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第64話 「「Cheers」」
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夜。一人寂しくその時を待っていた。
「………………」
客もマスターも、誰もいない酒場でサミーはカウンターに座り、時折緊張したようなため息を吐きながら、じっと待っていた。
密会の場所は『緑のりんご亭』だった。
サミーが入った時には誰もおらず、カウンターの上に一本のボトルが置いてあるのみ、そのボトルもサミーが知る中では最高級の代物だ。
「招待状ってこう言うことかよ」
あの気取った女らしいやり方だと内心呆れた。
そうして昨日渡された招待状の脚を指でなぞりながら暇を潰していると。
━━カラン
酒場の扉がゆっくりと開かれた。
「…………」
「…………」
そこには銀色の髪を長く伸ばし、水色の魔法衣を身に装い、腰には魔導書を携えた女性。三年経ち綺麗な大人の女性になったシオンの姿があった。
シオンは席に座ると手に持ったワイングラスをカウンターに置き、サミーは目の前のボトルを開け、二つのグラスに注いだ。
そうして二人は注がれたグラスを掲げ。
「「乾杯」」
再開の乾杯を交わした。




