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08精進なされ

こんにちは。こんばんは。

戦闘描写にてこずって、未だにかけていない私です。

今回は、いつかどこかで回想の時にでも使おうと思って別途保存していた話を入れています。

難しいですね。文字で表現するというのは・・・。

 目が覚めたので身体を起こす。

〈お? おはよー〉

 真っ先に視界に入ったものは、アライラという名の蜘蛛だった。心臓が止まりそうなほどに驚いてしまったが、どうにもまだ慣れないな。

 いや、慣れてしまっても困るだろう。いざという時に「なんだ・・・アライラか」とか言って二度寝したら食われた・・・なんて冗談にもならないわけだし。

「おはよう」

 俺は、白いふわふわとした掛布団のような物を見て、目を丸くした。

 なんだろう。これは? 昨日、鑑定の結果にふて寝してしまった俺だけれど、このような物をかけて寝た覚えはない。

〈寝心地はどうだった? 作って見たんだよ〉

 ふと気が付くと、白い糸を束ねたベッド用マットレスみたいなクッションが下に敷かれている。肌触りが良い素材だ。掛布団も同様の素材みたいだが・・・。

「アライラ・・・コレって?」

〈ふっふっふ! 蜘蛛糸の非粘着性糸で編んだクッションと毛布なり!〉

 ・・・どうやって作ったんだろう?

〈だいぶ疲れていたんだね。ふて寝して即爆睡し始めた時は「マジか!?」って思ったけど、少しでも疲労回復してくれたらいいなって思って作って見たのさ!〉

 そうか、なんだか気を使わせちゃったな。

「ありがとうアライラ」

〈いえいえ、で・・・こちらの魚を焼いて欲しいのですよ〉

 ・・・昨日見た巨大魚だ。

 そういうことか・・・ちっ。




〈でさー。朝食タイムに昨日の鑑定結果についてお話したいなーって思うんだけども?〉

 この魚の身・・・しっかり焼くと麩菓子みたいだ。凄いフワフワした食感になる。ヒレも駄菓子で有名なうまい奴だし、鱗はせんべいみたいになるし、なんだこの菓子系の魚は・・・。

〈ねー?〉

 おっと、驚きの調理結果についつい夢中になってしまった。

「はいはい、まずは昨日の鑑定結果からおさらいしよう」


『ルッタ・レノーダ。人類種、超人。神代の大迷宮【災厄の壺】に落とされたことで超人へとバグ進化した。当世界の創造主が一人、邪の男神【ダーゼルガーン】によって転生された。【枯渇しない魔力】という加護の効果により、【歩く魔力の源泉】と呼ばれている。また【陰陽道・地獄変】の使い手に選ばれたものの、現段階では碌に力を扱えない。雑魚。』

 

