入る前に聞いておきたい事がある」

「何でしょうか?」

「貴女の戦う理由が分からん」


 クリフォードが聞いたのは「戦う理由」。

 敵同士ではあるが、そういう事ではないだろう。


「他の洗脳された者達とは違い、自由がある様に思える」


 疑問に思ったのは今まで洗脳された者達を見て来たけど、レイラからそんな感じはしなかった。


 ただ、クリフォードが少し前に戦った人型リィーズは自由というのを少しあった様に思えるが、敵意を感じていた。

 それが人型リィーズの本心か洗脳によるものかは分からないけど、敵という認識は出来る。


 対してレイラから敵意を感じない。


「自由ですか。確かに他の人達よりも自由度はあります。そもそも私とディアンでは実力差がありますから。ただ先程言った通り私は油断したとは言え洗脳されている形になります。この洗脳は正しくは1つだけ絶対命令が可能なだけで、一応ミリー経由でもされていますけど、ディアンから洗脳よりも強制力はありません」


 他の人達とレイラの違いは完全に洗脳しているかしていないかである。


 ディアンが魔導工兵の中でも高い実力を持っていても、レイラの方が上。


 1回通してしまったから、1回の命令権を可能にしている。

 それ以上はレイラが通らない様にしていただろうから、その命令権の強制力を高めていたのかもしれない。


 ミリーの方は元々が仲間という関係なので、「命令」というより「お願い」になる。

 ただ、ディアンのよりかは少し詳細に伝える事が出来る。


「直接1回1回命令するなら聞くと思いますけど、彼は彼なりにする事がありますし、そもそもミリーを守る事が私の役目で彼もミリーの事を大事にしている様なので、離す様な命令はしないと思います」


 レイラ本人はミリーを守りたい。

 もう1人のディアンはミリーを失いたくない。

 だから、レイラを側付きにして離す事はしていないのだろう。


「命令次第では複数には出来ないのか?」

「残念ながらそれは出来ません。仮に『命令を複数聞く様に』と言ったとしても、その命令事態は発動します。ただ、別の命令がされた時にその命令は破棄されます」


 工夫次第では命令も複数可能ではないかと問うクリフォードにレイラは無理だと言う。


 レイラが仮に言った命令事態は発動こそするが、別の命令がされた時点で破棄される。


 詳しく言うと能力(命令)をして受け側はそれを受け取る。

 この時、一応受け側には能力(命令)は効いている状態にあるが、そもそも命令権が1つだけなので、次の命令でそれは消える。


 つまり、いくら頑張ってもその命令権が増えない限り、命令も1つしか出来ない。


「今は彼から『戦え』と、ミリー経由から『ミリーを守る様に戦え』と命令されております。まぁそれを上手い事利用してはいますけどね。クリフォードさんを止める方が優先するべき事なので」


