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第62話 手紙

    *


 パーティーが終わりサミーとシアーは宿に戻っていた。

 シアーは既にベッドの上で夢の世界へ旅立っている。


 一方のサミーは部屋のサイドテーブルで何かを書いていた。夜も更けた静かな時間、さらさらとペンの走る小気味よい音だけが聞こえてくる。


「………………」


 サミーが無言で書いてる物。それは日記だった。

 この村に住み始めてから日々の出来事を思い出として残そうとして書き始めたのだ。


『今日は村の農場でりんごの収穫を手伝った

 その後に行商のポットさんとお話をして、夜に緑のりんご亭で自警団のみんなからごはんをごちそうしてもらった

 みんな僕とシアーにいつも優しくしてくれる

 いつか村のみんなに何かしらのお礼がしたい』


 その日記に綴られている文字はサミーが転生する前に生きた世界の文字だった。


 転生してからかなりの月日が経ち、様々な文字を忘れてしまったがそれでも、『かつての僕が生きた証』としてこの文字で日記を残したかったのだ。


「ふう…………」


 日記を書き終えたサミーは椅子にもたれ息を吐くと眼を閉じて今日の出来事を想起させる。

 朝食、りんごの収穫、買い物、そしてパーティー。全てが大切な思い出だ。

 

「はあ…………」


 そんな楽しい思い出に心を浸らせながら夢の世界へ旅立とうとしたその時。

 

 ━━コンッ


 窓に何かがぶつかる物音が夢への旅立ちを引き止めた。

 出鼻をくじかれたサミーは眉を顰めながら音の聞こえた窓を開く。


「手紙………」


 そこにあったのは一昨日と同じような一通の手紙だった。

 『またローランドか?』みたいなことを考えながら手紙を開き中身を見る。


「え…………?」

 

 書かれた内容に思わず目を見開き素っ頓狂な声が出てしまう。そしてその驚きで足がもつれてしまいサミーはその場に座り込んでしまった。


 手紙は宙にひらりと舞って床に零れ落ちた。

 そこには真面目そうな小さな文字でこう書かれていた。


『明後日の晩 貴方の元に訪れるわ 久しぶりに一緒にお酒を飲みましょう "青い空(ブルースカイ) シオン"』


 それは運命の歯車が動き始めた瞬間だった。

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星空を見上げれば〜私達は星々の夢を見る〜 短編の近未来ファンタジー百合小説です。 本作品と併せてお読みいただけると嬉しいです。
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