 何度見てもイラっとする最後の一言だな。

〈そんで、まずはルッタが超人だったという話! どんな感じの超人なの!?〉

「そう言われてもな・・・。ここに落とされたことでバグ進化したとかあるし・・・」

 そもそも、バグ進化というのがわからないんだよな・・・。

〈バグ進化ってあるけど、外の世界じゃLv10とかになると進化するの?〉

「いいや、そもそも外にそう言ったLvで進化するようなシステムは存在していないよ。Lvアップももちろんない。ゲーム的要素など皆無な生活だったんだ」

〈そっか・・・私もそういう経験がないんだよね。できるのならワープ進化してアラクネになりたいんだけどさー〉

「アラクネ・・・か」

 アライラがアラクネに進化する姿が想像できないんだよね。人の顔はどうなるんだろうか。

〈それにしても、鑑定結果の表示って妙に本みたいな感じのウインドウになっているけど、これはどう思う?〉

「どうも何も、ライブラリ的な表現だろう。いわゆる図鑑だな」

 ま、鑑定であればこんなものだろうとは思うのだけど、アライラは納得がいっていないようだ。

〈鑑定だよ? こんな解説よりも対象のステータスとか、スキルとかそういう情報を表示するべきだと思うんだよね!〉

「なんで鑑定でそこまで詳細な情報が出てくるんだ?」

〈え? 鑑定と言えば、対象のあらゆる情報を看破してくれるチート中のチート能力でしょ?〉

 ・・・えー? それだと鑑定というよりは・・・あ。

「もしかして、君は現代のブームに乗っかった拡大解釈されている『鑑定』をイメージしているのか?」

〈・・・拡大解釈?〉

「そう、そもそも鑑定というのは、物の良し悪しを判定することを指す言葉だ。目利きというものだね。または専門知識、科学、統計学、感覚的な方法や能力を用いて、対象の評価・判断を行う事を言うんだよ」

〈ふんふん? ふんふん?〉

 途中から俺の言葉が彼女の頭を素通りしている様に見えるな。

「君が言うあらゆる情報を看破してくれるとなると・・・『解析』って言う方が正しいと思うな」

〈・・・ん?〉

「おそらく、あの神はそういう現代日本で流行っている情報を知らなかったんだろうさ。拡大解釈された『鑑定』を知らないから、君に従来通りの意味でしかない『鑑定』を付与したんだよ」

〈すると・・・私の鑑定は・・・〉

「うん、お宝鑑定などには大変効果的な能力じゃないかな!」

 アライラがこの世の終わり・・・みたいに力を失ってその場に伏した。

〈そ、そんなー・・・あ、回想で私が『鑑定』を力説したときに驚いていたのって!?〉

「あー・・・たぶん。そういうことだね」

〈あのクソ神・・・殴るといったがアレは嘘だ。息の根止めてやる・・・〉

 うんうん。

 そのためにもダンジョン攻略をがんばろうな。

「さて、話を戻そう。バグ進化についてだけど、正直情報不足だ」

〈そうねー〉

 俺はヘルメットに水を汲んで、分けてもらっておいた魚の身を水に入れる。それから火にかけた。

「そもそも、ゲーム的な設定は採用されていないように思えるんだ。地球に似せて使ったと言っていた辺り、基本が地球準拠なんだと思うんだよ」

〈こんなダンジョンがあるのに?〉

「それも謎だな。神代の大迷宮というが、そんなものは神話のお話と古代遺跡にしか記録がない謎のダンジョンだよ」

 俺が外で、可能な限り収集できた情報によれば・・・なのだけど。

「神代の大迷宮に関しては、勇者伝説よりも古い『神々の時代』と呼ばれる頃に存在した幻の大陸にあるものだと推測されていた」

 とたん、アライラの眼がキラキラと輝き出す。

〈ま、幻の大陸!?〉

「そう、名を『グランテスト』と言うらしいけれど、どこに存在していたのかも不明な大陸だったそうだ。でも、その大陸は四季・・・春夏秋冬が一年中継続してる四つの土地が連なっていたとも言われていて、考古学者では今も熱く議論され続けているらしい」

