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魔導工兵  作者: 龍血
第1章 光の神子編
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第11話 大型リィーズ

 

 時間を少し戻し、朝に本隊が到着してウィローが副長にエーリク隊長が一度街の方に戻っていることを伝え、指揮権を渡して村に向かった後、副長ことレオはメンバーに荷物を置かせて、一度集まることにした。


「先程聞いた通り、隊長はセントラルに戻っていてしばらくは俺が指揮を行う」


 副長レオ。

 総本部所属の中では中堅という立ち位置になるが、まだ指揮官としては成長中。

 人の動かし方や状況判断力を長けており、それをエーリクやウィローに評価されている。

 ただ熱い性格も一部あるため、やり切ろうとする気概があり、引き際を逃す場合がある。


「同様に撤退命令はパメラが行う。よろしく頼む」

「は、はい!」


 レオに呼ばれたのは後方支援における副長的立場にあるパメラ。

 パメラは気弱で自分の言動に自信を持てない。

 その反面、引き際を見極める判断が長けており、エーリクやウィローも判断を委ねることもある。

 副長レオが指揮権を持つ時、撤退命令権をパメラに渡すようにしている。


「部隊編成はC。部隊員がいるかは各自で確認してくれ」


 部隊編成。

 討伐隊は基本的に部隊を戦闘担当2人、後方支援担当1人の編成しており、隊長のエーリクがいない時やウィローのいない時、さらには副長のレオがいない時の編成がある。

 部隊編成Aは基礎編成で全員がいて、指揮をエーリクが取っている場合の編成。ウィローやレオがいない場合でもこの編成になる。

 部隊編成Bはエーリクがいなくてウィローがいる場合で指揮をレオが取りながらもサポートとしてウィローがいる編成。

 部隊編成Cはエーリクもウィローもいない場合で指揮をレオが、撤退命令をパメラが担当する編成。

 部隊編成Dはエーリク、ウィロー、レオがいない場合でここからは指揮をする者が経歴順になり、パメラは引き続き撤退命令を担当する。パメラがいない場合もこの編成。

 4つの編成は指揮官の下で編成が変わる。


 また、人数が3人部隊に固定することは難しいため、2人以下になった場合は他の部隊に入り、4、5人部隊になる。

 今回は3部隊の1部隊だけ4人の編成となる。


「良し、いいな。出発するぞ!」

「「「「はい!」」」」

「「「「了解!」」」」


 レオは中堅であるため、先輩も何人かいる。

 なので、少々返事も変わる。



 森の中に入った討伐隊は副長レオの部隊(その中にパメラもいる)を先頭に一定の距離を保ちつつ、進んでいく。


 因みにミックは左側の部隊にいる。



「止まれ」


 レオが進行を止める。


「随分荒れているな」


 そこから先は草木が荒れており、明らかに何かあったということが分かる。


「報告通りね」


 声を掛けるのはレオよりも経歴が長い先輩魔導工兵。

 名はダリア。

 魔導名は《フレイム》で、主に『バーニング』を使う。


「ここからは警戒を強めてくれ。大型だから見つけるのは簡単かもしれないが、何かが飛んでくるかもしれないからな」


 討伐隊は警戒を強めながらさらに進む。



 進むこと5分。

 それは突然やってくる。


 右側の部隊に何かが飛んでくる。

 それが木々をへし折りながら来ていた。


「俺が受ける」


 1人の男性が剣を抜き、その何かを受け止める。

 その何かは太さ20cmほどの蔓だった。


「アラン、バーナードのサポートに入れ、フィオナはバーナードに回復、その後は必要があればで良い。他の部隊は周りの警戒に専念しろ!」

「「「「「「「「了解!」」」」」」」」


 すぐにレオが指示出し。

 部隊は部隊内で連携する。

 他の部隊が助太刀する場合もあるが、今はどこから攻撃するか分からない。

 容易に動くことはできない。


「バーナード、私が蔦を切るから切ったのをお願いする」

「俺に指図すんな」


 バーナードは文句を言いながらもアランが蔦を『風刃カッター』…風の刃で蔦を切り、切った蔦をバーナードが『ペック』…烏を生み出して食い潰した。


 2人の後ろにいたフィオナは『療治トリートメント』で3人を囲むように回復の空間を作り出し、攻撃を受けても回復できるようにしていた。


「スカーレットさん、先の状況確認を」

「分かったわ」


 レオが左側の…ミックと同じ部隊にいたスカーレットにお願いし、スカーレットを戦闘にミックともう1人のクリフという男性が追従する。




 3人が進むごとに木のへし折れる音が増えていく。


 横から1本の蔦が迫ってくる。


圧縮プレス


 クリフが5枚の土壁を作り出し、それが重なり、1枚の土壁となってその蔦を受ける。


