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カミトキ  作者: 稗田阿礼
第一章 学園編
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1-79.対抗試合15


 カナ、イオ、カイは森の中で敵と向き合っていた。木が多く、隠れる場所は多いがそれは相手にとっても同じだった。

 しかし、今は三人通しで向かいあっていた。ネネからの報告通り敵は三人のようだ。一人はファーゴと言って、丸眼鏡をかけた背は平均よりも低い、髪がぼさぼさの男の子だった。

 確か、数の魔法使いと呼ばれていたような気がしたなあ・・・とイオは思っていた。その隣居るのか、たぶんアデンかなー?確か、この人も魔法使いだったような・・・

「カイー、やばくないー?敵三人中二人が魔法使いっぽいけど。」

「まじか。班長も半分の確率で会うって言ってから予想はしてたけどさ。」

 うんうん。

 カナは無言で頷く。


 そして、三人目はエリザベスという女性だった。カイは少し見とれたが、レナのほうが断然可愛いなあ、と思った。

「私たちに会ったが最後、三人とも脱落していただきますわ。おーほっほほ。」

 エリザベスはそう言った。

 カナたちは一瞬固まった。オッデサといい、チャチャといい、なぜこのようなキャラの濃いのがキョウ高校にいるのか疑問に思った。確かに、クマ高校もキャラが濃いのが何名かいるが。


「じゃあ、私はあのエリザベスちゃんの相手するねー。」

「おい、ずるいぞ。」

「二人ともガンバ。」

 先に言われてしまったら仕方がない。じゃあ、俺様は次に弱そうなやつの相手をするとするか。カイはファーゴに目を付けた。よし、あいつならひ弱そうだし、どうにかなるだろう。そんな打算でファーゴの相手をカナに申し出た。しかし、カイは運が悪いことには定評がある。

 うんうん。

 カナは無言で頷いたのでその案は承認された。

「よし、行くぜ。」

 カイはそう言ってファーゴの方へ走っていった。カイは遠距離攻撃もできるが、お前の相手は俺だぞということをアピールするために剣を抜いた。うまくいけば、このまま脱落させられるかも、とも思っていた。

 ファーゴはカイの剣を避けた。

「僕の相手かな?」

「ああ、そうだぜ。覚悟するんだな。」

 そう言ってカイはまた切り込んだ。しかし、また避けられてしまう。


 ファーゴはカイの攻撃を避けつつ、大量の術式を展開していた。ファーゴの周りには無数のエレキボールが作られていく。

 ちぇ、これじゃあ迂闊に近寄れねーじゃねーか。カイは舌打ちをした。


 そして、ファーゴのエレキボーたちがカイに向かって一斉に動き出す。カイは素早い動きで避けるが、避けきれる数ではなかった。体のあちこちが被弾する。幸い、防御結界は破られないが、この数だと時間の問題だった。

 カイは自身の周りに暴風を起こし、エレキボールの攻撃の被害を少なくしようとする。それは成功した。その暴風はエレキボールを吸収し、竜巻へと発展した。魔法のコントロールはカイにあるのでファーゴはそのまま相手を攻撃しようとする。