 学者先生の受け売りだ。

〈で、その大陸に存在していたのが『災厄の壺』とかいうダンジョン?〉

「それなんだけど・・・俺が調べたのとちょっと違うんだよな」

〈どういうこと?〉

「災厄の壺と言えば、地球で言うと『パンドラの箱』が近いものになる」

〈おー、希望だけが残ったという、あの?〉

「そう。ただし、こっちの壺は逆だ。この世すべての災厄を詰め込んだ壺とされているんだ。元々入っていた物ではなく。空っぽの壺に災厄を入れた方なんだよ」

〈へー・・・〉

「それが大迷宮として名前になっているということは・・・災厄っていうのはモンスターのことなんだろうか?」

〈そうなんじゃない? ルッタの言うように外はモンスターとかいないんでしょ? なら、ここのモンスターとか災厄以外の何物でもないよ〉

「確かに・・・」

 さて、俺は朝食を終えてしまったのだが・・・。

 アライラはまだまだボリボリと食べている。これはまだまだ話が続きそうだな。

〈じゃあ次・・・ルッタの読み通り、邪神だった。いずれ必ず息の根を止める。以上〉

 話をしたくないんですね。わかります。

〈次に行こう。えーっと、『歩く魔力の源泉』とか言われてたの?〉

「ああ、神の加護で魔力が垂れ流しの状態でな。ついた異名がソレになる・・・」

 アライラが回想を飛ばしたので、この話になることは無いだろうと思っていたけれど、意外な方向から指摘されてしまうとはな。

 しかし、こうなれば後は流れに任せるとしよう。

 まずはこの加護のせいで俺がどんな扱いを受けてきたか・・・についてだろうか。

〈じゃ、次ね。ルッタが使うチートアイテム!〉

 ・・・まるっきり興味なかったかー。それはそれでちょっと寂しい。

〈私、ルッタには聞いておきたかったんだよね!〉

「なにを?」

〈なんで地蔵なん? 地獄と言えば、閻魔大王とか鬼とかカチカチ山のウサギさんだよね!〉

 ・・・最後のはなんだ? 題名ならカチカチ山の狸じゃなかったかな?

 まぁ、また何かのネタなんだろう。スルーしておけばいいか。

「あー、なんというか・・・地獄で真っ先に思いつくものは?って聞かれると、地蔵になるんだよね」

〈ふーん〉

 ・・・その反応はなんでしょう? 興味を失った感じでしょうか?

「前世で、叔母に教えてもらったことでもあるんだ。この世とあの世の案内人ってね」

〈案内人? お地蔵さんが?〉

「そう。生きている者には『この世』への帰り道を教え、死んでいる者には『あの世』への旅立つ道を示す。っていう具合だな」

〈ふんふん〉

「それで、死後の世界と聞かれたら、俺は天国よりも地獄を思い浮かべるんだ。それでお地蔵さんが真っ先に思いついて、地獄変の基本的な技の名になっているんだよ」

〈ふーん〉

 なんだか薄い反応だな。

「例えるなら、アライラにとって菓子パンと言えば何になる?」

〈クリームパン!〉

「アライラにとってイタリア料理と言えば?」

〈ナポリタン!〉

 ・・・いえ、ナポリタンは・・・いや、今はやめておこう。

「まぁ、それらと同じく・・・地獄と言えば?って聞かれるとお地蔵さんってなるんだよ」

〈あー、そういうことか! あるある! なんか違うんだけど、本人がそういう風に思いこんじゃっている奴ね! うんうん!〉

 なんかちょっとムカッと来たけど、分かってもらえたならばそれでいいや。なんか言い方がムカッと来たけど。

〈でも、大きなお地蔵さんは、どことなく可愛かったのでイイ!と思います!〉

「それはどうも・・・」

 どうやら、アライラも食べ終わったようだ。

 まだ口をモゴモゴさせているようだけど、それもすぐに終わる。

〈よーし、次は私の番だ!〉

「君の番?」

〈その通り! ルッタを鑑定したんだから、次は私自身の鑑定でしょ!〉

「・・・確かに、気になるな」

〈よしよし! さっそくやってみるぞーぃ!〉

「でも、どうやって?」

 ゲームのようにカーソルを合わせて発動・・・とは行かないわけだが。

〈こういう時、自分の手を見てやればできる!っていうのがお約束!な鑑定!〉


『自分の前足』


 それだけ?

