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魔導工兵  作者: 龍血
第1章 光の神子編
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第12話 人型リィーズ

 

 討伐隊が大型のリィーズを発見したちょうどその時、煌夜たちはリィーズの警戒をしながら村人たちと過ごしていた。


「きゃぁぁぁ」


 突然、女性の悲鳴が村中に広まる。


 煌夜、ベレット、ウィローはすぐに急行。



 悲鳴により集まった村人たちが周りにいて、その中央に倒れた男性と謎の存在。

 人型なのにその体は皮膚はなく、植物のような見た目をしていた。


「2人は村人たちを誘導して逃げて」


 ウィローはすぐに煌夜とベレットを指示する。


「いえ、むしろその逆です。回復可能なウィローさんが同行するのが正しい」


 その指示に煌夜は反論。

 回復できるウィローの方が村人たちと同行するべきだと言う。


 ウィローは経験の差で自分が残るのが最適と言ってる。

 どちらとも正しい。


「それにベレットは戦うつもりですよ」


 ベレットは知っている人が倒れているのを見て、怒りというより男性を助けたいのだろう。


「分かりました。無茶だけはしないように」

「分かっています」

「それと大丈夫だと思いますが、ベレットの制御もお願いしますね」

「はい」


 ウィローは村人たちに一緒に逃げようと声掛けをしてその場から離れていく。


 残ったのは煌夜、ベレット、倒れている男性、そして謎の存在。


「多分リィーズだと思うんだけど、中型なのかな?」


 謎の存在の見た目がリィーズと判定するには少々難しくはあるが、人間の胸辺りに埃っぽいのが確認できるのを発見すると煌夜はそう判断した。


「ベレットさん、まずは男性の救出から」

「うん……」


 ベレットは内に秘める怒りを抑えているのか、プルプルと震えていた。

 いや、恐怖もあるのかもしれない。

 助けたいと思っても、目の前にいる存在に足が竦んでいるのかもしれない。


 煌夜は刀を抜く。


「おい、人間」


 突然聞こえる声。

 どこから発せられたのかは煌夜にはすぐに分かった。


「リィーズが言葉?」


 リィーズが言葉を発していた。

 明らかに口が動いていたからだ。


「我が言葉を話せて疑問か?」

「アンタたちのことはまだ知らないことは多いが、流石に言葉を話す存在はいなかったはずだ」

「ふんっ、そうそう生まれないからな我のようなものは」


 煌夜は『浄火』を発動し、刀に纏う。


「我と戦うか?」

「えぇ、アンタが人間の敵であるのは一目瞭然。討伐する」


 煌夜は一歩踏み込み、斬りかかる。


 リィーズはそれを避ける。


 何度も何度も斬り付ける。


「未熟者め、我を斬れると思うなよ」

「ふふ」

「何を笑ってる?」

「別に何も意味もなく斬り付けたりはしない」


 煌夜がリィーズを斬り付けている理由。

 しかしそれをベレットは理解できていなかった。


「ベレットさん、早くその人を」

「あ」


 煌夜は斬り付けて男性から離れさせていた。

 なのにベレットはそれを察することができなかったため、それを指摘した。


 ベレットはすぐに男性の下に行き、連れて行く。


「下等生物を助けるために態々?馬鹿げてるな!」


 リィーズは自身の腕である蔦を操り、煌夜を拘束する。


 煌夜はすぐに蔦を切ってリィーズから距離を取る。


「我たちを生み出しているのは他ならぬ人間だと言うのに」

「人間だって出そうとして出している訳ではない」

「確かにな。でも、発生しているということは処理しきれていないか、サボっているってことだ」


 埃や塵……ゴミというのは処理しきれることはできない。

 しかし、処理していない者がいるのも捨てきれない。


 だからリィーズの発生を阻止することはできない。


「それは否定しない。それを管理できないのは歴史が語っている」


 リィーズの発生から大分経つけど、対策してゴミの減少をしてはいても、リィーズの断絶まではできていない。