 それを防ぎきり、その後も何回か遭遇してはクリフがそれを防いでくれた。


 そして、3人は森を抜けて、大きく開かれた場所に出る。


「で、でかい……」

「そうですわね……」


 そこにいたのは複数の蔦を振り回していた木のリィーズ。

 木の部分だけなら規定された大型と同じくらいだけど、蔦を合わせると規模はおかしくなる。

 その横の広さは500mくらいはある。

 しかもその広さは現在も広がりつつある。


「見ろ…」


 クリフが指差してそう言う。

 リィーズがへし折った木を蔦で回収し、食っていた。


「どうしますか?少々部が悪い気がします」

「そうですね。規模が大きくて難しいと思いますわね」


 2人が言ったことにクリフは頷く。


 そもそも3人の今の役割は大型のリィーズの規模の確認と対処法を考えることにある。


 仮にこの3人でやろうとするとクリフが防御、ミックが回復をしながらスカーレットが高火力で攻撃。

 しかし、これには問題があり、スカーレットが発動するために多少近付かないといけないのと近付くために攻撃してくる蔦の数が増えていき、その分クリフが守り切れるかにある。


 そんな危険をしたまで倒す必要はない。


「鬱陶しいですわね」


 スカーレットが襲ってきた蔦を黒い炎で切り裂く。


「クリフさん申し訳ありませんが、みんなを連れて来て下さい。少し間なら私たちでもどうにかできます」


 スカーレットはここで待機しているよりもみんなが来るのを早めるためにクリフを行って貰うように言う。


 その言葉にクリフは頷き、みんなのところに行った。


「スカーレットさん、何か対処法を考えました?」

「いえ。ただ火を使うのは難しいと思いましてね」

「確かに森の中だと使いづらくはありますが……」

「ええ、問題はそこです。植物系のリィーズだと聞いていたからもしかしたら火を使えば容易に倒すかもしれないと思ったのですが、問題なのは蔦」

「蔦……そうか、延焼で蔦まで広がり、それが落ちた時に火は森の木に延焼する」

「その通りですわ」


 現状、リィーズ本体から森の木までまぁまぁ距離があって、本体だけなら火を使っても問題なく倒せるのかもしれない。

 しかし、問題なのは蔦。

 蔦は周りの木に届くほどの長さを持ち、木を食べることで蔦の長さは伸びる。

 多分森を消すほどの蔦を伸ばすことは出来るだろう。

 そして、その時点で村への影響する可能性はあり、村の建物は木造でそれも栄養分になり得る。

 それに森全域となると本体がどうであれ、それはもう大型の上……超大型の指定となってしまう可能性がある。


 超大型だと流石の討伐隊でも討伐は困難。

 エスラ総長を呼ぶことになる。


 そうならないために慎重に、そして協力して討伐する必要がある。



 しばらく待っているとクリフを先頭にレオたちがやって来る。


「状況は?」

「正直最悪ですけど、対処事態は可能だと思いますわよ」


 スカーレットは観察したことをレオに伝える。


「やっぱ、面倒なのは蔦か」


 実際は「現状では」というのが正しい。

 何故なら今行っているのが意識的でも無意識でもそれを繰り返している状態ならば、近付いた時どうなるかは分からない。


「そう言えば蔦を受けてましたけど、どうしたんですか?」

「切ったりしても良かったんだが、それで刺激すると面倒くなる可能性があると思ったんで、回避して貰った。そうすれば木が倒れたと勘違いすると思ったからな」


 討伐するのが目的だけど、無闇に攻撃してはならない。

 何が起こるか分からないからだ。


 レオの言った対処なら蔦を受けた行為が木に当たったと認識し、倒れれば木が倒れたのと同じだと認識させる。


 リィーズがどの程度の認識力で行動しているかは分からないけど、刺激というのは何か別のことが起きたと感じること。

 そしてそれは言葉の理解のない生物にとって1番分かりやすい違和感になる。


 今は情報を集め、作戦を考えるのが先。

 余計なことをしていきなり戦闘する必要はない。


「で、あのリィーズだが、隊長居りゃあ楽だっただろうな」

「悔やんでる暇はないよ」

「はい」


 レオが悔やんでいるのはそもそも隊長のエーリクの魔導は簡単に言えば水を使って大規模攻撃可能な能力を持つ。

 もしここにエーリクがいたら周りの森に影響させずにリィーズを倒すことが可能だろう。


 しかしダリアが指摘したようにそんな暇はない。

 今この場ではレオが隊長であり、指揮官なのだから。


 レオは少し考えるとみんなに作戦を伝える。


「今から作戦を言う。役割を2つに分け、まずは蔦の牽制や本体からの切り離しを行うためにバーナード、アラン、フィオナ、ミックの4人で、さらにその4人から2人ずつで分けて左右から向こうにかけて蔦の対処をしてくれ」


