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ブルーコリーハート〜異世界転生した僕の青い物語〜  作者: ジョン・ヤマト
第四章 旅立ち、そしてバラ色の出会い
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第45話 鼓動、水、脚

誰しも人が死ぬ光景は見たくない、それが親しい人なら尚更に。

    *


 意識が朦朧とする。僕は一体何をやっていたんだ。


 確かバラを庇って親玉ウツボの攻撃を受けて、反撃しようとするが急に力が出なくなった。そして…………。


「…………ッ、バラ!」


 思い出した。バラが僕を庇って攻撃を受けてしまったのだ。


 幸いにも今は親玉ウツボの姿は見えない。今のうちに治療しなくては。


 彼女の元に駆け寄り身体を見た。

 脇腹から腰にかけて酷い傷だ。それに顔が真っ青になっており早く治療しなくては手遅れになってしまう。


「おい! しっかりしろ」

「ゥ………………」

「……! まだ呼吸はあるな!」


 呼吸があるならまだ希望はある。傷の場所に手をかざし目を閉じた。


「"清き水よ、彼の物の傷を塞ぎ、癒しを与え給え"」


 治癒魔法を唱える。すると傷の周りが青い水で覆われ、そこから傷が塞がって。


「え…………?」


 傷は塞がらなかった、いや正確に言うなら傷は小さくなっているが、未だに大きい傷を全て塞ぐことができなかった。


「バラ! クソッ!」


 再び治癒魔法を唱える。が、まだ塞がらない。抉れた肉の量が多すぎる。もっと強い魔法にしなければ。


「"聖なる水よ、彼の者の救い、そして不朽なる祝福を与え給え"」


 自分の中で一番の力を込める。

 徐々にだが、大きい傷が目に見えて塞がっている。よしこのままやり続ければ。


 ━━━━ドクン


「━━━!?」


 まただ、また僕の身体をとてつもない疲労感が襲った。


 邪魔をするな、今はそれどころじゃないんだ。


「はぁ…………"聖なる水よ、彼の者の救い…………そして不朽なる祝福を与え…………給え"」


 ほとんどの傷が小さくなっている。彼女の呼吸音も大きくなっているし、このペースで、


 ━━━━ドクン ドクン ドクン


「ぐぅ…………ッ!」


 症状が疲労から痛みに変わって来た。まだだ、まだ倒れてたまるか、彼女に助けられたように、僕も彼女を助けるんだ。


「ぐッ…………"せいなる水よ、はァ、かの……をすくい、不朽なる……ゴホッ……祝福をあたえ…………たまえ"」


 痛みに耐えながら唱える。これで親玉ウツボに受けた傷は全て治った。


 だが、彼女の顔は未だに真っ青であり眼を覚さない。


「…………ばら?」

「ゥ………ァ………」


 理由はすぐにわかった。彼女の脚が痛々しい紫色に変色し始めている。親玉ウツボの毒がまだ彼女の体内に残っているのだ。


 このままでは毒が身体を蝕み死んでしまう。


「…………ッ!!」


 既に身体を巡った毒を血清も無いこの場で取り除くのは不可能。


「い…………や」


 半分以上賭けだが一つだけある。

 彼女を助けられるかもしれない方法が。


「ぐッ…………はぁ…………」


 僕の身体はもうボロボロの状態。そして一歩間違えれば彼女を死なせてしまうかもしれない。だが、何もしないで彼女を見殺しにしたくない。


「"じょうかのみずよ"」


 指先に小さな水滴を出現させる。そしてそれを彼女の口へ流し込んだ

 あとはこれを毒の患部に向けて操作すれば。


「はぁ…………ッ!?」


 ━━━━ドクン!


 再び心臓が跳ね上がった。まさか…………ここで?


「………………ぁ」


 終わってない、まだ終わってないと必死に意識を集中させ、倒れないようにするが、その意思に反して身体は横へ落ち始めていた。


「ま……だ、終わって…………ない。…………バラぁ」


 そしてついに無理を重ねた身体が耐え切れられなくなり僕は甲板の上に倒れ込んでしまった。






    *


 静寂が訪れた船首。そこには三人の人間がいた。

 一人は仲間を庇って倒れ、一人は身体が疲労の限界を迎え倒れた。


 そして最後の一人、シアーは水色の髪を揺らしながらゆっくりとその者の元へ歩み寄る。その眼はどこか悲しそうな、だが優しいそうな眼をしていた。


「サミー、あなたを決して死なせませんよ」


 そして倒れている者へ手をかざしその頭を優しく撫でたのだ。その表情は子の寝顔を見て安心する母親のようだった。


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星空を見上げれば〜私達は星々の夢を見る〜 短編の近未来ファンタジー百合小説です。 本作品と併せてお読みいただけると嬉しいです。
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