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ブルーコリーハート〜異世界転生した僕の青い物語〜  作者: ジョン・ヤマト
第二章 新たな旅立ちと冒険者の試練
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第9話 戦闘試験①

    ✳︎


「戦闘試験は私が進行する!」


 魔法適正試験が終わり、試験者は訓練場にある観客席に移動した。そしてみんな広い訓練場の真ん中にいるチェインメイルの騎士に注目している。

 今から始まるのは戦闘試験。先程の魔法適正試験とは異なり危険な状況も予想されるので全ての参加者がこの観客席にいる。


「それではこれより戦闘試験を開始する!」


 試験官であるラヴァーさんの掛け声が訓練場に響き渡った。


「まずは後衛志望の者からだ!」


 この戦闘試験には前衛と後衛の二種類の試験がある。

 前衛で戦う人と後衛で戦う人それぞれ戦闘での役割が違うので試験内容も異なってくるのだ。


「最初の者は入場してくれ!」


 そうして試験者の一人が訓練場に入場した。フードを深く被っており顔は見えないが、黒いローブに長い杖。見た目からしてわかりやすい魔法使いの格好だ。


 お互いに一礼して距離を取る。そして魔法使いは杖を構え、試験官は腰にある剣を抜き前に出して構えた。


「攻撃を私に一回でも当てれたのなら君の勝ち。逆に君が私に触れられたら君の負け、そして私はこの剣で君に危害は加えない。これがこの試験のルールだ」

「……はい」


 淡々と話す試験官、一方魔法使いからはゴクリと息を呑む音が聞こえた気がした。

 後衛は主に魔法で前衛のサポートを務める。故に敵に攻撃されないようにしながら立ち回る必要がある。

 それをどれだけやれるのかを見るのがこの戦闘試験の目的だ。


「それでは……始め!」


 合図と同時に魔法使いは杖を握り締め、ブツブツと魔法の詠唱を呟きはじめた。


「"大火よ。叫びを上げ、その(あぎと)で目の前の障害を噛み砕け!"」


 瞬間、辺りから焦げるような匂いが香る。そして魔法使いは杖を試験官の方へ向けた。


「"バーストファング!!"」


 魔法使いの杖から炎で作られた大きな獣の口が現れた。その口には鋭い牙が何本も生えており、それは真っ直ぐに試験官の方へ襲い掛かってくる。


「素晴らしい魔法だ ……だが!」

 

 試験官は左の方へ飛び込み襲い掛かる魔法を避けようとする。

 しかし。


「魔法が曲がった!?」


 そのまま訓練場の壁にぶつかるはずだった魔法は避ける試験官を追うようにその軌道を曲げた。

 試験官は飛び込みんだ時の体制を立て直し、魔法に向けて剣を構える。


「このままじゃ、魔法を直撃してしまうわ」


 このピンチな状況でも試験官は未だに余裕そうな表情を浮かべている。

 そして魔法の牙はそのまま試験官の方へ襲い。


 ━━━バァァン!!


 爆発音と共に魔法の牙が試験官を噛み砕いた。訓練場に舞う土埃が徐々に晴れる。

 ━━そこには無傷の試験官が立っていた。


「そ、そんな!」


 魔法使いが驚きの声を上げた。自身の渾身の魔法を受けて無傷だったのだ驚くのも無理はない。

 一方試験官はトントンと軽く跳躍をした後。


「いい魔法だ。それじゃあ次は私から行くぞ!」


 そう言って魔法使いに向けて勢いよく走り出した。


「"炎よ、守護の炎陣を━━」

「遅い!」


 魔法使いが詠唱を言い終える間もなく、試験官は魔法使いの目の前まで接近し剣を持っていない方の手を振り上げる。


「これで終わりだ」

「あ……」


 そして笑顔と共にその手を魔法使いの肩にポンと置いた。

 

「お疲れ様。最初の魔法は良かったが、その後の予想外の出来事に焦ってしまったな。魔法使いに必要なのは冷静さ。これを意識すれば君はもっと成長できるはずだ」

「は、はい!」


 試験官は魔法使いに対して労いの言葉とアドバイスを送る。

 そうして戦闘試験、最初の戦いが終わった。


「それでは次の者は入場してくれ!」


 その後の試験も似たような展開が続いた。参加者の渾身の魔法をぶつけて、試験官がそれに対して対応。そして試験官の接近を許し試験官に触られ、試験官のアドバイスが送られるというのが繰り返された。

 

 そして。


「これが後衛志望最後の一戦だ。それでは入場してくれ!」


 最後の挑戦者、シオンが訓練場に入場した。

 お互いに礼をして距離を取り、武器を構える。


「ルールは先程までと同じだ。準備はいいね?」

「はい。大丈夫ですよ」


 この時、観客席に座る参加者や見物に来ている冒険者たちが二人を興味深く見ていた。


 魔法適正試験で優秀な結果だったシオンの実力が気になっているのだろう。五年前でも度々シオンの魔法を見て僕とライングはいつも驚かせられていた。

 今回はどんなことをするのか楽しみだ。


「それでは……始め━━?」


 ━━パキンッ


 ガラスが割れるような音だった。開始の声と同時にの右頬にとても小さな球体がぶつかった。

 ぶつかった球体が割れると、そこから強烈な突風が噴き出してきたのだ。


「なッ……!」


 試験官はその突風を間近に受けてしまい、真後ろの壁まで吹き飛ばされてしまった。


「"スフィアウィンド"。これで私の勝ちですよね」

「私が気づかない間に魔法を構築していたとは……」


 そしてシオンは朗らかに笑いながら魔術書片手に長い銀髪を揺らめかせた。


「ラヴァーさんに一本取りやがった……」


 驚くような声が訓練場内に響いた。

 一方の吹き飛ばされたラヴァーさんは何事もなかったように立ち上がりシオンの元へ歩み寄った。


「まさか事前に魔法を準備していたとは思わなかった。油断していたよ」

「『魔法を使わせてるのを悟らせるな』私の師匠が教えてくれた言葉です」

「なるほど、良い師匠に教わったんだね」


 ラヴァーさんは負けたというのに爽やかない笑みを浮かべ会話していた。


「改めて、この試験は君の勝ちだ」


 シオンとの会話が終わると試験官はまだまだ騒がしい観客席の方へ向き声を上げた。


「これにて、後衛志望の試験は終わりだ! 十分の休憩の後、前衛志望の戦闘試験を始める!」


 さあ、次は僕とライングの番だ。頑張っていかないと。

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星空を見上げれば〜私達は星々の夢を見る〜 短編の近未来ファンタジー百合小説です。 本作品と併せてお読みいただけると嬉しいです。
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