 一応ディアンとミリー経由での命令の2つされているが、それでもディアン討伐に向かった3人以外だと注意するべき敵はクリフォードしかいない。


 だから、足止めという意味でクリフォードの相手をする。

 直接守る訳ではないけど、実際クリフォードがミリーのリィーズを相手にした場合、それ程掛からないだろうから。


「お互い様…という奴だな」

「その様で」


 クリフォードはレイラが他の所に行かない様に足止めする為にいる。

 レイラはクリフォードがミリーの所に行かない様に足止めする為にいる。


 少し違う所があるが、足止めという点は同じ。


「私から聞きたい事はもう無い。本題に入って構わない」


 クリフォードの聞きたい事は他にもあるが、それ程重要ではない為、後回し。


「それでは最初にさっき聞いた事をお願いします」

「顔立ちの事ですね。遠回りに言っても意味はないので言いましょう。私…というよりこの体の持ち主は貴方と同郷で間違いないでしょう」


 煌夜は西洋人には見えないと言っただけなので、一応東洋人と伝えても良かった所を同郷と答えた。

 つまりそれは倭人という事になる。


「何故西洋の方に?」

「そうですね。あまりはっきりとは言えないのですが、非人道的な商いですかね」

「……、それは!?」


 クリフォードは一瞬分からなかったが、気付いた。


 非人道的な商いとは人がするべきではない商売。

 つまりは人身売買の事だ。


 ここでは煌夜やベレットを配慮してはっきりとは言わなかった。


 この人身売買は昔国家が行なっていた。

 ただ、非人道的な行いである事も事実であるので、昔は公していたが、次第に公にする事はなくなった。


 今は国規模で行なう事は無くなったが、貴族や闇商売では分からない。


「どういう事ですか?」

「うーん、そうだな。本人の意思関係なく連れて来られたって事…かな」


 倭国には無いという訳ではなく、どちらかと言うとクリフォードが元王族だから闇の部分を知っているからである。


「うん?」


 煌夜は理解出来なかった。

 その言葉自体は理解出来ているけど、どういう事かまでは理解出来なかった。


「とにかくこの体の持ち主が生前にこちらに来たという訳ね」


 レイラは詳しく話す事なくそこで区切った。

 実際なんでここにいるかはそれ程重要ではない。


 重要なのはレイラの体の持ち主が倭人である事。


「炎の剣が貴方と同郷である事が条件かまでは分かりませんけど、繋がりという点ではその可能性は高いでしょう」


 炎の剣がどういう理由で選ばれているかは分かっていない。


「ただ、世代という区分で言えば私と貴方ではかけ離れています。何かしら条件があって選ばれていると思いますが」


 レイラの持ち主はレイラがリィーズとして生まれる前。

 リィーズになる過程もあるから余計に前の話になる。


 それなのに現在でも繋がりがあるのは条件があるからだと言うレイラ。


「ただ私が言えるのはやはり繋がりがある点が何か…である事だと思います」


 レイラは何かを知っている。

 しかし答えない。


「その事実を知るには私の剣を受け取るしかありませんね」


 レイラは簡単には答えたく無い様で炎の剣を受け取る事を条件に付けた。


「やっぱりそうなりますよね」


 煌夜はそれを了承する。


 答えてくれるかなんて考えていない。

 今は敵だから。


「本題に入ると思ったら出身地だけで終わった…」


 もう少し話し込むと思っていたクリフォード。


 顔立ちの件は後で話すと言ってたが、炎の剣は別にそういう話をした訳ではない。


 ただ煌夜とレイラの関係性がそれだっただけで炎の剣をすると思っていた。


「そう言って準備をしている辺り油断出来ませんね」


 クリフォードは「あまり話さなかったな」と言いながらも実際は戦闘の準備を行なっていた。


「エーリク様は一度に行う攻撃の大きさの物量を、クリフォード様は攻撃の数の物量を特徴としています。そうですね、聞いた話ですと戦闘時における光の剣の生成は数が限られていますが、事前に生成しておけば関係はない。ただずっと展開出来る程でもない。なので、戦闘前にある程度時間を要する」

「まぁ情報は知っているか。ディアンからもありそうだが」

「彼はエーリク様とクリフォード様を警戒対象としていましたから、足止めをする様にと言われております」

「その割にはエーリクは通しちゃったけど?」

「流石に2人を相手には勝てませんし」


 ディアンがどのくらいの事前準備をしていたかは分からないけど、戦況過程でエーリクとクリフォードの情報を渡した。


 一人一人で来ていたら、ミリーの敵になるかどうかだけど、相手をしていただろう。


 結果的に一緒に来て、しかもエーリクはディアンの方に向かい、クリフォードは残った。

 レイラにとっての今の敵はクリフォードとなる。


 ミリーの相手にしたってミックでなければ許可していない。


 仮に2人同時となれば死闘となっていただろう。


「まぁそういう訳でミリーとミックの戦いが終わる前にこちらを終わらせないと。ミリーを殺すなんて事はしないと思うけど、万が一がありますから」


 ミリーを第一に考えるレイラにとってこっちと同様に時間は有用。

 ミックであっても容赦はしないのだろう。


「こっちもあまり時間は掛けられないからな。2人は一先ず戦いを見ててくれ。参戦するかどうかは自己判断に任せる」

「は、はい」


 クリフォードはレイラに向かい、戦いが始まった。


 ーーーーーーー

 煌夜は言われた通り2人の戦いを見ていた。


(均衡はしている。ただどちらも本気ではない)


 クリフォードが周りにある多くの光の剣を操りながら、自分が持っている剣でも応戦している。


 対してレイラは血の力だけでなく、体術も達者の様で飛んでくる光の剣を蹴り飛ばしている。

 ロングスカートには分からない様に一ヶ所縦に切れていた。

 そうする事で足技が出来ている様だ。


 光の剣は一部透明になっているのか、レイラは虚空を蹴っていた。


(殺さないという条件でどちらも本気じゃないんだろうけど、それでも大分実力差があって参戦出来るか分からない)


 クリフォードはミック個人だけでなく親友の子として、さらに煌夜が成し遂げたい事を成し遂げて貰うためにその協力をする。


 レイラは自分に掛けられた鎖を解放して貰うために、その可能性があるならばそれをして貰うために敵ながら少し協力をする。


 そういう状態でありながらも現時点での実力で上位の実力であるのを煌夜は感じていた。


(僕たちが出来る最適解は…)