〈はーッ!? それだけーッ!?〉

 彼女にとっても、予想外だったようで・・・。

「まぁまぁ、落ち着け。こういう場合は、水面とかに映った自分の姿とかで出来たりするものだし、そこの地底湖でちょっと試してみるといいさ」

〈なるほど! よーし!〉

 アライラはのっそのっそと地底湖に身を乗り出して、ユラユラと濁った水面を見る。

〈・・・まずは鏡面仕上げにしないとダメか〉

 邪眼の一つが光ると、アライラの姿がくっきりと映る水面が出来た。万能だな。

〈よーし、鑑定!〉


『第一休憩地の湖。食用兼観賞魚が放してあり、水浴びやボートで入った場合、食べられる危険があるので注意』


 ・・・第一休憩地だと。

〈あの魚、食用兼鑑賞用だったんかー〉

「驚くところはそこじゃないだろうが!」

〈え?〉

 湖を見て鑑定した場合がこれという事は、この地底湖を見渡すようにして鑑定すれば・・・。

「アライラ、この地底湖を見渡すようにして鑑定をして見てくれ!」

〈・・・あ、そっか。鑑定〉

 俺の指示通りに、アライラが地底湖を見渡すように鑑定する。


『第一休憩地。神代の大迷宮【災厄の壺】内にある第一階層へと通じる洞窟迷宮に設置された安全地帯。迷宮内でのトラブル及びモンスターなどが侵入できないように整備されている。管理人による迷宮見回りに使われるため、寝所となる家屋が二か所設置されている。この洞窟迷宮には全部で六つの休憩地があり、いずれも同じ仕様となっている』


 か、管理人がいるのか!?