「僕の魔法が利用されるとは、面白い男だね。」

 ファーゴは指を鳴らした。その瞬間、暴風は跡形もなく消え去った。

「何が・・・」

 カイは驚いていたが、これよりすごいものをレナに見せられていたので、すんなりと受け入れていた。

「何が起こったか気になるだろう。うん、いいよ。僕は優しいから教えてあげる。」

 ファーゴはニヤリと笑った。

「僕は暴風と逆向きの風を起こしたのさ。ただ、これは君にはまねはできない。なぜなラ、これは緻密な計算が必要になるからね。」

 そう言えば、こいつは・・・

「だから、僕は数の魔法使いと呼ばれているんだよ。最も、物理的な魔法にしか使えないけどね。」

 くっそ、これはやばいやつに当たってしまった。

「さあ、そろそろ終わらせようか。」

 ファーゴはまた物凄い量のエレキボールを作って、カイへ向かって打った。


 カイは避けるがさっきの攻撃で消耗しており、思うように体が動かない。そして、防御結界ももう限界に達していた。

 やばい、カイはそう思った。しかし、体は耐え切れず、カイはそのまま気絶してしまった。


 その頃、イオは疲れ果てていた。思っていた以上にエリザベスが手ごわかったのだ。もちろん、舐めてかかったわけではない。そんな事したらネネに怒られるしねー。口先だけかと思ってたけど間違いだったみたい、てへ。

「休んでる暇はなくてよ。」

 エリザベスは絶え間なく炎魔法のファイアーボールを撃ちこんでくる。それをなんとか回避してイオは永らえていた。

 ネネちゃんとの特訓がなければ、もう死んでたかなー。ネネはイオにも魔法を教えていた。イオが得意としている光魔法はネネが適性がなく理論だけ教えてもらったのだが。他の魔法も教えてもらってはいた。

 イオは回復魔法を自分に施し、体力を回復させる。ネネは再生魔法なら使えるのだが、光魔法はほとんど使えない。光魔法の代表格ともいえる回復魔法は理論だけ教えてもらった。ちなみに再生魔法は無属性魔法だ。イオは以前から回復魔法は使えたが、ネネに教えてもらってから威力が大きくなった。

 もちろん光魔法は回復魔法だけではない。

 イオもやられっぱなしじゃ嫌だしねー。そう思って魔法を唱える。

「ブライトレイ。」

 前に掲げた右手からイオは細く明るい光を放った。その光はすでに脆弱なものとなっていたエリザベスの防御魔法を貫通して、エリザベスの右足に直撃した。


「きゃああ。」

 エリザベスは痛みで悲鳴を上げる。そして、右足を押さえてしゃがんだ。

「降参しますかー。」

「・・・」

 エリザベスは黙り込んでいた。

「どうですかー?」

 正直これ以上放つと相手を殺してしまいそうだった。だからイオは降伏を促したのだ。

「私がこんな下民に負けるなんて・・・いえ、私は。」

 エリザベスは油断して近づいてきたイオに向かって渾身の一撃を放つ。

「炎の渦。」

 そう唱えた瞬間、イオは炎の渦にとらわれた。そして、その渦は段々と狭く、中にいるイオを圧迫する。

 てへ、これはやらかしちゃったかなー。イオは何とか脱出を試みる。全身が熱く、汗だくになっている。そして、呼吸も荒くなっている。そして、イオの意識が朦朧としてきた。


 その時だった。空から大量の水が降ってきたのは。その水は炎の渦を見事消し去り、ついでにイオの体をずぶ濡れにさせた。

「一体・・・」

 イオがきょとんとしていると、目の前にカナがいた。

「あ、カナちゃんありがとーーー。」

 イオはこの水を呼び出した人がカナであることを悟った。そして、カナの後ろでは、エリザベスとアデンが気絶していた。

「えっ、カナちゃんが二人とも助けたのー?」

 うんうんとカナは無言で頷いた。

「ほんとー、すっごーい。」

 イオはカナに抱き着いた。

『おい、我を濡らす気か・・・』

 カナは内心嫌がっているのだが、イオには伝わるはずもなく・・・


 一方イオは、あれれ、私びしょ濡れじゃん。まあ、汗だくじゃないだけましだけどさー、乾かしたいよね、ね。などと心の中で思っていた。


 仕方がないのでカナは風魔法と炎魔法を使ってイオの服と体を乾かして、ついでに自分も濡らされたところを乾かした。

 イオがカナに尊敬の眼差しを向けるようになったのは言うまでもない。そして、二人は敵の城の方へ向かって行ったのだった。


残っている人

クマ高校チーム・・・ネネ、ヘイド、スミレ、イオ、カナ

キョウ高校チーム・・・チャチャ、オデッサ、ラスク


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