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カミトキ  作者: 稗田阿礼
第一章 学園編
75/129

1-70.対抗試合7


 少しするとマコトが観客席に戻ってきた。

「おっ、お帰りー。」

 イオはマコトを迎えた。

「お疲れさまでした、次は当たっちゃいますね。」

「そうだな、勘弁してほしい。」

「負けませんからね。」

「僕だって。」

 マコトはそう言って席に着いた。そして、カイに気が付いた。

「カイ、なんか久しぶりだな。」

「おい、それで済む話じゃねーだろ。」

「事実だろ。」

 マコトは笑う。そして、自席にあった水筒を飲んだ。

「いろいろ大変だったんだぞ。」

「そう言えば、二か月間何してたのー?」

「いや、なんか迷宮に飛ばされてよ。」

 ネネはにやりと笑った。

「ネネ様、顔に出てますよ。」

「そうですか?」

「はい・・・それにしても、カイには当たり強すぎないですか?」

「そうですかね・・・確かに軽蔑してますし、嫌いですけど。」

「おい、班長流石にそれはひどすぎる気がするぜ。」

「黙っててください。」

「今、イオに質問されてたところなんだけどな。俺が悪いか、ケリン?」

 カイは萎えてそう聞いた。

「いや、ネネさんが悪いのは自明だけど、何も言わないほうが身のためだと思うよ。」

 ケリンはカイだけに聞こえるくらいの大きさでそっと言った。

「それもそうだな。」

 カイもひそひそ声で答えた。


「で、どうだったのー?」

「ああ、迷宮に飛ばされて、中でレナっていう人に会って、いろいろしてもらって、それから二人で旅をして、ここに来たってことだぜ。」

「雑だね。」

 ケリンはつぶやいた。

「そう言えば、どうして私のフタバが一緒にいたの?」

「それはたぶん一緒に転移したんだろう。それより、あの日みんなはどうなったんだ?」

 カイはあのカタストロフィの日のことについて聞いた。

「どこまで知っていますか?」

「カタストロフィによってクマは消滅してその魔力爆発のせいで俺たちは世界各地に転移させられたんだろ?」

「まあ、そうですね。」

 それはアンジェラ財閥の公式発表で事実は少し違いますけど、カイに教える必要はないでしょう。

「俺はイヅモの近くに飛ばされた。」

 マコトはカイの質問に答えた。

「ネネ様と私とマコトはキョウに飛ばされたよ。」

「運がいいな。」

「俺はザオウ温泉に飛ばされて、そのまま風呂を満喫してきたぜ。」

 サヤカは自慢げにそう言った。

「僕はエドに飛ばされたよ。本当に始めどうなったのかわからなくて不安になった。」

 ケリンはあまりいい思い出はないようだった。

「イオはねー、ダザイフに飛ばされたよー。なんか転移したらねー、目の前にブティックがあったから入って買い物しちゃったけどねー。」

 相変わらず呑気な人ですね・・・

「なんかみんな大変だったんだな。まあ、俺が一番大変だったことは自信があるぜ。」

「誇ることじゃねーぞ、カイ。」

 サヤカは少し得意げになっていたカイを軽く叩いた。


 魔法大会第三試合は『箱庭の魔法使い』のチャチャ対『無口の魔法使い』のカナだった。カナは相変わらず無口で何もしゃべらないままだった。勝ったのはチャチャだった。最初は接戦だったが、カナがチャチャのペースに乗せられていき、カナは健闘したものの、破れてしまった。

 第四試合は『草の魔法使い』のレオン対『土の魔法使い』のアデンだった。二人ともほtんど登場はしていないが名前は少し出てきている。結果はアデンの勝利だった。



「やってきたでー、準決勝や。」

「八人しか出てないからのう、早いものじゃ。そして、クマ高校の生徒同士の戦いじゃ。」

「紹介するで、えーっと確か、ネネとマコトや。二人は同じアルティ出身らしいで。うちの高校にはそんなもんないけどな。まあ、精々頑張りや。」

 自分の生徒が出ていないから興味がないテレサ校長だった。

 まじであいつ辞めさせましょうか・・・

 そう、私立キョウ高等学校はアンジェラ財閥が運営している。そして、代表取締役のネネにとってテレサをやめさせることは容易いことだ。

 もう少し様子見をしましょうか。そして、ネネは目の前に立っているマコトに意識を向けたのだった。


いつも、読んでいただきありがとうございます。

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