〈ひゃー、こんな広い空間があと六つもあるんかー。オラ、わくわくすっぞ!〉

「そんなことはどうでもいい。重要なのは管理人というワードだ!」

 どうしてそんな方向に反応するんだ? この子は・・・。

〈んー、でもさ。いるのかな? 管理人なんてさ〉

「見回りに使うというからには、いるはずだ・・・もし会えるなら、何とかして外に出してもらえるように交渉したいが」

〈うーん。私ってば、真っ先に殺処分されないかな?〉

 ・・・どう見てもされますね。

「そこはもう、管理人に会えたらお願いしてみよう」

〈で? もしかしてここに居るのかな?〉

「鑑定結果にもあった寝所となる家屋だな・・・もしかしたら、詰所のようなもので、常駐している人がいるかもしれない」

〈行ってみよう!〉

「そうしよう!」




 数十mほど時計回りで進んでみたら、木造家屋があった。

「まさか、こんな近くにあったとは・・・」

〈異世界ファンタジーにあるまじき日本様式の家屋じゃん・・・〉

「しかも現代風・・・どうなっているんだ?」

 世界観がおかしい。外はあんなにもヨーロッパしていたというのに。

 まぁ、ダンジョンだし・・・で済ませていいモノか悩むけど、まずは中に入って見てからだろう。

 俺が家屋の玄関を通って、扉のノブに手をかける。

 しかし、ドアノブがカチッと音を鳴らすだけで開くことは無かった。

「鍵がかかっているのか」

 そりゃそうだ。戸締りはキチっとしてあるよな。

〈つまり、誰もいないのかな?〉

「そうだな。明かりもついていないし、留守って感じか」

〈ま、こんな洞窟の中に常駐している人なんているわけもないよね〉

 ・・・あるいは人手がないだけか。

〈しかーし! せっかく家屋があるんだから、ルッタ用の食料があるかもしれないよね!〉

 確かに・・・缶詰とかでもあれば万々歳だな。

〈ふふ、私の鍵開け術を見せてやる! お~たからちゃ~ん!〉

 ・・・え? なんだその発音・・・。

 俺がアライラの何をイメージしているのかも分からない成り切りに呆れているとき、彼女の眼がキラッと光ってドアのカギを開けるための力を掛ける。

 刹那。

 俺の視力でもギリギリ捉えることが出来たが、アライラの顔が陥没した威力をそのままに湖へと飛んで行った。

 もう凹!って感じで顔が陥没したんだ。

〈ぶふほぉぎゃああああああああああああああああ!!!!〉っていう断末魔のような絶叫を上げて湖に飛んでいく。

 そして、食用兼鑑賞魚に丸呑みされていた。

〈ぴぎゃあああ!!! 八連邪眼びぃいぃぃぃいむぅぅぅううぅぅぅぅう!!!!〉

 もう、それはもう必死です。と言わんばかりの邪眼ビームが湖の中から飛び出してきた。

 頭が吹っ飛んだ巨大魚は、そしてアライラに牽引されながら岸に引き上げられる。

〈なんで私がこんな目に合わないといけないの!!〉

 ご立腹だ。

「俺にも分からない」

 それはそれとして、どうやら家屋のセキュリティは万全のようだ。彼女の眼による開錠に反応して、対象を叩き飛ばす不可視の一撃・・・俺が受けていたら頭が弾け飛んでいたこと間違いないだろう威力だったな。

〈やられたらやり返す! 倍返しだ!!〉

「やめやめ!」

 俺が今にも邪眼ビームを撃ちそうなアライラの前に飛び出して、両手を振りながら止める。

〈ンンン! 可愛いからやめる〉

 なんなの? その反応・・・。

〈でも、なんで止めるん?〉

「いやだって・・・鍵開けだけで君の顔が凹!ってなったんだぞ? 凹!ってさ」

 アライラは、沈黙した。

〈となると、家を攻撃したら・・・〉

「凹!っじゃ済まないと思うぞ」

 アライラは唸り出した。

 やられたからにはやり返したいところなんだろうけど、倍返ししてもさらに倍返しされる可能性を考えれば、我慢するしかないだろう。

〈もういいや・・・この魚を食べて鬱憤を晴らす!〉

 そうか・・・とりあえず一安心だな。

〈ってことで、この魚を焼いてちょうだい!〉

 ・・・はは。




 ヘルメットに汲んで、煮詰めた奴が冷めたようなので、ガブガブと飲み干した。

 もう一度汲みなおして、切り身を入れて浄水しつつ火にかける。

〈むふー。おいしー〉

 重労働だ。

 アライラを丸呑みできる魚を俺一人で焼くなど・・・本当に重労働以外の何物でもない。すでに起きてすぐに焼いたんだぞ?

 あの時はどのように焼くかと試行錯誤して、アレコレ試したけれど・・・今回はもう面倒くさいから火炎放射器のように火を放って焼き上げてやった。

 そして、体力が・・・足りない。

「しかし、おいしいのであれば頑張った甲斐もあるというもの・・・か?」

 すでにもう、新しさのない麩菓子と駄菓子の魚料理に、もう少しジャンクな味付けが恋しくなってくる。塩でもいいからふりかけたい・・・。ふりかけ・・白いご飯・・・恋しい。

〈むふー。ところで、これからどうする?〉

「もしかしたら管理人とかいう人が来るかもしれないし、もうひと眠りしたら出発しよう」

〈え、早くない? 管理人とかいうのが来るのを待てばどう?〉

 そういう手もアリと言えばアリだが・・・。

「いつ来るかも分からない管理人を待ってはいられないよ。それよりも、鑑定結果にも表示されていた場所・・・このダンジョンの第一階層という場所を目指した方が確実だ」

〈おー・・・確かに、その方が早そうねー〉

 そう、ここは第一階層という場所へ繋がっている道のどこかにある休憩地。となれば、長居は無用。十分に休憩したのであれば、次へ進むが旅というものだ。

〈でもさ、迷路みたいにあちこちに道がある洞窟だけど、どうするの?〉

「それについては任せてくれ。地獄変を使えば、どうにかなるはずだ」

〈なんとでもなるはずだ!〉

 ・・・。

「う、うん。なんとかなるとは思うけども・・・」

 さっきのはなんだろうか?

〈おやすみー〉

 ・・・え?

