表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/91

第24話 VS白銀の狐狼②

    ✳︎


「ふぅ……はぁ……」


 ゆっくりと息を整える。ようやく見つけた敵の弱点、絶対に狙い打ってやる。

 だが、ヤツもそう簡単に隙を晒さないだろう。

 それなら、もう方法は一つしかない、

 

「……今までありがとう」


 そう言って既に砕けた盾を外し地面に置いた。

 そして右手に持つ剣を目の前に移動させ、一つ深呼吸をする。


「すー……はー……」


 右足を後ろ下げ、野球のバッティングフォームのように身体を斜めに向け、剣を両手で握りしめる。

 そして視線は倒すべき敵、巨大オオカミを見据えた。


 自分本来の戦い方、守りの剣。


 仲間を安全に守れるという理由で今まで盾を使って来たけど今は自分一人だけ、久しぶりにこの戦い方ができる。

 狙いは敵の弱点、チャンスは一度のみ。


 …………充分だ。


 今までの戦い方とは打って変わり、サミーはゆっくりと巨大オオカミへ近づく。


 一歩、また一歩と摺り足で進み、ようやく剣が届く間合いまで近づいた。


 互いの攻撃が簡単に届く距離、しかしお互い攻撃をする事はない。最初に攻撃した者がやられるとわかっているからだ。


 身を焦がすような緊張の中、その静寂を最初に破ったのは、サミーの方だった。


「…………ッ!」


 構えた剣を巨大オオカミの腹に向かって斬りかかった。

 攻撃に反応した巨大オオカミは左前脚を使って防御する。


 ━━ギンッ


 小さな金属音と共にサミーの攻撃は前脚によって防がれ、剣が弾かれてしまう。サミーは弾かれた剣に引っ張られその場でスピンしてしまった。


 そしてその隙を巨大オオカミは見逃さない。右前脚を振り上げ、サミーにその強大な力で薙ぎ払おうとする。


「━━━そこだぁッ!」


 振り上げた右前脚、その先にある脇、そこに一本の剣がグサリと深く突き刺さった。


 サミーの作戦はシンプルだ。一度攻撃を受け止めさせ隙を晒し、巨大オオカミが攻撃しようとした時に与える一撃、"クロスカウンター"だ。


 攻撃を弾かれてスピンしたのも、回転による力を溜めるための作戦。


 そして今、巨大オオカミに致命的な一撃を与えることに成功した。


 しかし、この作戦にも穴はある。


 『既に振り下ろされた攻撃が止まることは無い』ということだ。


 ━━━ドガァァッンッ


 巨大オオカミ渾身の一撃はサミーの身体を破壊させながら一瞬で壁に激突させた。


 再び襲う激痛、骨が内臓に刺さってしまい息をするのも苦しい。全身から流れる血は更に増し、意識を保っているのが奇跡だ。


 幸運なことは、サミーが剣を強く握っていた影響で飛ばされると同時に、突き刺さった剣が巨大オオカミの身体を横一文字に斬ることができ、それが巨大オオカミの致命傷になったぐらいだ。


「…………ぇ」


 そして……、何も聞こえない。巨大オオカミの攻撃か、はたまた壁に激突したからか、両耳の鼓膜が破れてしまったのだ。


 無音、静寂。サミーには手に持った剣が落ちる音も、巨大オオカミが倒れる音も聞くことができなかった。


 だがしかし、最後まで生き残ったのはサミーだ。

 つまり。


「か…っ……た…………!」


 さて、絶対に倒せないと思われた相手。しかし一瞬の勝機、そして自身を犠牲とした捨て身の一撃が見事『白銀の狐狼』を打ち倒したのだ。

 おめでとう『サミー』。この戦いは間違い無く君の勝利だ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
星空を見上げれば〜私達は星々の夢を見る〜 短編の近未来ファンタジー百合小説です。 本作品と併せてお読みいただけると嬉しいです。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