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ブルーコリーハート〜異世界転生した僕の青い物語〜  作者: ジョン・ヤマト
第四章 旅立ち、そしてバラ色の出会い
35/91

第32話 港街ディエルク

    ✳︎


 青い空に青い海。この街に訪れた者が見る最初の景色だ。


 潮風が海に浮かんでいる列を成している船に立てられた旗を揺らしており、時折潮の香りが鼻腔をくすぐる。


 通りには活気良い声が反響しており一種の音楽を形成していた。


 路上に開かれた露店には魚や野菜果物、綿花に鉱石、香辛料など様々な商品が並べられその品揃えの広さには圧巻の一言だ。そして道行く人達は並べられた商品の一つ一つを精査し、自身の頭の中でどれだけの儲けになるかの計算をしている。


 ここは港街『ディエルク』。ルートデイから南東にある物流の玄関口だ。


「涼しい風。それに良い天気だ」

「はい。海も綺麗な青色です」


 そんな港街の通りを僕と少女は歩いていた。

 ヨア村から歩いて半日。そろそろ日も傾く時間帯になって来た。

 

「それでサミー、どんな理由でここに来たのですか?」

「そういえば話してなかったね。ここには船に乗るために来たんだ」

「船?」

「そう、船」


 そうして通り進んで行き、船が停泊している場所に辿り着いた。そしてしばらく歩くと、壁に囲まれた薄暗い裏通りに入り始めた頃に、小さなプレハブ小屋のような建物を見つける。


「ここだよ」

「管理……組合?」


 ディエルク港第六管理組合。ここは顔に傷のある者や怪しい雰囲気を纏う者が行き交うこの港街でも影の深い場所。まあ簡単に言えば、海の荒くれ者共を取りまとめて管理するための場所だ。


 普段なら怖くて近寄り難いが、今の僕達にとっては逆にありがたい場所だ。


「この海では当然ながら海賊が居るんだ」


 物流の玄関口ということは、その玄関に集まる物を狙う不届き者も存在する。そして海の上にある物資を狙う海賊や魔物は特に多く、自前の護衛を持たない中小級商人にとって悩みの種でもある。


「そのためにあるのが港の管理組合だ。ここで商人達は臨時の護衛を雇い、そして海の上の安全を確保するってわけさ」

「そんな大事な施設がこんな暗い場所にあるんですね」

「いや、ここ以外にも管理組合は存在する。ここはとびきりの問題児しか集まらない場所だ」


 そう言いながら管理組合の扉を開いた。

 最初に感じたのは匂い、それも酷いタバコと酒の匂いだ。


 そして狭くボロボロな室内には自身は悪人だとでも言うような人が三人、店内にたむろしていた。

 三人はサミー達を見てニヤリと気味の悪い笑みを浮かべる。


「おう、お前ら来る場所間違えてんぞ。ここはクズの中のクズが集まる、ディエルク屈指の危険区域だぜ」


 テーブルに両脚を足を置いている帽子を被った細面の男。


「テメェら見てぇな上品な格好をするやつが訪れてもなんも無ぇぞ! ガバガハァ!」


 でっぷりと太ったお腹が特徴の酒瓶を持つ男。


「ギャァハハハハ!!」


 犬のような垂れ下がった耳が頭にある獣族の女。

 三者三様に僕達を見て笑っている。


 そう、ここは吹き溜まり。ここに集まる者達は誰もが危険人物だ。


「サミー…………」


 その光景に彼女は少し怯えてしまった。

 そんな彼女の頭に手をポンポンと置いた。


「大丈夫、僕が守るからさ」


 そうして僕達は奥にあるカウンターへ歩いていった。

 カウンターにはタバコを吸いながら新聞を読んでいる男が座っている。


 男は僕達に気づくと少しだけ顔を上げ、再び新聞に視線を戻しながら口を開く。


「要件は?」

「護衛依頼はあるか? どんなヤツでも良い」

「チッ……、渡り(密航)目的かよ……」


 男は新聞をカウンターに置き、十数枚の紙を取り出して順番に見始めた。

 そして最後の紙を見て一言。


「残念だが、もう依頼は埋まっている。出直して来な」

「そりゃあ残念。それじゃあ失礼します」


 そうしてカウンターに背を向け出口に向けて歩き始める。


「お二方とも、残念だったな。ま、さっさと帰んな」

「上品な輩にやる依頼はねーんだよ! バァカァ!!」

「キヒ、キャハハハハ!!」


 なんと言うか、この騒がしさは逆に新鮮かもしれない。そんなことを心の中で思いながら僕達はボロボロの店内を後にした。

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星空を見上げれば〜私達は星々の夢を見る〜 短編の近未来ファンタジー百合小説です。 本作品と併せてお読みいただけると嬉しいです。
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