 その上で自分とベレットが出来る事を考える。


(自分はあの炎の剣に付けられた鎖を解くのに全力…いや、それ以上に出さないと解けない。ベレットは【主神】を使えば、クリフォードさんのサポートが出来るかもしれない)


 実力差があるからこそ色々の事は出来ない。

 それなら出来る事の最善を行い、目的を達成するしかない。


「一歩…遅れた」


 突然地面の方から赤い棘が伸びてきて咄嗟に防御しようとした煌夜。


 しかし、それよりも前に何かがその棘を切り裂いた。


 よく見ればベレットの方にも同様の事が起きていた。


「油断だけはするな。仮に私の【主神】があるとはいえ、微々たる力だから期待をしない様に」


 クリフォードが守ってくれた様だ。

 しかもそれをしたのは【主神】。


 ・【主神】『ソードオブディフェンス』

 仲間に対して5本の光の剣を与え、自動防衛をする。


「すみません」


(警戒だけは忘れない様にしよう)


 反応はしたもののクリフォードの光の剣が無ければやられていた。


 レイラが殺すという行為は今の所しないと思いたいが、敵を信用して良い訳がない。

 傷を与えても良いという考えだってあるかもしれないから。


 煌夜は警戒を改めて高めた上でどうするべきか考える。


(ベレットには【主神】を使って貰った方が良いかな)


「ベレット、【主神】を使った上で戦闘に参加して下さい」

「うん」


 ベレットは【主神】を使い、戦闘に参加する。


(僕も本気で戦いけど、『忿怒』は多分出来ないと思う)


 以前ミックに対して使った【導神】『不浄淘汰・忿怒』は感情ありきな所があった。


 今は『不浄淘汰』なら使えるけど、今は必要ではない。


 それにミックは人間、レイラはリィーズ。

 可能性としては低いけど、魔導はリィーズに効果てき面であるから倒す為に全力を出す事になる。


 まぁそれ以前にミックに掛けられた洗脳を不浄と認識して、『浄火』と【導神】で解除していると思っているが、実際の所は分かっていない。


(それでも今出来る全力を)


 煌夜は戦闘に参加する事を決めながらも、機を伺う事にした。


 ーーーーーーー

 クリフォード・ベレットvsレイラの戦いはベレットが参戦しても特に変わっていない。


 ベレットの【主神】がミック戦よりも出力が悪いというのもあるが、単純に実力差で負けている。

 レイラから軽くあしらわれている。


 ただ、多少クリフォードに同じ光属性の魔導という事もあって、上乗せはされている様だ。


「ずっと聞いて、見てきましたけど、これはディアンも苦労するでしょうね」

「何を言っている?」

「貴方でさえ、本気ではないとはいえ私には勝てないと思いまして」

「薄々勘付いてはいたが、それとディアンが何故関係する?」

「魔導工兵の実力が思ったよりも低くて、そしてディアンが見てきた隣の島の現状を合わせて見れば、領民を大切にしようと余計に思う」

「隣の島の現状?」


 実力不足を自覚しながらも、それが隣の島と関係し、ディアンを苦労させている事が分からなかった。


「はっきりとは言いませんけど、私がここにいる様に同程度か近い実力を持つ者がいないという道理はありませんでしょう?」

「貴方の様な者が何人も居ては困る。…だが、その可能性はあるだろうな。しかし、連合王国内で……」

「疑わないのですか?」

「組織が出来てから100年余り。魔導持ちとしてはリィーズ発生後から居たと思うが、それでも魔導持ちはリィーズの全体数には勝てない。それに魔導持ちが少ない所もある。リィーズは何処でも発生するから、何年も、何十年も成長し続ける事が出来る」