 今ここにいる人数は10人。

 そこから4人を指名し、問題の蔦の担当をお願いする。


 その際にレオはリィーズの本体を挟んで反対側の森に指差していた。


「ペアはバーナードとフィオナ、アランとミックだ。未だに分からないことがある。蔦を切っても生え変わる可能性もあるが、お前たちは目の前にある蔦を切ることだけを考えろ。停止するかどうかはこちらが伝える。合流したらバーナードが烏で鳴いてくれ」

「「「「了解」」」」


 現状分からないことの方が多い。

 それでもレオは4人に突き進むように言った。

 迷わせるよりも良いだろうという考えなのだろう。


 そして、バーナードは魔導名 《レイヴン》を使い、烏を生み出すことができる。

 烏はリィーズを喰う攻撃が可能で複数羽出すことができるが、限度は10羽まで。


「残りは火力班で俺、ダリアさん、スカーレットさん、メリッサで本体を叩く。クリフさんは防御を、パメラは回復だ」


 有効な火を集めた火力担当ではあるが、メリッサだけは違う。

 メリッサは不気味な雰囲気を漂わせている女性で討伐隊内でミックの1つ上の先輩でバーナードたち3人より下である。

 不気味さは偶に小言を言ったり、突然笑ったりおかしな点は多々あるが、業務的な会話は普通なので魔導によるものだと思われている。


 それで魔導は《シーサペント》。

 神の系譜にあるが、同様に怪物の系譜でもある怪物ハイドラを素としている。

 能力は『腐毒ディケイ』というリィーズにも有効な腐敗の毒を与えて消し去る。

 強力な反面、毒なためにこちらも慎重に扱わないといけない。


 メリッサは危険な魔導持ちなので部隊は指揮官と必然的に同じになるように組まれている。

 因みにスカーレット以上の高火力要因である。


 そして、クリフは攻撃が邪魔されないための防御役、パメラは主にクリフを回復する役目となる。


「何かあるか?」


 レオはみんなに質問があるかを聞く。


「2つ…いや、1つ聞く。飛び火や特にメリッサの毒はどうする?」


 聞いてきたのはダリア。

 飛び火は本体が燃えている時に飛んで森の木に行かないのか。

 それとメリッサの毒に関して飛び火の件だけでなく、本体のいる場所の地面にも影響しないのかと言っている。


「本当なら隊長やウィローさんがいたら問題なかったんですが、飛ぶ分はクリフさんに防いで貰い、毒は火がダメだった時に使用し、その場合は仕方ないかと」


 隊長のエーリクなら飛び火も毒も防ぐことができるし、ウィローも火を消すことができて毒も洗うことができる。

 今いるメンバーでいないのは水を使える者がいないこと。


 火に関して木に飛ばなければいいけど、毒に関してはクリフの土壁でもどうしようもない。

 やれるとすれば最小限に抑えるくらいだろうか。


「なるほどね。クリフさんはそれでやれますか?」


 ダリアが聞くとクリフは頷いて了承した。


「毒の処理は私たち火の使い手でどうにかするしかないね」



 メリッサの毒は火で消すことは可能だけど、毒も火を腐らせる?ことができて消火することになる。

 お互いがお互いを消し去ることになる。

 毒は3人で消すから問題ないだろう。



 レオが再度確認を取ると異論はないということで実行する。


「作戦決行!」


 レオが声を上げ、各々が行動を開始する。



 先に結果を言うとこれは成功する。


 バーナード、アラン、フィオナ、ミックが左右から蔦を切り落としていくとリィーズは多少再生の兆しを見せたが、蔦の先が再生されただけでそれ以降再生しなくなった。

 多分、木を養分にしていたからだろう。


 4人が反対側で再開するとバーナードが烏を生み出して大きく鳴いた。



 それを聞いたレオ、ダリア、スカーレットが準備し、クリフがリィーズを囲むように土壁を生成、『圧縮プレス』で強度強化を行う。


 レオが《インカンデスンス》の『猛火イグニス』を、ダリアが《フレイム》の『バーニング』を、スカーレットが《フルブレイズ》の『獄炎フルブレイズ』を発動し、それが混じり合っていく。


 それぞれの特徴は『猛火イグニス』が激しさ、『バーニング』が火の熱量を、『獄炎フルブレイズ』が黒い炎で火力を上げる。


 そして、1番簡単な技を使う。


大火玉ファイアボール


 ボール状になった火はリィーズに飛んでいき、燃える。


 リィーズは大きく悲鳴のような声を上げる。


 飛び火はクリフの土壁で守られていたが、リィーズがいる地面の草は燃えていく。

 これは仕方なく、むしろ灰となる草を肥料として生え変わることになる。



 リィーズが燃えていく光景を見ているとバーナードたち4人も帰ってきた。


 そして、リィーズの消失を確認し、今回の討伐は完了した。


 討伐隊は森の状況を確認した後、悠々と拠点へと帰った。


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