1-42.小話~スミレの航海日記~
十一月十三日 火曜日 アレ暦2000年
今日は航海十日目です。十ノットくらいの速さで航行中で順調に進んでいます。航路を書き込んでいるマコトによるともうすぐヤク島が見えるそうです。まあ、私には海しか見えませんけどね。
それより、今日、ネネ様が病気になってしまいました。最初は心配したのですが、病気のネネ様はとっても甘えん坊なんです~。もう、かわいい、かわいい、ああ、かわいくて死にそうです。いつもかわいいんですけどね。だって、お粥を持っていくと、犬みたいな顔をして、
「スミレ・・・・食べさせて。お願い。」
ってほほを赤らめて言うんですよ。食べさせるしかないですよね。ああ、いとおしい。ずっとああだったらいいのに。そして、私が、
「あーん。」
っていうと小さい口を開けるんですよ。丁寧にたべさせてあげたら、いつもは適当にあしらわれるのに、
「ありがとう。」
って言ってぎゅってするんです。本当に、
ああ、神様っていたんだって思いました。
そして、私が去ろうとするとこういうんです。
「ねえ、スミレ、行かないで。」
いやー、これはもうずっと一緒にいるしかないでしょう。もはや結婚するレベルですよね。うん、はい、そう思いますよね。
本当に結婚してみましょうか。二人で田舎暮らしってのもいいですよね。子供の二人や作って一緒に仲良く育てるのもいいでしょう。
ん?女性同士じゃ結婚できない?それはもう時代遅れですよ。今や同性愛の時代です。いや、私は男性にも興味はありますけど、ネネ様が煌びやかすぎるだけです。普通にレズビアンではないので、そこはご了承ください。
妄想が過ぎましたね。すみません。
そのあと、ネネ様はずっと私の腕を握っていました。そして、寝てしまいました。その寝顔と言ったらなんと言うか、もう天使ですね。いつも天使ですけど。母親が子供の寝顔を見るのってこういう気分なんだろうなって思いました。一瞬接吻でもしようかと思いましたが・・・・
はい、すみません。結論から言うと我慢できなくてしました。でも、おでこにです。断じてネネ様のファーストキスを奪うなんて真似はしていませんよ。いずれ、ネネ様にふさわしい殿方が現れた時に私が許可したいと思います。娘はお前に渡さんという父親の気分が少しわかったような気がします。
ネネ様が寝てから、ずっと私はそばにいました。まあ、ネネ様はいつまでも見ていられますからね。そのとき、ネネ様の顔が少しこわばりました。
どうやら、悪い夢でも見ているのでしょうかと思いました。ネネ様は実際に悪夢を見ていたようです。しかし、その時不思議なことなのでしょうか、が起こりました。
ネネ様の横で寝ていたフタバという使い魔が突然目を覚まし、ネネ様の頬に接吻したのです。
許すまじ。まじ許すまじ。でも、そのとき、ネネ様とその使い魔が紫色の光に包まれました。私には何をしたのかわからなかったのですが、何かをしたことは確かでした。そのあとは、ネネ様の顔が安眠しているような顔になりました。
ネネ様に接吻するなんて本来許されませんが、ネネ様の悪夢を鎮めたのでまあ、今回は見逃してやることにしましょう。
使い魔はそのあとは何事もなかったように寝ていました。
今日書くことはそれくらいですかね。ああ、あと、なんでか知りませんがヘイドと言う人に看病していると睨まれました。もしかしたら、ネネ様の寝込みを襲うつもりでしょうか。そんなに悪い人じゃないとは思うのですが人は何を考えているのかわかりません。ネネ様とはずいぶん親しいようですがね。一応注意しておきましょう。
ネネ様・・・かわいい。 以上