 魔導持ちの兵士がいる国や組織の最先端は『魔導工兵』である。


 その『魔導工兵』でさえ、連合王国全域を管理し切れているか分からない程、それを各国と協力している状態にある。


「でも、この島は極力少ない気がします。魔導工兵の質や数が多いのか、総長が強いのか」

「頻繁に倒しているから大型や人型は少ないし、その対応力もある。まぁ確かに総長の力が大きいのも事実。それでも無理はある」

「だからこそディアンは奥底で力を欲したのかもしれない」

「それがもう1人という事か」


 このブリテン島は実も数も他の国と比べれば高い。

 だから、平和ボケをしている可能性がある。


 ただし、外を見てきたディアンは対応し切れないと感じ、本人が気付かずに力を欲して、どういう訳か別のディアンとして生まれた。


「とにかく、今の実力ではこの先の戦い…いや、来たる災厄に対応出来ないでしょうね」

「災厄とは何だ?」

「それは教えられません。というより教えた所で例外が起きない限りどうしようも出来ないと思いますが」


 いつか来る災厄。

 それを何かしら分かっている様子のレイラ。


 そしてそれが困難であるのだろう。

 現状では…というより何が無ければ達成出来ないかの様な。


「あまり舐められていると良い気はしないな」

「それならもう少し力を見せてもよろしいかと」

「あぁ。ベレット、少し離れていろ」

「うん?」


 ベレットはよく分からずにそれに従う。


『エッジプリズン』


 レイラの周りに大量の光の剣が現れ、それと同時に剣から刃が伸びる。


「これは……」


 刃が伸びてレイラを拘束…牢獄となった。


「これで多少の足止めになる。行け、コウヤ」

「はぁぁぁぁ」


 煌夜は分からずとも『浄火』と【導神】『不浄淘汰』を使い、今出来る全力を叩き込む。


 身動き出来ないレイラに煌夜は袈裟斬りを行う。


 斬りつけた後、すぐに後ろに下がる。


 火はレイラを包む。


「見た目は一丁前ではありますが」


 レイラは刃を腕を振って砕き、脚も蹴り飛ばして刃の牢獄から抜ける。

 さらに火を消す。


(やっぱりダメなのか…)


 今出来る全力ではあったのだが、レイラには届かなかった。


「どうやらそちらは今ので相当疲労したご様子」

「はは…、大分無茶をしたんだがな…」


 クリフォードは『エッジプリズン』を使うのに相当力を使ってしまった様だ。


 刃は光の剣とは違ってほぼ無限に生成出来るが、その際に力を使う。

 正確には胆力があれば出せない事はない。


「それならもう終わりにしましょうか」


 洗脳が解けないと分かった今、レイラは殲滅する事を決める。


「させる訳がねぇ」


 クリフォードは対抗する為に短剣を抜く。


「ぐっ」


 痛みに耐えながらもう1つの力を使う。


『ソードオブダークネス』


 短剣は真っ黒に染まる。


「黒い剣…それがディアンが貴方に渡した力…ですか」


 レイラはそれを見て止まり、遠隔で血の攻撃を行う。


 それをクリフォードは先に光の剣が付与された剣で防御し、その後短剣で血を切り裂く。


「こ、これは…」


 血は真っ黒に染まり、崩れ落ちていく。


「流石にこれは部が悪いですね。でもやれる手はありますよ」


 レイラはむしろ向かった。


 クリフォードは光の剣を前に出して向かい撃つ。


 左足を上げて頭を狙うレイラ。

 それに反応して短剣をレイラの左足に向ける。


 レイラは足の先に血を伸ばして短剣を防ぎ、短剣を踏み台にしながら血を切り離す。

 頭上に上がり、頭上から踵落としをする。


 クリフォードは剣でそれを防御。

 レイラの攻撃が強いのか、地面が割れる。


 上空にいるレイラに横からベレットが攻撃する。


 しかし、レイラはその状態で踵落としとは違う方の足でクリフォードの剣を蹴り上げ、吹き飛ばす。

 さらに横から来たベレットに血を広げて防御。

 その血の防御を足場にさらに上昇。


 上空から血の槍を複数飛ばす。

 下からは光の剣が向かい撃ち、ぶつかる。


 その間を通る様にクリフォードとレイラが移動、ぶつかる。


 激しく繰り広げる攻防。

 レイラに掛けられた洗脳を解除出来なかったから、ここからは本気の殺し合い。


 そこにベレットが入る余地はない。


 そんな中、逆に静かな者が居た。

 煌夜だ。


 ーーーーーーー


 全力を出してレイラに掛けられた洗脳を解除する事が出来なかった。

 それで「やっぱり」という気持ちと「出来なかった」という絶望を感じていた。


 〔それでは解けない〕


 突然頭に響く男性の声。


 〔我の力を使いたいなら別の方法を使うといい〕


 煌夜は混乱していた。


 〔その方法は既に知っているはずだ〕


 その方法は分からない。


 しかし、体は分かっていた。


 体から2つの小さな炎が出てきて、煌夜の刀に触れ、刀身が燃え盛る。


 炎は『浄火』の煌びやかな炎ではなく、赤々しい色…しかし刀身周りは白く纏っていた。


 その纏った刀を鞘に納めた。


 そしていつの間か煌夜は再度『不浄淘汰』を発動して心を落ち着かせていた。


 左手は鞘、右手は刀の柄を持つ。

 目は閉じていた。


 目では捉えない。

 気配で感じ取る。


 ーーーーーーー


 何か気配を感じたクリフォードとレイラ。

 同時にその方向を見て、それが煌夜だと気付く。


(何か危険な気する)