 その理由はリィーズが指摘したことである。


「だからこそ僕らの存在がいるんだ」


 リィーズの発生しているように魔導工兵の存在もいる。

 各国が魔導工兵の育成を大事にし、態々本場であるアングロ・サクソン連合王国に送るほどに重要とされている。


 煌夜は刀を納める。


「何のつもりだ」


 武器を納める煌夜に疑問に思うリィーズ。


「これは我が国の技。その身で受けてみるといい」


 煌夜は構えを取り、左足により地面を少し削る。


 刀を少し抜き、剣身に太陽の反射で光を放つと煌夜は前傾姿勢になって掻き消える。




 一瞬の内にリィーズの背後に現れた煌夜。

 移動したことによる風が煌夜とリィーズに強く当たる。


 そして、リィーズに火の斬撃が複数現れ、リィーズの体が分裂し、地面に落ちる。


「随分と面白い技を使うのだな」


 しかしリィーズの本体たる埃を切ることができず、リィーズは再生していく。


 煌夜は振り返り、刀を構える。


「流石に本体は濃密で硬いか」


 リィーズは大きさが強さを示している訳ではない。

 大きさは内包するゴミの量が体現しているのに過ぎず、中型であっても大型ほどの強さを有している場合がある。

 それは凝縮されている結果ではないかと言われている。


 そういう存在は少なからず存在が確認されており、煌夜は事前情報にてその存在を知っている。


 普通の中型なら煌夜でも苦戦しながらも倒せる。

 しかし大型レベルの中型には太刀打ちできない。


 だから、今からは時間稼ぎに切り替える。

 時間を掛ければウィローやベレットが帰ってくるかもしれない。

 場合によっては大型のリィーズを倒した討伐隊が来るかもしれない。


 それでも煌夜は倒す気概だけは残し、立ち向かう。


「いくら攻撃しても我には当たらぬよ。むしろこちらから攻撃して見せよう」


 リィーズは腕の蔦を3等分に分裂。

 それが捻っていき、ドリルのような形に変わる。

 そのドリル状の蔦と煌夜の刀がぶつかる。


「ふっ、甘い」


 リィーズが押し出し、煌夜が吹き飛ぶ。


 煌夜は吹き飛ぶ方向をチラッと見ると咄嗟に刀を地面に突き刺し、吹き飛ぶ勢いを弱めて、何とか止まることに成功した。


 刀に少し傷が入ってしまったけど、そうした理由はここは村の中で吹き飛ぶ先には村人が住んでいる家があった。

 それを壊さないために刀を犠牲にした。


「自分の身よりも作った物を守るか。本当に馬鹿だ、馬鹿げてるな」


 リィーズは笑い、攻撃する方向を変える。

 そこにあるのは別の家だ。


「はぁぁぁぁ」


 リィーズの蔦が伸びて家に向かうのを煌夜は必死に向かい、切り裂いた。


「はぁ…はぁ…はぁ…」


 煌夜は疲れて息をしている……訳ではなく、全身から汗が流れ出す。


「不思議だ。剣の強度が上がっている」


 傷付いていた刀は真新しくなっていた。


「これは……神懸かりと…呼んでいる。未熟者故の……切り札だ!」


 煌夜が攻める。


「くっ、速い」


 リィーズは蔦と木が合わさる盾を作り出し、防御を……しようとしたけど、煌夜によって切り裂かれる。


 しかしその刃は本体には届かなかった。

 それでもリィーズの植物部分は煌夜の攻撃に耐えられることはなく、煌夜の方は部がある。


「それにしても何故貴様の火は周りに行かぬ」


 煌夜が攻撃する度に刀に纏っている火が飛んでいっているけど、村にある物に届く前に火が消えていた。


「それを教える…必要は……ない」


 煌夜はそうは言っているけど、残念ながら当の本人でさえ理解はしていない。



 お互いが攻撃を行う。

 しかしどちらも届かない。


 煌夜は植物を切り裂き燃えすことはできでも本体を斬れず、リィーズは攻撃こそ煌夜にダメージを負わせるほどのものを持っているけど煌夜に切り裂かれて届かない。


 それでもこれは煌夜にとっては時間稼ぎをすればいいだけ。


「コウヤ!」


 攻防を続ける中、現れたのはベレットだけ。


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