 ま、まぁ・・・いっか。

「おやすみ」

 俺は、アライラが作ってくれたクッションに寝転がって、毛布を掛けて寝た。




 ふと、意識が回復すると朝になっていた・・・という状況なのか分からないけれど、とりあえず快眠できたので朝という事にしておく。

 もう、何度か見た岩肌の天井にため息を吐いて、身体を起こした。

「おはよう」

〈あ、おはよー〉

 どうやらアライラも寝ていたようだ。俺が声を掛けたら、今起きましたと言わんばかりの声が返ってくる。

「よく、眠れた?」

〈うんうん。お父さんとお母さんが、最新刊を奪い合う夢を見た・・・はぁ、あの最新刊、まだ読んでなかったんだけどなぁ」

 前世の記憶か。

 そういえば、あまり見ないな・・・。 

 顔も名前も思い出せないから、見たくても見れないのかもしれないな。

〈んでー? ダンジョン攻略はどうするの?〉

「ああ、少し待ってくれ。今から召喚する」

〈召喚?〉

 俺は、持っている錫杖を鳴らし始めた。

 詠唱を始めるでもなく、ただただ錫杖を鳴らし続ける。

〈・・・なんで鳴らすん? うるさいだけなんだけど?〉

「こうして、魔力を杖に送ることで技の発動に必要な量を溜めるんだ。アレだ。自転車に空気を入れるポンプみたいな感じで」

〈あー、アレは面倒だよね〉

 しばらく、錫杖の音が鳴り続ける。

〈で? なんでそんなことしてるん?〉

「ああ、俺は魔力が垂れ流しになるほどあるんだけど、魔力を使う能力がないんだ」

〈なんで?〉

「俺が知るかよ。魔法術師によると、念話を受信できない者は魔法術が使えないんだそうだ。送信はできない者は多いけど、受信は平民でもできることだから・・・だそうだ」

〈へー。確かに、念話とか誰でも受信しているよね。大抵の場合〉

「そう、そして俺にはその能力がない」

〈・・・宝の持ち腐れって奴?〉

「だからこうして腐らないように活用しているだろうが!」

 っと、魔力が十分に溜まったようだ。

「地の深淵に、我が力を以て求める!」

〈お! いよいよかー!〉

 召喚するは、道を教える者。

 召喚するは、道を示す者。

 召喚するは、道を標す者。

「地獄道・地蔵菩薩道標人」

 錫杖で地面を叩くようにして突き立てる。

 バシッという音が生じて、魔力を込めた技は発動した。

 地面の一部が砕け、爆発するように飛び出してくる人影が一つ。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 飛び出してきたのは、俺の腰ほどしか背丈がないお地蔵さん。

 コレを覗き込むように姿勢を低くするアライラは、呟く。

〈小さい・・・それと、なんか言ってる?〉

 確かに、登場時から口をパクパクと動かしているけれど、何を言っているのだろうか?

 着地してこちらに一礼してくると、お地蔵さんは自分の口から声が出ていないことに気づいたようで、頭を人差し指で捏ねながら・・・何かを閃いたような顔になった。

 すると、錫杖で地面に文字を掘り始める。

『主が雑魚過ぎて声が出ませぬ。精進なされ』

 ・・・・・。

「なんだとコノヤローッ!!!」

〈はいはいやめやめ、いいこいいこ!〉

 アライラが邪眼の力で俺が地蔵に飛び掛かるのを妨害してくる。

 体が宙に浮いて進むこともできなければ。後退することもできない。なんてことだ。殴らせろ。

〈ルッタは可愛いよ!〉

 しかも、俺の頭を撫でてきやがった。前足ではない。多分邪眼によるものだ。

「アライラ! おまえ、邪眼で細かいコントロールはできないとか言っていたじゃないか!」

〈やはりショタ・・・ショタは不可能を可能にしてくれる〉

 ・・・。

「意味わかんねーよ!」

次こそはダンジョン内バトルを出します。がんばります。

読んでくださり、ありがとうございました。

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