 危機感を感じたレイラは煌夜の方に向かう。


「行かせない」


 クリフォードが阻む。


「コウヤが何かをしている!どんな結果になろうとこの一撃、確実に当てる!ベレット!【主神】を自分に集中させ、押さえ付けるぞ!」

「は、はい」


 クリフォードは煌夜が何を使用しているかは分かっていない。

 それは洗脳を解くかも知れないし、殺してしまうかも知れない。


 それでもそれが普通ではないのは何となく分かっていた。


 それを成す為にベレットに協力を仰ぎ、【主神】を自分に使う様促す。


 ここからは左手を使わない。

 その分をベレットに補って貰う。


「ベレットが立ち向かえ。サポートはこっちがやる」

「はい!」


 ぶつかり合う2人にベレットが割って入り、クリフォードは下がる。


「貴女に何が……」

「はりゃぁぁぁぁ」


 ベレットは落ち着きを逆に解いていた…正しくは解けていた。


 しかし、決して悪手ではない。

 ベレットの纏う光は爆発的に上昇した。


「ここで本領発揮って事か」


 ベレットの魔導はベレットの性格の方が合っている。

 瞑想する事は戦える様になるけど、魔導との相性は良くない。

 爆発力という意味では今の方が上。



 クリフォードはベレットがレイラを押さえ付けている間に光の剣を展開。


『エッジプリズン』


 先程よりも小規模の刃の牢獄を生成。

 レイラの正面以外を拘束した。


「ぁぁぁぁぁぁ」


 ベレットは爆発力をさらに上げる。

 脛と血の防御を押し出す。


「ここまで押されるとは思いませんでしたが、こっちはどれだけ生きていると思っているのですか」


 押され気味だったレイラは逆に押し返し、ベレットを蹴り飛ばす。


「問題ない」


 クリフォードはベレットの方に向かい、受け止める。

 もう攻撃はしない。


「は……」


 レイラの目の前に目を閉じた煌夜が現れた。


『⬜︎⬜︎⬜︎』


 煌夜の口から何を発したか分からなかった。


 一瞬でレイラを通り抜ける。

 煌夜は少し刀身を鞘から見せた状態から納めた。


 その瞬間、周りにあった光の剣と刃が砕けた。

 レイラに変わった様子はない。


 またダメだったのかと思い、ベレットを寝かせて立ち上がる。


 しかし、それは杞憂だと分かった。


 レイラの体から炎の剣が現れて、それが粒子となり、煌夜の体へと入っていった。


 全て入ると煌夜は上空から落ちる。


 それを見て、クリフォードは行動を起こすが、レイラがすぐに煌夜を抱えて、地面に下ろした。


「達成したか」

「はい。あの攻撃は強力でした。でも、あれは対象が違う。そんな気がしました」

「対象が違う?」

「リィーズではなく魔導に対する攻撃…でしょうか」

「そんな攻撃は…ないな」


 魔導に対する攻撃。

 それはある…が、魔導の能力として魔導に対抗するという事ではあるけど、そもそもリィーズという主な対象にした上での副産物でしかない。


 煌夜の攻撃はリィーズには効かない魔導だけを対象とする攻撃という事なのだろう。


「これで自由になりました。ただミリーのも解除されてしまったので、もう一度掛け直して貰わないといけませんが」

「そうか。ここの戦いは終わりって事でいいな?」

「えぇ」


 煌夜の攻撃はディアンの洗脳だけでなく、ミリーの魔導も解除してしまったのだろう。


 これは意図的にそれだけを解除する事が出来ないからしょうがない。

 ディアン、ミリー、そして周りにあったクリフォードの『エッジプリズン』の全てを解除してしまったから。


「ありがとうございます。これからよろしくお願いしますね、我が主」


 そう言ってレイラは膝の上に頭を乗せていた煌夜を撫でた。


今回はレイラのディアンにかけられた洗脳を解く話でした。

レイラの実力に関してはとりあえずクリフォードやエーリクよりも上とだけ。総長のエスラは明確な実力を考えていないのでどちらが強いかまでは分かりません。

【主神】に関してはあまり特別感が減ってるなと少し思っています。【導神】の方はまだ煌夜しか使ってないけど、もしかしたら認識が変わってくるかも。

最後に煌夜が出した力は言える事としては炎の剣…というよりそれに関係しているとだけ。


次回はミリー戦。

1人残されたミック。

対するのはミリー。

囚われた妹を兄として救う。

次回、兄妹愛。

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